双子と月
むかしむかし、はるか宇宙のそのまた先に仲の良い双子の星が住んでいました。
兄はカストル、弟はポルックスと言います。
ある晩、二人は地球を周る月について言い争いました。
兄のカストルは言いました。
「地球から見た月は、本当にきれいってうわさだよ」
弟のポルックスは言いました。
「あんな石ころがきれいだなんて、ウソに決まっているよ」
そこで二人は、北の空に静かに輝く、蒼いよだかの星に聞きました。
「よだかさん、よだかさん、地球から見た月は美しいのですか?」
よだかは答えました。
「ええ、天上から見た月とは天と地ほどの差があります。心を奪われるほど美しく、みんな月の下で眠るのです」
それを聞いた二人は、自分たちの目で確かめようと地球を目指しました。
月の横を通り過ぎる時、兄のカストルは言いました。
「あれれ、近くで見てもそんなにきれいじゃないや」
弟のポルックスは言いました。
「ほら、きっと月がきれいだなんてウソなんだよ」
二人は地球を目指します。
空をかける双子の星は燃えるように光り輝き、夜の地球は昼間のように明るくなったと言います。
地上に降り立った双子は、パッと月を見上げました。
目に飛び込んだ光景は、二人をあぜんとさせました。
明るく美しく輝く月面は、まるで黄金のようでした。
兄のカストルは言いました。
「なんてきれいなんだ。叶うならずっと見ていたい」
弟のポルックスは言いました。
「なんて優しい灯りだろう。ウソじゃなかったんだ」
心動いた双子の星は、毎晩こっそりと地上に降りるようになりました。
今でも、どこかの月明かりの下で仲良く眠っています。