6-1=◻︎
6-1=◽︎ ゆうき
『6-1=0である』
何を言っているのか、と疑問に思う人も居るだろう。
実はこの問題、正解なんです。
私達はアイドルグループ、R&R(アールアール)通称Rs。(アールズ)
最近人気が絶えなく、国民的アイドルグループになりつつある。
私はオレンジ担当の坂本梨々香。皆からはりりいと呼ばれている。私的にはこの名前は気に入っている。趣味は写真撮影。
他のメンバー達は、
まずピンク担当、リーダーでセンター、鈴木百香。もかりんと呼ばれている。そして黄色担当、深沢花音。かののんと呼ばれている。次に水色担当、斎藤優香。梨々香の幼馴染である。ゆかちゃんと呼ばれている。そして紫担当、花澤苺華。名前の通り苺が好きだそう。いっちーと呼ばれている。最後に白色担当、八木千紗。センターは恥ずかしくて嫌らしい。
「梨々香!新しくできたカフェ、一緒に行かない?」
そう話しかけて来たのは、斎藤優香だった。
「おぉ!いいね、行こう。」
優香はやったー!とはしゃいでいる。
カフェに行ったのは、それから数日後。
店に入ると、代表的なカフェな感じの音楽。そしてコーヒーの匂いが店一面に広がる。
「梨々香、何頼む?」
梨々香は何でも良かった。ただ、お洒落な写真が撮りたい。そう思っていた。
「うーん。優香に合わせるよ。何飲む?」
「わかった、じゃあ、、。モカ!」
ちょっと笑っちゃった。もかだって。うちのメンバーじゃん。
「じゃあ私もそれにするね。」
優香が店員さんを呼ぶ。
それにしてもお洒落。そう思い梨々香は写真をパシャリと1枚撮影する。
「あっ、そうだ。」
優香が急にカバンを漁る。
「梨々花に見せたいものがあってさ。」
そういってカバンから1枚。小さな写真を見せてくる。
「ん?なにこれ。」
「これ、前のライブの後の楽屋なんだけど、、」
そこには、梨々香達への花束が添えられていた。しかしよく見ると、八木千紗の花束の周りに、×××が散らかっている。
「な、なにこれ、、!ひどい、。」
「だよね。」
梨々香達の空気はますます悪くなっていく。そこで優香が、
「ごめん!お洒落なカフェで空気悪くしちゃったね。さ、飲も?」
「うん、そうだね!」
次の日。
「おはようございます。」
そういって楽屋に入ってきたのは、リーダーの鈴木百香だった。
「もかりん、おはよう。」
もかりんはリーダー、センターと、大事な役目を背負っているが、一切調子に乗らず、みんな平等を心掛けている、心優しい人だ。
「おっはよ〜、」
「あくびすんなし笑」
また入ってきたのは、深沢花音と、花澤苺華。
「花音、苺華、おはよ!苺華、朝ごはんは?」
「いちごー!」
やっぱり、この人は毎日朝はいちご。
そして遅れてきたのが、八木千紗。
「ご、ごめん!遅れました、、。」
「いいよー。」
「大丈夫大丈夫。」
ライブまでまだ時間があるから、最終リハを行うそうだ。
今回のライブはファン投票でセンターが決まる。だからみんなライバルに勝とうと必死に努力しているわけだ。
「今度こそ、センターになる、!」
そう八木千紗が呟いているのをたまたま聞いた。
梨々香も頑張ろうと思った。
ライブ本番
「髪崩れてないよね!」
「センターなりたい、!緊張!!」
よし、がんばろう。深呼吸をしてステージに上がる。
ファンの熱い声援が聞こえてくる。1曲目を歌い終わり、ファン投票が始まった。ルールは、ライブを進めながら、好きだと思ったメンバーに投票をし、最後の曲の前でセンターを発表し歌い、次の投票までセンターになる、というルールだ。
ファン投票の影響か、みんなスマホに食い付いている。そんなときに2曲目が始まる。ひとり、高校生くらいの女の子と目が合った。
目をキラキラ輝かせている。梨々香のファンだろう。
嬉しくて、ついファンサをした。
女の子は嬉しそうに目を見開いた。
「ありがとね!」
2曲目が終わった。
そしてしばらくし、最後の曲の前へと。ついに、投票結果の発表だ。
「結果は、、、」
「八木千紗!!」
「は?」
花音と苺華が千紗を睨みつける。
「え、え!?わ、私!?」
結果は千紗が選ばれた。拍手喝采だった。悔しくて、悔しくて。
仕方なかった。
数日後、千紗は死んだ。
自宅で死んでいた。ナイフを腹部と喉に突き刺された跡があった。
恐らく他殺だ。証拠は全て隠滅されていた。
その日はメンバー、スタッフ、事務所全体が集まり、千紗の“死”について話し合った。
その日、千紗と一緒に居たのは、優香だった。優香がやったんじゃ、と花音と苺華が騒ぎ立てた。けれど、幼馴染の梨々香なら分かる。絶対に優香はそんな事しない。
花音と苺華は、優香と口論になり、優香は小さい怪我をした。
「いっ、た、、」
「、ゆ、優香、大丈夫?」
「うん、大丈夫!平気だよ。」
「私達の大事なメンバーを殺したのは誰!!?」
花音が言う。
「そんなの、私達になんて分かんないよ!!」
「優香、、。」
スタッフがなんとかし、その日は終わり、結局Rsは活動休止という選択をした。
予想通り、ネットではファンも驚愕した。
誰がやった。などの考察までされている。
実際、誰がやったのか、千紗本人しか知らない。千紗を殺したあと、自殺したか、まだ呑気に生きているか。それも知らない。
花音と苺華に責め立てられた優香は家で部屋に閉じこもって、毎晩泣いている声が聞こえてくるらしい。
そりゃそうだ。あんなの誰でも怖い。
活動休止の間に、スタッフやら警察やらが動き、犯人を探し始めた。
「怖いな、、」
そうそっと呟き、梨々香は眠りに落ちた。
次の日
なんだかほんのり暖かくなってきた。そして庭には新しい花が咲いていた。
スノードロップだっけか。なんか、私に似てるな。
コンビニへ買い物に行った。
鮭おにぎりとファミチキを買って店を出た。
「そういや、これ両方、動物か。」
何だか寂しくなった。
千紗の死を思い浮かべてしまった。
久しぶりに百香に会いに行こう。と思って連絡をとってみた。
―もしもし、梨々香。どうしたの?
「久しぶりに会いたいと思ってさ」
―ほんと?わかった! いいよ。
「じゃあ。〇〇駅集合ね。」
―はーい!じゃ、またね!
プツッと電話が切れた時、少し怖かった。
数時間後
「百香ー!」
「梨々香、久しぶり!元気そうでよかったよ。」
「百香こそ、安心。」
―カフェにて
「そうだ、犯人見つかった?」
「ううん、まだ。」
「まじか、怖いね。」
「だよね。私も協力してるけど、怖いな。」
「百香も協力してるの?大丈夫なの?」
「うん、最初は怒られちゃったけど、大丈夫!」
百香の笑顔をみて、安心した。
これならまだ大丈夫そうだな。
そうやってカフェを楽しんで帰った。
明日はまた話し合いがある。
どうやら犯人が分かったらしい。
あの高校生だ。梨々香推しの高校生だった。
梨々香が選ばれなくて、理不尽に千紗を殺した。
これは私の責任なのか?それとも××××××なのか?
それは分からない。
結局女子高生は逮捕された。裁判では、女子高生があたふたしているところを見て、違和感を抱いた。
本当なのか、と。
そこで、
1件のメール。
千紗「みんな久しぶり。」
えっ
何が起きているのか、追いつけなかった。なんで?千紗は死んだはずじゃ。
殺されたあの日千紗は、センターになりたい。と言っていた。けど、千紗はセンターになるのが嫌だと言っていた。しかも、センターになった瞬間飛び跳ねて喜んだ。千紗はあんな性格じゃない。おかしいと思った。
いつもと違かった。なのになんで気づかなかったんだ。
でも。
じゃあ死んだのは、
誰?
一瞬にして怖くなり、鳥肌が止まらなくなった。
誰が死んだ、?千紗に似た誰か、ストーカー?
でもそれなら、そのとき千紗は何をしていた?
、、、!
千紗は、閉じ込められていたんだ。
偽物に、狭い空間に、長時間。
でも、
メールの内容からして何ともないような感じがする。
ほんとにそうなのか?
怖くて仕方なかった。どうしよう。
今までで1番怖かった。
その後、まさかの高校生は冤罪だった。
釈放された。
そして、犯人探しが再開した。
「梨々香。」
「、優香、どっ、どうしたの?」
「犯人、梨々香でしょ。」
「は?」
「最近の梨々香、おかしかった。」
「そんなのたまたまでしょ。」
「幼馴染だから分かるの。当然だよ、。」
「そうだよ、。」
「え?」
「犯人、私だから。お前ら全員殺してあげる。」
「え、!?梨々香まって、!だめだよ!」
「うるさい!!!」
そう言って近くにあったハンマーで優香の頭を殴った。
優香は即死した。
そして花音、苺華の所へ。
「な、なに?」
「君たちを殺しに来ました。」
「は?」
そういって持参のバタフライナイフを振りかざした。
次に百香の元へ。
「あ、梨々香!やっほー!」
「犯人探しお疲れ様。てことでばいばい。」
百香にもバタフライナイフを振りかざした。
最後は千紗だ。
「梨々香じゃん。どうしたの?」
「なにがどうしたの?なの。お前のこと、みーんな大っ嫌いなの、知ってた?」
「え?」
「てことで殺させて頂きます。やっとこの時が来た〜!って感じ。」
「ひっ、梨々香!やめて!!」
千紗に馬乗りになり、心臓にナイフを突き殺した。
やっと解放された。この地獄から。
やっぱりあの問題は合ってた。
『6-1=0』
なんです。
解説
梨々香が犯人だとわかる場面が幾つかある。
まずは警察やスタッフが動いた時。
「怖いな、。」
この台詞は犯人がいつ動くか怖くて、ではなく、自分がいつ逮捕されるか、が怖かった。
そして百香の笑顔を見た時。
これならまだ大丈夫そうだな。この台詞は、まだバレてないな、という意味である。
そして優香の写真の事をしたのも梨々香で、曖昧な反応しか出来なかった。というわけだ。皆さんは犯人を見抜け、そして千紗の正体を見抜けましたか?
『6-1=0』なのです。
ゆうき