ゆうりんちぃ

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ゆうりんちぃ

名前変えすぎて面影ないなった。 15歳の学生ちゃんです。 文字書き見習いの卵。 つまり超超未熟でございます。 最近沢山の素敵な作品に出会えて幸せ...。そしていつも反応くださる方、本当にありがとうございます、嬉しすぎます...! 人間観察だーいすき。 私の言葉が、少しでも誰かの、あなたの心に響くように言葉を紡ぎたい。 #文字書き見習いの卵#目指せ心理カウンセラー#頑張れ学生の私

ココロオドル

昔々のある国に、とても美しい王女がおりました。 王女はその麗しさと強かさから、国の宝と呼ばれていました。 そんな王女は国のため人のため、いつでも手を差し伸べます。 人々が争えばそれを止め、皆の平和を守りました。 国が危険になった時、皆を安心させるため一番に動きました。 全てを愛し、誰からも愛される素晴らしき王女。 尊敬され、憧憬の眼差しを受けても、決して有頂天になることなく、皆と接してきました。 しかし一人だけ、そんな王女を嫌う者もおりました。 それは、国王の妃でもある、王女の継母です。 継母は、王女に向けられる皆の愛情を嫌いました。 自分の立場を、王女である娘に盗られる。 そう思った継母は、王女にある罪を着せたのです。 「皆、よく聞きなさい。王女が、私達を貶めようとしています。この国の低迷は全て、王女の計画です。私は、とても悲しく、恥ずかしい。あんな者が、私の娘であるなんて。」 その頃の国では作物の育ちが悪く、何か原因があると皆が不安に思っていました。 そこに、その原因が王女にあったと広まれば。 嘘だとしても、それに皆が気付く暇などありません。 言わずもがな、皆が王女を責め立てました。 裏切られた、国を欺いた、善人の顔は嘘だ。 そうしてありもしない罪を着せられた王女は、国から出ていかなければなりませんでした。 自分が原因だなんて、ありえない。 そう思っても、王女は思いやりの強さ故、それを口にすることはできませんでした。 口に出してしまえば、母の、皆の、国の信頼が失われてしまう。 そう、わかっていたからです。 王女は国を追い出され、宛もなく歩いていました。 途中にある小さな街に立ち寄りながらも、決して止まることはなく、王女はどこまでも歩きました。 「…このまま、どこまで行けるでしょう」 幾らか日が経った頃、王女は空が濁ったことに気が付きました。直後、王女の身体を冷たい雨が濡らしていきます。 「…あめ」 王女は、小さく呟きます。今まで守られ続けてきた王女は、雨に濡れたことなど一度もありません。しかし、今ではもう、守ってくれるものなど何も残っていませんでした。 「雨に打たれて歩く夜も、中々悪くありませんのね」 王女はまた、小さく呟きます。 そして、笑いました。誰もいない雨の中、一人で。 そう、まるで、歌うように。 降り続ける雨の中で、一つの影が揺らめきました。 そう、まるで、踊るように。

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ココロオドル

純情を溶かす

注意! ・明るくはない恋愛ものになります。初めて挑戦する作風なので、暖かい目で見て頂けると嬉しいです。 ・登場人物の性別は明言してませんが、口調など見方によって男女どちらかに偏ったり、同性恋愛ものに感じるかもしれません。 それでも大丈夫な方、よろしくお願いします! 「はい、あげる」 ある夏の日、友人の葵は小さな包みをこちらに投げてきた。 四角い包みを開こうとして、慌てて止められる。 「あー、待って待って!…それ、チョコだから」 内緒話をするように声を潜めるものだから、こちらも気を遣う。 「流石に学校じゃだめだよー、家帰って食べて」 じゃあなんで今渡したんだよ、なんて思った。 でも、どうでもいいかと片付けて、それをポケットに入れた。 家に帰って、律儀にチョコレートの包みを開く。 そのまま、ミルクチョコレートを口に放り込む。 暑さで少し溶けたそれは、口の中に甘さだけ残してすぐ溶けた。 甘ったるいなぁ、なんてロマンチックの欠片も無い感想が浮かぶ。 別に、チョコレートは嫌いでも好きでもない。 口の中で溶ける感覚はいいが、残る甘さには慣れないだけ。 去年のバレンタイン、そんな話を葵としたのを思い出す。 葵がこれを渡してきた理由が、余計わからなくなってしまった。 あれから、葵はよくチョコレートをくれるようになった。 なんで、と聞いても、なんとなく、としか返ってこない。 そしたらこちらも、そっか、としか返せない訳で。 気付けば、家のゴミ箱にはチョコレートの包みが溜まっていた。 自分で買った訳でもないのに、なんだか不思議な感じがする。 葵とは、小さい頃からの付き合いで幼馴染兼大親友だ。 だから貰い物なんて、今までだって沢山されたし、してきたのに。 今回はなんの意図も読めないせいで、謎の居心地の悪さを感じた。 しかも、貰ってばかりでは悪いとお返しを渡せば断られる。 それも、なんで、と聞けばなんとなくだから、としか言わない。 昔から読めない奴だとは思っていたけれど。 やっぱり、葵の考えていることはわからない。 それから、冬が過ぎて、春が来た。 あの夏の日以来、特に意味もなくチョコレートを貰い続けた。 いや、意味はある気がするのに、何も答えてくれないのだ。 何も考えてない素振りで、小さなチョコレートを渡してくる。 律儀に食べるのもどうかと思うけれど。 もう、この甘さにも慣れてしまった。 中学三年の四月。 進級して、葵とはまた同じクラスになって。 そろそろ進路の話が始まるという時期でも、それは続いた。 「…あのさ、これ、何なの」 「…んー?何が?」 「だから、チョコ。いつまでやるの」 「えぇ、それ?別にいいじゃん、タダでお菓子貰えるんだしさ」 「そーいうことじゃ…」 「うるさいなぁ、もー、これでも食べてろー!」 えい、と口に放り込まれたのは、いつものチョコレート。 でも、いつもと違くて、甘さはどこにもない。 「んぐ…って、にっっが」 「あっはは、ちゃんと食べてよ?大事だったんだからねー」 そう言って逃げるように、葵は教室を出て行った。 大事ってことは、葵は苦いのが好きなのか。それは知らなかった。 じゃあ、尚更何故ミルクチョコレートなんて持ってるのだろう。 疑問は、深まるばかりだった。 少しして、また夏がやってくる。 まだ、葵からのチョコレート供給は終わっていなかった。 夏休み前日の放課後。 葵と二人きりの教室で、他愛ない話をしていた。 この前のテストがどうだったとか、夏休み遊べないねとか。 その時も、チョコレートの真相は聞けないままで。 そのまま、夏休みになった。 でもお互い忙しくて、一度も会わないまま夏休みが明けた。 学校が始まって、一週間後。 葵に呼び止められて、また二人きりで教室にいた。 「あの、さ…ごめん」 珍しく塩らしい、葵らしくない口ぶりだった。 「ん?なにが?」 「…高校、私立行くんでしょ。…しかも、県外の」 葵に言われて、数日前のことを思い出す。 昼休み、教室で担任に、私立の相談をしたこと。 「…あぁ、聞こえてたんだ。別に謝んなくていいよ」 「…違う、聞こえちゃったのは、理央が悪いし」 「…」 確かにとは思っても、いざ言われると少し不服だった。 でも、そんなことには気付いてないように、葵は話し続ける。 「そうじゃなくて、勝手に、県内行くと思ってたから」 「…あぁ、そういうこと。なんか、ごめん」 小さい時から、ずっと一緒にいたから。 だから、高校は違っても、すぐ会えるとどこかで思ってはいた。 なのに、遠い所に行くなんて言われたら、確かに複雑にはなる。 「いや、理央こそ謝ることないじゃん。自分のことなんだし」 「でも…」 「いーの、変なこと言ってごめん!」 はい終わりと言うように、いつものチョコレートを渡される。 その日は、そのまま二人で学校を出た。 次の日からも、いつも通りの日が続いた。 だけど少しだけ、葵からチョコレートを貰う日が減った。 気にし過ぎだと呆れても、何故か意識が持っていかれる。 そうこうして、また一週間が経って。 その日の放課後はたまたま、葵と二人きりになった。 そうすると、余計にチョコレートに意識が向く。 だから、思い切って聞くことにした。 「…あれ、やめたの?」 「なにが?」 「…だから、チョコ渡してくるやつ。最近減ったから」 「あれ、気にしてたんだ。意外と好きだった?」 「好きっていうか…何かあったのかと思って」 葵が驚いたように目を開く。 そこから、沈黙が流れた。 その後。 「…へぇ、気にしてくれたんだ。やっぱ優しーね」 そこまで言って、葵は足元を見た。 どこか安堵したように、傷付いたように。 「あお、?」 「…好き、だったんだ、理央のことが」 「…え、」 唐突だった。 唐突すぎて、葵の口から落ちた言葉が、信じられなかった。 冗談だとすら思った。 だって、所詮ただの幼馴染で、そこに好意なんて、ないはずで。 だけど、気づいてしまった。 …葵は、違っていたんだ。きっと、ずっと前から。 「でも…ごめんね、もう忘れるから」 「、いや待ってよ、忘れるって、何?」 「…じゃあね」 拙い笑顔を浮かべて、葵は去っていった。 何かから逃げるように、足早に。 目の前の机には、あの日のビターチョコレートが、一つ。 葵が、大事だったと言っていた、あの苦いチョコレート。 それは、ドロドロに溶けてしまっていた。 どうしていいかわからなくて、暫く立ち尽くす。 次の日、葵は学校に来なかった。 その次の日も、またその次の日も、そして、卒業の日でさえも。 あのチョコレートは、なんだったのか。 最後のビターチョコレートは、なんだったのか。 葵は、何を伝えたかったのか。 なんとなく、なんかじゃない。 そうわかっているのに、答えは知れないまま。 もう、葵と会うことはできなかった。

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純情を溶かす

Trick×Trick sweet holiday

イタズラ大好き トリックゴースト 今夜待ちに待った Halloween night 街を彩る Orange Purple DarkでPopな飾り付け LaLaLa 歌うは Children 手に持つかごには不気味なSmile Trick or Treat 合言葉 みんな大好き sweet holiday だけど街の片隅で 異界への扉が開いた 不気味な影に誘われて 迷い込んだ黒猫 魔法のとけた路地裏で ドロドロ ユラユラ かくれんぼ 不気味な影に導かれ 逃げ込んだその先には キョンシー ゾンビ ジャンキー  みんな集まってHalloween キャンディー キャラメル クッキー みんな独り占めHappy ラッタッタ踊る モンスター 魔法をかけて トリックガール Trick×Trick sweet holiday ジャック・オ・ランタンも笑ってる 迷って逃げては踊るワルツ 可愛いおばけたちは笑ってる 不気味なこの街の怪奇譚 逃げられない Trick or Trick ゴースト ウィッチ パンプキン みんな集まって Party ショコラ マシュマロ with you みんな独り占め Lucky キョンシー ゾンビ ジャンキー みんな集まって Halloween キャンディー キャラメル クッキー みんな独り占め Happy? ラッタッタ踊る Nightmare 魔法かかった 僕と君 Trick×Trick sweet holiday ジャック・オ・ランタンがお出迎え 一生一緒にね Candy night

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Trick×Trick sweet holiday

プロローグ

これは、私がNoveleeと出会う前の話。 私は、幼い頃から言葉が好きだった。 言葉の一つ一つが、私にとっては未知なるもので。 もっと知りたい、もっと欲しい、そう思った。 だから、勉強は嫌いだけど国語だけは大好きだった。数学の文章題は苦手だけど、長編小説はいくらでも読めた。 難しいことは考えられないけど、言葉についてはずっと考えた。 いつか、沢山言葉に触れることをしたい。 自分の言葉で、何かをつくってみたい。 いつからか、そう思うようになって。 それから、作文も、詩も、俳句も、小説も。 言葉に関わるもの全てが、私の憧れになった。 だから、こうして小説を書き始めた時。 私の言葉で、私の好きなものを。 私は、私のために文字を書いていた。 誰かに届けるためになんて、少しも思ってなくて。 ただただ、自分の憧れに近づきたかっただけだった。 でもある時、自分の小説を投稿した。 なんで急にそんなことしたのかは覚えてないけど。 確か、全部どうでもよかった時期で、特に意味もなく上げた。 だから、いいねもコメントも何もないことに落胆はしなかった。 逆に、批判とか揶揄とかが来るかな、なんて思ってたくらいで。 でも、良くも悪くも思っていた以上に何も無くて。 まぁいいかって、それきり投稿はしてなかった。 でも、その小説を投稿してから、二ヶ月程後のこと。 久しぶりにそのサイトを開いて、面白い作品ないかなと探した時。 何件か、通知が溜まっていると気付いた。 未読マークが気に入らないからと、興味もないそれを開く。 そのほとんどが運営からのお知らせで、また閉じようとして。 その時だった。 通知の一番下に、他とは違うものがあった。 『──さんが、いいねしました』 え、と思って、その通知を押す。 そしたら、例の小説のページに飛んだ。 相変わらず閲覧数も二桁前半で、コメントもゼロ。 だけど、ハートマークに、『1』と付いていた。 表示バグかと思って、何度も更新した。 でも、表示は変わらなくて。 今よりずっと幼くて、拙くて、まとまりもない話。 そんな未熟なものだったけど。 その『1』を見て、私はどうしようもなく感動した。 誰かに見せたいとか、そういうのはなかったのに。 ただ、私のために、やっていたことなのに。 それでも、私を見つけてくれたことに、感動した。 その時、漠然と思った。 この小説をあげた時、何も考えてないつもりだったけど。 どこかで、無意識に思っていたのかもしれない。 私はきっと、自分が言葉を遺した証拠が欲しかった。 そしてそれを、誰かが『1』として与えてくれた。 もう一つ思った。 きっと、世界には沢山の人がいて、考え方があって。 だから、全部が全部万人受けすることはない。 大人数の批判。 大人数の嘲笑。 大人数の罵倒。 この先また人に見せたら、次は酷いことを言われるかもしれない。 だけど、そんなものより。 一人からの『ありがとう』。 一人からの『好き』。 一人からの『いいね』。 あなたからの、『言葉』が。 あなたからの、『気持ち』が。 どうしようもなく、嬉しいと思う。 全てが評価されなくても、一つでも心に響けば、それでいい。 そう、思った。 だから私は、今もこうして言葉を書いてる。 例え、批判されても。 共感が得られなくても。 多くの人に届かなくても。 私がここにいる、その証明のため。 私の言葉を受け取ってくれる、あなたと出会うため。 一つの力が、世界を変える。 誰かが言ったそんな言葉。 あながち、間違っていないのかもしれない。

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プロローグ

大切たち

あなたには、大切な人がいるはずです。 それは、恋人かもしれない。 それは、友人かもしれない。 それは、兄弟かもしれない。 あるいは、名のない関係であっても。 共に泣き、笑い、時には手を取り合ってきた誰か。 そんな人が、いるはずです。 でも私は、あなたの大切な人がどんな人なのか、 どのような人格を持ち合わせているのかを、 知る由もありません。 ですので、ここからは。 仮定の話を、させていただきましょう。 では、そうですね。 今、貴方の中に思い浮かぶ方のことを、考えてみてください。 選ぶのではなく、今、パッと思い浮かぶ方のことです。 その『誰か』のことを、考えて頂きたい。 貴方の中に思い浮かぶのは、どんな方なのでしょう。 貴方の家族や好きな相手、尊敬する方でしょうか。 あるいは因縁の相手、なんてこともあるかもしれませんね。 では、今貴方に思い浮かべて貰った『誰か』。 その方のことを考える時、貴方はどんな感情になりましたか。 幸せ、喜び、感謝、切なさ、悲しみ、怒り、好き、嫌い。 色んな感情があって、浮かぶものも一つとは限らないでしょう。 細かく考えなくて良いので、純粋な感情を浮かべてみてください。 その感情は貴方にとって、プラスでしょうか。 それとも、マイナスでしょうか。 どちらにせよ、それが『誰か』が貴方に与えた感情です。 貴方にとって、その感情を与えてくれる『誰か』。 それって、大切な存在だと思いませんか。 とりとめもない話をして、ごめんなさい。 でも、もう少しだけ、聞いて欲しい。 私は、思うんです。 この人がいるから、楽しい。 この人がいるから、頑張りたい。 この人がいるから、嫌になる。 そういうのって、自分の感情ではあります。 でも、『誰か』が自分にくれたものでもある、と、そう思います。 もし今、貴方の中に浮かぶ人が、嫌な相手だったら。 そうは思えないかもしれない。 でも。 負の感情があるからこそ、正の感情を大切にもできる。 正の感情があるからこそ、負の感情に突き動かされる。 人らしく、なんて言うと嫌な感じもしてしまいますが。 私たちしか感じられない、素晴らしいことではないでしょうか。 そして。 その『誰か』も、貴方の大切な人に成り得ると思うんです。 関係に名前がつかなくても。 いくら嫌いでも、そういう相手でなくとも。 だって、大切は、沢山あっていい。 大切の中にも、色んな想いがあるはずですから。 そして、私は、そういう『誰か』を大切にしたい。 私を形作る、色々なものを与えてくれた人を。 そして、皆さんにも、大切にして頂きたい。 貴方の人生を彩る、色々な『誰か』を。当たり前を。 何様、そう思われても仕方ないけれど。 きっとその方が、人生明るくなると思うから。 私は、貴方の大切な人を知らない。 貴方の大切は、貴方だけのもので、かけがえないものです。 沢山の大切を、大切にして欲しい。 とりとめのない、独り言のような話。 どうか、貴方に届いていることを願います。

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大切たち

今だけは、僕のせい。

私は、みんなと少し違っていた。 みんなより劣っていて、少し変わり者で、引っ込み思案。 だから、みんなに『不思議ちゃん』って呼ばれた。 私が何かすれば、いつも変な方向に行く。 だから、みんなに『何もしなくていいよ』って言われた。 私が何か言ったら、いつも空気が重くなる。 だから、みんなに『無理しなくていいよ』って言われる。 私がいるだけで、いつもみんなに気を遣わせてしまった。 いつも、そう。私、みんなのそれ、わかってるよ。 でも、私は笑うしかなかった。 それしか、できないから。 頭が悪いから。出来が良くないから。不思議ちゃんだから。 空気読むのも苦手で、なのに人の気持ちはよくわかる。 わかっても、できることがないなら意味はないけどね。 そうやって、嫌に思われないように、馴染めるように笑って。 いつの間にか、笑顔は私に張り付いてた。 のりで貼った紙みたいに、全然剥がれない。 代わりに、周りから全部なくなった。 ほうきでゴミを掃くみたいに、きれいさっぱり。 そしたら、全部いらなくなった。 でも、迷惑はかけないようにって、頑張ったんだよ。 親に迷惑かけないように、学校にはちゃんと行った。 人に迷惑かけないように、ずっと一人でいた。 周りに迷惑かけないように、泣いたりしなかった。 ある時から、私の居場所は屋上になった。 下に行ったら、笑うしかないのがわかってたから。 屋上でくらいは、楽にいられると思ったから。 でも、それでも笑顔は剥がれなかった。 泣く理由も見つからないせいで、涙は出なかった。 私が臆病じゃなかったら、今頃飛び降りてたのかな。 そしたら、楽になれたかな。 だけど、心のどこかで、声がしている。 『間違えるな』『迷惑をかけるな』『逃げるな』 うるさいとも、思わなかった。 その時。 後ろから、違う誰かの声がした。 「そこの柵、脆いから危ないよ」 その声に、反射的に柵から一歩下がる。 …あれ、おかしいな。 さっきまで、落ちたかったはずなのに。 「…ありがとう、ございます」 私の声は、少しだけ震えてたかもしれない。 「…あのさ、それ、なに?」 急に、責めるような口調で言われた。 「え?」 「だから、その顔。ポーカーフェイス的な?怖いよ」 そう言って、私の顔を指差してくる。 怖い、か。作られた笑顔だし、それはそうか。 「…ごめんなさい」 「…本当は、そんな顔したくないんでしょ」 「…え?」 「わかりやす。顔に書いてあるじゃん、なんで気付かないかな」 そんなこと、言われたことなかった。 いつも笑ってて、確かに奇妙だけど、不思議なだけで。 作ってるとか、本心じゃないとか、そんなの。 「…勝手に、言わないでください」 「…あっそ。別にいいけど。どうせただの意地っ張りだろ」 その言葉が、嫌に引っかかった。 嫌味たらしい、皮肉たらしい言葉。 この人からしたら、どうでもいいのかもしれないけど。 私のこと、なんにも知らないくせに。 なんにも、知ろうとしてないくせに。 なんにも、見てないフリするくせに。 自分に怒りという感情があることに、まず驚いて。 それから、ふざけんな、なんて、柄でもないのに思った。 「なんで、そんなに、適当でいられるんですか」 「…は」 「なんで、そんなに、人のこと見ないフリできるんですか」 「なんで、勝手に、決め付けられなきゃいけないんですか」 自分の中に無意識にあったものが、溢れて止まらない。 それでもまだ泣けなくて、不格好な笑顔を浮かべた。 「私のこと、変だっていうのは別にいいんです」 「だけど、勝手に、わかったようなことしないでくださいよ」 「私だって、自分が嫌いで、変わりたくて、でもできないのに」 時々掠れながら、息も絶え絶えに言葉を零す。 そのまま、八つ当たりへの罪悪感に顔を背ける。 「急にうるさいな…それならさ」 ずっと黙っていたのに、急に口を開いた。 「そんなんじゃない、変わりたいって思うんなら」 そして、私に近づいて肩を掴んで、無理矢理目を合わされた。 「泣き顔くらい見せてみろよ、できんだろ」 強くて、まっすぐな挑発。 うるさいのはどっちだよ、なんて思った。 さっきの声には、なんとも思わなかったのに。 喋り疲れて、思ったことないようなことを思って。 なんだか、笑えてきた。 こんなにもうざったい人間が、他にいるだろうか。 こんなにも遠廻りな優しさを、誰がくれただろうか。 そう、私は、こいつに言われただけ。 違うなら、泣いて証明しろって、言われただけ。 だから、頑張ってのりを溶かしてみる、それだけ。 笑顔じゃない、違う顔も、泣いた顔もできるって、言うだけ。 こいつには、負けたくないから。 …この人には、負けられないから。 だから全部、この人のせいだ。 私が怒ったのも、泣く理由ができたのも、全部。 …今だけは、そうさせてもらおう。 そういえば、のりって熱に弱いんだっけ。 …この人の手、暖かかったな。 止まらない涙で視界がぼやけながら、私は薄く微笑んだ。 「…なんだ。理由あれば、ちゃんと泣けるじゃん」 「…でも、さっきの顔が、一番君っぽいよ」

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今だけは、僕のせい。

何者

私とは、一体何者なのでしょう。 時々、そんなことを考えます。 考えては、わからなくなって、諦める。 そんな、とりとめのない話。 人間。 日本人。 十五歳の学生。 吹奏楽部員。 チアリーダー。 文字書き見習い。 色んな肩書きはありそうです。 でも、私が何者かは、それでもわからない。 音楽が好き。 言葉が好き。 人を応援するのが好き。 人を支えるのが好き。 でも、人間関係は苦手。 まだ、わからない。 辛いものが好き。 和菓子も好き。 甘ったるいものは苦手。 勉強するのは嫌い。 アニメと本が大好き。 動くのはちょっと苦手。 少し、わかった? いや、まだ、わからない。 誰か、教えてください。 私って、何者なんでしょうか。 でもそれって、 私にしか、わからないのでは? そう、誰にもわからないと思うんです。 私の、他人のことなんて。 それは多分、みんな同じ。私も、みんなのことはわかりません。 でも、私自身のことさえも、わからないんですよね。 本当に不思議。 そう思いません? それなら、誰が私をわかってくれるんでしょうね。 私は、誰をわかろうとすればいいんでしょうね。 なんて、こんなことを考えても、と何度も思いました。 きっと意味はないし、答えはないんでしょう。 でも、それを「どうでもいい」と割り切れるほど、 私、上手く人間できてないんです。 もう面倒くさくなって、何なら面白くなってきます。 そういう時に、ほんの少しだけ。 とりあえず、人間で良かったな、なんて。 今は、そう思えてます。 みんなも、そう思えてたらいいな。 なんてね。 ただの子供が、失礼しました。

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何者

世界でいちばんの笑い者

その男は、世界一の笑い者だった。 歩けば転び、喋れば噛み、料理をすれば焦がす。 何をやっても失敗する。 街の人々は、彼を見るたびに笑った。 「またやってるぞ!」 「今度は何を壊すんだ?」 子どもたちは指を差し、大人たちは肩を揺らした。 「いやあ、参った参った!」 男も笑ってみせた。 ある日、王様が言った。 「世界一の笑い者を決めよう」 国中から人が集められた。 一番面白い芸。 一番くだらない失敗。 一番大きな笑い声。 皆がそれぞれ真剣に、面白さを競っていた。 しかし男は気が抜けたような顔をして、壇上へ上がった。 そして、何もせずに立った。 しん、と静まり返る。 「……どうした?」 王様が尋ねる。 男は笑った。 「何もしなくても、皆さん笑ってくれるでしょう?」 会場が爆笑に包まれた。 男は深々と頭を下げた。 その夜。 男は誰もいない家に帰った。 そして、一人でベッドに寝転がる。 「……疲れたな」 乾いた笑い声が、部屋に響いた。 翌朝。 男はいなくなった。 それはそれは、突然に。 街は静まり返った。 誰も笑わなかった。 それから、人々は気づいた。 転んでも。 失敗しても。 馬鹿にされても。 あの男は、いつだって自分より先にいて、笑っていた。 だから、皆知っているのに、触れたことのある者はいないのだ。 そう、まるで、太陽のような男だ。 男が姿を消して、二日後のこと。 海の中から、水死体が見つかった。 そして偶然にも、男の家の近くの海だった。 だから、皆がその死体を男だと思って疑わなかった。 男の葬儀の日。 司祭が尋ねた。 「彼は、どんな人でしたか?」 誰も答えられなかった。 すると、小さな子どもが手を挙げた。 「世界一、面白い人だったよ」 その言葉に、大人たちは笑った。 泣きながら。 男は死んで初めて、 本当に世界一の笑い者になった。 …はずだった。 その翌日。 王様のもとへ、司祭から一通の手紙が届いた。 『あの男が生きておりました』 王様は青ざめた。 急いで墓地へ向かう。 すると。 男の墓の前に、その男が立っていた。 「いやぁもう、ひどい目に遭いましたよ!」 王様は腰を抜かした。 「お、お前……生きていたのか!?」 「はい!というか、勝手に殺さないでください」 「姿を消したのはお前だろう…ん?では、棺桶には誰が…?」 男は首を傾げた。 「さあ?昔の人とかじゃないですか?」 そこへ、使用人が走ってきた。 「王様、大変です!」 「今度は何だ!」 「棺桶に入っていたのが、その男でなかったことが広がり…」 使用人は息を整える。 「王様への反感が高まっています…!」 「は?」 王様が、心外だとばかりに驚く。 男がぽつりと言った。 「あらぁ、王様、これじゃあ悪者ですね」 沈黙。 そして。 誰かが、吹き出した。 「ははは!これは傑作だ!」 王様だった。 「あっはは!笑い者は王様のほうじゃないですか」 男も笑った。 墓地にいた人々も笑った。 その日、国中に新しい噂が広まった。 「世界一の笑い者が、世界一の王様に制裁を下した」 王様は、休暇の理由ができた、とまた笑った。 その後、次の王様となった男が世界中を笑わせたのは、別の話。

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世界でいちばんの笑い者

『第5回NSSコンテスト』雨が降ったら、君と行く

「雨が降ったら、また会おうね」 それが、君の最後の言葉だった。 ぽた。 空が濁って、雨が降る。 私は、何も持たずに家を出た。 一時間、二時間。 誰も来ない。それでも待った。 十年、二十年。 まだ、誰も来ない。 私は老人になった。 もう、外に出られるような身体ではなくなった。 それでも、雨の日だけは、あの場所へ行った。 弱い雨が降っていた。 「遅くなってごめん」 後ろから、声が聞こえる。 あの日、私が愛した君だった。 何も変わっていない。 「…ずっと、待ってた」 「…うん」 君は笑って、私の手を取る。 その手からは、何も感じなかった。 「帰ろう」 君の隣に立った時。 私は、気づいた。 待っていたのは、私じゃない。 君だったんだ。 …私が死ぬまで、君はここで待ってくれていたんだね。 ぽた。 最後の雨粒が落ちる。 雨は、私たちの頬を濡らしていった。 撫でるように、あやすように、優しく。 雨上がり、空はまだ曇っている。 雨が降ったあとが、辺りに残っていた。 私たちの足跡だけが、街から遠ざかっていった。 DRIP

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『第5回NSSコンテスト』雨が降ったら、君と行く

宣伝─花のある物語─

宣伝失礼します! 本日、九月三十日より、募集を開かせて頂いてます! お題は、「花のある物語」です🌸 幸せな気分になる花、 あの人を思い出す花、 切ない思いに浸る花、 意味にゾッとする花、 昔の思い出が蘇る花。 花は、人々の暮らしを面白く、華やかにしてくれる存在です。 時に暖かく、時に冷たく、人生に寄り添ってくれる花。 そんな花をテーマに、日常に花を添える物語を書いてみませんか? 一輪の花をモチーフにするも良し、 花束のようなモチーフにするも良し。 ジャンル、形式は問いません。 ハッピーエンド、バッドエンド、意味深な結末。 恋愛、ホラー、日常。 小説、詩、エッセイ。 なんでも大歓迎でございます! 皆さまの咲かせたい花を、自由に咲かせて欲しいです🌸 期限は十月二十日となっております🙇‍♀️ ぜひぜひ、皆さまの花を愛でさせてください!

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宣伝─花のある物語─