透明
明るくなる。
大きな輪っかの中央から覗く
水たまりがきれいでも、
迷わず彼はレバーを横にする。
水たまりの少し上から2周程して
飛び込む水で、その透明は渦色に変わる。
不用意に動かない。
いや、どうすればいいのかわからない。
自分以外を気にすることもできない隙に
見えたり見えなくなったりしながら、
友はその渦の真ん中にのみこまれた。
友と一緒なら自分も
そうなっても怖くないと思えなかった。
生きることになんの価値があるのだろうと
ずっと思っていた。
でもその時、
まだ生きたいと思った。
渦は落ち着き、水たまりは透明になった。
僕の心が
透明の水たまりに
少しゆらゆらと反射した。