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2 件の小説2人・タイムカプセル
鈴虫の鳴く季節、私(はるか)と親友(みなと)は少し遅めの肝試しにとある公園に来ていた。 “ねぇみなと、やっぱり帰ろうよ” “大丈夫だよ、行こ!” みなとは私の手を引き奥へと進んでいく。 暗がりばかりで何も見えずつい握る力が強くなる。 “よし、着いたよはるか。” 顔を上げると古びたトンネルが姿を見せた。 “本当に入るの?” “ああ、もちろん!” みなとは躊躇わずに歩いて行く。 私も置いて行かれないように着いてゆく。 足音の反響、2人の息遣い、風の走り抜ける音そして水の滴り落ちる音。 そのひとつひとつが私の感覚を研ぎ澄ましていった。 私はみなとの服をつまみながら進んでいく。 2分ほど進むと私たちはトンネルを抜けた。 “なんだ…何もなかったね。” “私は安心したけど。” みなとは笑いながらスマホを取り出す。 “じゃあ記念写真を撮ろう。” “えぇ、罰当たりじゃない?心霊スポットなんだよココ。” “大丈夫” みなとは私の隣に移動してツーショットを撮影した。 怯えて半目になっている私の顔を見て2人で笑い合い帰りは緊張せずに引き返した。 しかし 半分ほど歩いた頃だろうかどこからか低い唸り声のような音が聞こえてきた。 “な、何!?” みなとは怯える私の手を取り走り出した。 次の瞬間、私の目の前はさらに深い闇に包まれた。 −速報です。本日午前0時頃、九州地方にて大きな地震が発生しK県U市のトンネルが倒壊しました。 10年ほど前から使用せれてはいませんでしたが、一部界隈では心霊スポットとして有名で……………− −8月3日、約一年前の地震にて倒壊したトンネルの瓦礫の撤去作業中に2名の遺体が発見されました。 2人の身元は判明しておらず現在調査が進んでおり………………−
三日月に立つ
私は今日、ここを飛び立とうと思います。 辛かったわけではありません。 苦しかったわけでも、痛かったわけでをありません。 ただただ、そうせずにはいられませんでした。 そうするべきだと思いました。 分からなかったんです。 人の目が気になって周りが見えなくなりました。 人の言葉が気になって声が出なくなりました。 人の行動が気になって自分から動けなくなりました。 みんながするからやりました。 みんなから離れることができませんでした。 ひどく臆病なのに、君の前に立ちました。 震える手足で見てました。 君は濡れていました。 君は震えていました。 私は教室を飛び出す君を見てタオルを差し出しましたね。 君はまだ震えていましたね。 きっと君もここが嫌いなんですよね。 ここが怖いんですよね。 私もそうです。 とても不安定な足場に思います。 大きく欠けています。 だから怖い。 だからここには居られないんです。 君には言っておきたかった事があります。 返事はまた今度聞かせてください。 “君をいじめて…ごめんなさい”