ユエ
3 件の小説私達
私には生まれた時から上に四人いた。 一人目は誰よりもニコニコしている。 転んでも笑う。失敗しても笑う。 その笑顔につられて、周りも笑う。 二人目は誰よりも怒りっぽい。 理不尽を許さない。 誰かが泣けば、一番に前へ出る。 三人目は誰よりも涙脆い。 映画でも、本でも、夕焼けでも泣く。 その涙は誰かの痛みに寄り添える。 四人目は誰よりも楽観的。 「なんとかなるよ。」 その一言だけで、空気が少し軽くなる。 皆が皆、違う。 だから綺麗だ。 だから羨ましい。 笑える人が羨ましい。 怒れる人が羨ましい。 泣ける人が羨ましい。 前を向ける人が羨ましい。 私は、どれも持っていない。 でも、不思議なことがある。 私たちはいつも五人でいるのに、 私たち以外の誰かに会ったことがない。 家はある。 朝も夜もある。 なのに窓の外には、いつも誰もいない。 それでも兄さんたちは気にしない。 「そんなものだろ。」 そう言って笑う。 私はずっと思っていた。 私たちは、どこで生きているんだろう。 ある日、世界が揺れた。 嬉しそうに笑う兄さん。 怒鳴る兄さん。 泣き崩れる兄さん。 「大丈夫。」と笑う兄さん。 個性がある彼らを見つめる私 外の世界は不思議と、私たちの意思とは関係なく変わっていく。 まるで誰かが、 私たちを動かしているみたいだった。 あぁ、気づいたよ。 私達は、自由に生きるために生まれてきたんじゃない。 1人の人間を形作るため、感情の1つとして生まれたんだ。 ようやく気づいたよ 私は嫉妬。 今日も持ち主の心の中で、誰にも知られずに役目を果たす 持ち主が、最後の息を吐くまで。 持ち主の最後を過ぎ、自由になった私達は何処へ行くのか それを知る兄弟は、まだ誰もいない
少女レイ
ああ、まただ クラスメイトの仮面を被った加害者達が地面に突っ伏している私を取り囲む。机には1つの花瓶 「私達が構ってあげてるのになんなの?」 「泣いてんじゃん」 「無反応がかっこいいとでも思ってんのかよ」 うるさいな、蹴られても何をされてももう何も感じられなかった。 ひとことを覗いては 「あの子が死んだのもお前のせいだもんね」 その声は小さく事実確認と共に洗脳の様だった、私は飛びついてぶん殴ってやりたくなった。 私の親友をいじめて殺したのはお前らだろと叫びたかった、ただ私がイジメられたく無さに彼女の机に花瓶を置いた。 彼女はイジメられ始めたが私より酷く、私へのイジメも消える事は無かった。 急にあの子を思い出した 『そっか、今行くね』 電車の滑走音が踏切の甲高い音を越した 止まらない電車の車掌の怯えた絶望の目と最後に目が合った
貴方は誰に見られてる?
ある男は会社員になり安定した職を得た そして本を読む事にした その本の内容は ある博識な子供が有名な偉人の伝記を読み成長するものだった 子供が呼んだ本の中の偉人もまた、著者であり本を愛した人間だった 本の本の本の中 貴方は誰に書かれ、誰に読まれているの?