火星人
2 件の小説気遣い
相手が気遣いをしなくて済む気遣いができるような人間になりたい。 そういえば、ぼくは火星人なのだった。 変身ベルトをつけて、カードを差し込む。 カードの種類は、「人間」。 スイッチをオンにすると、起動音が鳴る。 たらりら、ぴろりん、ぽんぽこぽん こうしてやっと、ぼくは人間になる。 地球で生きている以上、火星人のままでいるわけにはいかないんだ。 「あの人、変だよね」 きゃー見ないで すこーし火星人が出てしまった。 人間になるためには、変身ベルトと、人間モードのカードが必要だけど、気遣いが必要ないと思わせる気遣いができるぼくで、ありたい。
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さむいさむい
ぬくぬく、すー。 ふわふわの毛布に身体を包み、自らの体温との連携プレイで、布団の中を温めていく。 もう10月の中旬だと言うのに、網戸をして窓を開けている。 そう、わざと寒くしているのだ。 寒い部屋で寒いと思いながら毛布に包まるのは、秋冬の醍醐味じゃないか。 おっと、足がはみ出た。 やはり寒い。 網戸をすり抜けて、雪虫になり損ねたみたいな虫が、部屋に入ってくる。 「君は雪虫になれなかったのかい?それか、そもそも雪虫ではないのかい?もしかして、雪虫の親戚ですか」 いろいろと問いかけてはみるが、雪虫のなり損ないは、音もなく部屋のどこかへふわりふわり。 ああ、さむいさむい
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