11 件の小説

みつかっちゃった? ※ 全てフィクションです

君のお菓子の瓶はどんな形をしているの? 丸い?四角い?それとも筒型?大きい?小さい? さて、それはちゃんと瓶の形を保っているのだろうか。 瓶なんて、ゆっくり温めて衝撃を加えれば簡単に変形する。 逆にそのまま衝撃を加えたらヒビが入る。 急速に温めたり冷やしたりすれば簡単にヒビが入り割れてしまう。 瓶と聞いたらガラスが素材の物が思いつく、そういうもんだ。 さて、これを読んでいる君の瓶はどうなっているのだろうか。 そこに穴が空いていてどれだけお菓子を入れても埋まらない? ヒビが入ってていつ割れてもおかしくないぐらいになってる? それとも、もう割れている? もしかしたら修復した後でその瓶は元のより大きくなってる? でも過去の傷は癒えないし壊れやすい。 恐らく正常の瓶の形をしているものは1つとしてないだろう。 瓶が無くなれば瓶を作る。 瓶が満タンにならないなら満タンになるようにお菓子を求める。 この行動は確かに間違っていない。 時には割れて    壊れて    粉々になって    修復が出来ず諦める人もいる。 もうその人たちは目の前にいないのだろう。 その道も間違ってない。 違う点は 瓶の終わりをどこだと捉えているか。 瓶が割れ壊れる原因をどこだと考えるか。 君の瓶の正常はどんな形なのか。 さぁ。この瓶は本当に思い浮かべている瓶なのか。 次は君の番かな? シンキングタイムだよ。

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花の火

空に飛び上がる口笛じみた音と、破裂する短い音、 それからあられが散らばるような音が続けて鳴った。 一滴一滴が息を呑むほど煌いて            大輪の雫はたちまち消えてしまった。 白いわたあめのない晴天の夜空を覆い尽くすように                  巨大な菊型の花が炸裂した。 少し手を伸ばせば届きそうなほどの近さだった。 きらきらとした火の粉が一瞬でも視野を埋めつくし           今にも顔面へ降りかかってきそうだった。 ふと思ってしまった…。 バカバカしい…と。 こんな……いや。 あんな、正覚坊の卵みたいなものから割って出てくる                  ただの光を見る自分が。 横に目をやると沢山の人が瞳を大きく開けて空を見つめていた。 花火が赤や緑へと色彩を変化させ菊や滝が空一面に広がるたびに 他人の頬は様々な色に変化し瞳の中には大きな花が咲いていた。 次々と絶えることなく夜空に満開の花が咲く。 不況にあえぐこの街は年に一度の夏に半分自棄のように        瞬間しか生き残らない満開の花を夜空に咲かせる。 それは耳を聾する炸裂の音と一緒に、夢のように儚く 一瞬の花を開いて空の中に溶けて行く。 そんな時間も終焉が近付く     どんな手品師も敵かなわないような立派な手品だった。 ふと、もう花の咲かない真っ暗な夜空を見つめて考える。 自分の瞳の中にも綺麗な満開の花は咲いていただろうか。

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透明

気がついた時には透明だった。 空を舞う夏の匂いが雲から零れる 今なら過去の出来事も大きな感情もあの大きな雲包まれて 空の果まで手が届きそうだ。 その度に感じるよ 過去に戻っても同じ選択をするってことを。 だってそれがその時の自分にとっての最適解だったから。 どんだけ矛盾で理不尽で答えが無い世界でも この空が あの雲が その風が 前の記憶が 自分を愛してくれていると知っているから 自分はまだここに居たいと思う。 理由に囲まれた世界で 自分に理由を問うたび空っぽなことに気付く でも、夏だけ。 夏だけは。 感情の解像度が少しだけ高くなるような感じがする。 感情なんて名前が無くてもいいじゃないか、 名前の無いその感情こそが君の魅力なんだ。 恐らく前から透明だった自分の中身 この透明は空っぽなんかじゃない。 これはまだ色んな色が入る水のパレット。 そんなパレットをどう彩るかは自分次第。

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君のところは嘘をつけないところだよ。 このセリフは何回聞いただろう。 このセリフを言われて、他の人は何回自分に嘘をついたのだろう。 でもあなたは他の人と真反対のことを言う 「君は嘘が誰よりも上手いんだね」 ニコニコな笑顔で私に伝える ある時亡くなった父親から言われた言葉をふと思い出す < 嘘が上手いのは頭が良いから > < 人を騙して心が痛まないのは          そうしてでも成し遂げたい目標があるから > < 良い奴も悪い奴もそれが個性。   どちらだったとしてもお前を好きだと言ってくれる人が          いるならその人はお前が必要としてる人だ > ふと自分の見えている景色は水に覆われた。 君は焦りながらも優しくなだめてくれる。 私は今日も好きな人のために完璧な演技であなたを騙す 悪いオンナでごめんね

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生まれ変わってでも

ご主人。僕は離れないよ ねぇご主人。僕のご飯はこれ? ご主人…?僕はここにいるのになんでこっち向いてくれないの? ご主人。ご主人の撫でてくれる手が1番好きだよ、? ご主人。 「███は、いつも可愛いねぇ」 ご主人!!。僕ね今日外に行ったんだよ 「今日は甘えん坊さんだねぇ」 うんそうだよ。ご主人。僕甘えん坊なの ご主人。 泣かないで ご主人。 僕には9個の命があるんだよ? ご主人。 また帰ってくるから。 ご主人。 僕はここにいるよ。だからもう泣かないで。 ご主人。僕はご主人の子になれて幸せだったよ。 ご主人。ご主人の不幸は全部僕が請け負うから幸せに生きてよ。 ご主人 …… またね。

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残したもの

医師に言われたたった一言 私は余命半年だった。 彼には自分の口から説明が出来なく親に伝えてもらった。 彼に病名だけは伝えなかった。 心配して欲しくなかった。 入院するか選択を迫られたが この命の終わり方は自分が決めたいという意思の元 普通に過ごすことを選択した。 友達にも教授にも何も言わなかった。 いつも通り過ごした。 彼とは気まづくて目も合わせず喋りもしなかった。 半年が経とうとしていた 彼が家に訪ねてきた 『ほんとにお前は…新しい命に生まれ変わるのか?』 何も言わず頷く 『そっ…か…お前がいいなら俺は止めないよ』 彼の時間を2年間も奪ってしまった。 私がいなければもっと…素敵な恋が出来たはずだったのに 『好きだよ。』 彼は何か察したのかそれだけを言って去っていく 私は幸せだった。 彼と一緒に作ったリングを手に取る 内側には «来世も迎えに行く» と彫ってある 彼のリングには私が言葉を彫り、私のリングには彼が言葉を 彼が私のことを忘れないように。 瞼が重くなり瞳を閉じる。 俺は彼女に完璧な言葉を言えなかった。 公園のベンチに座りながら目の前の花屋を眺めていると ある花が目に入る そうか。もう桔梗の時期なんだ。 桔梗を見ると彼女を思い出す。 彼女と一緒に作ったリングの内側を見る «生まれ変わってもあなたと» そうだ。桔梗の花言葉はこれだ。 恐らくこれは彼女が意図しない一種の愛の呪いなのだろう 桔梗を買って君のくれた花瓶に飾り その近くに彼女のリングと自分のリングを置き眺める これは君が最後に

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苦い

甘いカフェオレを飲んで過ごしていた昼時間 好きな人の好みに合わせて 甘いものが苦手だった私が甘いもの好きになって1年 甘党の私は今日もお昼ご飯は フルーツサンドイッチにいちごみるく 誰に何言われてもこれが私の主食 手元に持っている甘いカフェオレも 少しで飲み干すなと思いゴミ捨て場に向かっている最中 誰かの話し声がして声の元に行ってみる そう、この時に覗きに行かなければ 私はあんな思いをすることはなかった… 私の片思いはその場で終わった。 気付いたらゴミ捨て場の前にいた。 手元の飲み物はまだ少し残っており飲み干す 『甘いはずなのに苦い』 気付けば自分の足元は濡れている 顔を上げ、空を見る 『さっきまで晴れてたんだけどな、傘持ってきてないなぁ』 光が私を刺している。 『困ったなぁ…笑』 風が私に穴が空いてることを教える。 空気も。甘い飲み物も。心の奥底にある甘い想いも。 全部「     」

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はずだった。

傷を負うのは慣れている。 「噂のあの人から睨まれた気がする」 「あの人に目付けられたら終わるよー?笑」 「長年友達だった人もあっさり捨てられたらしいし」 言い返す気力もない。 いつもの事。気にしない。感情なんていらない。 そう。前までは思っていた 「大丈夫ですか?」 羽根が生えていた。 いや、羽根が生えているように見えた。天使だった。 『…はい、大丈夫です。ぶつかってしまいすみません』 「いえ、全然大丈夫ですよ!お気を付けて〜」 この日から天使との会話が増えるようになり、 周りの声も耳に入らなくなった。 数ヶ月がたち、珈琲を入れに給湯室へ向かう。 給湯室に入ろうとするが天使と天使の仲のいい2人 3人で会話をしており咄嗟に隠れてしまう からかっただけ。 きもい。 愛想良くしてれば睨まれないかなって思って。 天使は消えた。 心にヒビが入った音がした。 これまでの周りの声が心を突き刺す。 傷なんて負うのは慣れている。 はずだった。

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届いた音

風鈴のチリンと鳴る音 静かな波の音 後ろから聞こえるクラシックの音楽 幸せでもあまりが出来るような時間 「なぁ〜俺のスイカどこやった?」 あぁ。来た。邪魔する厄介モンスターが 『知らないよ。』 「んだよ。何怒ってんの」 言い返すのも面倒くさく黙っていると 足音を "ドンドン" と鳴らして キッチンの方に向かって歩いて行く 少し太陽にあたろうと思い、サンダルを履いて外へ出る 太陽の光があたり地面が熱くなっている音 山の方から聞こえる動物や虫が鳴く声 少し離れた公園で遊ぶ小さな子供の声 少し熱くなり駄菓子屋に入る 「いらっしゃい。アイスもあるよ。」 奥の方から店主の声が聞こえるが姿は見当たらず 『あ、ありがとうございます、、』 奥の方に向かってお礼だけを伝える アイスが入っているボックスを開けると ひんやりとした冷たい風 氷が溶けて氷同士が接触する音 これだけで涼しいと感じる音の数々 自分の好きなアイスを手に取り 貯金箱のようなものにお金を入れて駄菓子屋を出る 今年も夏のいい音が沢山。 明日はどんな音が聞こえてくるのかな。 虫の音でも聞きたいな。

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数時間前にはもう消えていた君の時間

"ピロン" 喧嘩していた君から通知が1件 (今更何) 通知をタップして開く − ごめんね いつも会って話し合って仲直りしているのが メールで送られて来たことに不信感を覚える − 急に何、それにメールで謝られるの嫌い メールを返してから数分後 − うん。会いに行きたかった。けど今無理なんだよね 今無理ってなに。と送ろうとしたが感情的になるのも悔しく − ねぇ今どこいるの?会いに来れないなら電話して 少しためらないながら送る。すぐに既読がつき − 電話も出来ない。ごめん。 (謝るなら時間作ってよ。) (時間が出来た時に来てよ。) と思ったが、頭が回るのは速いが 文字を打つことは遅い君が即レスしてくる事に違和感を持ち − 返信はやくない?誰といるの? 少し面倒くさい文を送ってしまう 消そうか迷っている時に、家電が鳴る “プルルルル…” スマホを片手に持ちながら家電の表示を見ると、 君の両親からで家電を取る。電話を取ったと同時に “ピロン” と通知が鳴るが、家電終わってからでもいいやと思い 「もしもし」 と声を出した瞬間ありえない言葉が電話越しに聞こえる 「         」 (嘘…だ。) そう信じて君のメールを開く − ごめんね。愛してるよ。

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