澪菟。
3 件の小説距離感
聲を届かせなければ離れてしまいそうで かと言って手を掴んでしまったら壊れてしまいそうで
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兎の面 後篇
卯月は毎日就寝前のベッドにて其の日の全てに思い詰め 希死念慮に駆られている。 身内からの仕打ち 同クラスの人間の些細な一言 思うように動けない自分への自責の念 何気なくテレビで流れていた物騒なニュース 等々… 「良いよなぁ〜ストレスなさそうで、か…」 放たれた些細な一言に思い詰めた末 消え入るように呟く。 兎は怪我や心の病気に罹っても人間に対して助けを求める手段をほとんど持っていないが為に元気に見えても実は…ということが比較的多い。 きっと、卯月も似通った生き方で不器用な人間なのだろう。 そして今晩もそんな後悔、思い詰めた事象を睡眠薬と共に流し込む 気がつくと耳障りな音が鳴り響いていた。 「嗚呼、今日も目が覚めてしまうんだな」 今日も今日とて卯月は兎の面を被る。
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兎の面 前篇
「なぁ卯月〜お前っていっつもニコニコしてるよな」 「お調子者の午居には負けるけどね、でもありがとう」 卯月はそう言って微笑む 「また笑った」 ケラケラ笑い、揶揄うように言う 「卯月は良いよなぁ〜ストレスなさそうでさ! 俺なんてバスケ部部長として毎日ストレスの溜まりまくりよ」 と溜息混じりに言い放ちながら教室を出ていく きっと部活に向かうのだろう 「……っ まったく酷いなぁ〜 僕でも傷つくことあるんだぞ〜!!」 卯月は遠ざかる午居に手をメガホンの形にして言い放つ。勘付かれることの無い拙い笑みを浮かべ乍ら。
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