dada
18 件の小説dada
皆さん、はじめましてdadaです。考えていることを文字にしてたくさんの人に読んでもらえると嬉しいです。ど素人ですが、自由に投稿していきたいと思います。よろしくお願いします😃
もも太郎
桃太郎は言った 「早く、助けにいかなければ」 神は言った 「まだ、早い」 マントの男が世界を救った 桃太郎は言った 「たくさんの人が死んでしまう」 神は言った 「お前の出番ではない」 マサカリを持った男がたくさんの人を救った 桃太郎は言った 「まだ、早い?」 神は言った 「正解」 小さな男が姫を救った それから桃太郎は何度も何度も壊され救われる世界を見た 神は言った 「今だ、行きなさい」 桃太郎は言った 「行かない」 「えっなんで??」 神は言った 「行かない」 桃太郎は・・・言った 「それだと、鬼にやられるよ 村人もおじいさんおばあさんも」 「それがどうしたんだ 壊される時は壊されるし救われる時は救われるし ぼくが行かなくてもなるようになる」 「ならないよ 救われるはずの人がいるんだから救わなきゃ」 「ぼくが救うやつって決まってるんでしょ?みんなを救えるわけじゃない 虚しいよ 救ってたマントのやつもマサカリのやつも小さいやつも救えたやったーって犠牲になってる人がいるのに」 「それは、運命だから」 「死ぬ運命?」 「そう、だから君は救う運命なんだから今すぐ行きなさい」 「運命って なんだよ」 断固としていこうとしないもも太郎を神は無理やり桃の中に詰め川へ流した もも太郎が目を覚ますとそこには笑顔のおじいさんとおばあさんがいた 「可愛らしい子じゃな」 「本当に可愛らしい」 もも太郎は二人を睨みつけていた 睨みつけられていることにも気づかずおばあさんはもも太郎を抱き上げ抱きしめた おじいさんはたくさん食べるもも太郎のために朝から夜遅くまで働いた おばあさんは好き嫌いの多いもも太郎のために料理を工夫し、もも太郎が好きだとわかると何日もかけて食材をとりに行った 丁寧に体を洗ってやり、もも太郎には綺麗な服を着せてやった おじいさんとおばあさんは痩せほそり、ボロボロの服にカサカサの肌 それでも幸せだと言った もも太郎を授けてくださった神に毎日感謝していた 子供が好きだった 子供が欲しかった 子供との日々を想像していた 周りは5人も6人も子供授かるのに一人も授からない おばあさんにひどい言葉をかけるものもいた 「お前がいてくれたなら 俺は幸せだ」とおじいさんは言った そうやって二人は支え合って生きてきた そんなある日、どんなに願っても授からなかった子供が川から流れてきた もも太郎と目があった瞬間おじいさんとおばあさんは全ての愛をもも太郎に注ぐと決めた もも太郎はいつもムスッとして笑わない あんまり話さないし感謝もない 仕事も手伝わず遊びに行き家では寝てばかり 冷たい言葉を言うこともあった それでも、おじいさんとおばあさんはたくさん食べてたくさん遊んでたくさん寝るもも太郎の姿をみているだけでよかった 今日を明日を頑張ろうと思えた 痛みにも耐えられた 少しでもできるだけ長くもも太郎と生きていたいと願った 神は後悔していた こんなことになるとは・・・無理に桃に詰めるんじゃなかった・・・ 鬼退治は犬と猿とキジに任せておくという選択肢もあったのではないか・・・ おじいさんとおばあさんに感謝されるたびに神は苦しくなっていった そして、動き出してしまった運命を変えることのできない自分の無力さを嘆いた 鬼が暴れ出した 村から村 町から町 町から村 もも太郎は動かない そんなもんだから、犬と猿とキジはもも太郎のところへ向かった 「もも太郎さん、鬼退治しましょう」犬が言った 「きび団子はいりませんから、早く」猿が言った 「ここにも、もうすぐきますよ 鬼が」キジが言った 横になったままのもも太郎 「もも太郎さん、自分の役割を果たしてください」キジが言った 「あなたがここに存在する意味は鬼退治でたくさん人を救うことなんですよ」犬が言った 「運命からは逃れられないんですよ」猿が言った 「鬼退治なんて行かなくていいんだよ 聞かなくていい」おじいさんが言った 「家にいなさい 危ないんだから」おばあさんが言った 「お三方、もも太郎に何かあったら私らはどうしたらいいんだ」 「こんな年寄りから、大切な子供を奪わんでくれ」 おじいさんとおばあさんは犬と猿とキジを家から締め出した とうとう、もも太郎が住む村まで鬼がやってきた 犬と猿とキジが必死に抵抗していた おじいさんとおばあさんはもも太郎を守るため家を出て鬼と戦った 人々の悲鳴や鬼の笑い声が聞こえる中 もも太郎はは無表情で飯を食っていた 黙々と飯を食っていた 大きな音と共に視界が明るくなった もも太郎の家が鬼に壊された それでも、もも太郎は食べることをやめなかった 「なんだお前、うまそうなもん食ってんな」鬼は言った もも太郎は無言で食べ続けた 「偉そうだな」鬼は金棒を振り上げもも太郎を殴った 何度も何度も… 薄れてゆく意識の中 血まみれで倒れているおじいさんとおばあさんが見えた これでいい ともも太郎は笑った 鬼は全てを壊し奪い村を後にした なんてことだ 神はずっともも太郎の隣で見ていた もも太郎さえ立ち上がってくれれば防ぐことができた未来 明るい未来 それが全て消え去ってしまった 「もも太郎 なぜ救わなかった?」神は言った 「これも運命だろ?」もも太郎は言った 天へ昇っていくたくさんの魂は美しかった もも太郎はおじいさんとおばあさんの元へ歩み寄った 「あんたたちの子供になれて幸せだったよ 大切に育ててくれてありがとう」もも太郎は言った おじいさんとおばあさんはもも太郎を優しく抱きしめた 3人は一緒に天へと登って言った 神は今までのやり方を反省しちゃんとしようと決めた
違い
真夜中 眩しいくらいの街灯に照らされた茶色いベンチ に座る女? 寝てる?酔ってる? 女には興味ない 金にならないから でも、暗いし ひとけねーし 「おばさん、こんなとこで寝てると危ないよ」って声をかけた 顔を上げた あんたは 「泣いてんの?」 「泣いたらいけない?おばさんが?」 ぐちゃぐちゃだ 涙で なんか、可哀想? 同情?だから 「千円くれんなら、話聞いてやってもいいけど」なんて言ってしまった あんたは躊躇することなく財布から千円を差し出した 千円がちょっとしわしわだ 俺が千円受け取ると 話はじめた 内容はよく覚えてない 思いついた言葉を次から次に話してる そんな感じ ただ、思い描いてることを馬鹿にされて笑われて傷ついたんだと 泣いていたんだと思う 誠実さっていうのかな一生懸命なんだなって本気なんだなって 思った 「応援するよ 俺は。一生懸命なやつのやることって叶うと思う 多分。」 そんな適当なこと言ってみたりして そしたら、また泣き出して だから 「千円くれたら、抱きしめてやってもいいけど」とか言って あんたは千円差し出して 俺を抱きしめた 戸惑う 「なあ、あんた 俺が今何してきたかわかってる?」 あんたの耳には届いていないようだった 俺はこの手で、抱きしめることができなかった なんでだろうな あんたはきれいだもんな 俺とは違う 「頑張る」って「ありがとう」って笑顔で帰ってった 気付かれないように駅までついてった だって、夜だし暗いし 危ないし、なんかあったら俺も罪悪感とか、ほっとけないだろう 人として そんなわけわかんないいい訳を自分にしていた そんで、叶うといいなって思った 1年後 たまに茶色いベンチに座って思い出す 叶ったかなって 泣いてねーかなって あんたのこと 「いた」 あんたが立ってた 「やっと会えた ずっと探してて何もあなたのこと聞いてなかったし この辺、夜怖いし明るいうちに会えないかなってここら辺を探してたんだ」 言葉が出ない 「これお礼、話を聞いてくれて励ましてくれた」 黄色い水玉の紙袋を差し出した 俺は 「ああ、忘れてたそんな事もあったかな」 変な嘘ついて 紙袋を受け取った いい香りがする 「だよね 覚えてないよね。1年も前だし、でも、救われたからあなたに お礼ができてよかった 本当にありがとうございました」 笑ってる 多分… 「叶ったんだ」 「おかげさまで、頑張ってます」 「よかったな」 「少しは思い出してくれたの?」 「ああ、少し…だけ」 「嬉しい、また会えて」 本当に嬉しそうに見えた 俺に会えたこと 「じゃあ、お元気で」 なんでだろうな 「千円払うから 話聞かせてくれよ」 なんて言ったんだろう 嬉しそうに話し出して周りが薄暗くなるまで話してた あんたは千円は受け取らなかった 「ごめん、こんな暗くなるまで」 あんたは気づいてなかったんだな 楽しそうに話してたもんな いい奴なんだあんたって 「いいよ 俺も楽しかったし 話聞けて」 「うん、ありがとう」 「駅まで送ってくよ」 「いいよ 大丈夫」 「ここら辺、あぶねえから送ってく」 「ありがとう」 あんたはっていうか彼女は真っ直ぐで素直な人だ 俺とは全く違う世界で生きてきたんだ そんで 俺を見る目が優しい 俺のやってることを知っても 優しい目でみてくれるだろうか 「また、来るね」 「ああ」 っていう奴は二度と来ないんだけどなって 思いながら少し期待してしまった 名前、聞いておけばよかったな
ふれる
君にふれると 心が満たされることを知っている けれど いけないことだとわかっている それでも、そばにいると触れたくなる だから 離れる時に言ったんだ 「運命なら また会える」 と…
想う
無邪気さが 胸を締め付ける 楽しい そう思ってしまうことが苦しい 惹かれてはいけないないのに惹かれていく この手を離さずに抱きしめてしまえたら どんなに幸せだろうか 何にもとらわれず 考えず ただ 愛しているとだけ伝えられたら… もう、そんな歳ではなく 躊躇してしまう こんなに真っ直ぐに 愛していると伝えてくれているのに 私は情けない 余裕なフリして 突き放した 情けない 怖くて 愛されることが怖くて 愛することから 逃げた これでよかったのだと言い聞かせて 年甲斐もなく泣きじゃくってしまった 会いたい と言えばすぐに駆けつけてくれるだろう 君はそういう人だ
片思い
好き と文字にすれば こうなんだけど なんだろう あなたがあの子を見つめる瞳が… 瞳がとても優しくて 温かくて あんな優しい瞳で 私を見てほしいと 思った だけなんだろう
夏
暖かい日が過ぎて 暑い じめじめと共に 暑い 暑いがたくさん集まってあっつい 汗が湧き出て 肌はベトベト この涼しい部屋を出て 外のあっつい世界へ 頑張れ自分 暑さに負けるな
泣きたくなったら
泣きたくなったら 空を見上げて 1人じゃないと教えてくれるから そして 一緒に泣いてくれるから
空
寂しいから 一緒にいた 寂しくないように 一緒にいた 僕の存在が君にとってかけがえのないものになるように願っていた 空を見上げるのは君を忘れないため 君が、空の青が好きだと言ったこと、忘れないため 僕から離れていく君を追いかけなかったのは 君が、楽しそうに笑っていたから 好きなんだろうなって思ったから 彼のこと いい友達のままでいたい 辛い時、一番に頼ってもらえるような存在でいたい 泣いている君を遠くから見ているだけの存在にはなりたくない 君の人生の部外者にはなりたくない けど、苦しい 彼にいなくなってほしい 辛い ひどいことばかり考える こんな僕がいなくならなければいけないんだと 気づいた 君が彼を好きなんだと知ってしまった時点で離れなければいけなかったんだ 僕がこんなに醜いんだと知ることはなかった 簡単じゃない 好きな人から離れること 離れたくない 寂しいのは僕だけ・・・僕が寂しいからそばにいた 君は僕が寂しくないようにそばにいてくれた 優しいんだ ずっとずっと前から・・・ 傷つけたくない 君に別れの手紙を書いた 簡単な嘘だらけの手紙 明るく前向きな手紙 顔を見れば泣き出しそうで 声を聞けば決心が揺らぐ 揺らぐというか絶対に離れられなくなる だから、手紙を君へ送った 黙っていなくなるなんてできなかった 君が悲しむから 君には笑っていてほしい 何年経ったら君と笑って話ができるだろうか 僕が空を見上げるのは君を忘れることができないから 君が雲をわたあめみたいだと言って笑った その笑った顔を思い出すため 君が好きだ 切なくなるほどに けど・・・ 君を忘れたくない
どうして・・・
困らせたかったわけじゃない あなたにみて欲しかった 私のことを こんなにも弱いのに強いだなんて・・・ 大丈夫ねと置いて行ってしまうなんて・・・ 寂しくても我慢して 会いたくても我慢して 泣きたくても我慢して いくら我慢したってあなたは気づかない 私が見えていない 私は最初から居なかったかのよう・・・ 笑っているからといって、大丈夫というわけではないのに あなたは私から早く離れたい そう感じる 私じゃダメなんだと必要ないのだと そう感じる たった一度言ったわがまま それからしばらく会いにきてくれなかった その時に知った あなたにわがままを言ってはいけない あなたを困らせてはいけない あなたに甘えてはいけない もう一生会えなくなる 会いにきてくれなくなる 嫌いになれない 話を聞いてほしい 嫌いになれない 褒めてほしい 嫌いになれない 抱きしめてほしい 嫌いになれない 愛してほしい 私がわがままを言って困らせても見捨てないでほしい あなたからもらいたかったものを誰かに求めた 求めた結果 私は・・・虚しい・・・虚しすぎて、ボロボロ 疲れてしまった 頑張ること あなたに愛されたいと頑張ること どうしても、諦めきれない あなたに愛されたい あなたの愛がほしい もう、頑張れないのに頑張ろうとする 私は惨めだ 一人だ ずっと一人 誰かに一緒にいてほしいわけじゃない あなたにいてほしい それなのにあなたはこんな私を見ようともしない ボロボロなのに見ようとしない 助けてって何度も叫んでいたのに気づかない お母さん どうして私を産んだの?
僕は・・・
遊ばれていたのかもしれない あの頃の僕は弱く、何もわからず 彼の優しさだけが心の拠り所だった 彼のことを好きなのかと聞かれれば好きだと答える でも、 彼のことを愛しているのかと聞かれると答えに困る 「愛してる」と言われるたびに虚しく 悲しく 寂しかった 僕が彼のそばにいたのは一人が嫌だったから・・・ こんな僕に優しくしてくれたのが彼だけだったから・・・ 歳を重ね泣き虫だった僕も泣き虫じゃなくなった 僕は彼から離れた 本当はずっと前から離れたいと思っていたのかもしれない 彼は女性と結婚して子供が産まれた 久しぶりに仕事で彼に会った 彼は昔みたいに優しく笑いかけてくる 僕も微笑む 彼のことは嫌いじゃない ただ、この関係を終わらせたい 僕は彼のことを愛していない 彼は僕に昔みたいに戻りたいと言う 僕は断った なのに・・・悲しい顔をするから つい、優しくしてしまった 彼は僕にキスをする 僕は・・・抵抗することができない・・・僕はまた彼にいいようにもて遊ばれるのだろうか 彼女と目が合った 偶然現れた彼女は慌てて外へ出た 僕は彼を突き放した そして言ったんだ 「僕は一度もあなたのことを愛したことはなかったよ」 彼を置いて僕は彼女を探す 彼女に今見たことを話されては困る・・・と助かった 彼女が現れなければ僕は同じ過ちを繰り返すとこだった 弱いままだ僕は・・・何も変わってない 僕はダメな人間だな本当・・・泣けてくる・・・泣き虫じゃなくなったと思っていたのに・・・涙が止まらない 彼女を見つけた 「あの」 彼女は驚いた顔をしてそれから優しく微笑んで言った 「大丈夫ですよ 昨日のことは誰にも言いませんから安心してください」 「僕らは」 「何も言わなくてもいいですよ 説明は要りません 私には関係ないことですから大丈夫です」 彼女がそう言ってくれたのに・・・僕は・・・話し始めて・・・聞いて欲しかった・・・彼女に・・・ 彼女は優しい顔をして僕の話を聞いてくれた たまに微笑んで、たまに相槌を打って・・・黙って聞いてくれた 話の終わりに彼女が言った 「頑張りましたね」 僕はまた泣いてしまったんだろう 彼女が慌てて涙を拭くものを探してきてくれたから 「えらい えらい」 彼女は微笑んで僕の頭を撫でる 「あっごめんなさい つい すいません」 彼女が慌ててばかりで 優しくて 可愛くて 僕は笑っていた 「僕こそごめんなさい こんな長々と話してしまって」 「いいですよ 他に何もできませんから話ぐらい聞きますよ」 「ありがとうございます」 「では、仕事がありますので失礼します」 「はい」 彼女は最後まで優しく微笑んでいた 僕は・・・心が軽くなった 頑張ろう 仕事へ向かう足も軽やかな感じがする・・・かな 彼に会うと胸が少しキュッとなった けど、彼女のことを思い出して微笑むことができた 彼女は誰なんだろう・・・どんな人なんだろう・・・僕は何も知らない人に話を聞いてもらっていたんだ 変だよねこれって 彼女は・・・僕のことをおかしい人間だと思ったかも・・・微笑んでくれていたけど・・・ 怖がらせてしまったかも・・・彼女に嫌われたくないな・・・泣いたし・・・気持ち悪いよね普通・・・ 知らない奴が突然泣き出したら・・・気持ち悪い・・・ 僕は後悔ばかりダメな人間だ・・・最悪だ・・・彼女に確かめたい・・・彼女と話したい・・・ 彼女に会いたい・・・ 彼女に会えないまま 日々忙しく過ぎていく このままじゃ一生会えないんじゃないかな・・・探さなきゃ・・・彼女を・・ 会いたいなら会いにいかなきゃ 迷惑かも でも、僕は話したい 会いたい 彼女に笑いかけてもらいたい 少し小走りで建物内を探す 彼女、今日は休みだったりして・・・ 「おはようございます」 彼女だ 「おはようございます」僕の声は小さく 彼女に届いただろうか 彼女は優しく微笑んで僕をみている 「しばらく会えていなかったので お元気でしたか?」 「気にしてくれていたんですか?」 「当たり前じゃないですか つらそうでしたし 泣いてましたし・・・ね 」 彼女はニコッと笑う つられて僕も笑う 「恥ずかしいですね 人前で泣いたりなんかして」 「いいえ、泣きたい時は泣いていいってよく言うじゃないですか だからいいんです 泣いても」 「それってどういう意味ですか?」 「意味なんかないんですよ ただ、泣きたいときは泣いとけってことです」 彼女が得意げに言い切ったのが可愛くて笑ってしまった 「笑った顔 素敵だと思います」彼女が言った 「えっ・・・」 「そうやって たくさん笑っていてほしいです 辛いことがなくなることはないですけど、笑っている時が多くなるように願ってますから」 「どうしてですか?」 「どうして・・・あなたのファンだからですよ」 「僕のこと知っていたんですね」 「はい」 「それなのに 僕らのこと言わないでいてくれたんですね」 「そんなこと言うはずないじゃないですか あなたが傷つことはしませんよ」 「僕が傷つくことはしないんですか?」 「しません」 僕は彼女を抱きしめた 「このまま抱きしめさせてください」 彼女は戸惑っている様子だった・・・けど 優しく抱きしめ返してくれた 出会った時から温かな人だった 今も温かい 心が満たされていく そんな感じがした 「ごめんなさい」僕は彼女から離れた 僕は何をしているんだろう 「謝るのは悪いことをした時だけですよ こんなスターに抱きしめてもらえるなんて私はラッキーでした 今日はいい日になります」 「いい日?」 「そうです あなたに会えたから今日はいい日になりました」 「・・・」僕は 「こんな時はよかったですね でいいんですけど」 彼女が笑う 「僕も今日がいい日になりました あなたに会えたので」 「よかったです お応援してますから 頑張ってくださいね」 「いつも応援ありがとうございます」 僕は笑う 「では 失礼します」 彼女のこの言葉が遠く感じて嫌だなって思って 「またねでわかれませんか?」 彼女は・・・ 「またね 一ノ瀬さん」 「また、会いましょう」 彼女とまた会う約束をした ような感じでいいなって僕は嬉しくなった 「何、にやけてるの?」 「にやけてなんかいません」 「にやけてる顔も好きだけど」 彼のこの自信に溢れた態度や顔に惹かれていたときもあった あれは憧れだったのか恋だったのか わからない でも、今は憧れだ 傷ついたこともたくさんあったけど尊敬している 感謝もしている あの時、彼が救ってくれたんだ僕のことを・・・ 「ありがとうございました 今まで 僕はあなたがいなくても大丈夫です」 「何?それ?」 「加賀さんの気持ちとは違うんです 多分、出会った時から 前に言った通り愛してはいなかった そうなんです加賀さん、奥さんとお子さんと幸せになってください 僕も僕なりの幸せを見つけます」 「・・・そう、俺はいらないってこと?」 また、悲しい顔をする でも・・・ 「はい、いりません」 言えた 彼の後ろ姿に切なくなった けど、彼女の声が聞こえた「頑張りましたね えらいえらい」って ・・・彼女に会いたいな