みーぼ

1 件の小説

みーぼ

ただただ綴る。

【試験】キミは今、何を想ふ

体育館の床に汗水垂らしてボールを追い続けた記憶しかない高校時代。そんな日常が当たり前だった中、“試験勉強期間”の1週間は非日常だった。 勉学よりも部活動が盛んな高校。特に体育館部活は、どの部も県内では強豪だった。そんな環境で揉まれていた僕とキミ。 いつもは部活をしている時間に、机を向かい合わせては、ペンを動かす。キミはスポーツ推薦で入学したから、いつも勉強が苦手だと言ってたね。 難しい数式が解けてニコッと笑うキミ。漢文が読めなくて不貞腐れてるキミ。生物の資料集を見ては青ざめるキミ。 そんなキミを独り占めしていた非日常が、未だに鮮明に僕の脳裏に残っている。 そんな僕らも歳を取った。あれからもう8年が経った。最後に会ったのは東京に会いにきてくれた3年前か。 バイトの休憩中に何気なくインスタのホーム画面をスクロールする。学生時代はあんなにSNSが流行ってたのに、今となっては皆投稿しなくなったよな。 そんなどうでも良いことを考えてるうちに1つの投稿に目が止まった。 “【ご報告】“ 結婚報告だった。相手は同じクラスだったAだった。 心の底から祝福したかったけど、胸がざわつく。 「Aと別れたい」って3年前に会いにきてくれたときに言ってたから。電話越しで泣くキミも知ってたから。 キミは今幸せですか。 キミはよく「普通になりたい」と言ってたね。たしかに周りは結婚してるし、それが同世代の“普通”だけども。 キミは今、何を想ふ。僕は今、キミを想ふ。

2
4