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きてくれてありがとう

きみの温かさを感じたかった

魔王が処刑される日 僕は勇者でありながらその魔王を庇った そんなことをすれば全員に失望されるだろう 今まで積み上げてきた信頼も全て失うだろう だがそれでもきみには生きていて欲しかった 僕が1番恐れている 他人に失望されること 耐えられると思って飛び出したが やはり怖くて仕方がない もう取り返しはつかない そんな時にもきみは僕を落ち着かせて 僕を庇ってくれる 「こいつは俺が操っている。勇者を俺のものにされて悔しいか!」 違う、違うのに これ以上周りの人に君が悪者だと 思わせたくないのに 僕への罵倒から君への罵倒へ変わっていく 自分が的から外れたことに 少し安心してしまうのがまた苦しい 君が何かをずっと話している 民衆と言い争っているのだろうか その間もずっと僕を抱きしめてくれる その手はとても冷たかった

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この感情は愛でも恋でもないけれど

「……本当におかしいな」 真夜中、ベッドで 僕の隣には敵がいる この世で1番恐るべき存在だ こんなやつと一緒に寝てるなんて 周りの人が知ったらどうなるか… こいつは、僕の兄を殺した 僕の幼い頃からの大切な友人も殺した 僕の仲間も、全て 今すぐにでも殺したいくらいには 憎むべき存在だ でもこいつは…君は 僕のことを想ってくれている 僕は、君と居る時だけは自分を偽らずに過ごせる 大切なもの全て奪われたのに それでも僕はずっと君と居たいなんて 「本当に…おかしいな」

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正しさ

僕は勇者だ 常に世間で正しいとされる道を進む それが自分にとって正しいと思えなくても 勇者でありながら、勇者に相応しくない 考えを持って今まで過ごしてきた 勇者である期間というのは最大の敵を倒すまで ついに、その敵を倒せる寸前だというのに 僕はどうしてか立ち止まってしまう 君は 「今まで好きなように生きてきた」 と言った 僕ができなかったこと、ずっと憧れていたことだ どうして倒さなければならないのだろう 僕のように周りに流されて生きてきた人では無い 本来なら、好きなように生きてきた君こそが この世界で認められるべきではないか 思えば思うほど、僕は君をを殺せない 僕は今日、初めて 自分が正しいと思う道へと進む それが誰にとっても悪いことだとしてもだ どうか どうか僕を 君の手で殺してくれ

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悪者

どんなに苦しい過去を持った悪者がいて 周りの人が全員それに同情するとしても 悪者は悪者である 結局は倒されてしまうのだ 僕は昔からそんなのが嫌だった 悪者が倒されるならば、その悪者は全員に恨まれる人であれ 苦しい過去を持った悪者がいるのならば、 その人が勝ち残るべきであれ そう願って生きてきた 今僕の目の前にいる男は、今の今までずっと苦しんでいる 誰にも理解されなくて、一人孤独で だから僕はそいつを倒したりしない 僕は、そんな辛くて醜い悪者に倒される側でありたい

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