パンダ&パンダ@ほぼなろう垢

16 件の小説
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パンダ&パンダ@ほぼなろう垢

とりあえず登録してみました。なろうでも書いてますが、文字数が少なく、なろうで乱立するのが難しいものを気まぐれに投稿していきます。一部、別サイトで投稿したものを修正したものを載せている場合があります。

狩り

 数日前、友人が狩りに出かけた。お裾分けだと言って彼がくれる肉は、新鮮なだけあってそんじょそこらの物とは比べ物にならないほど美味いのだ。  数日後、彼が帰ってきた。彼の肉は、涙が出るほど美味かった。

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隣の席の山田は勇者 2話目

   * * * 『佐藤の勘違い』    * * * 『なあ、山田よ』  卵焼きを箸で刺しながら、画面をスワイプして、メッセージを打つ。 『なに?』  山田は三色でバランスの良い弁当を、バランスよく食べながら返信してきた。 『なんで、休み時間で隣にいるのに、スマホでの会話なの?』 『他言無用』 『ああ……』  四時間目が終わって、昼休み。山田は隣の席だから、当然、弁当を食っている間もずっと隣にいる。  山田が誰かと弁当を食っているところは、見たことがない。と言っても、席が隣になってからの話だけど。少なくとも、席が隣になってからは、ずっと一人で弁当を食べていたはずだ。  寂しいやつだな。俺もだけど。俺も一人だ。悲しいな。しかも、隣にいるのに、スマホのメッセージアプリで会話してるんだぜ? コミュニケーション能力欠如しすぎだろ。  あ、そうだ。 『なあ、菊ちゃんに頼んで屋上の鍵とか借りようぜ』 『借りられるわけないでしょ。アニメじゃないんだから』 『やっぱダメか』  我らがクラスの担任、三十二歳独身の菊ちゃんこと、菊島花先生は、なんと元ヤンである。色々と生徒に甘いところがあるので、頼めば屋上の鍵も借りれるかなぁ、と思ったんだけど……ダメか。そりゃそうだよな。落ちたら危ないもんな。  いやほら。どうせ二人とも、ぼっちで弁当食ってんだからさ。どうせなら、スマホじゃなく言葉で話したいじゃん? どこか人の少ないところなら大丈夫かなって思ったわけよ。 『そうは思わんかね、ワトソンくん』 『……』 『お前、面倒になったら無視すんのやめろよっ! 画面見てんじゃねぇかっっ!!』  こっちが色々と提案してやってんのに……! こいつ、相変わらず猫の写真くれねぇし……!!  山田は画面を見ながら黙々と食事を進め、俺が半分ほど食べたタイミングで、もう弁当箱を空にしていた。早い。そんなに急いでどこ行くつもりだ? おっきい方か? おっきい方なら仕方ないな。  そんなことを考えていると、山田は弁当箱を鞄に仕舞い込んで、そのまま席を立ち上がった。やっぱりトイレか? この俺を無視してトイレに行くなんざ、良い度胸してやがるな。 『おい、お前どこ行くんだよ』 『ちょっとトイレ』  そう言って、山田は足早に立ち去ってしまった。  なんだ、変なやつ? ……最初は、そんな風に思っていた。だけど、昼休みの終わりが近付いても、山田は帰ってこなかった。昼休み自体は二十五分。食べ終えたのが昼休みが始まって五分くらい経ったときのことだったから、もう二十分近くトイレにこもっている計算になる。  そんなにトイレにこもって、どんだけでっかいクソしてんだよ。たまにあるけどさ、キレが悪いやつ。でもそこまでじゃないだろ。  ガラリと扉を開け、現代文の担当コバヤンこと小林先生が入ってきた。もう、あと少しでチャイムが鳴る。あいつ、遅刻する気か?  時計の針が、今か今かと、鳴り響く時を待ち侘びている。  そして――。 ――ガラッッ  後ろの扉が開き、山田が現れた。 ……ぎ、ギリギリセーフだな、この野郎……ヒヤヒヤさせやがって。  って、ん? 山田のやつ、なんでこんなに服が乱れてんだ? まさか、本当はトイレじゃなくて、何かいかがわしいことでもしてたんじゃ……。 『おい山田、まさかお前……』  山田にメッセージを送る。チャイムと同時に山田はそれを確認して、席に着くと、返信がきた。 『気付いたの? 佐藤くん、意外と勘が良いんだね』 『気付いたの、って……じゃあお前、本当に……』 『どこの女子だよ! 学校でなんて羨ましいぞっ!!』 『学校の裏手にゴブリン。もう倒したから問題ない』 『……ん?』  ゴブリン? 学校の裏手に?  えーっと、つまりそれは……。  山田はトイレに行くって嘘をついて、学校の裏手に行き、ゴブリンを倒してたってことか……? なるほどなるほど、そういうことか……。 『……佐藤くん、人としてどうかと思う』 『いやほんっっっとすまん。これに関しては俺が悪いわ、すまん。まじですまん』  いやだってよ。トイレに行くっつって帰ってきたら服が乱れてるんだから、健全な男なら、『そういう』ことを考えちゃうだろ。俺は間違ってないぞ。悪かったけど。

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隣の席の山田は勇者 1話目

   * * *  『山田の裏の顔を目撃してしまった』    * * *  不思議に思っていることがある。  何かって? ああ、そう。何かというより、誰か。  そうだよ、隣の席の山田だ。山田のことだ。あいつのことが、不思議で仕方がない。  山田太郎。普凡高校、二年三組。出席番号、三十九番。成績は四〇人いる我がクラスで大体二〇位前後。普通。運動神経は良くもなく悪くもなく。普通。顔。凡。記憶に残らないくらいには、普通。  そう。この山田太郎という男、何から何まで『平凡』と『普通』を極めたような男なのだ。そんな男が、最近、不思議で仕方がないのである。 「……山田?」 「……あっ」  そう。俺は見てしまった。見てしまったんだ。  まるでアニメに出てくるような、ゴブリンみたいな見た目をした化け物を一刀両断する、山田を。剣からビームを撃って、空飛ぶワイバーンみたいなやつを撃ち落とす、山田を。剣に光を纏わせ、蠢く影のようなものを切り裂く、山田を。 ……山田太郎。普通で、平凡な男子高校生。お前、一体何なんだ?    * * *  翌日。登校すると、山田は普通に席にいた。何かするわけでもなく、頬杖をついて、ぼーっと外を眺めている。 ……昨日のあれは、幻覚だったのか? それとも、よく似た別人だったのか? 「なあ、山田……」 『ガタッッ』  話しかけようとすると、山田が急に席を立つ。そして、俺を無視して、教室の外へ歩き去ってしまった。  いや、どこ行くねん。もうホームルーム始まるぞ。  すぐに予鈴が鳴り、出て行った山田は真剣な表情で戻ってきた。席に座ると、ノートとシャーペンを取り出して、何やら書き記している。  あの一件を目撃したのは、昨日の夜一〇時半頃の話だった。いつものようにバイトを終え、家に帰る途中にある路地裏で、何か激しい音が聞こえたんだ。  酔っ払いでも喧嘩してんのかなって、最初は思ってたよ。で、覗き込んだわけ。  そしたらびっくり。山田がびっくり。何してんだよ山田、って、なったわけだよ。  思わず、声かけちゃったよね。化け物っぽいやつとの戦いが終わった山田に、声、かけちゃったよね。 『……山田?』 『……あっ』 『なあ、山田だよな? 何してんの……?』 『……チガウネ』 『は?』 『ワタシ、ソンナフツウノナマエジャナイネッ! ヒトチガイネッッ!!』 『おい、山田ッーー!!?』  とまあ、そんなやりとりがあって。あの場では山田に逃げられたけど、あれはどう見ても山田だったと思う。何で逃げたんだよ、山田。 「山田、昨日さ……」 『スッッ――』  山田から、無言で紙切れを渡される。さっき何やら書き込んでいたノートの切れ端みたいだった。 『他言無用』 「いや何が? どういう状況だったのあれ?」  他言無用も何も、今誰かに話したところで、馬鹿にされるのは俺だろ。  なに、『隣の席の山田が、光る剣持って化け物と戦ってたんですよぉ。なぁにぃ!?』ってか? 誰が信じるんだよそれ。  仕方なく、俺はその紙切れを裏返し、そこに質問を書いた。 『昨日のあれ、何?』  山田はしばらく沈黙し、また新しくノートをちぎると、そこへ何か書き始めた。 『聖剣拾って勇者になった』 「?????」  何言ってんだこいつ? とうとう頭おかしくなったか? 普通の、一般的な、平凡な男子高校生だと思ってたけど、実は頭逝っちゃってたのか?  いや……でも、じゃないと昨日のあれの説明がつかないもんな。確かに、見た目は勇者っぽかったし。ゴブリンとかワイバーンみたいな化け物もいたし。  どういうことだ? 山田よ、どういうことだ? 説明が端的すぎやしないか? もう少し具体的に書こうぜ?  俺は新たに質問すべく、また紙を裏返し、そこに質問を……って、毎回紙が小さすぎるんだよっ! 自分が書く分しかスペース確保してないんかっ!  ペシッッ  地面に紙を叩きつけ……一応拾って、丸めて机の中に放り込む。他言無用って言ってたし。  そして、ポケットからスマホを取り出し、メッセージのアプリを開いた。近くの人と連絡先が交換ができるように、特定の画面を開く。 「ほら、山田」  山田に画面を見せ、同じ操作をするよう促す。山田は露骨に嫌そうな顔をしたあと……何で嫌そうな顔したんだよ。お前が他言無用って言ったから、口に出さないようにしてやったんだろ。  山田は露骨に嫌そうな顔をしたあと、同じようにメッセージの画面を開いた。連絡先を交換すると、メッセージの送信一覧に山田の名前が表示される。  いや山田……ハンドルネームまで山田なのかよっ……!! アイコンの猫可愛いかよっっ……!! ピロン 『他言無用』 『聖剣拾って勇者になった』 『そのやり取りはさっきしただろ!!』 『というか猫可愛いな! 今度写真ください!!』 『え……』 『無理』 『そうかよ!! ちくしょうめ!! 勇者失格だよ!!』 「はいそこ、佐藤。ホームルーム中にエキサイトすんな」 「あっ、はい……すんません……」  暴れてると、担任の菊ちゃんに名指しで怒られた。それもこれも全部山田のせいだよ。  はあ……落ち着け。そう、ステイクールってやつだ。俺は冷静な男、冷静だ。 『山田』 『勇者になったって何?』 『そのままの意味』 『ある日聖剣を拾って、気付いたら勇者に選ばれてた』 『美少女とか出てきたわけ?』 『いや、全裸のおじさんに言われた』  なんっっっでだよっ! そこは普通美少女とかだろうが!! 全裸のおっさんが出てくるアニメとか見たことねぇよ!  何? 『事実は小説よりも奇なり』ってか? うるせぇよ! 「おいこら佐藤。何度も言わせんなよ。次やったらシベリア送りだぞ」 「あっ、はい……気を付けます……」  だから何で俺が怒られるんだよ。俺、悪くないだろ。これ、俺が悪いのか? ……あー、つまりなんだ? ある日聖剣拾って、変なおっさんに言われて、勇者になったのか? 改めて文章にしてみるとマジで意味分かんねぇなこれ。 『なあ……』 『勇者って、あんな化け物とかと戦ったりするんだよな?』 『うん』 『昨日のは弱かったけど』 『日によっては、もっと強いのもいる』 『怖くないわけ?』  そこまで打つと、山田からの返信がぴたりと止まった。画面の外、隣の席を見ると、山田は思考が止まったように、動きを停止していた。 『怖くはない』  そして、再び動き出し、送られたメッセージはこれだった。 『怖くはないけど』 『誰にも知られずに、一人で戦うのは』 『寂しかった』 『山田……』 ……そうか。そうだよな。あまり多くの人に知られちゃまずいもんな。そんな中、皆をあの化け物から守るために、一人、戦ってたんだよな。  寂しい、よな。不安になるよな。そうか、俺、山田のこと、何も考えずに……。 『でも、どうせ知られるなら佐藤くん以外が良かった』 『佐藤くん、うるさそう。口も軽そう』 『おうお前表出ろや!!!』  前言撤回。こいつ、めちゃくちゃ性格悪いな。一人で戦ってろや。

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だって人間だもの

 嫌なことはやらなくたっていいのさ。  だって人間だもの。  できないことは諦めたっていいのさ。  だって人間だもの。  他人に興味がなくたっていいのさ。  嫌いな人と無理に付き合わなくたっていいのさ。  だって人間だもの。  でも。  嫌なこともできないことも、諦めずにやらなきゃいけない時だってあるさ。  興味がない人とも、嫌いな人とも、無理にでも関わらないといけない時だってあるさ。  それが人間だもの。  逃げてばかりじゃ癖になっちまうぜ。癖になっちまうと、もう治らないんだ。人間って、そういうものなんだぜ。  嫌なことから逃げて、嫌いな人を避けるのは簡単だよ。  だけどいつか、どうしても逃げられない時が来る。そういう時のために、逃げ癖だけはつけちゃいけない。  人間って、そういうものだぜ。僕は、そう思う。 ※パンダ&パンダ個人の感想です

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日記 繰り返す過ち

 今日の夕食はカレーライスだ。  日本人は、ひときわこのカレーライスという食べ物に弱い。何故だか日本人という人種は、その殆どがこのカレーライスというものを好む。  そして、その多くが、過ちを繰り返してしまう。  お腹が減っているから食べられると思って、多めに白米をよそうのはやめなさい。あなたが思っている以上に、カレーライスはお腹が膨れます。  こらそこ。話聞いていましたか? もう少し白米の量を減らしなさい。またお腹が痛くなりますよ。

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 嘘も、貫き続ければ真実になる。  私はそうは思わない。嘘はどこまでいっても嘘である。  最後の最後まで貫き通した嘘は、真実と同等の力を持つようになる。  だが、これが決してイコールになることはない。あくまでもこれはニアリーイコール、そしてノットイコールの関係であり、嘘は真実にはなり得ない。  画面の中の美少女は、どれだけ信じても画面から出てこないのだ。だが、その美少女が現実の女性と同等の価値を持つこともある。  つまり、そういうことである。どういうことだろうか。私にもよく分からない。

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人生ってそんなもの

 私たちは石油王でも、世界一の大富豪でも、はたまた世界的に名の知れる学者でも、なんでもない。  いつの間にかこの世に産み落とされて、ただなんとなく生を謳歌するだけの人間だ。この無駄に広々とした世界に生きる、なんてことのない、ただの人間だ。  私たちがこの世界に与える影響なんて、たかが知れている。  だから、何かを気負って生きていく必要なんてないのだ。  働きたい時に働いて、  食べたい時に食べて、  寝たい時に寝て。  人間、そんなくらいがちょうどいいのだ。  だが、それはそれとして、5000兆円は欲しい。それは恐らく、全人類共通の願いである。

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新訳 恐怖体験日記

 ありがたいことに、こんな私めの作品に感想を送ってくださる方がおりました。非常に感謝しております。  そして、感謝の意を伝えたいと思い、頂いた感想には全て返信していました。しかし、拙者、何分このアプリには不慣れ故、とんでもない間違いを致しておった。  リプライ機能なんてものが、あったなんて。(使い方分かりました)

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夢で会えたら

 僕の夢には、僕の理想の女性が現れる。毎日毎日現れては、僕に幸せな夢を見せてくれる。  この夢を見るようになったのは、一ヶ月ほど前からだ。4年間付き合った彼女に振られ、傷心中だった僕は、夢の中であの人と出会った。  それからは毎日、幸せだ。だって、夢の中なら、あの人に会えるんだもの。  あの人は、別れた僕の彼女にとてもよく似ていた。ふわふわとした、可愛い系の女性。彼女と付き合いだしたのも、僕の好みに合っていたからだ。多分、こういう女性が好きなんだろう。  あの人が夢に現れてくれるから、眠っている間は辛い現実を忘れられる。寒くて暗い部屋にいる僕を、あの人は優しく慰めてくれるんだ。  彼女さえいればいい。僕は、夢の中で、彼女に会えさえすれば、他のものは何もいらない。彼女が僕のそばにいてくれるのなら、どんなに辛い現実だって耐えられる。 『本日、東京都内で暮らす大学生の女性を殺害したとして逮捕された、○○○被告の裁判が行われます』 『被告人は取調べで、彼女は僕の全てだった。別れを告げられたから殺した、などと供述しており』

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令和百物語 VR

「仮想病?」 「そ。VRってあるでしょ? あれにのめり込みすぎちゃって、現実世界と仮想世界の区別がつかなくなったりだとか、酷い時だと、仮想世界に行ったっきり帰ってこなくなっちゃう人がいるの」 「へぇ……すごい世の中になったもんだねぇ」 「あんたも気を付けなさいよ、かえで。ゲーム好きでしょ?」 「私は限度の守れる健全なゲーマーなので」 「一日中ゲームしておいて、なぁにが健全なゲーマーよ」 「バレてたか」 「ゲームが楽しいのは分かるけど、仮想病を抜きにしてもやりすぎは体に良くないんだから。本当に、程々にしなさいよ?」 「さすが、お医者様は言うことが違いますね。尊敬します」 「そうやって茶化すのはいいけど、今度のテスト、大丈夫なのかい?」 「うぐっ……そこを突かれると痛い……」 「まったく、誰に似たんだか……」 「私はお父さん似だからねぇ」 「かえで……かえで、帰ってきなよ……」 「お母さんが事故で死んじゃって、悲しいのは分かるけど……そこにいたって、しょうがないじゃないっ……」 「お母さん、お腹空いたっ!」 「はいはい。まったく、こういう時だけは元気なんだから……」

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