兎奇 柊(とき しゅう)
3 件の小説−短編2−海の夢
ザァー ザァー 波に乗って伸びてくる海水がつま先に触れた。 隣には、依頼者の子供。 後、六ヶ月半だな。 −−− ピピピッ 「貴方のお子さんですが、余命六ヶ月半ってところですかね。」 「そんな…何か!寿命を伸ばす方法は、ないのですか?!」 悲鳴に近い声で母親が叫んだ。 よくある質問だ。だから、決まってこう答える。 「俺は、医師でもお子さんの容態を知る者ではございません。俺から言えるのは、余命だけです。」 寝起きで高い声を喰らったからか、頭が痛いな…。 それにしても、可哀想なモンだ。七歳にして、重い癌か。 ふと、母親の方に視線を向けると、今にも涙と一緒に壊れてしまいそうな状態になっていた。 よくある事だ。かれこれこの仕事を始めて五年。こんな状態になる人々を袋一杯にした米粒の数ほど見てきた。 さぁ、それはそうと、あと、一時間で次の依頼の時間だ。 速やかに敷布団を畳んで、枕と鞄を小脇に挟んだ。 「御利用ありがとうございました。後悔がございません様にお過ごし下さい。」 すぅすぅと安らかに眠る子供の前を通り過ぎ、ドアの前で深めにお辞儀をして、病室を後にした。 俺の仕事は、[余命宣告屋]だ。余命を見る。医師よりも、正確に。 見方はこうだ。 俺が、対象者の横で同時に寝ること。ただこれだけだ。 一年以内に亡くなる場合は、海から遠い場所にいる。 半月以内だと、海水がつま先に触れる程度。 一ヶ月以内だと、膝までに。 一週間以内だと胸から腹辺り。 その日中だと、もう溺れそうなくらい深い場所にいる。 その他の細かい日数は基本フィーリングだ。まぁ、何となく分かってくるんだ。 一年以上生きる時は、行きたい場所とかが、見れたりするな。 先払い制になっていて、費用は1万程。 先払い制なのは、さっきの母親の様に悲しみに暮れている状態で金を払わせる訳にはいかない。 と言う俺なりの優しさだ。 などと、寝る前の復習をしているうちに病室の前に着いた。 コンコンコンコン 「失礼します。余命宣告屋で御座います。」 ドアを開けると、仏頂面と言う言葉が似合う様な、老いた男性が寝ていた。 近寄ってみると、近くの小さい引き出しに、電話番号が書いてある置き手紙が一枚あった。 “少々忙しく、病室を抜けなくてはいけなくなってしまいました。結果が分かりましたらお手数ですが、お電話下さい。 090−××××−○○○○” ご丁寧なこった。 まぁいい、視線を感じると寝にくいしな。 さぁ、敷布団を敷いて、スマホでタイマーを着けて… 「寝るか。」 −−− ザァー ザァー 胸辺りまで海水に浸っていた。 隣には、対象者の老人が水面に立っていた。 −−− ピピピッ 「もしもし、はい、余命宣告屋で御座います。余命は一週間程となります。」 −そうでしたか。ありがとうございます。ねぇ…………。− 「はい。それでは、御利用ありがとうございました。後悔がございません様にお過ごし下さい。」 −はーい。失礼しますー− プツッ− −自宅にて。− 「あ“ー疲れた。」 寝たりないな…。 そろそろ寝よう。 −−− ザァー ザァー えっ?ここは、海の中? 隣には、目を瞑り青白い顔をした“自分がいた” ※いかがでしたでしょうか…? 医師だった、曽祖母が小さな頃 「人が死ぬ時、必ず決まって海の匂い、潮の匂いがしたんだよ。」 と言っていたのを思い出して書いてみました。 部類は何になるんだ…?弱ホラーか? 「ねぇ…………。」と言う部分は、老人の遺産の話をする依頼者の遠くから聞こえる声です。 感想お待ちしております! −兎奇 柊−
−短編その1−かっこいいお兄さん達。
「クッ……やはりこれは、良い方法とは言えません、と言ったでしょう!」 地面が凹むのでは?と思うほどに力を入れて踏ん張っているのが目に見えて分かった。 「るっせーな!じゃあお前が作戦たてりゃぁ良かっただろがァよ!」 「誰かさんのせいで書類整理に追われてたもんで、できないんですよ!」 メガネをかけたお兄さんと上裸のお兄さんが叫びあっていた。 上から、立派な翼を生やした魔女と呼ばれる者が、無慈悲に ブォン ブォン と音を立てながら翼で風を地面に叩き付けている。 あぁ、自分はもう助からないんだ。そう思ったら怖くて怖くて仕方なくなった。 フッフッ 恐怖を息で逃しながら、涙を堪えた。 今きっと泣いてしまったら、的は自分に移ってしまうだろう。 せっかく、せっかく、お兄さん達が助けに来てくれたのに。 「しゃぁねぇなぁ、“アレ”やるぞ!!!」 「はぁ?貴方は本当に、バカな発言しないと死ぬ呪いにでもかかってるんですか?!」 「あ''ぁン?!俺はバカじゃ!ねぇよ!」 こんな、状況で何を話しているんだ…。 でも、こんな状況で助かる方法はあるのか? 自分は木の檻の中で、お兄さん達はもうボロボロで、今の状況を整理すると余計に勝てる方法があるとはおもえない。 俯きながら、自分はそう思っていた。 「おい!お前!」 「はひぃっ!」 「絶対!助けてやるから!俺の活躍を見て広めろよ!」 どうして、そんな事が言える? その疑問はすぐに消え去るほど、強くてかっこよかった。 パキパキパキパキ 上裸のお兄さんの背中から、ゆっくり翼が生えてきて。 メガネのお兄さんは、足がどんどん兎の様な形へと変化していた。 「いくぜっ!」 「あぁ!」 メガネのお兄さんの方は仰向けになって足を曲げて、上裸のお兄さんが乗っかるのと同時に思いっきり伸ばした。 ピュンッ お兄さんの羽ばたく姿はまるで、龍が飛ぶ様。 瞬きの間に魔女よりも上に飛んで、思い切り拳を下ろした。 ドゴン− 「けほっ」 衝撃で閉じた目を開けたら、魔女はもう居なくなって、2人のお兄さん達がこちらに向かってきていた。 「どーだ!カッケーだろ?」 「はぁ…また書く書類が増えた…。大丈夫ですか?すぐにここから出しますからね。」 「ちっと、下がんな!あぶねーからな!」 カンッ 上裸のお兄さんが檻を蹴って、檻を壊した。 「おー、こんなスッカスカな木の檻で作ってあるタァーな。」 「あ、あのっ、ありがとうございます!」 怖かったけど、そんな事がどうでも良くなる程、かっこいいお兄さん達だった。 ※初めて、小説を書いてみました! 取り敢えず、お試しで短編の小説を書き込みました。 誤字脱字がございましたら、お申し付けください。 感想お待ちしております! −兎奇 柊−
自己ショーカイしまーす。
初めまして、ここで貴方に出会えたことに感謝を。 初めての投稿になりますので、軽く自己紹介をさせていただきます。 兎奇 柊と言います。読み方はトキ シュウです。 中学2年生、誕生日10/21 HSPで不登校な雌です 趣味はゲームと絵を描くことなどでしょうかね。 音楽も沢山聞きます、あの夢の国の音楽やアイドル、ボカロなどなど…。 ゲームは星の子をやったり、監督生をしたり、プロデューサー、無人島の代表になったり。 絵は色々なものを描きます、動物の絵、アニメキャラクター、風景画など。 とまぁ、こんなところでしょうか? 今のところ、ブログとオリジナル小説を書き込むことを予定しております。 これから何卒よろしくお願い致します。 ※誤字、脱字などございましたらお伝えください。