プロローグ
まだ暑さが残るが、既に草木は秋の色をし始めている。
二学期が始まった。夏休みの楽しかった思い出を思い出しながら、学校まで歩く。
仲のいい友達は通学路が違うから、僕は毎日1人で登校してる。そもそも、友達がそこまで多い身ではないし、1人でいる方が楽、と感じることがあるような人間だから、苦ではない。
クラスに入るとやはり、皆夏休みの思い出を語り合っている。そういえば、僕は夏だからできること、という事だけを上げるなら、何もしていなかったな。通年できるような事を、夏休みの暇な時間にやったってだけだ。そして、
いつも通りの授業を受けて、いつも通りの飯を食べて、いつも通り家に帰って眠りについて、いつも通り起きて学校に行く。この生活がずっと続くんだろうなーと思っていた矢先、とある出来事が起きる……
まだこの時には、“あの出来事”について
考えていなかった。あんなに仲良くなるなんて。想像もつかなかった。
これが僕の、「コイモノガタリ」の始まりだ。