桜羽
20 件の小説すれ違い
私が嫌いなあいつは、私のことが好きだった。 正確に言うと、好きらしいだったらしい。 噂で聞いた程度だ。 たしかにあいつの顔は学年一のイケメンと言わ れるだけあっての美貌だったが、好きにはなれ なかった。 時が過ぎ、学年もかわり、あいつとはクラス が別れることになった。 正直いって、嬉しかった。 体育祭の時期がやってきて、 気がつけば、あいつのことをずっと目で追 っていった。 今更ながらに気がついた。 本当は、あいつのことが好きだったんだ。
ありがとう
"ありがとう"は、魔法の言葉。 ありがとうって言われたら、嬉しくなって ありがとうって言われたら、心が温かくなる。 今度はね、 自分が言ったんだ。 "ありがとう"って。 そしたら、一人また一人と笑って、まわりの皆 に笑顔が広がって、 "ありがとう"は大きな輪となり、世界 はたくさんの"ありがとう"で染まっていく。 世界が"ありがとう"で、満ち溢れている。 これが、"ありがとう"がもたらした小さな一つ の物語。
雲の向こうには
楽しい時って、 生きててよかったって思うでしょ? でも、それは、 過去に『死にたい』って思っても、 生きた自分のおかげ。 だから、頑張って生きた自分に感謝しなきゃ。 今が辛くても、大丈夫だよ。 だって、雲の向こうには太陽があるんだから。
しんどい時は……
しんどい時は、深呼吸しよっ。 心の中を片付けていくみたいに。 すってー、はいてー、また すってー、 そしたら、だんだんと涙が出てくるんじゃな い? その涙が、嫌な気持ちを次から次に洗ってくれ る。 君の気持ちが落ち着いたらさ、 君の心は綺麗に整理された証拠だよ。 少しでも、明日がんばろって思えてれたら嬉し いな。 君の頑張りは、きっと誰かが見てくれている。
認められたくて
誰かに認められたくて、 誰かにすごいねって言われたくて、 日々何事にも頑張って……。 どんな時も笑顔の仮面を顔に貼り付けて。 泣いてる姿なんて見せないようにって。 でも、なんでだろっ? 笑ってるのに、涙が込み上げてきそうなの は…。 どんどん、どんどん、 自分の理想の姿とは、かけ離れていった。
飴玉
ポンッ。 飴玉を口に入れた時、甘酸っぱい味がした。 青春のような味がした。 だけど、 飴玉はすぐになくなって、恋のように儚く散 った。 ほろ苦い後味が、口の中に広がった。
願い事
無数の星が光輝いていた。 ピカッ、ピカ。 あの一番輝いている星が、一等星。 次に輝いている星が、二等星、三等星… 私の大好きだったあの人は、どの星だろうか。 あの一番輝いている星だったらいいな……。
人生はいろいろ
笑顔の中には、涙がある。 厳しさの中には、優しさがある。 成功の中には、努力がある。 夢の中には、希望がある。 人生の中には、いろいろある。 時には大きな壁にぶつかったり、失敗だってす る。 だけど、それを恐れず、前に向かって進もう。 大きな羽を広げて。
文房具
もし君が道に迷ったら、正しい方向を書き示す シャープペンシルになりたい。 もし君が間違った道に進んだら、しっかり修正 できるような修正テープになりたい。 もし君に嫌なことがあったら、消しゴムで思い っきり消して、無かったことに出来ればいいの に。 全部、全部、綺麗事だけど、そんな文房具にな れたらいいのにな。
優しい嘘
仲のいい男子から、突然聞かれた。 "俺の事どう思っているのか"って。 私は、言った。 そんなに好きじゃない。 ーこれは、真っ赤な嘘ー そんなに興味無い。 ーこれもまた嘘ー これは、優しい嘘なんだ。 親友と同じ人を好きになってしまったと知ったから。 だから、自分の気持ちに蓋をする。 これは、優しい嘘なんだ…。 これって、ほんとに優しい嘘なのかな…?