巡り
12 件の小説精一杯
しんどくて苦しくて、 それでも一応生きてはみてるけど、 自分は一体何がしたいんだろうか。 毎日毎日、楽しくない日々を送って、 なんとなくで息をしている。 たまに息をするのもしんどくて、 死にたいと願うけど、 そんな勇気はどこにもない。 生きる理由ってなんだろう。 死にたい理由ってなんだろう。 死ねない理由は? 生きれない理由は? 何も分からない… 生きていればきっと良いことがあるとか、 未来は明るいだとか、 やまない雨はないとか、 そんな綺麗事じゃ私の心は何も変わらないし、 生きる理由にもならないや。 やっぱり自分が結局何がしたいのか分からない。 もう何も考えずに生きよう。 きっとこれが今の私にできる“精一杯“
からっぽの心
「君はなんで生きてるの?」 そう問い続ける少年がいた。 これまで数多の人々がその質問に答えてきた。 「大切な人がいるから」 「守りたいものがあるから」 「したいことがあるから」 「楽しいから」 それぞれにそれぞれの答えがある。 人生がある。 少年はどの答えにも納得がいかなかったし、理解し難かった。 何故なら、少年には愛したいものも守りたいものも したいことも楽しいことも、何も無いから。 少年はもう生きていなくてもよかった。 別にいつ死んだってなんの悔いもない。 そう思うくらいにはこの世界に飽き飽きしていた。 だから暇つぶし程度に、何故生きているのかと問うた。 きっとこの問いに正解なんて無い。 そんな事は分かっている。 それでも、問い続ける意味があった。 いつか、自分の納得のいく 理解のできる答えを持つ人と 巡り会うために。 少年は 今日も 問い続ける 「君はなんで生きてるの?」
生きる資格をください
「いいなぁ、眩しいなぁ…」 いつも思う。 周りの人が前を向いて、思い描く様な未来を、目指して走っている姿を見ると。 将来はあれになりたいとか。 こう生きたいとか。 これが好きだとか。 何で、何でそんなに輝くような目をしているの? 皆の思い描く未来はどれほど綺麗なの? …私の未来は、どうして真っ暗なの? 「…ずるいよ、羨ましいよ」 何で、なんで私だけ。 私には主人公補正も都合のいい事も、何も起こらない。 大人は口を揃えて、将来のことは何とでもなるだとか、今から見つけていけばいいとか。 そんな綺麗事ばっかりで。 こんな綺麗事を聞きながら、もう高校三年生になってしまった。 何も見つからなかった。 必死に足掻いても何も起こらなかった。 将来のことは何とでもならなかったよ。 今から見つけるなんて、もう手遅れだよ。 …もう生きる資格も見つからなくなっちゃった。 「私の将来は誰が保証してくれるの、」 もう、何も分かんないよ。 “生きる資格をください“
暗闇落下
時刻は深夜の二時。 自分の部屋の窓をそっと開け、スマホの灯りだけを頼りに裸足のまま屋根に登る。 外はまるでこの世界に人など存在しないのではないかと思わせるくらいに静かだ。 ちょうど満月が雲の隙間から顔を出し、辺りが少し明るくなる。 私はそんな満月を見ながら、屋根にごろりと寝っ転がった。 この時が、一番生きている感じがする。 誰も居ないし、楽しい訳でも好きなことをしている訳でもない。 けど、ここに確かに自分が存在していると思える。 この夜空が月が、思わせてくれる。 足を滑らせたら、只事ではないけれどそれも良い。 いっその事、間違えて落っこちてしまいたい。 けど、落ちる勇気は生憎持ち合わせてはいない。 いつ死んでも、もう何も悔いはない。 悔いがないというか、早く死んでしまいたい。 こんな世界に、期待もしていないし希望も抱いていないから。 そんな考えても意味の無いことをあれこれ考えながら星空を観る。 星の一つ一つが綺麗な輝きを放ち、まるで自分も輝けるのではないかという錯覚に陥る。 けれどやっぱり、私は面倒くさいやつで、 すぐに何馬鹿なことを考えてるんだと心の中の私が言う。 やっぱり、 足が滑って、落っこちちゃえばいいのにな。 眩しいくらいに輝く星にそう呟いた。
最後の感情
……つまらないな。 友達と話している時、ふとそう思ってしまう。 自分でも自分は最低な奴だなと思う。 でもしょうがないじゃないか。 そう思う自分もいる。 誰のことも信じられなくなった。 そんな私が、偽りじゃない笑顔を人に見せられる筈がない。 日に日に偽りの顔は増えていき、幾つもの仮面を被っては捨てを繰り返した。 いつの間にか自分の感情が無くなってて、 最後に残ったのは“つまらない“という感情だけだった。 私は神様が作った失敗作なのだろうな、とつくづく思う。 この世に生まれてごめんなさい。 迷惑かけてごめんなさい。 死ねなくてごめんなさい。 毎日謝ることしか出来ない。 もう、はやく死ねたらいいのに。
綺麗な
「どうしてもいつも、笑っていられるの?…あんなに、辛いことがあったのに。」 私の友達は、中学の頃、親友だった人に裏切られ見捨てられ虐められた。 それは誰が見ても目を瞑りたくなるような酷い虐めで、だからこそ皆見て見ぬふりをした。 先生でさえ、止めなかった。 いや、止められなかった。 あの時、迷わず手を差し伸べ、あの子の事を友達を、強く抱き締める事が出来る人をヒーローと呼ぶのだろう。 けど、私はヒーローでもなんでもなかった。 ただの友達で、酷い傍観者だ。 勿論、学校以外では 大丈夫?と心配したし、 何も出来なくてごめんねと謝りもした。 けどこれは今考えたら、ただのエゴで私が罪悪感から逃げるための言葉だったんじゃないかと思う。 それなのに、そんな事があったのに 今も昔も、友達は笑っていた。 涙を流さなかった。 謝る私に、何度も 「大丈夫だよ」と、言った。 「なんで?どうして、大丈夫なはずないのに、絶対苦しいに決まってるのに、笑うの?」 友達は、あの頃とちっとも変わらない笑顔で言う。 「…せめて、せめて人前でだけでも笑っていたいんだ。それしか、出来ないから。嘘でもいい、偽りでもいい、ただ笑っていたい。それだけだよ。誰のためでもない自分のために、笑うんだ。」 …………そうか。 やっとわかった気がした。 上手く言葉では言えないけど、友達は強いなと思った。 だからせめて、これだけは言おう。 「貴方の笑顔、凄く綺麗で私は好き」 頬が赤くなってるのを自覚しながらそう言うと、 友達はいつもの綺麗な笑顔で、いや、いつもよりも綺麗な笑顔で 「ありがとう」 そう微笑んだ。 “綺麗な“
残酷世界
人と話すのは苦手だ。 勿論楽しいと思える時もある。 けど、相手が頭の中で何を考えているのか分からないのが、 どうしようもなく、怖い。 人は呼吸をするように嘘を吐く。 そういう生き物だ。 大人に近づくにつれて、否が応でもそう理解してしまう。 だから、歳を重ねる度にこの世界の本当の姿を知ってしまって、黒い裏の部分を見てしまって、 何も信じれなくなる。 こんな嘘まみれの世界で、どう生き抜けばいいの? 小学生の時にでも、教えて欲しかった。 けど誰も教えてなんかくれない。 きっと誰も正解を知らない。 だからもう、この世界に希望など無いんだと諦めてしまう。 いっその事もう、 世界が滅亡してしまえばいいのに。 そんな叶いもしない願いを吐き捨てながら、今日も笑顔でやっていく。 世界はやっぱり残酷だ。 “残酷世界“
ありがとう
疲れちゃったよ。 生きることが、頑張ることが。 とうの昔にぼろぼろにひび割れた心に、何度も何度も絆創膏を貼り付けては剥がれを繰り返した。 そうしているうちに、何処が痛いのかも分からなくなっちゃって、 必死に傷を隠して、まだ大丈夫、まだやれるって繕って。 それでも誰かに見つけて欲しくて、 繕ってるくせに、 この傷に気づいて欲しくて、 ただ一言 「頑張ったね」 って言ってもらいたくて、 でもやっぱり気づいてくれる人なんかこの世には存在しなくて、 勝手に期待して勝手に自滅して、 もう、辞めちゃおうか。 全部。 全部なかったことにしちゃおうか。 そう思う度に、これまでの自分が悲鳴をあげるの。 「私がんばったのに、耐えたのに、笑顔でぎりぎりで生きてきたのに」 「自分でもさえも、私のこと見捨てるんだね」 私のこと分かってくれるのは私しかいないのに。 もう、誰もいなくなっちゃうの。 やだよ、こわいよ、って 泣くの。 わんわん泣くの。 だから、死ぬなんてことできなくて。 …嗚呼、また死ねなかった。 ううん、ちがう。 また、生きれたんだ。 今わたしが生きてるのは皮肉なことに自分のおかげだ。 普段は言ってあげられないけど、 たまになら 「ありがとう、わたし」
透明
透明人間になってしまいました。 教室に行っても皆私の事に気づきません。 友達に話しかけても無視されます。 その代わりと言ったらいいのでしょうか。 私の机には一輪の花が飾られていました。 綺麗なお花だと思ったけれど、誰が置いたのか分かりません。 授業中は邪魔になってしまうので、教室の後ろの棚へ飾りました。 授業が始まり、この問題わかる人いるか? と先生が言ったので元気よく手を挙げました。 先生は私の机を少し見てから、一瞬哀しそうな、何処か悔しそうな、そんな顔をした気がしました。 何故だか私はその顔を見ると泣きそうになります。 私が、透明人間になっちゃったから。 先生は、友達は、皆は私の事が見えないから。 少しは悲しんでくれているのでしょうか。 もう、皆にそう問うことも出来ません。 先生がしばらくの間私の席を眺めているからか、クラスメイト達もバツが悪そうな顔をしています。 その時、誰かが口を開きました。 「先生、そんな顔しないでください。菜乃花もきっとそんな顔見たくないと思いますよ?」 あれ。私の名前… 皆私の事を覚えててくれてるんだ。 嗚呼、どうしよう。 …嬉しい。 でもどうしてそんな顔をしているの。 皆が俯いて暗い顔をしている。 すると先生が、 「…そう、だな。悪い、授業中なのにな。あいつのことだから今頃天国で美味しいものでも食べてるだろうな!」 そう言って笑った。 皆もそれを聞いて、そうですよ、だな! と笑いあっている。 私はやっと理解した。 透明人間になったんじゃない。 私は…もう死んだんだ。 そう理解した瞬間、自分の体が少しづつ消えているのに気がついた。 私はきっと、未練があった。 この大好きなクラスのこと。 皆がちゃんと幸せな生活を送れているか、 私のせいで暗い顔をしていないか、 どうしても確かめたかった。 …でも、今こうして笑いあっている皆を見て、安心した。 嬉しかった。 皆が笑ってる。 それだけで十分すぎるくらい幸せだ。 最後に一つだけ、我儘を言っていいなら 皆に、ありがとうと言いたかった。 こんな私を好きでいてくれて、仲間にしてくれて、居場所をくれて、笑顔にさせてくれて、 「皆…ありがとう!」 私の最後の一言はきっと聞こえたのだろう。 何故って? 皆が一瞬驚いた顔をしたかと思えば、一斉に泣き始めたからだ。 神様は私の最後の我儘を許してくれた。 もうこれだけで、私の人生は最高だったと胸を張って言える。 透明になった私をどうか、これからも忘れないでいてくれたら嬉しいな…。 そう思いながら私は深い眠りについた。 “透明“
面白い生涯
「私は、教育学部に行きたいです。いや、行きます。」 心臓が煩いくらいに音を立てて私の緊張をさらに増幅させている。 恥の多い生涯を送ってきました。 私はこの一文を読んだ時、 嗚呼、私もだ。と思った。 私も恥の多い生涯を送ってきた。 人間、失格。 そう思う。 だから、今 今変わらなきゃ 今動かなきゃ 何も変わらない気がした。 いつもいつも人に合わせてばかりで、 自分が損をする方ばかりを選んで、 何事も起きないように、 自分からつまらない人生を選んできた。 けど、きっとこれは恥だ。 だから、もう辞めようと思う。 変わろうと、思う。 心の隅っこで、子どもが好きだ。 という気持ちを隠していた。 誰かの役に立ちたい、という気持ちも隠してた。 だから、教育学部に行って小学校教諭になる。 そう、決めたんだ。 親も先生も友達も、皆が目を見開いて反対してきた。 けどもう、つまらない選択肢は捨てる。 反対されたら反対の道を歩く。 その方がきっと、面白い。 これからは、 面白い生涯を送ってきました。 と言えるような人生を歩もうと思う。