なっちゃん
4 件の小説音楽室
……彼の名前は拓真という。 私が小学校中学年程になると全く彼の事は好きでは無くなっていた。 拓真は私が1、2年生の頃、彼のことが好きだったことも知っていて、私と彼はただの友達になって、私も新しい恋をして、 彼に私の恋を手伝って貰っていたぐらいだ。 5年生になると林間学校があり、その時好きだった京途に告白をした。 まさかのokにびっくりして、泣いてしまいそうだった。 その時の返事も拓真に手伝って貰っていた。 けれど、小学生ということもあって簡単に自然消滅してしまった。 寂しくは、なかった。 京途は元からあまり学校には来ていなかったし、私も付き合う前と同じように話していたから、しょうがないと思っていたからだ。 5年生では、6年生の卒業式のために合唱をする。 彼は…拓真はあの頃よりももっとピアノが上手くなり伴奏をすることになった。 私は歌が好きで、自画自賛だが歌も上手かった。 彼にも「歌の才能は認める」と言われた程だ。 私が通っていた小学校ではあまり教室に関する問題事が起こっていなかったため、鍵が空いていることが多かった。 6年生の卒業式前は、2人で音楽室に行って卒業式に歌う曲の練習をしていた。 喉が疲れていた時はずっと彼のピアノに耳を澄ませていた。 私が歌っている時には「そこの音が違う」「半音高い」などとアドバイスもくれた。 そんなわけないと思われるかもしれないが、6年生の卒業式には、2人でみんなを引っ張って合唱したようなものだった。
エリーゼのうたに
私はまた、彼に恋をした。 「また」と言っても最初に好きになったのは約5年前、 小学一年生のときだ。 彼は顔がいい訳でも、性格が言い訳でもなかったにも関わらず、私は彼を好きになっていた。 彼はピアノが上手かった。 昼休みはずっと、彼が弾くピアノの音色を聴いていた 私は彼に影響されたのと、 音楽の道へ進みたかったからピアノを始めた。 彼の演奏を聴いて初めて知った曲。 今も頭の中に響いて離れない曲。 初めて自分で弾いた時に彼を思い浮かべた曲。 1番、好きな曲。 「エリーゼのために」
1、うさぎを見つけました
仕事が終わり、家に帰る 車で轢かれた花は見向きもされずに踏まれる 夜に輝くビルを見つめて呟く 「今日もあんだけの社畜が働いてる…」 家に帰っても1人、 風呂に入り、冷蔵庫からビールを取り出し喉に放り込むように飲む 寝室、月明かりだけが部屋に光を灯す、 引き出しからカッターを取り出す グサッと痛々しい音とポタポタと落ちる血を見て包帯を巻いて寝る、いつも通りの1日 〜次の日、会社〜 「百花、今日も朝から顔やつれてんじゃん、 また残業でもした?」 同僚の香澄(かすみ)が隣で話しかけてくる 「うん、最近仕事が多くてさ、」 「大丈夫?今度飲み行く?」 「大丈夫だよ、お酒の飲みすぎも良くないし」 受話器の音とキーボードの音が会社に響く 〜昼時〜 「あ、ねぇねぇ!、最近実家でうさぎ沢山生まれたんだよ!」 「うさぎ?」 香澄がこれこれと言いながらうさぎの写真を見せると 百花の口が緩む 「可愛いでしょ!」 「うん、わぁ、コロンってした!」 うさぎの写真や動画で癒される2人のコーヒーが冷め始める 〜深夜〜 「はぁ、やっと仕事終わった…」 月明かりと電灯が街中を照らす 数分歩くと路地裏からカラスの鳴き声が多数聞こえる 「カラスの喧嘩…?」 好奇心に負け路地裏を覗いてみるとうさぎが虐められている 「しっしっ!……大丈夫?」 うさぎを抱き上げると急いで香澄に電話をかける
うさぎを飼ったら思ったより過保護でした
グサッ、ポタポタ… 「はぁ……会社行かなきゃ……」 春崎 百花(ハルザキ モモカ) 24歳独身、 高校で虐められてからずっとリスカで気を紛らわせている そんな女性と1匹のうさぎの話