6 件の小説

みつかっちゃった? ※ 全てフィクションです

残したもの

医師に言われたたった一言 私は余命半年だった。 彼には自分の口から説明が出来なく親に伝えてもらった。 彼に病名だけは伝えなかった。 心配して欲しくなかった。 入院するか選択を迫られたが この命の終わり方は自分が決めたいという意思の元 普通に過ごすことを選択した。 友達にも教授にも何も言わなかった。 いつも通り過ごした。 彼とは気まづくて目も合わせず喋りもしなかった。 半年が経とうとしていた 彼が家に訪ねてきた 『ほんとにお前は…新しい命に生まれ変わるのか?』 何も言わず頷く 『そっ…か…お前がいいなら俺は止めないよ』 彼の時間を2年間も奪ってしまった。 私がいなければもっと…素敵な恋が出来たはずだったのに 『好きだよ。』 彼は何か察したのかそれだけを言って去っていく 私は幸せだった。 彼と一緒に作ったリングを手に取る 内側には «来世も迎えに行く» と彫ってある 彼のリングには私が言葉を彫り、私のリングには彼が言葉を 彼が私のことを忘れないように。 瞼が重くなり瞳を閉じる。 俺は彼女に完璧な言葉を言えなかった。 公園のベンチに座りながら目の前の花屋を眺めていると ある花が目に入る そうか。もう桔梗の時期なんだ。 桔梗を見ると彼女を思い出す。 彼女と一緒に作ったリングの内側を見る «生まれ変わってもあなたと» そうだ。桔梗の花言葉はこれだ。 恐らくこれは彼女が意図しない一種の愛の呪いなのだろう 桔梗を買って君のくれた花瓶に飾り その近くに彼女のリングと自分のリングを置き眺める これは君が最後に

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苦い

甘いカフェオレを飲んで過ごしていた昼時間 好きな人の好みに合わせて 甘いものが苦手だった私が甘いもの好きになって1年 甘党の私は今日もお昼ご飯は フルーツサンドイッチにいちごみるく 誰に何言われてもこれが私の主食 手元に持っている甘いカフェオレも 少しで飲み干すなと思いゴミ捨て場に向かっている最中 誰かの話し声がして声の元に行ってみる そう、この時に覗きに行かなければ 私はあんな思いをすることはなかった… 私の片思いはその場で終わった。 気付いたらゴミ捨て場の前にいた。 手元の飲み物はまだ少し残っており飲み干す 『甘いはずなのに苦い』 気付けば自分の足元は濡れている 顔を上げ、空を見る 『さっきまで晴れてたんだけどな、傘持ってきてないなぁ』 光が私を刺している。 『困ったなぁ…笑』 風が私に穴が空いてることを教える。 空気も。甘い飲み物も。心の奥底にある甘い想いも。 全部「     」

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はずだった。

傷を負うのは慣れている。 「噂のあの人から睨まれた気がする」 「あの人に目付けられたら終わるよー?笑」 「長年友達だった人もあっさり捨てられたらしいし」 言い返す気力もない。 いつもの事。気にしない。感情なんていらない。 そう。前までは思っていた 「大丈夫ですか?」 羽根が生えていた。 いや、羽根が生えているように見えた。天使だった。 『…はい、大丈夫です。ぶつかってしまいすみません』 「いえ、全然大丈夫ですよ!お気を付けて〜」 この日から天使との会話が増えるようになり、 周りの声も耳に入らなくなった。 数ヶ月がたち、珈琲を入れに給湯室へ向かう。 給湯室に入ろうとするが天使と天使の仲のいい2人 3人で会話をしており咄嗟に隠れてしまう からかっただけ。 きもい。 愛想良くしてれば睨まれないかなって思って。 天使は消えた。 心にヒビが入った音がした。 これまでの周りの声が心を突き刺す。 傷なんて負うのは慣れている。 はずだった。

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届いた音

風鈴のチリンと鳴る音 静かな波の音 後ろから聞こえるクラシックの音楽 幸せでもあまりが出来るような時間 「なぁ〜俺のスイカどこやった?」 あぁ。来た。邪魔する厄介モンスターが 『知らないよ。』 「んだよ。何怒ってんの」 言い返すのも面倒くさく黙っていると 足音を "ドンドン" と鳴らして キッチンの方に向かって歩いて行く 少し太陽にあたろうと思い、サンダルを履いて外へ出る 太陽の光があたり地面が熱くなっている音 山の方から聞こえる動物や虫が鳴く声 少し離れた公園で遊ぶ小さな子供の声 少し熱くなり駄菓子屋に入る 「いらっしゃい。アイスもあるよ。」 奥の方から店主の声が聞こえるが姿は見当たらず 『あ、ありがとうございます、、』 奥の方に向かってお礼だけを伝える アイスが入っているボックスを開けると ひんやりとした冷たい風 氷が溶けて氷同士が接触する音 これだけで涼しいと感じる音の数々 自分の好きなアイスを手に取り 貯金箱のようなものにお金を入れて駄菓子屋を出る 今年も夏のいい音が沢山。 明日はどんな音が聞こえてくるのかな。 虫の音でも聞きたいな。

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数時間前にはもう消えていた君の時間

"ピロン" 喧嘩していた君から通知が1件 (今更何) 通知をタップして開く − ごめんね いつも会って話し合って仲直りしているのが メールで送られて来たことに不信感を覚える − 急に何、それにメールで謝られるの嫌い メールを返してから数分後 − うん。会いに行きたかった。けど今無理なんだよね 今無理ってなに。と送ろうとしたが感情的になるのも悔しく − ねぇ今どこいるの?会いに来れないなら電話して 少しためらないながら送る。すぐに既読がつき − 電話も出来ない。ごめん。 (謝るなら時間作ってよ。) (時間が出来た時に来てよ。) と思ったが、頭が回るのは速いが 文字を打つことは遅い君が即レスしてくる事に違和感を持ち − 返信はやくない?誰といるの? 少し面倒くさい文を送ってしまう 消そうか迷っている時に、家電が鳴る “プルルルル…” スマホを片手に持ちながら家電の表示を見ると、 君の両親からで家電を取る。電話を取ったと同時に “ピロン” と通知が鳴るが、家電終わってからでもいいやと思い 「もしもし」 と声を出した瞬間ありえない言葉が電話越しに聞こえる 「         」 (嘘…だ。) そう信じて君のメールを開く − ごめんね。愛してるよ。

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終電

“プシュー” 突如として目の前に現れた電車に乗るための改札入口。 何故か手に持っている何が書かれているのか分からない切符。 何故か聞こえた電車の止まる音。 (あぁ、これは行かなきゃいけない。) 何故か思ってしまった感情に手足が無意識に動く。 (先程まで残業をしていたはずなのに。) 色々と考えるが自然と動く身体で改札を通り。 ピタッと止まり脳がまた動く。 何分か経っているはずなのに発車する音が一向に聞こえない電車の音。 普通は奇妙だと思うはずが自然と何かを理解してしまう。 (これは一体どこ行きなのか。) 文字化けしていて見えない、アナウンスは変な言語で解読不可能。 けれど、体はスっと受け入れ電車に乗り込む。 “プシュー” 電車に乗り込んだ瞬間ドアが閉まり発車する電車の音。 辺りを見渡すと変な人が沢山いる。 なんて言うんだろうか… そうこう考えていると、いきなり脳が認識出来るアナウンスが耳に飛び込んでくる “次は…“ 脳が動く。 あぁそうだ… これは… "黄泉の国です" (人生の終わりを告げる電車だ)

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