夜咄頼麦@ねむり屋

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夜咄頼麦@ねむり屋

YouTubeで物語を書いたり詠んだりしています。 https://www.youtube.com/c/RyeNemuriya

双子と月

むかしむかし、はるか宇宙のそのまた先に仲の良い双子の星が住んでいました。 兄はカストル、弟はポルックスと言います。 ある晩、二人は地球を周る月について言い争いました。 兄のカストルは言いました。 「地球から見た月は、本当にきれいってうわさだよ」 弟のポルックスは言いました。 「あんな石ころがきれいだなんて、ウソに決まっているよ」 そこで二人は、北の空に静かに輝く、蒼いよだかの星に聞きました。 「よだかさん、よだかさん、地球から見た月は美しいのですか?」 よだかは答えました。 「ええ、天上から見た月とは天と地ほどの差があります。心を奪われるほど美しく、みんな月の下で眠るのです」 それを聞いた二人は、自分たちの目で確かめようと地球を目指しました。 月の横を通り過ぎる時、兄のカストルは言いました。 「あれれ、近くで見てもそんなにきれいじゃないや」 弟のポルックスは言いました。 「ほら、きっと月がきれいだなんてウソなんだよ」 二人は地球を目指します。 空をかける双子の星は燃えるように光り輝き、夜の地球は昼間のように明るくなったと言います。 地上に降り立った双子は、パッと月を見上げました。 目に飛び込んだ光景は、二人をあぜんとさせました。 明るく美しく輝く月面は、まるで黄金のようでした。 兄のカストルは言いました。 「なんてきれいなんだ。叶うならずっと見ていたい」 弟のポルックスは言いました。 「なんて優しい灯りだろう。ウソじゃなかったんだ」 心動いた双子の星は、毎晩こっそりと地上に降りるようになりました。 今でも、どこかの月明かりの下で仲良く眠っています。

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双子と月