鏡越し
私はいつもあなたを鏡越しで見てる
笑顔も
泣き顔も
怒り顔も
全部見てきた
私はそんなあなたと同じ行動をとる
あなたが泣けば私も泣き
あなたが喜べば私も喜ぶ
あなたが怒れば私も怒る
そんなあなたの真似をしてもあなたはそれを怒ったりはしない
私たちにとってこれは普通なのだ
無い方が逆におかしいと思うだろう
違う動きをしたら驚くだろう
私は今日もいつものように君と同じ行動をとる
そんないつものように当たり前をした私にあなたは怒った
「もう、なんなのよ!」
そう言って私にものを投げつけてきた
それは当たりどころが悪く私の顔に大きな傷をつけた
あなたは怒りながら私に謝りもせずに去っていった
その後、私はあなたの親に病院に連れていかれた
お医者さんに見てもらうことになった
その道の専門の人らしい
その人に私はもう治らないと言われた
自分の中で絶望した
そして、そこで私は
粉々にされた。
痛い、痛い、痛い、痛い
とても痛くて
とても辛くて
とても苦しく
そして、また新しくなった私ができた
前よりは小さいが前と同じくらい綺麗な私
それだけは嬉しかった
あの時は痛かったけど今では痛みはない
商品棚に置かれた私
小さい子供から大人まで様々な人が私を見ている
その中に1人見覚えのある顔があった
「わぁ、綺麗!」
前のあなただった
あの時は痛かったし恨みたいけど恨めない
いつかはあんな風になってしまうのが私だから
ふとした瞬間に簡単に壊れるのが私
だから貴方を責めない
だけど代わりに
また、私のことを大切にしてね。
「この手鏡ください!」