早川らぶこ
9 件の小説早川らぶこ
2021年10月より執筆開始しました。 Twitterにて日々発信している140字小説を膨らませたショートショートを投稿致します。 宜しくお願い申し上げます^ ^
施して、忘れる
『助けて…』 は?助けるワケないし。 かつてのいじめっ子のヘルプなんて誰が聞くか! …しかしスッキリしない。 助けるのも癪だし、助けないのはかつてのアイツと同じ穴のムジナ。 助けるも、助けないも、どちらも釈然としない。 私は一体、どうしたいのだろう? 結論。 助けて、全てを忘れよう。 恩着せがましくなるのも嫌だ。 施して、忘れる。 これだ!一番後腐れない方法。 やはり目の前の人間が困っていたら、人として助けねば。 そして忘れるのだ。助けたことも、恨んでいたことすらも。
喧嘩はやめなさい
きょうだい喧嘩勃発。 煽る弟。やめさせる兄。最後に雷を落とす親。 国家レベルでも、喧嘩が勃発。煽る国、仲裁に入ろうとする国があったとしても。 最後に雷を落として、きょうだい全員がシーンとなるような親が居たら良いのに。 平和的解決をするのが大人。 どうやらそれが出来ないらしい。
生きろ、懸命に。
すごく疲れる… 何故だろう… 世間が流行病で落ち着かないからなのか。 いつかこの「新型コロナウィルス」が教科書に載る日が来るであろう。 その時、人々は言うのだ。 「あぁ、大変な時代を生きた人達が居たんだねぇ。」とか、 「今も大変だけど、この令和の時代に比べたらマシだよね!」とか。 それは、現代の我々も同じ。 「戦争は大変だったでしょうね…」とか、 「戦火の中を生きることを思えば、今が大変だなんて簡単には言えないよね!」とか。 何が言いたいのか。 結局は、どの時代も懸命に生きて、生命のバトンを子孫に繋いでいること。 折角、今を生きているのだから、精一杯生きたいと思う。 恐らく先代の方々も皆同じ想いで、バトンを繋いでいると信じて…。
「何か」になりたくて
「何か」を成し遂げたいと思っていた。 その「何か」が、何なのか… 自分自身でもわからない。 とりあえず発信してみることにした。 発信こそ、継続。 コツコツ続けるうちに、ファンが出来た。 生配信をすれば、投げ銭もくれる。 ファンは固定化され、俺のことを心配してくれるようになった。 「寒いけど、風邪引かないで下さいね!」 「ちゃんとご飯食べて下さいね!」 「忙しければ、何か送りましょうか?」 チヤホヤされたことない俺。 何だかホストになった気分だ。 結婚相手だってここから見つけられるかもしれない。 そう考えると何だか一気に醒めた。 当初考えていた「何か」になった気がしたからだ。 生来の飽き性が発動し、発信をサボりがちとなる。 ファンもポツポツと離れていく。 一年後、俺は元通り、「何者でもない俺」に戻っていた。
罰ゲームで告白とか、ダメ、絶対!
バレンタインチョコをあの子から貰った。俯きながら顔を真っ赤にして。 お返しはクッキーか?そもそもあの子の好みがわからぬ。 「クッキー好き?」 『お返し用意かな?今更罰ゲームだったとか言えないよ。渡す時も笑い堪えるの大変だったし』ヒソヒソが聞こえる。 なるほど。 だから俯きがちで、顔を真っ赤にしていたのか。 照れなどと言った可愛い部類のものでなく。 単に笑いを堪えていたのか。 わかったよ。 ホワイトデーを血に染めよう。
事実は小説よりも奇なりって、知ってるか?
シナリオライターとて現実と乖離し過ぎている内容は書けない。 事実に言葉の肉付けをする。 そして、今日も原稿を編集に差し戻された。 『この連続殺人犯、動機が曖昧だなぁ。こんな理由で人殺しなんかする?』 「曖昧だから連続殺人犯なのでは?」 事実は小説よりも奇なりって、知ってるか? 教えてやろうか? お前も少しは編集者らしくなれるかもなしれないぞ? 毎度うるさい奴だな。 次のターゲットを決めた。
渡しそびれたチョコ…じゃなくて発信器
バレンタイン過ぎちゃった! 緊張して、憧れの先輩に手作りチョコ渡せなかった… 折角作ったし、自分で食べよ! パク!ガリっ! …しまった。チョコの中に超小型発信器を仕込んでいたこと忘れてた。 憧れの先輩がどこにいるかすぐわかるようにね… おトイレ行ったら、終わっちゃうって? 良いの! どこのおトイレを使ったのかがわかって、幸せよ? 片想いって、そういうモノじゃない? 次はどんな手を使おうかな? 片想いって楽しいな♡
想いの重さ
憧れの先輩に手作りチョコケーキを作った。 しかし、吐き捨てるように「さすがにアレは重いわ」って言っていたらしい。 もう!我儘ね♡ トリュフを作り直して先輩宅へ持参。 「重過ぎるだろ…」 え?トリュフ3つよ?こんなに軽くして来たのに? じゃ、総量何グラム以内なら受け取ってくれるの? 答えてよ!何度だって作り直すから!!
名もなきチョコ
本命チョコだけではない。 義理チョコや友チョコなんてモノも存在するらしい。 さすがに一つくらいは貰えるだろ… 俺の二月十四日が始まった。 …おかしいな。一つも貰えない。 本命は元々諦めているとは言え。 義理チョコはおろか、友チョコも貰えない。 同じ班の女子にも貰えない。 ヨソの班の男子にあげていたのを俺は見たんだぞ? あれ? 誰からも一つも貰えないままに放課後を迎えた。 絶望。 廊下をフラフラ歩く俺。 すると。 隣のクラスの女子に突然話しかけられた。 「あ、キミ、このチョコあげるよ!こんなん余らせても困るからさ!」 …このチョコを「名もなきチョコ」と名付けよう…