虹陽
15 件の小説染め上げて
群雄割拠。 或いは諸侯乱立。 今日の空模様のように、 見通しの立たない勝負。 だからこそ、見逃してはならない。 爪を隠している者を。 虎視眈々と狙う者を。 2023年NHKマイルカップ・シャンパンカラー。 栄光への道は、黄金色に輝く。
間合い
達人は、慎重にして大胆だ。 仕掛けを待つ時もあれば、 意表を突く時もある。 競り合った者は思い知るだろう。 大外からの強襲は、 決して焦りなどでは無いことを。 2023年かしわ記念・メイショウハリオ。 その強烈な一太刀で、 二階級制覇を達成。
不落の牙城
城とは、一朝一夕で建つものではない。 僅かな差で逃した菊の冠。 天才に一蹴された冬の祭典。 惜敗も屈辱も力に変えて、ついにその形を成す。 2023年天皇賞(春)・ジャスティンパレス。 衝撃の城塞に、ただ頭を垂れるのみ。
光
8年前のあの日。 突如現れた怪物に、クラシック戦線は蹂躙された。 そして今日。 その無念を、父とは真逆のやり方で晴らす。 2023年皐月賞・ソールオリエンス。 王者への道筋を照らす、 影なき太陽がここに誕生。
水も滴る
勝負とは未知数の世界だ。 時に前例を無視し、時に常識が覆る。 この日もまた、様々な「初」を連れてきた。 2023年中山グランドジャンプ・イロゴトシ。 雨に塗れた大舞台を、独壇場へと変えていく。
自由たれ
レースにはセオリーというものがある。 いい位置を確保し、荒れていない馬場を通る。 しかし—— 「そんなもの、ただの枷よ」 私には不要なものだと、後方一気で示す。 2023年桜花賞・リバティアイランド。 全ては、女神の思うまま。
正確無比
不変とは、何よりの武器だ。 舞台を変えないポリシー。 澱みなく刻まれる時計。 決して揺らがないその背が、 彼らの実力を物語る。 2023年大阪杯・ジャックドール。 勝者は、静かに前を見据えていた。
世界を魅せる金色
その血筋は、常に驚きを連れてくる。 グランプリホース、三冠馬、絶対王者。 そして今日、またひとつ伝説が生まれた。 2023年ドバイワールドカップ・ウシュバテソーロ。黄金の末裔が、砂をも庭に変えていく。
稀代の才覚
真の強者に、常識は通用しない。 若くして制した秋の盾。 強者たちを一蹴した祭典。 熱砂の地に悠々と刻んだレコード。 2023年ドバイシーマクラシック・イクイノックス。時代を二分する才覚が、世界をも呑み込む。
最速の力
短距離の結晶たる血筋。 されど勝てない、雌伏の日々。 気鋭のルーキーを背に乗せて、 ついにその真価を見せつける。 2023年高松宮記念・ファストフォース。 積み重ねたキャリアと若き力が、 『最速』を証明した。