茅川 百々花

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茅川 百々花

百合が好き。 本音を零すなら作家になりたい文字書きです。

雨に溶けた内緒話

「この事は内緒だから、絶対誰にも言わないで。」 私たちの距離、僅か0cm。 雨が降りしきる路地裏で、出会ってすぐに接吻をされ、名も知らぬ女性にとある口裏合わせを頼まれる。 「で、ですけど……こんな現場目撃しちゃったら私……」 言いながら、全身が震えるのを感じる。 「誰かにチクったら貴方も共犯なのよ?捕まりたいの?あたしは、なんの罪もない貴方を守るために口裏合わせをしてるの。」 「分かりました…。絶対に誰にも言いません。でも1つお願いがあります。」 せかせかと逃げる準備をしている彼女の後ろ影を見上げ、私は呟く。 「雨が止んだら、私のことは忘れてください。」 彼女はヒュッと息を飲み、 「そんなの分かってるわよ。唇、奪って悪か____」 「私はこの先、貴方の事をすぐに忘れることは難しいです。私にとって初めてのキスだったから。だけど、あなたが改心して、また私の元に現れてくれたら、隣にいさせて下さい。」 しまった、被せて言葉を言ってしまった。 「なによ、未練タラタラね。それは…告白に入るのかしら?」 彼女の頬は紅潮し、明らかにモジモジと体をくねらせている。 私は彼女に向かってはにかみ、 「内緒です。」 と、ドヤるように吐き捨てた。 今、私たちを包んでいるのは降りしきる雨だけ。

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雨に溶けた内緒話