4 件の小説
Profile picture

ただ書いてるだけ いいねとコメントだけが生きがい

1. 奏太と芽衣

小さい頃から両親に “目に見えないもの”を大切にしなさい。 と言われて育てられた。 人々が抱く熱い想いや、勇気や思いやりなどのアレだろう。 勿論大切だと思っているし、それを無下にした時点でその人は私とは合わないだろう。 でもさ、私思うんだよ。今ここにいる“君”が大切じゃないかって言われたらそうじゃないでしょう? 私ははっきりと彼にそう言った。 「なんで疑問形なの?笑嬉しいけどさ〜笑」 照れた様子で奏太は軽く言った。 奏太は私と同じ高校2年生の幼なじみだ。 「もう時間だね。今日もありがとう、芽衣。」 奏太は昔から体が弱く入院している。 別に病気や障害があるわけでは無いが、病から身を守るために長期休みには病院に入院しているのだ。 「うん。明日もくるね!」 奏太は小さくありがとうと言ったのを聞いて、私はそっと病室のドアを閉めた。 今日も無事に話せたなあ。まさか奏太が照れるなんて思いもしなかったし。私の顔変じゃ無かったかな… そうやって1人で反省会をしながら家に帰る。 猛暑日に病院からの帰宅は反省の戒めに丁度良かった。 この奏太に対する気持ちが何なのかぐらい知っている。 これは紛れもない恋というヤツだ。 これも目に見えない厄介な感情の1つ。 私は密かに奏太に恋をしていた。 元から情熱的な性格は持ち合わせていないし、キスがしたいとか結婚がしたいとかの願望があるわけでは無いが、いつか綺麗景色を2人で見に行きたいなと思っていた。 向こうに気があるのかなんて思ってもみなかったが、下手に気にしていると心臓が破裂しそうだ。 もし両想いというやつなら向こうから言ってくれるだろう。 両親の許可は…結婚式は… 小っ恥ずかしい妄想をしているうちに家に着いた。 風鈴の音が優しくおかえりと私を出迎えてくれるのだった。 私はいつまでも奏太と一緒に居たい。 たとえ奏太や私が何かを失ってもそばで支え合えるようになりたい。願望ばっかで現実味は無いかもしれないが、それでも今の私には十分な頑張る理由だ。 私はこんな風に夏休みを毎日過ごしていった。 奏太と私は相変わらず毎日話し、時にお菓子や飲み物などの差し入れを持っていったら喜んでくれた。 この時間が永遠に続けばいいのにと、私は奏太ににこりと微笑んだ。 夏休みも終盤になった。 何気ない毎日が終わってしまう。私にとって素晴らしい日々が呆気なく。奏太は私の生きる理由だ。お願いします神様。この素晴らしい毎日を“トワ”にしてください。どんなことが起きようが私は奏太の隣に居たい。寄り添いたい。 ふと、良くない考えが浮かんだ。 奏太の入院が永遠に続けばいい…?

1
0

運命

君との間が変わらない。 私と彼の間にはかきっとなにか強いもので繋がれている。 その糸は緩むことも縮むこともなく、ぴんと張って私達の距離を保っている。 話すことはなくても、居るだけで安心する。 すぐに眠りにつけるような心地良い気持ちになる。 この至高の位置から近づくことも、離れることもできない。 誰かにとっては邪魔なもの。誰かにとっては最高のおまじない。人類はこの関係に名前をつけた。

4
0
運命

こんなにも好きなのに。

私には好きな人がいる。 小学校の頃、「1人なら一緒に帰らない?」と言われたのが私たちの出会いだった。 私たちはすぐに仲良くなり、毎日帰るような仲になっていた。 ある日。私の好きな人、弘樹が言ったんだ。 「好きな人がいるんだよね。」 冷たい風が吹く。 今日は肌寒い晴れの日だ。 「へ、へー。そうなんだ。」 変に意識してると思われたくなく、素っ気ない返事で返した。 仲がいいというだけの嫉妬の気持ちでは無かった。 私はいつの間にか弘樹を好きになっていたのだ。 必要以上に瞬きをしたり、鼓動のスピードがどんどん加速したり、恋と呼ぶには十分な証拠だった。 私は弘樹に恋をしている。 とはいえどうしようか。好きと伝えたら今のこの関係に亀裂が入るのではないか。考えれば考えるほど、臆病になってここから逃げ出したくなるのだった。 「ねー、聞いてんの??」 「う、うん。良かったじゃん、!」 少し照れくさそうに弘樹が言った。その頬は夕日のせいか、話のせいか、少し赤く染めた。 それから私は弘樹の相談役になった。日に日に話を聞いた。私の気持ちなんか知らずに、弘樹はその人を褒め、語った。 「俺、告白しようと思うんだ!」 あー、ほらね。結局私は何も出来ないまま終わるんだ。もし何も言えないなら、失敗しろと願うしか無かった。 それが弘樹のためになるなんて知ったもんか。 私は弘樹が好きなんだ。大好きなんだ。 この気持ちは誰がなんと言おうが本物だ。 結局恋は実らない。私はいつもこうだ。いつま何も言えないままだ。弘樹の話の仲で嘘のない言葉に傷つき、結局私のところにきて話す。そんな私たちの関係が好きだった。 もう、限界だ。私は必死に好きな人を語る弘樹を無視し、いつもとは違う帰り道、人が少ない帰り道を選んだ。 「あれ?なんでこっち?」 私は行き止まりで歩くのを止めた。 「ばか。」 葉の通り過ぎる音が聞こえる。 私は理性に負けてしまった。涙を堪えることが出来ず、涙を流したまま、そのまま弘樹にキスしてしまったのだ。 それが悪い事だとは思わなかった。 何故って?あんなに頬を赤めた弘樹を見たことが無かったからだ。 これが恋か… こんなに好きなのに何故恋は報われないんだ。 おかしい。どうしてこんなヤツを好きになったんだろ。でも私は結局この人が好きなんだ。 あ〜、その性格も、目も言葉も声も全て…………………… 「大好き…」 私はポツンとそう言った。 弘樹に聞こえないぐらいの大きさで。 その日は2人で何も言わず帰った。 やっぱり恋はおかしいな。 これが恋と言うなら、私は諦めることなんて出来るわけがない。 やっぱり大好きだな… いつかこの恋が報われるまで、私は戦い続けよう。どんな女の子が現れようが私はこの戦いに勝って弘樹と付き合うんだ。 やっぱり恋は難しくて楽しい。小っ恥ずかしくてややこしい。 でも報われないのが恋だ。 “こんなにも好きなのに” (主の実話です笑)

1
2
こんなにも好きなのに。

私と君はふたごみたい

私と私の好きな人はどこか似ている。 昔から一緒に過ごしてきたような、幼なじみのような、恋人のような。そんな気がするのだ。 そんなことを思っていると、彼は…一輝は言う。 「なーに朝から難しい顔してんだよ笑」 7時30分。家を出ると一輝が外で待っていた。 私達の関係は友達だ。 田舎に住んでるただの異性同士の友達。 小学校中学校と学校が変わろうが、ほとんど周りが人達が変わらない。そんな毎日を過ごし、受験をしてみんなと離れ離れになる中、私と一輝は小中高と同じ学校に通っている。 「なんでいっつも待ち伏せしてんの?笑」 私たちは歩き始めた。 冬の寒さのせいでチークをつけたのかのように一輝の顔が赤いのは、きっと私を外で待っているからだろう。 私は昔から起きるのが苦手だし、先に行っていいよって言っているのに、一輝は先に行ったりしない。 「なんか癖っつーか…お前置いていけねぇんだよな。」 「どしたの急に。笑」 なんでこんなこと言えるんだろう。私の好きな人は。 一輝は急にこんなことをよく言うのだ。 私の心臓なんか置いてきぼりに。 鼓動が早くなって上手く呼吸が出来ない。 私はこのことを知られる訳にはいかないので、 わざと素っ気ない振りをする。 毎日ドキドキさせられてばっかりだ。 恋っていうのは片想いしてるほうがボコボコにされるサンドバック状態な気がする。 でも彼が好きなんて最初は信じられなかった。 似てると思うばっかりで、この恋愛感情が本物なのか、それは私しか分からない難問でもあった。 日に日にその事を考えながら生活していると、 だんだん一輝の周りにフィルターがかかったみたいに綺麗になって、 コマ送りのように瞬きすると遅くなる。 常に恋愛ソングをかけられているように、毎日が一輝だらけになる。 そっか、これが恋か。 いつのまにか好きってこういうことか。 似てる人を好きになるって不思議な感覚だ。 生きてる時間を全て一緒に共有してきたみたいな、そんな心の繋がりが勝手に芽生えてしまう。 まるでふたごのように。 でももし私たちが本当にふたごであったら、 私は彼を好きでは無いはずだ。 私は彼と小中高と一緒だが、みんなの恋のようにロマンチックじゃないし、かっこよくなんてない。 どうして好きになんてなってしまったんだろう。 どうして今こんなに彼が好きなんだろう。 私たちが本当にふたごであったらどこまで彼が好きだったんだろう。 私はいったい彼の“どこ“が好きなんだろう。 確かに私は彼の近くで学校生活を過ごしたが、その大半は喧嘩して、泣いて、めちゃくちゃに振り回された記憶ばかりだ。 そうやって今日もまた考える。

5
2
私と君はふたごみたい