つつうらうら

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つつうらうら

初心者の初心者。 思考迷走中

創歴のカーネリアン

走っていた。 白い影。 純白の塊が。 ここはとある異世界。 異世界の中でも辺境の地。 カールレッタ。 雑踏の中を異質な程、白い物体が彷徨うのを誰も気づかない。 それは、“”彼女“”が人間ではないからだ。 彼女の名前は“”カーネリア“”。 意味を“”縁深きもの“”。 「散々、考えたけれど、わたし、何で人間に生まれられなかったのかしら。」 それは、呟きだが、独白でもあった。 応答などない。 だって、カーネリアは独りだから。 はずだった。 声がした。 「貴方は命をどう、解釈しますか?」 馬鹿らしい。そんなもの…… そう答えようとして、ハッとした。 その声は。 “”アリス=デ=カーネリアン“” “”アリスが、繋ぐ、縁深き者“”という、彼女の名前の意味を発音したからである。 「だれ!」 「だれって?」 ふざけるな。そんなバカなこと。 そこには、死んだ弟が立っていた。 「姉さん。」 プツンと意識が飛ぶ音がした。

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12時間の猶予とは

何を言っているのか。 わたしの人生が終わる? 何の根拠がある?なんの証拠もない! 論理的でない。暴論とはそちらの方ではないか! わたしの心の声が響く。 わたしは壁を殴りつける。 「信じられないといった様子ですが、心の中は否定。行動は正直と言った感じね。暴論なのよ。」 はっとした。 こいつ、わたしの心を読みやがった……。 信じられないが、そうっぽい。 試す意味も含めてまた叫んでみた。もちろん心の中で。 このくそ野郎。(嘘だよ。ホントはキミのことを可愛いと第一印象で思った。) 少女の顔が少し歪む。 大きなため息と共に言葉を紡ぐ。 「心の声って読むの疲れるんですよねー??二重心音(にじゅうしんおん)使うの止めてもらってもいいですか?」 ビキッ!! 「があっ!?!」 瞬間、記憶がアタマを巡る。 そうだった。 この少女の名前はレイウ。 麗しい雨と書いてレイウ。 レイウのチカラは(ココロを弄ぶ) わたしのチカラは() バキバキと音を立てて、記憶が途切れた。 「痛ってえ……。おい、レイウ、あと、何時間だ?」 捻り出した言葉で、自らの冷静さに驚愕する。 レイウは首を傾げ、地面をトントン片足で示す。 「ココでアナタが寝て居たのは3年。十分に迷惑しちゃうわ。起こすのにどれだけのチカラを使ったか……。」 一呼吸。 ふう。 「おい、さっさと、教えんか。さっきから何時間たった?」 促すわたし。 「ええ。1時間経ったわ。この短い会話の中で。」 「あと半日がまた、減ったのか?」 「ええ。また、経った。今度は2時間」 刻刻と迫るのは通常軸では無い。 別の時間軸。 もうすぐで終わる。 理解できている。 しかし。 分からない。 時間が過加速している。 それが答えなのだろう。 なら、何故、まだ、寿命は尽きない? この加速速度なら、3年なぞ、持たない。 待てよ。 そう、考えて、思考迷走していた時。 ふと、一言、誰かの声が。 した。 「キミが延ばしていたのかい?」 「面白い。時延ばしならぬ、途切れ止めのチカラか。」 “現在時刻−11時57分” 「レイウ。わたしの言う通りにするんだ。」 「ええ。貴方さまならそういうと思った。」 “未来時刻−11時59分” 「キミと二重心音のチカラは本来の使い方を忘れている。」 「何を言っている?」 「詰まりは、移動さ。」 飛ばされ!?る?! カチン。 “絶対時間−12時00分0秒” 「」 「」 猶予が終わる。いや、終わった。 終わっていない。 待て。 動け。 (戻ってきてね。) 目を覚ますと少女が居た。 「やっと起きた!さあ、貴方のせいで大変だったのよ!」 おい。おいおい。 「今日は記念日でしょ。デートの日でしょ?寝坊さん。」 戻っている。 3年前に。 そうである。 わたし達は時を逆行動していた。

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どどど、駄駄。ししし。

わたしの名前は打志田(だしだ)。 気軽にだしだとでも、志田とでも呼べばいい。 打が名字で、志田が名前だ。 わたしが男か女かなんてどうでもいい。 そんなこと気にして、色眼鏡を着けるような見方をする奴は嫌いなんだ。 暗い部屋の中。 おそらく畳3畳分程の狭い空間。 襖が開き、光が差し込む。 私は覚醒した。 時刻は朝9時頃…だったと思う。 「ふふぁぁ。あーー。」 情けない寝起きの声が聞こえる。 「ししし。まーた、寝坊さんかな?」 私の目の前に現れたのは幼い体躯の少女。 髪を後ろで束ね、利発そうな顔、くりくりした目をした、小動物の様な女の子だ。 「うるさい。わたしはロングスリーパーなんだ。長い時間、睡眠することが必要なんだ。」 「まー、そうですか。だしださん。それって、ただの屁理屈ですよね。朝っぱらから、足りない能を使ったようですが。」 カチン。ときた。 すっげー腹立つ。 わたしの論理的思考がガラガラと崩れる音がした。 変わりに突出したものは怒りである。 「うるせ。まずはその足りない貧相な筋肉から鍛え直せ、ガキが。」 「わあ、こわいこわい。大のオトナが子供に向かって暴言吐いて、恥ずかしい。知ってます?それ、暴論ですよ?」 この少女は本当に少女なのだろうか?と思う時がときたまある。 特にこういう時。 煽り散らかす時である。 「ししし。からかう遊びはもう、この辺にしときます。」 からかう?今コイツ、からかうって言ったよな? イライラしながらわたしは耳を傾ける。 「だしださん。おめでとうございます。」 一呼吸。 くるりと華麗にターンさせた身体をこちらに向け、少女は言った。 「貴方の人間としての人生は後12時間で終わります。」 衝撃の宣告を告げ。 わたしの最後の半日はスタートを切った。

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