AKira Tubuyaki
2 件の小説AKira Tubuyaki
私は問いの中に生きている。 答えを急がず、沈黙の余白に耳を澄ます。AKira Tubuyaki。 名前は記号ではなく、揺れる思考の器。世界は意味を求めるが、私は意味の手前に立ち止まった。 なぜ生きるのかではなく、どう生きるのかを綴る。言葉は、存在の輪郭をなぞるための道具。 詩は、見えないものを見ようとする試み。 エッセイは、思索の断片を拾い集める旅。私の文章は、哲学の小径を歩く足音。 誰かの心に問いを残すことができたなら、それでいい。AKira Tubuyaki 思索と静寂のあいだに、言葉を灯す者。
僕が殻を破るその時は.....
第2弾 僕は殻の中で過ごす。 お腹が空いた。 僕は自ら、口の中に生きる為の補給をしていない。 だって。 もう、殻から出れないんだ。 自分にそう言い聞かせた。 与えられた物さえ、自ら口の中に入れようともせず。 絶対に殻から出れないことを決めたから。 だって、周りがそう思っているから。 「この子は殻から出れない子」 でも、お腹が空いた。 喉も渇いた。 僕はこっそり、殻から出たことを見られないように、口の中に入れる物を探した。 ほんの少し、口に入れられる物があった。 ひとくちだけの物。 口に入れた。あっというまに無くなった。 何か近くにゴソゴソと鳴る音が聞こえて来る。 とっさに殻に閉じこもった。 僕はずーっと殻に閉じこもった振りをした。 近くに居るのは、昔から僕を見守っていて優しいくて、綺麗で良い香りがする者。 しばらくして、居なくなった。 甘えたい、元に戻りたい。 誰か教えて、戻れる方法を。
えっ、ダメなの?僕は殻から出れないの?
ふと、目の前の景色が変わった。 それ迄、僕は殻の中に居た。 何故? 外敵から刺激され、辛くなったから。 いや、自分から殻の中に入ったんだ。 しばらく、気が収まる迄、殻に閉じこもっていた。 熱りも冷め気が収まってきた。 そろそろ、外に出ようとした。 あっ、たまに会う聞き覚えの声。 その人に会うと、楽しいくウキウキする。 その人に会おうと殻から出た。 普通に話しかけたかった。 笑顔で話しかけようとした瞬間。 横から、僕に刺激を与えた外敵者が口を開く。 「コイツ、ずーっと殻に入ったままなんだ。ずーっと出て来ないんだよ」 心の中で叫ぶ。 「僕は今、殻から出てきたじゃないか?何故、普通に話しかけてはいけないの?」 彼は気の毒そうな顔をして、こっちを見た。 その顔を見た瞬間、声が掛けられなくなった。 また、殻の中に閉じこもった。 「殻の中で、僕は殻から出てはいけないの?」 「どうして、普通に話しかけてはいけないの?」 僕はそれ以来、殻を破ることが出来なくなった。 それは、誰かが心の扉を開く迄は。