味噌
25 件の小説先
冷めた目で今を見つめるのはもう慣れてる。 感情を毎回出すとこっちが疲れてしまうから、あえて蓋をする。 理由を言うと、私が感情を出しすぎると、どうやらトラブルになりかねないのでは、とたまに思うのだ。 仲良くなっても出しすぎてしまっては大体離れていくことも多い。 舐められることも多い…と思う。 そんなこんなで静かに蓋をする。 何を聞いても微動だにするのも疲れる。 もう小さい頃からの癖になっている。 感情を出しすぎな自分と、蓋をする静かな自分と。 この私に振り回されないように気をつけてね、と言うしか今の方法は見当たらない。 私自身直そうと何回かしてるが、直したところで今度は私自身の心が壊れてしまうのが分かった。 私は私自身が1番大事だ。次に他人だ。 関わってくるものならば、覚悟をして欲しい、、なんてそう思う。 澄んでる訳でもない目は、いつも空虚な今を見つめている。
return
そういえばあの日、自分の思い通りに行かなくて、食い違ってたあの時、そのぶつける先を表現の先にしていた事を思い出した。 最近何か何処か穴が空いたような感じだったが、怒りが足りないなんて何も思わなかった。 あの日あの時期された事、言われたこと、今でも忘れてないし、思い出せば出すほど心に毎回突き刺さる。 でもその怒りを栄養としているからこそ、 生きる理由を見出しているような気もする。 空気だったあの時、本当は大きな声出して言いたかったあの時、耐えられなくて耐えられない状況下だったあの時、道を通れば思い出す。 もう一度行ってみる必要があるかも知れない。 もう一度見てみる必要があるかも知れない。 怒りを思い出すために。 忘れようとしていたけれど、今度は絶対忘れない為に。
追憶
今日は眼科の為、久々コンタクトを外し裸眼で出掛けた。 一応眼鏡は持ってきていたが、あまり似合わないので最低限の時にだけつけることにした。 人々の顔がとてもよく見えなかった。 ぼややいた状態は、いつもと違って新鮮で楽しかった。 その一方でチラチラ見られると自分の事を噂してるのではないかと思ってしまいがちにもなった。 懐かしい感覚だ。 何も異常がなくホッと胸を撫で下ろし、テクテクと歩く。 フワッとした香りに包まれる。 この香りは私の大好きな香り。 すかさず眼鏡を取り出して隈なく探してみる。 小さい頃はよく見えなくて眼鏡をかけても発見できなかった。 しかしコンタクト状態で、去年ようやく見つける事が出来たのだ。 きっと今なら…。向い側に白いお花を発見した。あれだ。 やはり来たのだこの季節が。 ウキウキした気持ちと少し切ない気持ちに包まれる。 やがて陽は沈み、辺りが暗くなる。 ''コンタクトをつけた時、初めて感動したもの、なんだったっけ。'' 上を見上げると夜空が広がる。 ぼやけた一点の光を見つける。 今は少しだけこの淡い光に浸りたい。
動け
どうにも出来なくて、もどかしくて、 動けなくて、動きづらくて、 どうしたら良いんだろうってずっと考えてる この毎日がいやになりそうで、悲しくてループ 馬鹿ばっかやらせてよ
隣人のオトコ
最初に気づいたのは、玄関に落ちたリップクリームだった。 私が落とした記憶もなく、そうなると隣の部屋角に住む男関連しか見当たらない。 男は夜な夜な女性や男性を連れ込み、そういう事をする、そこまでの情報は分かっていた。 前に朝方のゴミ出しで出くわしたことがある。 重めの前髪と、その隙間から見える瞳が何故か綺麗に輝いて見えた。 身なりはとても綺麗とは言えないが、その対比が余計に男を際立たせていた。 この男に惚れてはいけない。 そう直感が話していた。 足元に落ちたリップクリームを拾い、玄関の扉を閉める。 今日も聞こえる声。 全て大体は快感に浸っているいい声だ。 私はその声を聞きながら、カップラーメンを食べる。 今日見かけた男は、あの男にどんな抱かれ方をするのだろう… そう思いながら。 「…終わったよ。」 その声に導かれ、私は腕を広げる。 そしてギュッと抱きしめ、綺麗な口紅を見せつける。 「綺麗でしょ?」 「うん綺麗だね。よく最近付けてるよね?」 「だって綺麗な女に近づきたいし、私男だし。」
類い
午後3時50分、この世最大事件の始まりである。 事の始まりは、 男子全員のマスク一旦外してみようぜ!という。 女子たちのぎらついた目がこちらを伺える。 とてつもなく逃げ出したい気分だった。 なんせ俺は、目元だけイケメンだったからだ。 食べる時はいつも1人、 飲み物を飲む時は手で覆い隠しつつ素早く飲む技術を得た。 こんな特技どこにも書けない。 「ねぇ、じゃ始めようよ」 恐ろしい甲高い声から始まる。 1人…1人…また1人と、マスクを外して行った。 そして俺も、そのキラキラとした眼差しで見続けられる。 もうしょうがない、卒業式まであと少し、 どうせ俺はいつまでも1人な訳だから、別に何も変わらない。 そう決意を踏み、俺はマスクの紐に手を掛けた。 反応は予想通りだった。 …まぁそうなるよね。 イケメンだと思われていたやつが全然イケメンじゃなかった。 逆にそうでもないやつが、この世のイケメンという。 俺は肩をすくめながら、その場を颯爽と去った。 いいんだこれで、どっちみち皆を騙してるような気分でもあったから、ある意味気持ちが軽くなった。 次の日 どういう訳か、何故か男子たちに話しかけられまくった。 どうやら敵と見做していたやつが、実は仲間だった事に気づいたようだった。 女子たちの反応はまるで真逆。 ここに記す必要もない。 だが、それでも普通に話しかけてくる奴は何人かいた。 顔を見ても動じない奴もいるのだと、 何故か心が温かくなった。 もう少しだけこの世界を楽しもう、そう微笑んだ。
回想列車
電車の中。 気持ちが落ち着かない為、結局ノートに絵を描いていた。 独特の線の書き方がなんだか好きなので、どんどん足してみる。 「…上手いわねぇ!」 ふと横を見ると、おばあちゃんが話しかけてきた。 「いやいや…。」 「美術部に入ってるの?」 「前入ってましたね…」 「えじゃあ絵描くの好きなの…?」 「まぁそうですね…」 「あらそうなの…? いやね、何も見ないでかけるなんてすごいわねぇ… 私なんか写生しか書けないわよ…」 「え…!写生かけるだけすごいですよ…!」 「あらそう…?でも何も見ないで絵を描けるなんてすごいわよ…」 「いやいや…」 なんて話を繰り広げつつ、お互い同じ駅に降りた。 なんとも気まずいような気もしながら、 じゃあ…また、と言い別れた。 帰り道、その話を思い浮かばずにいられなかった。 ある言葉がずっと頭の中でグルグル回っていた。 …そうなのだろうか。 絵を描く事で気が紛れ、動悸なども抑えられ、描く事自体書いていて心地良い。 だけど、本当の世界では絵が上手いのが当たり前。 どの世界でも言える事だろうけど、上手いのが前提。 なぜか泣けた。 思い返すたびに泣いてしまう。 なぜ泣けるんだろう、何も悪いこと言われた訳じゃないのに。 ほんとによく分からない、自分の感情は
不具合製品
自分の出来ることが、好きな事と一致はしないし、 好きな事が出来ることでもないし、 ふつうに詰み。 どうしたもんだか。
固執
私は絵を描くことが好きだった。 でも今は離れている。 離れてみるとよく分かるのだ。 どんなに絵を描くことに固執していたのか、という事に。 誰かに言われた訳でも無い、 他の人よりちょっぴり上手く書け褒められたから。 嫌いなやつが絵の賞を取ったから。 コミュ力がなく絵を通して話をしたから。 いろんな、いろんな理由がある。 積み重なって絵を描く長い長い線路を作ってしまった。 脱線や別の線路を作ったが、どの線路も 結局同じ線路に繋がってしまった。 でも途中で気がついた。 たとえ絵が上手かろうが下手だろうが、 気力が追いついてこなければ、何も意味もないことに。 最近の私は絵以外に活動している。 しばらく離れれば幾分か絵が描けなくなる。 リハビリ程度に軽く描いてみる。 でもやっぱり自由に絵が描けるのなら、 それだけで私は幸せなのかもしれない。 それでもまだ私は諦めていなかったりする。 でも欲張りだから、絵を描いてしまう。 それが今の私だ。
「彩色」
勢いで真っ白なキャンパスに色をつけてしまった。 何度も泣きながらペンティグナイフを動かす。 最初はピンク、次にオレンジ、黄色、最後に水色を入れた。 訳もなく右へ左へとひたすら動かす。 何かを書きたい訳じゃなく、ただ色を塗っていた。 塗って 塗って 塗って 塗りまくっていた。 塗ったって何かが変わる訳じゃないのに。 どうしようもない感情が溢れ出る。