寝小沢ねこ太
2 件の小説ヘルメット
少し寂しい夕暮れからあなたの声がする度に 胸がどきどき 待ったか?って さっきまで付けてたヘルメットを被せてくれる ちょっと大きくて、頭がグラグラしちゃって あなたがくしゃって笑いながら深く被せてくれる それじゃ前が見えないじゃないなんて文句言うけど ほんとはあなたしか見えなくなるから恥ずかしいんだ ドクンドクン.... 気づかれたくない気持ちと、 気づかれたい気持ちがぐるぐるして酔いそうになる。 最終的にはあなたの温もりしか感じることが 出来ないまま、 この瞬間が永遠になることを願い 強く吹く風に飛ばされぬようにと ぎゅっとあなたの背中にしがみついた 「あなたは元気にしていますか?」 そんな事を思い出しながら独り呟いた。
星満天
体を吹き抜ける凍えるような風。 今まで見えていなかったものが、視界が、広がる。 「あぁ、きれい...」 ーーーーーーーーーーーー子供の頃は何者にもなれそうで、未来は希望で広がっていた。 けど、時は残酷で、何にでもなれるはずだった私は、いつの間にか何者でもなくなっていた。 それでも、私の人生は続くわけで、頑張らないといけないわけです。 今日も人に揺られながらお仕事して、土日には羽を伸ばして、アニメとか。 やりがいがなくたって、楽しいことはあるし、なんせブラックじゃない! 趣味だってできる。結構いい会社。友達にだって恵まれてる。 ーーーーーーーーーーーー 「最近遅刻多いけど大丈夫~?」 「えぇーそうかなぁ。気をつける。」 「そういえばさ、営業の佐藤くん、仕事やめたらしいよ」 「まじか...結構優秀だったくね?」 「なんか、演劇やるんだってさ」 演劇.............馬鹿だなぁ、佐藤くん。 優秀なんだから、あのまま営業頑張ってたら年収、夢の1000万!!! いけたかもしれないのに、 よりにもよって演劇.....どうせ上手くいくはずもなかろうに。 はぁ、夢なんて馬鹿げた事言ってるから、みんな幸せになれないんだよ。 現実みなきゃ、あーあ、そろそろ婚活しよっかな。 ーーーーーーーーーーーー 「どうしたん? 急に。ガチ久しぶりすぎ🫢」 「それな( ´-ω-)σ」 「いやさ、ゆめこ元気にしてっかなってwww( ^ω^)」 そういやゆめこ今なにやってんの?」 「うちガチニートよ笑笑😂」 「嘘でしょw??? 20後半でニートはヤバすぎ 」 「でも、多分そろそろ脱ニート🙂キャバクラ開く」 「え...うそ。えっっっっぐwてかキャバは終わってるWWWW」 さすがGAL、高校から変わってないな。 やりたいことやってんだろな。 それにしても、キャバはさすがにバカすぎw。 終わってるわー ーーーーーーーーーーーー 「ただいまー。実家は落ち着きますなぁ」 「.........おかえり、姉ちゃん。それとひとつ言っておきたいことが... 「ー俺、YouTuberなる。」 「え.........あ、のね? 弟よ、YouTuberがどれだけ大変か分かってるの?機材は? 技術は? そもそもあんたにできるの? 覚悟とか、さ」 「分かってる。全部準備出来たから、言ってる。これは報告だから。」 「いやw、ちょっと待ってよ。ママとパパだって許すわけないよ! てかあんた今までそんな事一度も!!!」 「もう2人には了承とったよ。説得させた。」 「はっ..ばっっかじゃないの!?!?あんたなんかに出来るわけないでしょ!!!!!!現実みなよ!!!!そんなの絶対幸せになんてなれない!!!!!!そんなくっだらないこと言ってる暇あったらバイトでもなんでもして、金稼いで来いよ!!!!!!!!!」 「幸せになれないなんて決めつけないで! 俺は自分の夢を諦めるぐらいだったら死んだ方がマシ。 ......自分が、自分が、つまらない人生送ってるからって、八つ当たりすんなッ。」 「だったら死ねよくそがッッ」 ーーーーーーーーーーーー どれだけ辛くても、イラついても時は残酷で夢は子供の特権であるからにして、大人は現実を見なければなりません。 そして私は今日も会社に行きます。つまらなくなんてありません。楽しいこともあります。友達もいます。ホワイトです。いつか夢をみて人生を棒に振った馬鹿どももきっと私が正しかったことに気付きます。つまらない人生を送ったのだと。なので私は今日もお仕事にいきます ──────ここは、眺めがいいんだなぁ。 それにしても冬だから寒いな。コートぐらい羽織れば良かったかな... 世界が滲んでくる。必死に空を仰ぐけど止まらないものが、頭が、焼き切れそうなくらい..... 「........あぁ、あぁぁああぁぁあ、、、いいなぁ、、いいな、、いいな 私好きな事なんもないや、やりたい事見つけたかったな。やりたかったな。なにかしたかったな。 .....つまらなか、ったな、ぁ。」 小さな嗚咽が首をしめるみたいに、私を責めるみたいにとてつもなく苦しい。 「...っ」 何か光った気がして呼ばれた気がして、空に 気付いたらとんでた... 体を吹き抜ける凍えるような風。 自然と仰向けになって全身に星を浴びる。 今まで見えていなかったものが、視界が、広がる。 そうか、そうだったんだ。こんなにも綺麗だったんだね。 天の川が私を迎えてくれるんだね。 私の人生は、つまらなかったけど、意味の無いものだったけれど でもこんなに広い世界ならさ、こんなにも沢山の星があるならさ、きっとさ、きっと 私が輝ける場所も、めいっぱい私の存在を...!!!! 「来世は、がんばろう」 ーーーーーーーーーーーー「馬鹿な姉ちゃん...これだから......」