ガブ
229 件の小説ティータイム
セキララ・タイム情報局。 今日のお便りは、みいこさんからのお便りです。 私、みいこさんと友人と久しぶりに、ショッピングをしました。 ところが久しぶりに会った友人の服を見て、思いました。 「私は、男なのか女のかわかんない格好ばかりしているから、もう、いい加減大人っぽい服にしようか迷っています。」 「ところが、そんなある日、通りがかりの人にこう言われました。不快な目つきで、「太り過ぎだ」と言われて、しまいました。」 ショックでした。 別に、誰に迷惑かけた訳でもなく、何も悪いことしていないのに、暴言を吐かれるなんて、とんでもない人もいるんだと、けど、よくよく考えれば、私もこれまで、ダイエットは、何回も、試したけど、中々うまくいかず、どうすれば、ダイエットうまく行くんだろう?」 私も、ダイエットしては、いるんですけど中々、うまくいかず、かといってそのままじゃ駄目と思って、色々、試しはしているんですけどね。 朝、バナナは、やってはいるんですけどね。 今も継続中です。 もちろん、ファッションのことも、勉強中です。 何が、流行なのか。30代、40代のファッションなら、これがいい。あれがいいと。 私もこれから、ファッションの勉強だ。
本棚
今日、やっと、本棚が届いた。 嬉しい。 早速、組み立て開始。 今、思えば、色々と悩んだなぁ。 色とか、デザインとか、収納的に。 色は、元々、白って、決まっていたけど、 問題なのは、デザインと収納とどれだけ、入れるかを、迷っていて、2番目に気に入ったやつは、欲しいものリストに追加しといて、次の機会があったら、その時は、あの2番目のやつを選ぼう。 組み立て、完成。
メヌレット
第五章 友の裏切り あれから、彰司と幸子は、大学で、会っているみたいそうです。 「お疲れ様。」と幸子は、彰司に缶コーヒーを差し出す。 「彰司、コーヒーでいい?」 「うん、ありがとう。」 とお礼を言い、缶コーヒーを渡される。 一人の男子生徒が、話しかける。「そういえば、彰司って、佐々木幸子と如月愛の事どう思ってんの?」 「どうって?」 「二人の事は、その……友達と思っているよ。」 それを影で聞いた幸子はショックを受ける。 そして、そのバイトの帰りに彰司は、幸子と一緒に帰った。幸子も、シフトに入っていた。 彰司は、話そうとして振り向いたその時、幸子は、涙がぼろぼろでた。 「分かっているよ。彰司は、愛の事好きなんだよね?分かっている。それなのに、私、一人で勝手に舞い上がって、自惚れて…でも…友達でも、いいから、縁を切るとか言わないで……。」 彰司は、幸子を抱きしめた。 それから、彰司は、幸子とキスしながら、抱きしめ合った。 気がついたら、朝になった。 彰司は、愛に本当の事を話して、全てを言った。 「ごめんね。愛ちゃん。そういうわけだから。君とは、付き合えない。 「分かった。幸子を大切にしてね。」 「うん、ありがとう。」 その後、愛は、幸子に彰司の事を話したとたんに、幸子は、「ごめん!彰司先輩が愛と付き合い始めたって、いう事は、分かっていたの。」 「でも、愛が付き合っているのをわかっていながら、どうしても、自分の気持ちが抑えられなくてどうすることもできなかった。」 「本当にごめんなさい。」 「帰るね。」 幸子は、その場から去った。
薬-人生をリセットできる薬- その三
そして、夢子は、教室に入った。 夢子は、早速、席に座った。 すると「ねえ、そこの席、僕の席なんだけど。」三宅守に声をかけられる。 夢子は、席の立ち上がり、「ごめんなさい。」 「別に、謝る必要は、ないけど。席は、黒板に書いてある番号を見て。」 夢子は、落ち込む。 その矢先に、綾がいた。 夢子は、一瞬、「(なんで?)」と思った。 そして、教室が入ってきた。 「はーい。みんな席に座って。」 教師から、自己紹介をする。 「私は、山田みいこです。あなたたちのクラスの担任になる人よ。」 「(みいこ⁉︎猫の名前の人って、いるんだ。)」 「では、出席をとります。」 出席取った後、小テストだ。 勉強しておけば、よかった。 うまく行くかな? そうして、帰宅後。 綾に鉢合わせする。 「どうでしたか?」 「初の高校生活?」 「うーむ。うまくやって行くかは、自信ないけど、私も、リセットした気でいるんですけどね。」 「でも、綾さんどうして、あのクラスに?」 「僕は、あなたをサポートすることで、あのクラスにいます。」 「えっ⁉︎そうだったんですか?」 「という事は、他にも私以外な人って、いたりはするんでしょうか?」 「はい、います。」 「やっぱり、それほどの人って、いるんですか?」 「はい。」 「本当にリセットしたいって、思える人がいたら、おすすめします。」 「それでは、また、学校で。」と別れる。
薬-人生をリセットできる薬- その二
昨日、私は、不思議なサプリメント。 『リセット』という不思議なサプリメントを飲んだ。 目が覚めたら、20歳若返った。 そして、その後、インターホンが鳴る。 すると若い男性が、現れた。 「早速、リセットを試されましたね。」 「おめでとうございます。」 「私は、リセット開発部の夜明綾と申します。」綾は、早速、ダンボール2個を持ってきて、説明を始めた。 ◯◯高校のパンフレットを出した。 「では、園原さんには、この高校を通ってもらいます。もちろん、生活費も援助します。」 夢子は、なんか詐欺くさい。 「36歳でリストラされ、単発のバイトで食いつないでいる。」 「詐欺くさいって、思われても結構ですよ。」 「あなたには、早速、明日から、学校を通ってもらいます。」 私は、契約書をサインさせられたが、いっそ、高校生から、やり直そうか、私の人生を。 そして、私は、早速、サインして、その高校を通う事になった。 「(うわ、緊張してきた。)」 「(だって、30のおばさんが、また、高校通うんだよ。あり得ない。)」 そう、思った。 契約書にサインしちゃったし。 今さら、後戻りはできない。 ここは、やるきゃっない! クラスは、2-2 いざ、参ります。園原 夢子。 この2年を無にしないために、行きます。
薬-人生をリセットできる薬-
私は、園原 夢子36歳 この年でリストラだ。また、不採用の知らせだ。しばらくバイトで食いついでいる。 この年でリストラになって大ショックで、親にも言えず、けど、また、あの頃に戻りたい。 そう思い始めた。 そんな時、私のアパートで、不思議なサプリメントが届けて、あった。 紙には、「リセット」人生をやり直すのも、やり直さないもあなた次第。」 何これ?新手の詐欺? なんだかわかんないけど、いっそ、飲んじゃえば、いいか。と思った私は、早速、飲んだ。 何も、起きない。やっぱり、詐欺だ。 私も飲んじゃった。馬鹿だけど。まぁいっかとそのまま寝ちゃった。 そして、次の朝、私は、肌がいつのまにか、若返っていることに気づく。 自分でも、気づいて、「えっ!?これってどういうこと⁉︎」 しかも、20歳若返っている。 どういうこと⁉︎
薬
私は、ある持病を持っているため、薬を飲んでいます。 そのため、迷惑をかけている事もあります。 かといって、それ以上の事は、迷惑かけていません。 私も二度とその持病の発作を起こさないように、努力しています。 けれども、またいつ発作が起こるかとどきどきしています。
天国の復讐-もう一つの真実の復讐-
第七章−坂口 正彦− あの時は、下の娘がどうして荒れていたのか正直、わからなくなったんですよね。 変わったのは、娘達かもしれない。 娘達も娘達で私に気を遣っていたのかもしれないし、娘達は、心の何処かで、再婚した事が、気に入らなかったのかもしれないし、上の娘が亡くなってから、下の娘が荒れて、それまで、素直だった下の娘は、癇癪を起こして暴れるように、なった。まるで、珍しい獣みたいに、暴れていた。でも、まさか、うちの娘達が由里やかみさんに酷い扱いを受けていたなんて、全然、想像もしなかった。私もその事で、努力を怠ったのかもしれない。まさか下の娘に、復讐されるなんて、思わなかった。 その頃は、私は、妻が亡くなり、娘達もいてなんとかやっては、いたんですけど、そう、世良麗子さんに付き合っているとあの頃の自分の幸せになれると思って、結婚した。けどまさか、娘達が世良麗子と由里に、どう扱われているか、知らずに、 まずは、上の娘岳美が、麗子の事を拒絶したのが、ちょっと許せなくて、だから、つい、私は、思わず私は、手をあげてしまい、「お母さんになんてことをするんだ!お父さんは、お前を見損なったぞ!」と叱責をした。岳美は、そのまま、出てった。 そして、5年後、岳美は、犯人に乱暴され、自殺した。 犯人は、捕まったが、自殺した。通夜の時、優恵は、岳美から離れようとも、しなかった。上の娘の岳美が亡くなってからの下の娘が癇癪を持つようになり、私に反抗するようになり、暴れるようになった。 今、思えば、私に対する復讐だったのかもしれない。二言目には、「誰のせいで、お姉ちゃんが死んだと思ってんの?みんなあんたのせいだろが−!?」 「お姉ちゃんが殺されたのは、お前のせいだ!お前のせいだ!?」と叫ぶ。 それまで、私の事を「パパ」とか「お父さん」って、呼んでいたけど、岳美が亡くなってから、優恵は、お父さんの事を「クソオヤジ」「あんた」とか「この人」って、呼ぶようになった。 その日、優恵は、面接に行った日だ。 結果は駄目だったらしい。 優恵は、正彦の顔を見ないで、ふいと2皆に上がる。 優恵と話し合いをしたいと思って、優恵は思い悩んでいた。 「優恵、病院でも、行かない?」 「あんたって、マジで、死ねばいいのに。」 「誰のせいで、こうなったんだよ!」 「少しは、わかれよ!」 物を投げ始めて、暴れる。 「あんたが見栄はって、再婚しなければ、私は、馬鹿にされずに済んだ‼︎お姉ちゃんが殺されないで済んだんだ!少しは、反省して、わかれよ‼︎」 優恵は、暴れ続けた。 私が見栄? 私は、ただ、もう一度、幸せになりたかった。 お前たちには、良かれと思って、いたのに、なのに、どうして、こんな事になった。 優恵は、ひたすら暴れた。 「全部、お前のせいだ‼︎お前のせいだ‼︎クソオヤジ‼︎」 優恵の癇癪の原因……姉たちの劣等感、新しい母親との関係を持つ事、新しい家庭と新しい環境と自分に居場所をなくした事だ。 「やめてくれ……」 正彦の声など聞こえぬ様子で、優恵は両手を振り上げ、鉢を投げつける。薄手のカーテンの向こうから、ガラスが割れる鋭い音が響いた。頭の中が真っ白になり、からだがじわじわとフィルムに覆われている。 鉢植えは室内側に落ち、テーブルの脇と同様、窓辺の床の上にも、素焼きのかけらとある小石混じりの散らばった。白い壁紙にも土が飛んでいる。誰だ、こんなことをしたのは。 わたしの大切な宝物にキズをつけたのは。振り向くと、獣が立っていた。こちらを威嚇するように睨みつけている。だが、怖くもなんともない。 「許せない」 獣に向かいそう言うと、獣はあざけるような顔で正彦を罵ったが、獣の言葉など耳に入ってこなかった。何の反省していない顔に怒りが増すだけだ。 「許せない!」 もう一度叫ぶと、獣に駆け寄り、正面からつかみかかった。獣は一瞬、身を強ばらせたが、すぐに体勢を立て直し、大声で叫びながら手足をばたつかせて暴れ始めた。獣の伸びた爪が正彦の頬を引っ掻く。だが、身長も体重も、正彦の方が獣よりも大きい。 渾身の力を込めて、獣を床に押し倒し、その上に馬乗りになった。 「許さない、許さない、許さない!」 獣の両肩を押さえつけながら、正彦は声を張り上げる。悪いことなど何一つしていない。どうして上の娘が殺さなければならなかったのか。もう一度幸せになりたい。望んだことはただそれだけなのに、なぜ、こんな仕打ちを受けなければならない。いつまで耐えなければならない。 もう、解放してくれ。 「あんたなんか、いなくなればいい!」 私は、いつのまにか、獣の首を締め付けていた。 獣は、「うう」とうめき声を上げたが、正彦を覆う透明なフィルムはそのままの姿勢で固まりついた。 うめき声のようなものが聞こえるが、いつの間にか正彦が背を向けて優恵の上に乗り、首を絞めている。うめき声は優恵のものだ。 「おい!」 大声で呼びかけたが、正彦の背中はピクリとも動かない。 「おい、何やってんだよ!おい!」 何度呼びかけても正彦の反応はない。 優恵のうめき声が途切れがちになっていく。 いっそ、一一〇番通報した方がいい。 「おい!」 「あんた、自分の娘に何やってるんだ⁉︎」と真の声がする。 真の視線を追いながら振り返る。床の上に優恵が倒れ、えびのように背中を丸めてごほごほと咳き込む。「優恵、大丈夫か?」背中をさすってやろうと足を踏み出すと、優恵が両手で顔を覆った。 指の隙間から怯えるような目で正彦を見ている。こっちに来るなと全身で拒んでいるように見える。それから優恵は、部屋に入った。 それから、しばらくして、正彦は、優恵の部屋に行くと、ドアに鍵をかけてある。 「優恵。少しでもお父さんと話そう。」 優恵は、「私たち、殺しちゃえば………よかったね。」 私たちとは、岳美と自分のことだ。 でも、正彦は、これぽっちも思っていない。 「生きたって、何も良い事ひとつもなかった。」 「誰からも、必要とされてない。」 「そんな事ないぞ。」 「もうやだ‼︎聞きたくない‼︎」正彦は、励ましたつもりが返って優恵に嫌な気持ちにさせた。 それからして、一週間後、優恵は、いなくなった。 私は、その頃、きっと帰って来るとそう信じた。ところが、一ヶ月後、入辺康介さんという警察の人から、優恵が死んだ事が、わかった。 「こちらが、ラデル共和国の死亡診断書になります。」「お辛いでしょうが、お察し致します。」と康介は、頭を下げた。 遺体すら、確認できなかった。 私は、ショックだった。二人も実の娘を失ったのだから。 内心、やっと暴力と癇癪から、解放されて、ほっとしたのかもしれない。 ーそれから、15年後ー あの子が生きていた事なんて知らなかった。あれは、パーティーの日。 真海 朱美さんと言う方が私達夫婦だけでなく、神楽坂さん夫婦に由里に入辺さん夫婦を招待された時、驚いた。 悠馬くんは、仕事で、トラブルがあって、行かれなかった。 清は、「真海さんどうして、このメンバーを?」と理由を聞くと、朱美は、「私がご友人になりたいと思う方々にお声を掛けさせていただきました。」 「何か、不都合でも?」と聞くと、清は、「いや、何も。」 麗子も、「楽しいパーティーになりそうですね。」康介も「ああ、ホントに。」横で真理亜も「とっても。」 そのメンバーが、優恵が復讐する相手とも知らずに。 そして、あの夜、私は、真海さんに呼ばれて、食事会に行った。さらに、入辺夫妻と悠馬くんまでもだった。 朱美は、アンティークワゴンをひいて、紹興酒を運んできた。 「紹興酒でいいですか?」 真理亜は、立ち上がり、「真海さん、私がつぎます。」 朱美は、「いえいえ、お座りになってください。」 「ありがとうございます。」 朱美は、紹興酒をグラスに、注ぐ。 まずは、真理亜に、「どうぞ。」「ありがとうございます。」 康介に「どうぞ。」 朱美は、笑顔に「楽しい食事会になりそうですわ。」 真理亜は「とっても。」 朱美は、紹興酒の入ったグラスを持って「では、乾杯でもしましょうか。」 康介は、先に始めようとしたが、真理亜は、「せっかくだから 待ちましょうよ。ねえ?」 康介は、「今日は、われわれだけじゃなかったんですね。」 「どうして、彼らを?」 土谷が、現れ、「すいません。お客さまが到着されました。」 そして、かつて好きだった姉の元恋人の盤台悠馬とかつて父だった坂口正彦だ。 「呼んでいただき、ありがとうございます。」と悠馬は、挨拶する。 「私も、呼んでいただいて、ありがとうございます。」 すると悠馬は「ずっと、お会いしたいと思っていたので、隆志さんから、連絡を頂いたときホントにうれしかったです。」 朱美は歓迎し「いえ、こちらこそ、お越しいただきありがとうございます。」 悠馬と朱美は、お互いにお辞儀をする。 「先日は、妻がお世話になりました。」 「盤台悠馬と申します。」 「初めまして。」 悠馬と正彦は、席に座り、二人に紹興酒の入ったグラスを「どうぞ。」と二人に差し出す。 「ありがとうございます。」 正彦も「ありがとうございます。」 朱美は、「それでは改めまして、乾杯。」 全員グラスを持った。 入辺夫婦は「乾杯。」 全員紹興酒を飲んだ。 そうして、お互いに、夫婦の事を話し合いをした。 真理亜は、「お風呂掃除するんですか!?」悠馬は、「はい。僕は、たまにトイレ掃除もやるんです。」 「実を言うとうちの妻、家事苦手なんです。」 「料理の方はするんですけど、料理教室にも通ってるんですけどね。」 「そうなんですか!?」 「盤台由里さんが?」 「何てこと!ねえ?」 横にいた康介は、「そうだな。」 真理亜は、ショウロンポーを見て、「まあ ショウロンポー。」と興奮した。 「私、ショウロンポーに目がないの。いただきます。」 「あっつ…あっつい。」 「ねぇ。ねえ、真海さん。」 「これ、あっつあつのうちに食べないと駄目。」 「今が食べ時。すっごく、おいしいから。」と真理亜に勧められる。 「ありがとうございます。」と朱美は、お礼を言い、ショウロンポーを食べる。 「本当。とても美味しいですね。」 真理亜は、「ねえ。」 朱美は口にナプキンを当てながら、「すいません。少し、酔ってしまったみたいで。」 「夜風に当たってきます。失礼。」と席を立つ。 真理亜は「いってらっしゃい。」 悠馬は、そんな、朱美が気になる。 それからして、悠馬は、仕事が残っているからと言って帰った。 そこで、正彦は朱美に家族の事を質問した。 「失礼ですが、真海さんはご家族は?」 朱美は、口を開き、「私の家族ですか?」「私の家族は、両親と姉がいました。」「今、真海さんの家族は?」 「母は、私が13の時に亡くなって、その後、姉と父親と私だけで、3人で、それだけでも、幸せでした。ところがそんなある日、父親は、私と姉を置き去りにするかのようにある女性と駆け落ちしました。」 「そうでしたか。」 「それからは、姉と施設で暮らし、姉と2人きりで暮らしました。ところが、その姉は、20歳の時に、亡くなりました。それから私は、苦労の連続で、やっとここまで、やってこれたって、わけです。」 「そうでしたか。それは、余程、苦労されたんですね。」 横で真理亜は、「ねえ。」 「苦労は、みんなありますからね。」と朱美は言う。 それから、次の朝、あるヤクザの人が私たちを襲ってきた。 私と由里と悠馬くんは、マフィアたちに、取り押さえられる。 「グッドモーニング!麗子さん!」 「何してんのよ!」と怒声あげるが、ダニー・ウォンという中国のヤクザが現れた。 「自己去找吧」 「剩下的事情交给我来处理。」 ダニーは腕時計を見て「三点钟」「如果我们三点前没能到达、我会把你可爱的女儿、她的丈夫,还有她的丈夫都喂鱼。」 さらに、孫の悠希まで、手を出そうとしている。 「おはよう。」と悠希は声をかけるが、ダニーに抱っこされる。 「おはよう 悠希くん。」 悠希は、「誰?」 「おじさんはね…。」 「おばあちゃんのお・と・も・だ・ち。」 麗子は説明する。 「香港から来たダニー・ウォンさん。」 「おばあちゃんの知り合いよ。」 ダニーは、悠希に「一緒に朝ごはん 食べよう。」 「悠希!」と由里は声をあげるが、ヤクザたちに取り押さえられてしまう。 「3時までに、おばあちゃん 帰ってこなかったらお魚さんに餌やりに行こっか。」 「どこに魚いるの?」と悠希が聞くとダニーは、麗子を睨みながら、「いっぱい いるよ。」 幸い、ダニーは帰ったが、さらに真から以外な真実を知ることに、そんな時、麗子の実の息子の真が現れた。 由里は「兄さん、どうして?」 麗子は「何よ!あんたこんなところにノコノコ来てんのよ!」 真は「この際、何から、話そうか。」 「15年前の真実?それともこの家で過ごした事?よし、15年前の事件の話しをしよう。」 真はそのまま話し続けた。 「15年前、岳美の強姦事件の日、あれは、岳美が悠馬さんに会いに行こうとした日だ。」 「あの日、岳美は、悠馬さんに会いに行こうとした時、由里が神楽坂達に金で岳美を襲わせるように命じて、そして岳美を襲った。いかにも、自殺に追い込んで殺したんだ。」 由里は「兄さん⁉︎今頃何を言うの!」 正彦は「そうだ。今頃何を言うだ。」 真は、「一体、いつまで見て見ぬふりを続けるつもりだ⁉︎」 「岳美や優恵がどんな思いでいたのか、知りもしないくせに!」 「あの頃、岳美や優恵が2人がどんなにいじめられて何から何まで奪われて人生を送って死んでいったんだ⁉︎」 「俺たち、3人は、冷たい屋根裏部屋でずーっと泣いていたんだ!」 今度は、真は嗚咽ながら、「この家で、この人と由里とあなたが3人で笑っている間に⁉︎あなたが笑っている間に⁉︎」 麗子は「真、なんて事を言うの⁉︎しかも、こんな時に⁉︎」 口を挟むかのように由里も「そうよ!何で今更、岳美姉さんや優恵のことを話すのよ⁉︎」 「一つ、忠告してやる。優恵は生きている。あんたたちに復讐する機会を狙っている。」 「確かに忠告はした。精々、気を付けろ。」 真は家を出る。 正彦と悠馬はそれぞれ、部屋に行く。 麗子は正彦を追いかける。 由里はかなり、動揺している。 ベストパートナー賞では、突然、妻の麗子の過去について記者達が、「世良さん!」「香港マフィアと関係しているというのは本当ですか?」「香港のショーン・リー一家失踪事件は世良さんが犯人だという早堀り記事が出ているようなんですが、世良さんはショーンさんの付き人でしたよね?」「どういうことですか?」「何があったの説明してください。」とマスコミが騒ぎ始めた。 悠馬くんはマスコミの前で、お辞儀し、「僕たちは、今日限りで、離婚します。」と一言言って、去った。隣にいる由里は驚愕する。 そして、その事は、清と康介は知っていた。 そして、私と麗子は、見知らぬ男達に、拉致される。 監禁された場所は、倉庫みたいなところだった。私も麗子も知らない男達に、別の場所で拷問され、水をかけられる。 その姿を見た朱美は、かつて自分が痛ぶられていたことを思い出す。 「やめてくれ!」 朱美はこっそり見ていた。 そうして、何時間も閉じ込められていた。 そこに食事をしている朱美がいた。 「優恵!」 「優恵!助けてくれよ!お父さん死んじゃうよ!」「知ってますよ。」 「だって、しゃべるのもつらいですよね。」 「空腹ほど つらいものはない。」 「餓死ほど恐ろしいことはないです。」 「私も…それを嫌というほど経験しました。」 「お父さんは何もしていない。」 「わかってますよ。」 「あなたは、坂口岳美、坂口優恵が世良麗子、盤台由里にいじめられているにも関わらず、それすら、あなたは見てみぬふりした。挙げ句の果て、そんな彼女達を叱り、見捨てた。」 「その結果が、坂口岳美は、盤台由里の手によって、神楽坂清、吉岡靖と一緒に坂口岳美をレイプしたそんなことも、わからないで、あなたは、実の娘を死に追いやった。」 「さらに、世良麗子は、入辺康介と一緒に、坂口優恵を異国の牢獄に突き出した。」 「あなたはそんなことも知らずに坂口優恵も殺したんです。」 「だけど…お父さんは、お前に何一つ悪いことしてないって!」 朱美は、フォークとナイフを持ちながら、テーブルをバン!と叩く。 「それが一番、悪質なんだよ。」 「挙げ句の果て、邪魔な人間をつぶしておきながら自分は罪の意識さえ感じることなく、後悔や罪悪感から逃れて平然と生きる。」 「自分の手は一切汚さない。」 「それが最も残酷です。」 「だから、私の復讐も全て他人任せです。」 「ご安心ください。」 「簡単に殺したりしません。」 そうして、朱美は、ナプキンを口を拭き、「ごちそうさま。」と立ち去る。 そこで、天野とヤクザの二人組が入ってきた。 「お食事をご用意しました。」 正彦は、立ち上がり、天野の持っているパンとスープののっているトレイを手に取ろうとすると「いや いや いや。タダというわけには。」と引き下がる。 「あなたもよくご存知でしょう。」 「何をするにもお金ですよ。」 「ちょっと、待ってください。お金なんて、持っていません。」と正彦は戸惑うが天野は、ベッドパッドをチラッと見て、「あなたにご融資した4千万円です。」 正彦は一万円札を出すが、天野は、「足りません。」「これでは、足りません。」 「値段は、真海さんから、厳しく言いつけられていますから。」 正彦は「いくらですか?」 天野は「パンとスープのセットで、一千万円です。」 「ご納得がいただけないようでしたら、そのお札でも召し上がってください。じゃあ。」と天野は、引き下がる。 正彦は一千万円札束を持って、「ください!ください‼︎」 その頃、麗子は、別の場所で監禁され、水をかけられ、痛ぶられていた。 清も同じ事をされ、康介のところでは、元愛人だった瑠璃に安藤完治の事を捜査会議で、告発され、入辺家は、奥さんの真理亜さんは毒死して康介さんは、精神崩壊されていたらしい。 そして、一カ月が立ち、清と麗子と正彦は、袋を被され、どこかに移動される。 横で清「水やめてください。」と何回も言っていた。 そして、着いたところは、真海邸だった。 正彦と麗子と由里と清だけは、結束バンドで手を縛られていた。 そして、悠馬くんが、来た。 悠馬は別荘に入り、中は灯油の匂いがし床に灯油が撒き散らしてあった。清と由里と正彦夫婦は手足を縛られていた。 朱美は立ち上がり、「悠馬さん。」「お待ちしておりました。」 由里は「悠馬さん 逃げて!」と叫んだ。 朱美は「どうぞ こちらに お座りください。」 麗子は「この子は私たち道連れにして死ぬつもりよ。」 朱美は「すいません。」「長い旅が終わりを盛大に祝おうと思いまして、少々 派手な仕掛けを用意させていただきました。」 由里は「早く!」と叫んだ。 朱美は「いいんですか?」「ご家族と友人を見殺しにしても。」 朱美はマッチに火をつけて、キャンドルに火をつけた。 清は「悠馬、座れって!」と叫ぶ。 由里は「逃げて!」と叫ぶ。 正彦夫婦も「逃げるんだ!逃げて!」と叫ぶ。 悠馬は動揺するが大人しく座った。 朱美はワイングラスを持って「これで全員揃いましたね。」「それでは最後の晩餐会を始めましょう。」「乾杯。」と1人だけワインを飲む。 悠馬は「もう やめようよ。こんなのバカげてるよ。」 朱美は「宴はまだ これからです。」 「まずは この余興をお楽しみください。」 15年前、坂口正彦が世良麗子と婚約した時の映像だった。 私に、対する嫌がらせか? その頃、昔、幼い坂口岳美も坂口優恵も笑顔でいた。 朱美はその頃の自分の容姿を見て「誰ですか?この以下にも頭が悪そうなブサイク女は。」 「こういう人間にだけはなりたくないわ。」 悠馬と正彦は、涙が出ていた。 朱美は呆れている。 「人に騙されるのが目に見えてる。そのくせ、馬鹿でお人好しで。」 「でも、父親の幸せを祈ってて本当に幸せそうね。」 清は「何なだよ?あんた。」 朱美は清に質問し始めた。 「神楽坂さん。坂口由里に坂口岳美を襲わせるように命じられた時、守尾裕一郎に罪を着せた時どんな気持ちでしたか?」 清は「どんな気持ちって俺は、由里に金で命令されて、唆されて仕方なく吉岡と一緒に岳美を襲った。ところが、裕一郎の奴が怖気ついたせいか、自首した方がいいって言われてどうするかって吉岡と一緒に考えてあいつを冤罪に仕立てあげた。」 正彦と悠馬は驚愕した。 朱美は今度は由里に質問した。 「盤台由里さん。坂口岳美が自殺に追い込んで死んだ時、あなたは、いったい どんな気持ちでしたか?」 麗子は「やめなさい!そんなのこの子には関係ないでしょう!」 朱美は「私は、由里さんに話してるんです。」 由里は「焦ったけど…。正直、いなくなってほっとしたわよ。邪魔な岳美姉さんも優恵もいなくなって、これで悠馬さんは私のものだって。」 由里の本音を聞いて正彦は、唖然とした。 次に麗子に「世良麗子さん。あなたは坂口 岳美と坂口優恵を家族として迎えたとき、彼女たちを祝福した言葉は、嘘だったんですか?坂口岳美を自殺に追い込んで死なせて、坂口優恵を男の人たちに拉致して追い出した時、どんなお気持ちでしたか?」 すると麗子は「知らないわよ。そんなこと!どうなったていいわよ!」 隣にいた正彦は驚いて、麗子を睨みつける。 麗子は、しゃぐりと「違うのよ。あなた、ちょっと興奮しただけよ。」と言い訳した。 次に正彦に「坂口正彦さんは実の娘達がどう扱われていた今の話を聞いてどう思われましたか?」 正彦は「私は…今まで何も見えてなかったし、信じられなかった。今の話を全て聞いて真からも聞いて娘達がこれまでどう扱われていたのか知らずに…岳美がどんな酷い目に遭わせられたのかも知らずちゃんと生きているお前がどんな目に遭わされたかも知らず…。 優恵、許してくれ。」 「坂口岳美の無残な死体を見て、どう思われましたか?」 「私は、言葉に出なかった。あんな無惨な姿を見て…。」 と頭を下げる。 朱美は呆れたかのように「裕福なお金持ちの家にくすぶっていた見えない嫉妬で、とんでもないことになってしまいましたね。」 とワインを飲む。 清「俺さ、ぶっちゃけいうけど、あんたがどんな目に遭ったか知らねえけど、こっちだって15年間必死こいて やってきたんだよ!」「あんたのしみったれた恨みなんか 知ったこっちゃねえんだよ!」「悪かったな、思い出さなくて」と叫んだ。 横で由里は「みんな 無理矢理 忘れようとしたんだから。」 横で悠馬は涙ボロボロと泣く。 由里は「もういいわよ。」「好きにして。」「悠馬さん 関係ないでしょ。」 「ねえ、悠馬さんだけでも助けてやりなさいよ!」 横で悠馬は「由里。」「優恵ちゃん、これで終わりにしようよ。」 正彦も「優恵。もうやめなさい。」 朱美は4人の結束バンドを切った。「これで 私の計画は全て終わりです。」 「どうぞ お引き取りください。」 と言い、坂口夫婦、清、盤台夫婦は引き下がるかのように、出て行った。 そして、朱美は、自分の家を火をつけた。 ぼっと、火が燃え上がった。 辺りは、火の海に、なった。 「優恵ちゃん!」「優恵!」 と正彦と悠馬は、叫んだ。とっさに助けに行こうとしたが、麗子と由里と清に止められ、真は、とっさに、飛び込んで助けに行った。 その頃、リュウと土谷はバイクで真海邸に向かおうとしたが、真海邸は、すでに火事になっていた。 土谷は「真海さん!」と叫んだ。 その後、テレビのニュースでは、『真海 朱美 復讐劇に終止符』と話題が取り上げられている。『真海 朱美 坂口 優恵の復讐劇は死者3名の他 元警視庁刑事部長 入辺 康介 人気舞台女優 世良 麗子 グローバル会社経営管理室長 盤台 由里 神楽坂エステート社長 神楽坂 清 4名の逮捕者を出す…。』 それからは、嫌がらせやら、天野さんという人からの取り立てやら、毎日が辛かった。 さらに、私は、大学を追われる羽目になり、慣れない職場でも、噂が広がっていた。 「最近、入ったばかりの坂口さん。」「再婚相手に実の娘をレイプして、自殺に追い込んで殺したんですって、」 「挙げ句の果て、何の罪のないもう下の1人の娘を冤罪で殺しただって。」 「それって、殺人罪にならないかしら?」 「怖いわね。」 「うちにも、娘は、いるけど、冤罪で殺されたら、たまったもんじゃないよ。」 何処行っても悪い噂が広がるばかりだ。 優恵、これがお父さんに対する復讐だったのか? あの子は、私の事嘲笑っているんだ。 岳美…優恵…許してくれ……。 けれども、あの子は、一生、お父さんの事を許さないだろう。 これは、ある復讐物語が語る人々の話しである。
回転寿司
今日は、たまには、回転寿司だ。 何食べよっかなぁ。 まぐろ、いか、たこ、サーモン、いくらかな? 期間限定のもどっちも捨てがたいなぁ。
天国の復讐−もう一つの真実の復讐−
第六章−神楽坂 瑠璃− 23年前、私が彼と出会ったのは、私の店で、私は、その頃、ホステスで、彼は警察署長だった。私は、彼の愛人関係になって、そうして、私は彼の子供を授かったけど、切迫早産で産まれたけど、あの子は、息していなくて、死んだかと思って、ショックだった。まさか、あの子が、生きているなんて思いもよらなかった。 でも、彼女に出会えて、いなかったら、今頃、生きているあの子に会えて、いなかったと思う。 そう、私が、彼と会ったのは、あの日は、とある土地開発プロジェクトの地鎮祭に、夫と一緒に出席した。 そこで、政治家の木島義国とつながりを持つ夫は、次の国有地の取引を有利に運ぼうとしている。 そんな時、彼から、連絡があった。 「もう、近づくなと言っていませんでしたか?」 「すまない。一つ伝えておきたいことがある。」 「真海という女についてだ。」 彼は、彼女真海さんの事を調べていたのです。 「彼女は、1年前に上海で、投資会社を立ち上げた。」 「運用資金はおよそ、4,000億円。」 「だが、それまで、どこで何をしていたのかが、まったく分かっていない。」 「そんな女が、どうして、あの別荘を買ったんだ?」 「何であの場所に、俺たちを呼んだんだ?」 「あの女には、もう近づくな。」 「わかりました。」 その矢先に、真海さんが現れた。 「真海さんどうして…。」 「この前、パーティーのときに、こちらの地鎮祭に参加されると聞いておりましたので。」 「すみません。主人は、さっき出てしまいました。」 「実は、テナントを探していまして、その件で、相談に乗っていただきたいと思っていたのですが。」 「お店でも出すんですか?」てっきり、彼女がお店を出すんじゃないかと、思った。 「私ではなく、彼です。」 そして、彼女は彼を紹介した。 「あちらは、安藤 完治さん。」 「アパレルブランドを立ち上げようとしている実業家です。」 「安藤完治です。初めまして。」 「とても素晴らしいビジョンをお持ちの若者です。」 「私も、早速、出資を決めました。」 そして、真海さんは、私を紹介した。 「こちらは、神楽坂エステート社長神楽坂清さんの奥さまです。」 「神楽坂の家内です。」 「そうでしたか。」 「すごく、お綺麗な方だから、てっきり、モデルさんか、芸能人の方かと思いました。」 「そんな…。」 彼は、私の名前を聞く。 「お名前は?」 一瞬、えっと声をあげる。 「神楽坂さんの奥さまではなくて、あなたのお名前は?」 「瑠璃です。」 「瑠璃さん。」 朱美は、「よかったら、今後、安藤さんのお力になってあげてください。」 「レディースブランドの立ち上げも考えてるようなので。」 「瑠璃さんのような方にお話を伺えるとすごく助かります。」 「お願いします!」と彼は私に頭を下げる。 けど、私は、一瞬、遠慮してしまい「いえ、私は…。」 「そうだ、もしよかったら、今から、うちへいらっしゃいませんか?」 「これから、安藤さんとランチミーティングをしますので。」 「前回、おもてなしできなかったので、もう一度、来ていただけると嬉しいです。」と真海さんに誘われるが、断ろうとしょうとしたけど、横で、彼に「ぜひ、僕からもお願いします!」とお願いされてしまう。けど、結局、断れなかった。 また、あの別荘に行かなきゃ行けないの? 死んだあの子の場所へ。 そうして、私は、ランチに誘われた。 あの別荘に行った。 隣で、彼は、契約書にサインを書いた。 朱美は、確認した。「確かに。」「それでは、こちらにもご記入、お願いします。」 彼は喜んで、「わかりました。」とサインした。 私は、あの時の慰霊碑を見て、思い出していた。 「せめて、あの慰霊碑のそばに……」 朱美は、「期待していますよ。」と一言言った。 完治は、「ありがとうございます。」 「すいません、商談に付き合わせるような形になってしまいまして。」 瑠璃は、「いえ…お気になさらず。」 今日の瑠璃は、少し調子が良さそうである。 そんな瑠璃に心配する朱美は、「今日は、お体の調子もよさそうですね。」 「前回、会食のとき、途中でお帰りになられたので、少し、心配してたんですよ。」 「すいませんでした。ご迷惑、お掛けして。」と瑠璃は謝る。 横で、完治は、「瑠璃さん、どこか、具合が悪かったんですか?」と尋ねる。 「いえ、そんなことないです。」 完治は、不安そうに「もしかして、無理して、来てもらっちゃいましたか?」「すいません。」と謝る。 瑠璃は、「ホントに大丈夫ですから。」 完治は、その場で立ち上がる。「でも、来てくれて、ありがとうございます!」 瑠璃は、ほっとしたかのように笑った。 「やっと笑ってくれましたね。」 一瞬瑠璃は、えっと声をあげる。 「いや。何か、ずっと元気がなかったので。」 完治は、紅茶を飲む。 横で朱美は、初めて瑠璃の元気な顔を見た。 「私も初めて見ましたよ。瑠璃さんが笑ってるところ。」 「瑠璃さん、これからも、どうか、安藤さんのお力になってあげてくださいね。」 「よろしくお願いします!」と完治はお願いする。 そうして、商談が終わり、瑠璃は、完治と一緒に帰る。 「でも、お若いのに、すごいですよね。」 「ブランド、立ち上げようなんて。」 「いえいえ。全然ですよ。」 完治は、石段を払い、「どうぞ。」と瑠璃に、かけるように、言った。 そうして、瑠璃は石段に腰をかける。 そこで、完治は、話始める。 「僕…昔、親に捨てられて、施設にいたんすよ。」 「いや、そのころって、自分の好きな服とか買ってもらえなくて、寄付してもらったものとかお下がりとかばっかり、だったんです。」 「だから、五日、絶対に自分の服を作りたいって、思うようになりました。」 「そうだったんですか。」 「まあ、今は、出資者を探して、資金を集めることだけで、いっぱいいっぱいで、全然、軌道には、乗ってないんですけど。」 「よかったら、主人に相談してみましょっか。」 えっと完治は声をあげる。 「出資できるかどうか。」 「ホントですか?」 「真海さんのご紹介なら、主人も話を聞いてくれると思うし、出資は難しくても、テナントの相談とか、色々、力になってくれるかもしれないし。」 「それに…。」 「安藤さんの夢が、かなったらうれしいなって思ったから。」 完治は、喜んで、「ありがとうございます。」「ホントに、ありがとうございます!」と頭をさげる。 その頃、完治は、天野に借金をしていた。瑠璃は、その事を知らなかった。 「今月分の返済だ。」とお金の入ってある封筒を天野に渡す。 「これで、半分返したよな?」 「利子っていうものを知らないんですか?」と天野は口を開くが、天野は、「まだ、72%残っています。」 「そんなのすぐに返してやるよ。」 「でしたら、今すぐ、お願いします。」 完治の背後には、取り立て屋のふたりが、完治の手を取り押さえ、火をつけようとする。 「返してくださいよ。ほら。」 その頃、朱美は、例の契約書を土谷に渡す。土谷は、「大丈夫ですか?」「実績もない若者に出資などされて。」と心配するが、朱美は、「私がだまされてるとでも言うの?」 土谷は「いえ。」 「ただ、私にはあまり、筋のよい人間とは思えませんでしたが。」 朱美は、テラスのドアを開ける。「いいや。」 「彼は、私にとって、なくてはならない存在なのだから。」 完治は、「必ず返しますから。半端ない金づる見つけたんで。」と天野に言う。 朱美は、「私のために、生まれてきた人間よ。」と慰霊碑を見る。 そして、次の夜の事、瑠璃と完治は、真海邸に来ていた。 瑠璃は清に電話をしたが、仕事で遅くなると連絡されたそうです。 「すみません。仕事でトラブルがあったみたいで、もうすぐ着くみたいです。」 「気にしないでください。」 「神楽坂さんにも、賛同していただけるといいいですね。」 「なんだか、緊張してきちゃいました。」と完治はシャンパンを飲み干す。 「大丈夫。真海さんがいるんだし、私も、フォローしますから。」とご機嫌に言う。 ドアの音が聞こえ、「神楽坂さまが、いらっしゃいました。」 清が入って来た。 朱美は「お忙しいところ、わざわざありがとうございます。」とお礼を言う。 「いえ…遅れてしまってすいません。」と謝る。 瑠璃は、清に完治を紹介する。 「あなた、こちらがお話ししていた安藤さん。」 「初めまして!安藤完治です!」 「神楽坂です。」 「今日はね安藤さんの事業計画をあなたにも聞いてもらいたいと…。」と説明するが、清は、何も聞かずに「残念ですけど、お力になることは、できません。」と断る。 完治は残念そうになるが、瑠璃は、「ちょっと…話も聞かないうちにそんな言い方…。」 「だから、無理だっつってんじゃん。」と断る。 完治はソファに座る。 朱美は、「どうかされましたか?神楽坂さん。」「何か、仕事でトラブルがあったと…。」 清は、「いや…大したことじゃないんですけど。」「すいません。」と頭をさげる。 「もしかして……」と今度は、小声で、「世良麗子さんの件ですか?」と言う。清は、目を丸くする。 その頃、先に帰った瑠璃と完治は、昨日いた場所にいた。 「ごめんなさい。力になれなくて。」と謝る。 「いえいえ。瑠璃さんとお話しできただけでも、来たかいがあります。」 瑠璃は、バッグから、スマホを出す。 「インスタ、見ましたよ。服の試作品とかの。」 「ありがとうございます。」 「これ、全部、自分で作ってるんですよね?」 「まあ。」 「すごいですよね。」 「いえいえ。」 「私は、これは一番いいと思いました。」 「ホントですか⁉︎これ、僕も一番好きなんですよ。」 「このプリーツの切り替えが気に入ってるんです。」「可愛くないですか?」 「カワイイ。」スマホを取って、操作しながら、「あとは、このバッグプリントのロゴデザインが気に入ってるんです。」 「頑張れるといいね。」 「はい!」 その夜、瑠璃は、いつものように不貞行為をしていた。完治の事を考えていた。 牛田は、「しゃあ、きた!」と声をあげた。 瑠璃は着替えながら、えっと声をあげた。 牛田は、「ベルが跳ね上がってんすよ。」 瑠璃は、疑問を思うかのよう「ベル?」 「ベルコイン。仮想通貨ですよ。」 「ヤバいっすよ これ、マジで。」 「一晩で、5倍、いっちゃうこともありますから。」瑠璃は、牛田に「ねえ、それって、どうやるの?」と聞くと瑠璃は、早速牛田に教えた通りにやった。 朱美は、瑠璃が、ベルコインをやっていることも知っている。 「ベルコインに売り注文よ。」 「私の持っているコインを階段的に全て売ってちょうだい。」 「徹底的に売り浴びせて。」 土谷は「よろしいのですか?まだ、値上がりしそうですが。」 「もうけたいんじゃないのよ。」 「私は…楽しみたいんだ。」とワインを飲む。 瑠璃は、今朝のベルコインの事で気になる。清は玄関前で、「寝てないの?」 瑠璃は、「ううん、大丈夫。」と言う。「いってらっしゃい!」 清は、仕事に出かける。 エプロンのポケットから、スマホを取り出し、昨日のベルコインを見ると、下がっている。 スマホのニュースによると『ベルコインが大暴落!下落の原因と今後の予想は?』 瑠璃はショックを受けてしまう。 そして、その夜、瑠璃は、康介を呼び出す。 「おい…何なんだよ。」 「あなたしかいないの。」 康介は、隣に座る。 「どうしたんだ?」 「お金を貸してほしいの。」 突然、何を言い出すのかと思いきやと思った。 「300万円。」 「他に頼める人がいないの。」 康介は、立ち上がり、帰ろうとすると瑠璃は、腕を掴み、「お願いします!」と頼むが、もう一度頼む。「お願いします。」 そうして瑠璃は自宅から帰ろうとすると清の靴があって、靴を揃える。 瑠璃は、「ただいま。」「珍しいね。こんなに早いの。」 清は、リビングで、煙草を吸ってスマホを見ていた。 「すぐ、ご飯、作るね。」と言い、キッチンに立つ。清は「今日さ、家の口座から1,000万、出金したろ。」 「入金先は、仮想通貨の取引所。」 「ごめんなさい。」 「ちょっと、興味があってやってみたんだけど、やっぱり、私には、向いてなかったみい。」 「すぐに、戻しとくね。」 清は、煙草の吸い殻を押し付ける。「負けたんじゃねーの?」 瑠璃は調理しながら、えっと言うが、「それで慌てて借りたんだろ?」 清はウイスキーの入っているコップをテーブルに置き、瑠璃のバッグから、お金を出す。 「入辺康介に。」 「出金記録、見つけたから、牛田お前のあと、つけさせたんだよ。」 「泣きついたんか、昔の愛人に。」 「知ってたよ。」 「あのクソ政治家にお前と結婚させられたとき、過去のこと調べたから。」 「お前にとって俺のことなんて、どうでもよかったんだろうけど、俺にとっても、お前のことなんて、どうでもよかったんだよね。」 瑠璃は「違います。」と否定するが、清は、きょとんとして、瑠璃は「私は、あなたのことを愛そうとしていました。」「幸せな夫婦になろうと努力していました。」 清は、ウイスキーの入っているコップを床に投げつける。 「そういうのいらねんだわ!」 瑠璃は、ウイスキーを拭き始める。 「なあ、別に、お前が、誰と、何処で、何しようが、気にしねえよ。」 「若い男、集めて、うちのマンションで楽しんでのも気にしねえし。」 「つうかあれは、もともと、カラッカラに干し上がったお前を潤してやろうと思って、俺が牛田に頼んだんだけどな。」 「この金は、お前が、元愛人から貢いでもらった金だから、好きに使いなよ。」 お金を叩きつける。 「でもよ…。」 「二度と俺の金に、手を出すんじゃねーぞ この野郎!」と怒鳴る。 瑠璃は耐えられず、お金を持って、出て行く。 表には、牛田がいた。 「瑠璃さん…。」 瑠璃はそのまま行き、エレベーターですすり泣く。 瑠璃のスマホが鳴る。 清は、スマホをいじる。 「失礼します。」と牛田が入る。 清は、スマホのニュースで、『世良麗子と盤台夫婦は、五葉不動産のCMが決定する』ということが決まったことを知った。 牛田は、散らばっているコップの破片を拾い始める。 清は、牛田に「牛田さ、香港行ってくんない?」と頼む。 「はい?香港ですか?」 「世良麗子の……あの世良麗子の過去、徹底的に調べて。」 「特に、裏社会とのつながり。」 その頃、瑠璃は、完治とバーで会っていた。 「これ…使って。」と康介に借りた300万円を完治に渡す。 完治は「受け取れません。」と断る。 「何で?」 「だって、瑠璃さん、泣いてたでしょ?」 「何か無理したんじゃないですか?これ。」 「こんな大事なお金使えないですよ。」 「無理したいの。」 「安藤君のために。」 「それが、今の私にとって一番の幸せだから。」 完治は、そのお金を返して、瑠璃の手を握る。 「瑠璃さん…。」二人は見つめ合う。 朱美は、外で、紅茶を飲んでいた。帰って来たリュウは、朱美に報告する。 「無事に、安藤完治と神楽坂瑠璃がつながりました。」 「そう。」 「思いの外、早かったね。」 「どうして、あの男を?」と聞くと朱美は、「昔、この家で生まれた赤ちゃんがいた。」 「警察幹部と愛人の間に生まれたその赤ちゃんは、残念ながら死産でね 庭に埋められてしまった。」 「女の人は嘆き悲しんだ。」 「男の事を愛していたから 彼の子供がどうしても欲しかったんだろうね。」 「そんな中、警察幹部の男は、すぐに本妻との間に娘をもうけた。」 その娘が、美麗だった。 「全てを失った女は失意の中、銀座のクラブで働くようになった。」 「そして、大物政治家の口利きで、野心に満ちた不動産会社の社長と結婚させられた。」 それが、神楽坂清だ。 「もしも、死んだはずのわが子と再会できたら、その女性はどう思うだろう。」その頃、瑠璃と完治は近くのホテルに行き、運命に身を任せていたらしい。 「私も、初めは確証を持ってなかった。」 「だが、2人から採取したDNAを検査へ出したら、素晴らしい結果が、戻ってきたわ。」 朱美はリュウにDNA鑑定の報告書を見せる。 「神楽坂瑠璃と安藤完治は、間違いなく、親子。」 「2人はいずれ、いびつな関係に気付くことになる。」「もちろん、父親も。」 「言ったでしょ。」 「彼らの大切なものを全て壊すと。」 「そう、何から何まで。」 その朝、目が覚めたら、瑠璃が、いないことに気付く完治。300万円と置き手紙には、「夢をかなえてね」と書いてあった。 そして、清はソファーで寝ていた。目が覚めると瑠璃は、朝食の準備をしていた。 「おはよう。」 「ご飯、できてるわよ。」 瑠璃は、昨日の事を謝罪した。 「昨日は、ごめんなさい。」 「これからも、よろしくお願いします。」 清は、立ち上がり、シャツのボタンを外す。 「別れらんねえよな。 木島先生の紹介じゃ。」 「まあ、俺も一緒か。」 その頃、ホテルで取り残された完治は、スマホで、電話していた。 「まだ、やっている?」 「とにかく、超若い子で。」 「じゃあ、その子でいいや。よろしく〜。」 完治は、瑠璃の残したメモをくしゃくしゃにして、ゴミ箱に捨てた。 瑠璃は、完治のインスタを見ていた。 自分の書いたメモが載っていた。 インスタの投稿の内容は、「背中を押してくれる大切な人に感謝。 #寝起きのいい朝」 瑠璃は、インスタを見て、自分のスマホを抱きしめる。 それからは、彼から、連絡が来た。 「もしもし、瑠璃さん、会いたいよ。」 「今日は?」 瑠璃は、一昨日のホテルで、会い、抱き合う。 「瑠璃さんのにおいって、すごい落ち着く。」 「ずっと吸っていたい感じ。」 着信が鳴り、電話に出た。 「ちょっと、ごめん。」と起き上がり、電話に出る。 「もしもし?」 「722万。」とはっきり言った天野の声だった。 「すいません。もうすぐ、用意しますから。」 「返済期限です。」 「すいません。急ぎますんで、もう少しだけ、待っててくれませんかね。」「お願いします。」と謝りながら、頼むが、天野は、呆れて電話を切る。 完治は、ベッドで座り、落ち込む。 瑠璃は、心配そうになり、「大丈夫?仕事?」 完治は、「うん、仕事。」 完治は、瑠璃に寄り、「これ見て。」スマホを見せる。 瑠璃は、「お店?」 物件を見せる。「下北沢の物件。」 「ここから、俺の夢が始まるって感じしない?」 「でも、800万かかるんだよな〜。」 「800万?」と瑠璃は呟く。 「真海さんには断られちゃった。」 完治は、瑠璃の匂いを嗅ぎ、「いい匂い。」と呟く。 その夜、完治は、1人歩き、着信が鳴り、スマホを取り出し、電話に出る。 「はいはい。」 「いや、無理だよ。」「マジで!?カワイイの?」 ところが、完治は、吉岡靖にあと付けられている事を知らない。 「迷うな〜。」 「あれ?安藤じゃん。」と靖に、声をかけられる。 「3年ぶり?いや2年ぶりか。なあ。」 完治は、呆れて行こうとするが、「ちょっと待てよ。」と止められるが、靖は、ニヤニヤ笑いながら、「ムショで、同じ便器、使った仲だろ。」 「あのさ、ちょっと見てよ。」とカメラを見せると、そこに映っていたのは、完治と瑠璃が、ホテルを出て行く姿があった。」 「しっかし、お前も進歩がねえな。」 「また、女転がしやってんのか。」 完治は鬱陶しくて、「うるせえな。」「お前は相変わらず、汚ねえな。」 「二度と俺に近づくな。」と行こうとして、またもや靖に「ちょっと待て、ちょっと待て、待て待て待て…。」 完治の腕を掴み「これさ 神楽坂の嫁さんだろ。」 完治は「知ってんのか?」と尋ねると 靖は「知ってるよ〜。」 「神楽坂は俺の後輩だもんね。」 「まさか お前がはめ込んでいるとはな〜。」 「マジで すげえウケるんだけど。」 「どうせ金に困ってるんだろ?俺と一仕事しねえか?」 たばこを吸いながら「真海邸にお邪魔しようかなって思ってるんだ。」 完治は鼻でフンと笑った。 「下見に行ったら、お前が出てきてびっくりだよ。」 「会わせてくれた神様に感謝だな。」 「あの家の防犯設備とか 間取りとか だいたい 頭に入ってんだろ?」と尋ねる。 「がっぽり やっちゃおうぜ!おい」 完治は「断る。」 靖は「何で?」 「バカとは組まねえよ。」 と去る。 靖はおいと声をあげた。 「ふざけんな お前よ。」 「俺 お前の 大先輩だからな。」 完治は裏で借金取りに暴行されている。 「放してくれ!やめろ!」 「安藤 完治さん あなたにいいこと教えてあげましょう。」 借金取りの一人はハサミを出す。 「動くと危ないですよ。」 一人は完治の着ているTシャツを切る。 「あなたはまだ若い。」 男はマジックで体を書く。 「あなたの肝臓 200万。」 「腎臓は 150万。」 完治は「すいません 返します!」 「2つ ありますね。」 「必ず返しますから!」 「まだ足んないか。」 「心臓は500万。」 「ホントに返します!返します!」 「ホントに返しますから!」 「分かりましたね。」 「借りたもんは返さなくちゃ駄目ですよ。」 「お母さんに教わってないんですか?」 そして完治は、靖に電話した。 「もしもし?この間の話 まだ生きてるよな?」 「やるよ やってやるよ!」 電話を切る。 完治は雨の中で遠吠えをあげた。 そして、翌日。 朱美は瑠璃を屋敷呼んだ。 「すいません。今日は 突然お呼び立てしてしまいまして。」 「いえ。お話って?」と瑠璃は尋ねる。 朱美は話始めた。 「実は瑠璃さんに謝らなければならないことがありまして。」 瑠璃はえっと声をあげた。 朱美は話し続けた。 「ご紹介した安藤 完治さんのことです。」 「彼はかつて盗みや詐欺をやっていて前科があるということが分かりました。」 「前科?」 「ええ。」 「闇金業者に借金をしていてその返済のために金を集めていたそうです。」 「私もすっかり 彼の夢とやらに乗せられてしまいました。」 「とんだ やからを紹介してしまいまして本当に申し訳ございません。」 「もし、すでに瑠璃さんもお金を渡していたのなら私の方から 弁済させていただきます。」 「いえ お金は…あげていません。」 「それを聞いて 安心しました。」 土谷はお茶を入れた。 「それにしても偶然とはあるものですね。」 「調べてみたら、彼」 「この別荘の近くの電話ボックスに捨てられていたそうですよ。」 すると土谷は顔を上げた。 「生まれたばかりの赤ちゃんの状態で。」 瑠璃は一瞬、えっと声をあげ、土谷は瑠璃の方を見た。 朱美は紅茶を飲む。 「どうされました?」 瑠璃は「それはいつ?」 朱美は土谷に聞く。 「土谷、あれは、いつのことだったかな?」 土谷はえっと声をあげる。 「どうした?あなたが調べてくれたんでしょ。」 土谷は恐る恐る話し始める。 「23年前、1997年の 4月14日です。」 土谷はその場から、お辞儀をし、立ち去る。 「1997年の4月14日…。」 瑠璃は振り向き、慰霊碑の方を見ていた。 「タオルにくるまれて泥だらけだったそうですよ。」 「親の愛情を知らずに育ったんでしょうね。」 「道を外れた人間になってしまったのは とても残念です。」 瑠璃は目をうるうるしていた。 「ただ 施設にいたころから 本当に洋服を作る仕事がしたいとそう言ってたようですよ。」 瑠璃は朱美の話を聞いているうちに涙が出た。 死んだはずの我が子がこの世に生きていたのだから。 瑠璃は涙ながら口を開いた。 「彼はただ、一生懸命、生きてきただけなんだと思います。」 嬉しくて涙が止まらなかった。 朱美はそのまま話し続けた。 「そこまで思ってらっしゃるのであれば一つだけ ご忠告 差し上げます。」 「彼は 今、 吉岡という窃盗の常習犯と行動を共にしています。」 朱美は靖の写真を瑠璃に見せる。 「このままでは、また刑務所に戻るのも時間の問題かと。」 その夕方、朱美はテラスの戸を開ける。 土谷は「お帰りになりました。」 「あの安藤 完治という男が私が助けた赤ちゃんだったのですね。」 「生きていたなんて。」 土谷は思わず涙が出て拭いた。 お辞儀をした。 朱美は「自分の息子と寝ていたと知って絶望すると思っていたが、あんなうれしそうな顔するとはね。」 「母親というのは 偉大ね。」 その夜、完治は靖のアパートで朱美の別荘に向かっていた。 「おい、ピッキングは?」 「大丈夫だよ。任せろ。」 「間取りは?」 「任しとけ だいたいだよ。」 「金目のもんは?」 「時計だけで3,000万以上だってよ。」 「マジで?」 靖は肩を叩く。 「やめろよ。」 瑠璃はその様子を見ていた。 そして、完治と靖は朱美が出かけていたのを見計らい、車に乗っていた。 「車が出てって 10分たったぜ。」 「行くぞ。」 「ちょ ちょ 待て待て待て…。」 「なんでだよ。」 「勘だよ。」 「何か ちょっと 悪い予感がすんだよな。」 「もうちょいだよ。」 早速、二人は、屋敷にピッキングをした。 「ほれ 見ろ。どうだ お前 この野郎。」 「すげえ。」 侵入した。 机の引き出しの中には例の情報の封筒が入っていた。 「一発ビンゴ〜。」 情報の資料をスマホで撮る。 辺りを探ると高級腕時計が見つかった。 「すげえじゃねえか お前 これ。」 「なあ 他 何かねえのか もっとよ。」 「もういいや俺 自分で探すわ ちょっと。」 辺りを隈なく探す。 次の引き出しを開けると 「食器だけじゃねえか チクショー。」 一瞬、人が入ってきた。 完治は「誰だ⁉︎」と声をあげた。 ライトを持った瑠璃だった。 「瑠璃さん…。」 「駄目だよ!こんなことしちゃ。」 「借金を返すためにやってるんでしょ?」 「だから 私のこともだまそうとしてたんだよね?」 完治はライトをソファに投げその場で開き直る。 「だったら どうするよ? サツにでも 突き出すか?」 「俺に惚れたあんたが勝手に貢いだだけだろ。」 「腐ったばばあを抱いてやったんだから 感謝しろよ。」 完治はふんと鼻で笑っていた。 「一つだけ教えてほしい。」 「あなたの夢は嘘じゃないよね?」 「好きな服が着たいから自分で作ろうと思った。」 「だから 自分でデザインしたり お店を探したりして。」 「その夢は 本物なんだよね?」 「別に関係ねえだろ!」 瑠璃は完治の腕を掴んだ。 「お金を借りたのも最初はその夢を実現するためだったんでしょ⁉︎」 「知ったようなこと言ってんじゃねえよ!」 完治は瑠璃を突き離す。 「旦那が稼いだ金で好き放題やってるあんたみたいなやつに俺の何が分かるんだよ!」 「大丈夫。」 「私が守ってあげる。」 「はあ?」 「これからは 安藤君のこと 私が守ってあげる。」 「だから 一緒に帰ろう!」 と完治を取り押さえる。 「やめろ!放せよ!」 瑠璃は背後から来る靖には気付かず瑠璃をアンティークの鉄パイプで殴った。 「おい…何してんだよ!」 靖は「いいから いいから。」とニヤリと笑う。 瑠璃は起きあがろうとすると 靖は瑠璃の髪を掴んだ。 「おいおいおいおい。」 床に叩きつけた。 「ヒモ男のこと つけ回してあんた やべえストーカーだな。」 靖はもう一度瑠璃を床に叩きつけ、 瑠璃の髪を掴んだ。 「旦那さんにチクっちゃうよ?」 瑠璃を床に叩きつけた。 完治は見ていることしかできなかった。 「安藤、この女 やっちゃっていいよな?」 瑠璃はもがきながら「安藤君 帰ろう…。」 靖はズボンを脱ぎながらニヤリと笑っていた。 「ってか 強盗中なんてめちゃめちゃ 興奮するんすけど。」 靖は馬乗りをし、瑠璃に遅いかかる。「おい 旦那と俺どっちがいいか 教えてくれよな。」 瑠璃は靖の腕を噛みついて抵抗した。 「痛い!痛い!」 「痛い!痛っ!チクショー かみやがった!」 瑠璃は立ち上がる。 「帰ろう 安藤君。」 完治は動揺する。 「瑠璃さん 何で?」 「あなたのこと 大好きだから。」 靖は瑠璃に襲いかかる。 「くそ あまが!」 靖は瑠璃に殴りつける。 「ぶっ殺してやるよ。」 「大好きなヒモ男の目の前で やられながら死ねよ!」 靖は瑠璃の首を絞める。 完治は咄嗟に靖を止めに入る。 「やめろ!」 「邪魔くせえな!」 「やめろ!」 完治はその場にあった鉄パイプで靖を殴りつける。 「くっそ−!」 「この くそがき!」 完治は靖をアンティークナイフで刺してしまった。 完治は咄嗟に遠吠えをあげた。 「何だよ…意味分かんねえよ。」 完治は咄嗟に瑠璃を抱き抱える。 「瑠璃さん 瑠璃さん。」 「もう帰って。」 「早く帰って!」 「あとは 何とかするから。」 「こんなとこで…。」 「こんなんで終わって たまるかよ!」 「たまるかよ!!」 瑠璃は冷静に一言言った。「この人を運び出して 家の中 奇麗にして。」 「私は スコップ探してくる。」 「裏に物置があるの。」 完治は怯えながら「どうすんだよ。」 と言うと 瑠璃は「埋めるのよ。」 「こういうときは 埋めればいいんだよ。」 朱美はその場からこっそり見ていた。 完治と瑠璃は早速、スコップを持って穴を掘り始めた。 「これくらいで大丈夫だよ。」 二人は靖の遺体を穴に埋めた。 車のライトの光が見えた。 完治は慌てて「誰か来た!」 瑠璃は「逃げよう!」 二人はその場から逃げた。 微かに靖は息をしていた。 朱美はライトを光を靖にあてた。 「まさかの結末ね。」 「本当に 母親の愛情というものは 軽く 私の想像を超えてくる。」 靖はもがき苦しみながら「助けて…。」 朱美は「ずいぶん 勝手なこと言いますね。」 「15年前、神楽坂とあなたは、由里に金で頼まれ、私の姉を拉致して薬を飲ませて、けだもののようにレイプして自殺に追い込んだ。さらに、何の罪のない人間を冤罪に仕立てあげた。それを知っていながら、あなたは何もしなかった。神楽坂とあんたがお姉ちゃんを殺した。」 靖はもがきながら「誰だ…?」 朱美はしゃがみ込み、「私は坂口 優恵よ。」 「あんたたちにけだもののようにレイプして自殺に追い込んだ坂口 岳美の実の妹よ。」 靖はその場で息を引き取る。 朱美は土をかける。 「これでまず、1人。」 翌朝、清は会社で寝泊まりしていた。 誰かが入って来た。 スマホでゲームをしながら「遅えな。」 入って来たのは瑠璃だった。 「おはよう。サンドイッチ買ってきたわよ。」 「一緒に食べよ。」 「徹夜で お仕事 大変ね。」 清は瑠璃の顔の痣に気付く。 「何 その顔。」 「大切な男の子がいてね その子を守ろうとしたときに。」 「この間 紹介した安藤完治さん。覚えてるでしょ?」 清は鼻でふんと笑った。 「勝手にやってろ。」 「お金 ちょうだい。」 「なめてんのか?お前。」 「私は私の人生 生きることにしたの。」 「ふざけんなよ。この間 言ったよな?」 「お前がどこで誰と何しょうが 何とも思わないけど、俺の金は使わせないって。」 瑠璃は「じゃあ、あなたが何度もやってきた木下先生への賄賂、あれ、バラす。」言い返した。 「お前 死ぬぞ。」 「あなたもね。」 瑠璃は笑いだした。 「久しぶりだね。 私の顔 ちゃんと見てくれたの。」 そして、その翌朝、瑠璃は、完治と一緒に借金していた天野のところに行って、借金を返しにきた。 天野は、金を数えて、「はい。」 「722万4、800円、ありますよね?」と瑠璃は言うが、天野は、「確かに元金利息分、全て、お支払いいただきました。」 「またのご利用をお待ちしております。」 天野は、完治に、領収書を渡して、完治は、領収書を持って、その場から、出て行く。 瑠璃も出ていく。 「くそ…。」完治は、領収書を丸めて、捨てるが、瑠璃は、領収書を拾う。 「終わったね。」 完治は、恐れるかのように「あの金、旦那にもらったのか?」と聞くが、瑠璃は「そんなこと心配しなくていいから。」「おいしいもの食べ行こ。」と冷静に言うが、「死体は見つかんないかな…。」と心配するが、「大丈夫だよ。」 それからは、瑠璃は完治と一緒にテナントを探し回った。 「よいしょっと。」 「ちょっと。こっち向いて。」 と瑠璃は、完治を無理矢理振り向かせる。 瑠璃は、当たりを見て、「はい。よし、撮るよ。」 とスマホで写真を撮る。 完治は、乗り気じゃなかった。 「もう。せっかく夢への第一歩が踏み出せたのに。」瑠璃は、完治の肩を叩いて、「元気だそう。」と励ます。 「中でイメージ膨らまそう。」と完治を強引にテナントに入る。 着信がなる。 瑠璃は、完治に「先に行ってて。」と外に出る。相手は、康介からだ。 「何のようですか?」 康介は、「今、誰といる?」と聞くが、「安藤完治か?」 「今すぐ、その男から離れろ。危険だ。」 瑠璃は、小声で「何で?」と聞くと、康介は、完治の前科者リストの資料を見ていた。 「殺害現場から安藤完治のDNAが検出された。」 「すぐに逮捕状も出る。」「君のこと、心配してるんだよ。」 「彼から、すぐに離れるんだ。」 瑠璃は振り向いて、外を眺めていた。 一瞬、目が合う。 瑠璃は、「分かりました。」電話を切って、階段に上がる。 「行こう。安藤君。」完治はえっと声をあげて、「警察にバレちゃったみたい。行こう。」 瑠璃は、強引に完治の手を引っ張る。 「もう、逃げたって無駄だよ!」 「大丈夫だから、行こう。」 「もう終わりなんだって!」 「終わりじゃない!」 「あなたには、これからがあるの。」 「ねえよ!」と瑠璃の手を振り払う。 「俺は、人殺したんだぞ。なあ…。」としゃがみ込む。 「じゃあ…。」「私も共犯ってことで、一緒に捕まろっか。」瑠璃は、完治の隣に寄り添う。 「もう 放っといてくれよ。」 「関係ねえだろ。」 「関係なくない。」 「何なんだよ!?あんた!」 顔をあげ、完治の顔を見て、「世話焼き…ババア?」 「意味分かんねえよ もう……。」 「何がババアだよ…。」「どうすりゃいいんだよ…。」完治は、倒れ込む。 瑠璃も倒れ込む。 二人は、見つめ合う。 瑠璃はふっと笑いだす。 その頃、康介は、清に連絡を取った。 「入辺だ。瑠璃はどこにいる?」 清は電話をしながら、朱美から貰った竿を孫の手代わりに使っていた。 「どうしたんすか?」 「安藤完治が、吉岡靖殺害容疑で警察に追われてる。」 「はい。」「ええ。」「何か分かったら連絡します。」と電話をきる。 「詐欺師の小僧が吉岡殺したって、どういうことだ。」 瑠璃がいた。 「私を助けるために安藤君がやってくれたの。」 清は、「そう……。」「バカ!巻き込んでんじゃねえよ!」「出てけよ もう!」 「逃げるお金が要る。」 「お前、全部持ってっただろ!」とその時、竿には、盗聴器が仕込まれたことに気づき、外そうとするが、瑠璃は、「どうしたの?」清は、シッとポーズをする。 盗聴付きの竿は、冷めたコーヒーの中に入れる。 ドアのノックする音が聞こえ、「はい。」 牛田が、入る。 「社長。お客さまです。」 そこに入って来たのは、完治が闇金から借りてた天野だった。 「誰ですか?」と清が聞くと、天野は、名刺を出す。 「初めまして。」 「R&Yファイナンスの天野と申します。」 横で瑠璃が説明する。 「安藤君がお金、借りてた人。」 清は、「何で、闇金がうちの会社に来てんだよ。」天野は「サインを頂きに参りました。」 「ご主人さまが、連帯保証人になっていただけると奥さまが。」 瑠璃は、「どうせ木島先生に払うお金もいるんでしょ?」 清は、呆れたかのように、「お前な…。」 天野は、「大口の取引相手なら、われわれも大歓迎です。」 ヤクザの一人が、アタッシュケースを開けて、「神楽坂さまでしたら、ぜひ。」 中には、3千万円が入っていた。 瑠璃は、とっさに、そのお金を取って、「私、急いでいるから。」と言い、清が、瑠璃の手を掴み、「お前、取り過ぎだよ。」「おい、ちょっ…。」 そのお金を奪おうとする。 お金は、ばら撒かられる。 「もう……。」と清と瑠璃は、そのお金を拾い、集める。 瑠璃は、自分のバッグを持って、出て行こうとすると、清が、とっさに、「牛田!」と叫んで、牛田が前に出るが、すぐに、ドアを開ける。 「ありがとう。」と言い、外に出て、牛田は、ドアを閉める。 清は、立ち上がり、「何やってんだ お前。」 牛田は、とっさに頭突きする。 ヤクザの一人は、清の背後に、アッタシュケースで殴りつける。 天野は一万円札を拾う。 それから、完治と瑠璃は、東京タワーにいた。 「ああ、楽しかった!」 「ったく、何で、こんなとこ。」「危険だろ。」 「ずっと、夢だったの。一緒に来るの。」 「知らねえよ。」 「つうか、これも、すげえ、だせえし。」 完治は、ブラウンの帽子とボーダーのワイシャツを着ていた。 「いいじゃん。ほら、ボニー&クライドみたいで。」 「何それ。」 瑠璃はサングラスを取る。 「俺たちに 明日はない。」 「はぁ?」 「いや 私たちにあるよ。明るい 明日があるよ。」 「訳分かんねえ。」 「そうだ。」 「これ 着けて。」 瑠璃は自分の身につけているブレスレットを完治につける。 「何?」と完治が言うと、瑠璃は「お守り。」 「あなたには いつまでも 無事でいられるように。」 完治はふっと笑う。「だっせ。」 スマホが鳴り、瑠璃は完治に車に乗るように言った。 「先行ってて。」 「うん。」 瑠璃は、電話に出る。 「もしもし。」 相手は康介だった。 「安藤完治と一緒なのか?」 「なぜだ?」 完治は車の中でニコッと笑う。 瑠璃もニコッと笑い返す。 「私たちの子供だから。」 康介は聞いて呆れている。 「驚かないの?」 「真海から聞かされた。」 「おせっかいね あの人。」 「お前は あいつに はめられたんだ。」 「俺を苦しめるために。」 「私は感謝してる。」 「あの子に会えたんだもん。」 「どうするつもりだ。」 「助けてくれる?」 「私たちは あの子を一度 見殺しにした。」 「今度は助けよう。」 瑠璃は廃校にいた。康介が来るのを待っていた。 やっと康介が来た。 康介の背後から、完治がナイフで康介を脅した。 「1人だろうな⁉︎」 「何してるの!」と瑠璃は声をあげる。 康介は冷静に「いいんだ いいんだ。」 「震えてるぞ。」 「うるせえ。」 康介は完治にナイフを下ろすように「下ろせ。お前を救いに来た。」 「何でだよ。」 康介は正直に「私たちは親子だ。」 「はっ?」 「お前は 私と瑠璃の息子だ。」 完治は瑠璃を見て「何 言ってんだよ。」 「なあ こいつ 何 言ってんだよ。」 「23年前 鎌倉の別荘で瑠璃は お前を出産した。」 「切迫早産だった。」 「医者が来る間もなく お前は生まれてきたが 息をしていなかった。」 「瑠璃は 私の愛人だった。」 「私は保身のためにお前は瑠璃から取り上げ 遺棄した。」 「だが お前は生きていた。」 完治は唖然とした。 「すまなかった。」と謝る。 完治は瑠璃を見て「嘘だろ…。」 瑠璃も「ごめんなさい。」と謝った。 完治はナイフを捨てる。 「母親…?」 完治は母親と関係を持ってしまったことであまりにショックで嘔吐する。 「大丈夫!?」と瑠璃は駆け寄るが、「触るな!」と手を振り払う。 瑠璃は泣きながら話す。 「私は…。」 「うれしかったよ。」 「あなたが 自分の息子だって分かったとき あなたが生きてんだって 分かったとき… 。」 「本当に うれしかった。」 康介は瑠璃の肩を持つ。 「こうなってしまったのも、親である私たちの責任だ。」 「急に出てきて 何 言ってんだよ!」 「私は 警察の人間だ。」 「検問の位置」 「捜査本部の動向も全て知ることができる立場にある」 「お前を海外に逃がす。」 「どんなことをしてでもな。」 完治は「んなの信用できるかよ…。」 「一度、殺したくせによ!」 瑠璃は「大丈夫だと思う。」 「この人は 誰よりも保身のために生きてる人なの。」 「あなたが捕まるようなことはさせない。」 「自分のために あなたを必死で 逃がしてくれるはずよ。」 「どうりで 俺の人生 めちゃめちゃなわけだ。」 「お前ら 最悪にヤベエもん!」と完治は叫んで、寝転んだ。 「ごめんね。」と瑠璃は謝る。 「変なパパとママで。」 康介は車に乗り、瑠璃は完治に「必ず 連絡して。」「落ち着いたら 会いに行くからね。」 「ちゃんと食べるんだよ。あと 睡眠も。」 完治は鼻でふんって笑う。「うるせえな。」 「母親面すんなよ。」 瑠璃は開き直るかのように「母親だもん。」 「あなたのこと 愛してるからね。」 完治は「今更親子になんてなれるかよ。」 瑠璃は完治の手を触る。 「親子って思ってくれなくてもいい。」 「ただ 私は…。」 「勝手にあなたの幸せをずっとずっと祈ってるから。」 完治はがきみたいに「うぜえんだよ。」「世話焼きババアが。」 瑠璃は完治を抱きしめた。 「元気でね。」 完治も「じゃあな。」 別れを告げた。 完治は車に乗って康介は車を出した。 その夜のこと。 完治が連れてこられたところは、港だった。 「何だよ ここ…。」と聞くと康介は「あそこの奥に船が来ることになってる。」と言う。 「船?」 「遠洋漁業の関係者に知り合いがいてな。」 「金を払って お願いした。」 「5日後には フィリピンに着いてるはずだ。」 完治は、不安に思う。 「信用できる人間なのか?」 康介は「事件の関係者で 弱みを握ってる。」「裏切られることはない。」 と言うが、その頃、土谷は車でタブレットを持っていた。 康介と完治は歩きながら、話した。 「瑠璃とは愛人関係だったが、妊娠したことが分かったとき、あいつは すごく喜んだ。」 「私も同じだ。」 「一緒に育てていこうと約束した。」 「名前を考えたり、赤ちゃん用の洋服を揃え たり。」 「楽しかった。」 「誕生日には 必ず 3人でお祝いしょうと誓った。」 「瑠璃は 料理が上手だったから、きっと 手作りのケーキも 作ってくれたんだろうな。」 と言われた途端に、完治は瑠璃からもらったブレスレットを見る。 「お前にはそんなささやかな幸せも 与えてやれなかった。」 「生まれた瞬間に箱に入れられ、土に埋められた。」 「何のぬくもりも感じないまま、捨ててしまったんだ 私は。」 完治は、後ろを振り替えながら、怒りながら、「んなこと知らねえよ。何も覚えてねえし。」 「あの日から ずっと…。」 「罪悪感に悩まされ続けてきた。」 「だから 今はホントに救われた気分だよ。」 「何しろ もう これ以上 罪悪感が 増えることはないんだからな。」 「同じことをしてでもな。」 完治はいきなり康介に肘打ちをされてしまう。 「痛…。」 「くそ…痛え…。」と完治は起き上がろうとすると康介は警棒を出して完治を殴る。 康介は完治を林に運び、穴を掘って埋める。 そう自分があの時のように子供を遺棄しょうとする。 康介は、完治を蹴り、「驚かせやがって。」 完治は意識を朦朧としながら、 「瑠璃さんも…グルか…。」と言うが、康介は「あいつは知らん。」完治は「これ…。」「これを…。」「母さんに渡してくれ…。」瑠璃がつけてくれたブレスレットを差し出す。 「それだけ…。」 「頼む…。」 康介はブレスレットを外し、ポケットにしまい埋める。 その後土谷は、懐中電灯を持って、土を埋め返し、完治を見つける。 「おい!しっかりしろ!」 土谷は必死に埋め返した。 「死ぬな…。」 「安藤 完治!」 「生きろ!」 その頃、瑠璃は、教会でスマホで完治と一緒に東京タワーに行った時の画像を見ていた。 その時、ドアの開く音が鳴り、繰り替えると康介だった。康介は中に入る。 瑠璃は「どうなった?」と聞くと康介は「静岡まで行ってきた。」と答えて椅子に座った。「彼は もう 船に乗って海の上だ。」 瑠璃はほっとしたかのように「そう…。」と答えた。 「ありがとう。」と康介にお礼を言った。 康介は、「礼なんかいらない。」 「俺たちの息子だろ。」 瑠璃は「あの子 最後に何か言ってた?」 康介はポケットから瑠璃のブレスレットを渡す。 「これを…渡してくれって。」 「君に感謝していたよ。」 「じゃ 行くよ。」 康介は瑠璃の肩をぽんと叩いて行く。 瑠璃は立ち上がり、「嘘なのね。」ときっぱりと言う。 康介は立ち止まる。 「前から思ってた。」 「あの時、あの子はホントに息をしてなかったの?」 「庭に埋める時、生きてることに気付いてたんじゃないの?」 あの時、康介は生まれたばかりの完治をダンボールに入れて土に埋めようとした時、産声が聞こえていたが、それでも、康介は土に埋めた。 康介は「何言ってんだ。」「彼は もう 船の上だ。」ととぼける。 「今日から公開捜査に踏み切る予定だが、大丈夫だ。逃げ切れる。」と瑠璃の肩をポンポンと叩く。 瑠璃は「船の名前は?船長さんは?」「無線くらいあるでしょ。」「今 どこにいるの?声を聞かせて!」 「私の息子を…。」「あの子をどこへやったの!?」 と叫ぶ。 康介は瑠璃を突き飛ばす。 「いいかげんにしろ!」と康介は叫んだ。 「できることはやった。」 「俺たちは あの子のために 最善の道を選んだ。」 康介は立ち去る。 瑠璃はそんな康介を涙流しながら睨んだ。 「人殺し!!」と叫んだ。 瑠璃は「あなたは あの子を…。」 「二度も殺した…。」と独り言をこぼした。 その頃、入辺家では、真理亜は朝食を作っていた。卵を3個割り、目玉焼きを焼いていた。 真理亜はプチトマトを食べた。 瑠璃は教会で落ち込んでいた。 その時、朱美が現れた。 「お祈りですか?」 「私たちの祈りは神に届いてるのでしょうか。」 そんな瑠璃に朱美は手を差し伸ばす。 瑠璃も差し伸ばして手を掴み、瑠璃は立ち上がる。 「全てを知っていたんですね。」 「安藤君を紹介したときから。」 朱美は「ええ。」と答える。 瑠璃は「私と安藤君が関係を結ぶことも。」「ありがとう。」 「息子に会わせてくれて。」 朱美は「私の計画には幾つかの誤算がありました。」「そのうちの一つはあなたです。瑠璃さん。」「あなたの持つ強さ母親の愛情に心から敬意を表します。」 「これは感動を頂いた感謝の印です。」と封筒を瑠璃に渡す。 瑠璃は封筒を受け取る。 朱美は一言を「神の裁きを。」と立ち去る。 瑠璃はその封筒を開けて書類を抱きしめた。 「神様…。」「ありがとう。」と呟いた。 入辺家から帰ってきた康介は「ただいま。」と言った。 康太は「パパ、おかえり。」と言った。 横で真理亜は落ち込みながら、朝食を食べていた。 「ママが目玉焼き 焦がした。」 康太は朝食を食べ終わり、ゲームをやり始めた。 康介は、着替えを済ませて「じゃあ、行ってくる。」と仕事に行く。 真理亜は呼ぶかのように「康介さーん。」 「何だ?」と真理亜のもとに来る。 真理亜は振り向くと「隠し子がいるの?」と聞く。 「さっき これが送られてきたの。」とスマホを康介に見せる。 メールの内容は「入辺康介と神楽坂瑠璃には安藤完治という23歳の隠し子がいます。」 と真理亜は「資料も付いてた。」 「23年前、鎌倉の別荘で康介さんが隠し子を生ませたって。」「しかも 相手は瑠璃さん。」 康介はスマホをうせる。 真理亜は「ホントなのね?」「ホントなのね…。」 康介は舌打ちし「そんなことでお前が文句を言える立場か?」と聞く。 「そんなことって…。」 「他に子供がいるってことでしょ!?」と真理亜は声をあげる。 康介は冷静に「そうだよな。」「美麗を殺してもまた 遺産が減ることになるもんな。」 真理亜はしゃぐりと「何…何を言ってるの?」 康介は「お前が美麗に毒を飲ませた。」「遺産を守るために 出澤君のことも殺した。」とつつっかるように言った。 真理亜は「刑事部長のあなたのこの家でそんなことあるわけないでしょう。」 康介は「金のために妻を殺し、俺と結婚したんだろう。」と叱責した。 真理亜は「違う!」と声をあげ、康介は「違わない!」と怒声をあげた。 康介は「俺だって……」 「美麗のためにお前と一緒になったんだからな。」「慰謝料なら くれてやる。」 「康太を置いてとっととこの家から出ていけ。」 真理亜はしゃがみ込む。真理亜は貞吉の部屋に行き、小瓶を持って行く。 横にいた貞吉はビクビクしていた。 警視庁についた康介は「至急、ラデル共和国大使館にアポイントを取ってくれ。」「15年前の事件で身柄を引き渡した犯罪者が今 日本にいる。」「いいか?気付かれぬよう 水面下で進めろよ。」と部下に伝える。 部下は「はい。」とお辞儀をする。 康介は「それとだ…。」と言いかけた時、ノックの音がする。 康介は「どうぞ。」と言う。部下は「失礼します。」 「入辺刑事部長 下命の資料をお持ちしました。」 そしてテレビでは、部下は「吉岡靖殺害事件の捜査本部による会見が始まるようです。」 捜査本部による会見が始まった。 「それでは始めます。 鎌倉市 樋口山で発生した殺人事件について 本日 被疑者として断定し、この人物の公開捜査に踏み切ることにいたしました。」 「安藤完治23歳 無職。」 「事件の早期解決のため、市民の皆さまに情報提供のご協力をお願いいたします。」 とその時、「安藤完治は今 静岡の藤島総合病院に入院しています。」と瑠璃の声が聞こえ、瑠璃が乱入して来た。 康介は瑠璃の声にぎょっとした。 捜査員は「誰ですか?あなた。」と聞くと瑠璃は捜査員の前で「安藤完治の母です。」 マスコミの1人が「安藤完治は生まれて すぐに遺棄され、両親はわかっていないはずです。」 瑠璃はマスコミの前で説明し始めた。 「母親は私です。」 「そして父親は警視庁 刑事部長 入辺 康介です。」 マスコミは騒然し始めた。 「ここにDNAの鑑定書があります。」と瑠璃はマスコミの前で鑑定書を見せる。 「間違いありません。」 テレビを観た康介は「何を言っとるんだ!」と怒声をあげた。 横にいた部下は唖然とする。 瑠璃は話し続けた。 「私と入辺康介は23年前、生まれたばかりの安藤完治を遺棄しました。」 「そして 昨日の夜、入辺康介は安藤完治を警棒で殴り、あしたか山に再び 遺棄しました。」 「でも、彼は生きています!」瑠璃は嬉し泣きながら、完治が入院している写真をマスコミの前に見せた。 「彼は…あの子は生きてる。」と瑠璃はその場から去った。マスコミは、「どういうことですか⁉︎」と再び騒然した。 この時、思った。 マスコミの前で、あの子の事を告発したのは、私が、彼に対する復讐だったのかもしれない。 何しろ、彼は、結局、彼や私の事を心配していた訳ではなく、自分の保身のために、彼を殺したのだから、私も、彼の事を告発した。 後悔は、ない。 完治は病院で入院していた。完治を助けたのは土谷だった。 土谷は二度も完治を助けたのだ。 警視庁は捜査会見が騒ぎになっていた。 後ろにいた部下は「入辺刑事部長…。」 康介は部下に「下がれ。」「下がれ!」と命じた。 「はい、失礼します!」と部下たちは去った。康介は、裏から出て行った。 真理亜は振り向くと康介の姿があった。 「真理亜。すぐに荷物をまとめてくれ。」 真理亜は「警視庁の方からお電話ありましたよ。」「帰ったら お電話くださいって。」 「早くしろ!」と声をあげる。 真理亜は「どうしたの?」「えっ?康介さん?」「えっ?」 康介は「どこで間違えた?」と呟いた。 「俺は ただ 幸せになりたかっただけだ。」 「立派な人間になりたかっただけだ。」 「あんな…入辺 貞吉のようなずるい人間にだけはなりたくなかっただけだ!」 「正しくて 強くて 愛のある 尊敬されるような人間になりたかっただけだ。」 「必死に生きてきただけだ!」 真理亜は「あなたは家族のために頑張ってくれたじゃないですか。」と言うが、 康介は「家族?」 真理亜は「うん。」と頷く。 しかし、康介は「家族って何なんだ?」と呟いていた。 真理亜は「えっ?」とぼやける。 康介は椅子に寄りかかる。「そう思ってきた。だが、それすらも自分だけのためだったのかもしれん。」「お前の方が よっぽどましだったのかもしれん。」 真理亜は康介に抱きつく。「私は康介さんと 康太と3人で幸せに暮らしたかっただけです。」 康介は、真理亜の手を取り、「そうだ。そうだ。」 康介は振り向き、真理亜を見て「真理亜、どこか遠くへ行ってやり直そう。」と言うが、ところが手遅れだ。 「えっ?」と真理亜はすっとぼけるが、「一緒に来てくれないか?真理亜。」と言う康介は抱きしめる。 真理亜は「うれしい。」と言うが、康介は、「真理亜。」と呼ぶ。 真理亜は「でも…。」 「もう遅い…。」 真理亜が具合悪い事に気付く康介。 「真理亜?どうした?」 「おい どうした?」 真理亜の口から血がみるみる出て、その場で吐血した。 康介は「真理亜!おい おい 真理亜!」 「おい どうした?」 「おい 真理亜 真理亜!」 「おい!」 「何で…なぜだ!」と叫んだ。 真理亜は苦しみながら、「だって 康介さんがいないと意味ないもん。」 「真理亜。」と康介は呼ぶ。康介は康太のことを思い出した。 「康太はどうした?」 「康太?おい 康太!」康介は康太を探し始める。 「康太!」と呼ぶが、返事がない。 真理亜はその場で息をひき取る。 「康太!康太!」と呼びながら、貞吉の部屋に入るとそこには朱美がいた。 「これは入辺さん お邪魔しています。」 「今 ちょうど 貞吉さんと昔話をしてたとこなんですよ。」 康介は憤る。「貴様!」 朱美はそのまま話を続ける。 「確認したいことがありましてね。」 「昔 あなたが 坂口 優恵を貞吉さんの身代わりにした理由は、父親を守るためだったのか それとも 保身のためだったのか。」 康介は「それは…。」気まずく。 「貞吉さんの答えはこれです。」 朱美はタブレットの読みながのボタンを押す。 「すべてわたしのせいだ」 朱美は「いい父親を持ちましたね。」 「私の母李朱美も貞吉はいいやつだと言っておりました。」 康介は「違う!」と怒声をあげた。 「でも残念ですね。」 「その良心が息子のあなたには受け継がれなかった。」 と朱美は言うが康介は憤りながら「お前に何が分かる!?」「お前に何が分かる!?」と怒声をあげた。 「何しろ あなたは 保身のために自分の妻と息子を殺したんですから。」 康介は返す言葉もなく、憤る。 「いいんですか?」 「いつもみたいに自分の身を守らなくて。」 朱美は振り向く。 「もうすぐ警察が来てしまいますよ。」 「ほら 急がないと。」 康介はにやけて笑って広場に行く。 何度も小さなスコップで穴を掘って、「埋めなきゃ。」と呟いた。 朱美はテーブルに置いてあった小瓶を持って「私は何度も考えました。」 「死んだ方がましだと。」 貞吉は真剣な目つきで瞬きをした。朱美は「分かりました。」 「では 私は これで。」 小瓶を置いて行こうとした時、康太がいた。ところが康太は睨んでいた。朱美はそのまま出て行った。 康介は何度も小さなスコップを持って「埋めなきゃ。」と呟き、穴を掘っていた。 −それから、数日後− 夫と彼が逮捕されたニュースを見た。 その後、テレビのニュースでは、『真海 朱美 復讐劇に終止符』と話題が取り上げられている。『真海 朱美 坂口 優恵の復讐劇は死者3名の他 元警視庁刑事部長 入辺 康介 人気舞台女優 世良 麗子 グローバル会社経営管理室長 盤台 由里 神楽坂エステート社長 神楽坂 清 4名の逮捕者を出す…。』 瑠璃は完治が入院している病院で、そのニュースを見ていた。土谷が瑠璃のもとに駆けつけると土谷は、瑠璃に「安藤君が目を覚ましました。」と瑠璃は嬉しそうに「ありがとうございます。」とお礼を言うと瑠璃はすぐさま完治のいる病室に向かう。 でも、今は、彼女に感謝している。 何しろ、生きていたあの子に、会えたから。 また、離れ離れになったとしても、 私は、あの子に会いたい。 これは、ある復讐劇の語る人々の物語。