すじゅ

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すじゅ

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あの声はあれから聞こえていない。 幻聴だったのかもしれない。 でも頭にこびりついて離れない。 『「時間」って何か知りたくない?』 時間は一方通行。一定。 戻ることも進むこともできない。はず。 そう。そのはず。 いやでも。 楽しい時間は速く過ぎるしつまらない時間はゆっくり過ぎる。 「相対性理論」 時間は重力の重いところでは遅くなる。 時間は速く進めば遅くなる。 こんなことが起こるなんて。 じゃあ僕たちが過ごしている時間は? 何を基準に進んでいる? 知りたい。 こんなにも何かを知りたいと思ったことはなかった。 ただただ知りたい。 急にあの声は幻聴ではないような気がしてきた。 幻聴ではないのなら、 「時間が何か教えて」 目の前が白い光に包まれた。

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(2)

今日も目が覚める。 昨日と同じ服を着る。 昨日と同じ朝食を食べ、外に出る。 昨日と同じ電車に乗り、同じ場所に行く。 昨日と同じ。 今日はふと考えた。 僕は今、何をしているのだろう。 時間を受け流す。死ぬまでの時間を。 マニュアル通りにただただ動く。 死にながら生きている気がする。 していた。 『「時間」って何か知りたくない?』 「え?」

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時の創造(1)

「時間」は一方通行である。 通り過ぎてしまったらそこに戻ることはできない。 「時間」とは何なのだろう。

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