01の猫

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01の猫

Twitterでは#140字小説を投稿してます。まだ始めたばかりなので、よろしくお願いします♪

令和4年も終わる

新年号が発表された日、私は社会人になった。 「新しい年号は何になるかな」と上司が 気を遣って話しかけてくれたのに 私は意味のわからない返答をした気がする。 お昼休憩の時、LINEを開くと友人から 新年号を知らせるLINEが。 「令和おじさん!!」とわざわざ会見の様子を動画に収めていたらしい。 それも送ってくれたのがおかしくて 私は緊張が少しだけほぐれた。 平成最後の日は、前代未聞の10連休の真っ只中で渋谷だか原宿だか、田舎者の私には分からないけど、たくさんの人が集まっているらしかった。 ちなみに、平成最後の日は高校の友人と集まって、カップラーメンを啜った。 「平成最後なのに、カップラーメンってウケるね。」 「たぶん、今日の事忘れないね。」 なんて言いながら、年明けに来る未知のウイルスの事なんて思いもせずに 笑い合った。 あれから4年経って、未だにあのウイルスは厄介だし、私は当時新卒で入った会社を辞めた。 1人の友人は今、都会で働いていてとてもかっこいい。母になった子もいるし、疎遠になった子もいる。 多分、世の中も自分自身も令和と共に 変わっていくんだろう。 平成は31年で終わったけど、令和31年はどうなってるかな。 そもそも、令和は何年まで続くのだろう。 あの有名なジャニーズとか、知らない子供達も大きくなって、職場の新人さんとジェネレーションギャップを感じる日も来るんだろうな。 いつか、令和初期を懐かしんで お酒を嗜んでいたいなと思う。

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令和4年も終わる

夢の中の友達

19歳と11カ月。 私には昔から夢の中だけで会える友人がいる。 名前は知らない。お互いに呼び合わない。 私と似てるのか、似ていないのかよく分からないその子は、定期的に前触れもなく夢に現れる。 シチュエーションは色々で、転校生としてその子が私の学校に来たり はたまた会社の同期だったり。 一緒にカフェでお茶をした事もある。 そういえば、高校卒業したあたりから 彼女の登場回数は減った気がする。 「もう会えるのは最後なの。」 20歳の誕生日の前日、彼女はそう言った。 「どういう事さ?」 近所の公園のブランコを漕ぎながら 私は聞き返す。 「もう、大人の仲間入りをするのよね。 私は、あなたが作り出した架空のお友達なんだよ。」 架空の…お友達?? 私は友達という存在は確かにリアルにいないけど、別にそれでいいと思っていた。 「でも、架空のお友達はもうお終い。 大人にならなきゃ。 ちゃんと人付き合いしなきゃダメ。 これから働くのよ。」 「は…?ちょっと待ってよ。 もう夢では会えないって事?」 本人には言った事がないけど、彼女が夢に出てくると私は嬉しかった。 年頃の女子らしい事をして、遊んで話して。 「そうだよ。 人生には別れと出会いがあるの。 これが、初めてのお別れ…かな?」 「大人になんてなりたくない。 嫌だよ、これからも夢にいてよ。 お酒も飲めるようになるのに。」 私は必死で彼女を引き留めた。 「ごめんね。」 彼女がそれだけ言って笑う。 「やだよ!」 自分の声で目覚めると、もう昼過ぎだった。 夢から覚めた。 「来月から働くのに…生活リズム整えなさいね。」 リビングから母が、呆れたように声を飛ばす。 私は初めてお別れをしたんだ。 寂しいお別れを。 4月から着るスーツを着て、夕方からの 研修に向かう。 パンプスは痛いし、スーツも似合わないけど、鏡に映った自分は少しだけ大人になれたのかな。 手始めに、人付き合いが円滑になるよう 自己啓発本でも買ってみようか。

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