進撃のお侍
2 件の小説大人の絵本
有害図書指定 『けっとうちってなぁに?』 作:進撃のお侍 けっとうちってなぁに? お侍くんはわからないことはなんでもきく。 そうすると、しんせつなひとが やさしくおしえてくれる。 けっとうちはたかすぎるといずれ死ぬ! やさしいおじいさんがわかりやすくおしえてくれました。 死なないようにするにはどうすればいいの? お侍くんはさらにおじいさんにしつもんをなげかけます。 葉っぱじゃ… 葉っぱをたべるようにすればよいのじゃ それからお侍くんはまいにちまいにち、 葉っぱだけをたべるようになりました。 おかげでたいじゅうがおち はいてたズボンがずりおちる。 これでけっとうちはさがったかな? ずりさがるズボンをみてお侍くんはおじいさんにまたしつもんをなげかけます。 ズボンがずりおちないように するにはどうすればいいの? お侍くんは わからないことはなんでもきく。 そうするとまたおじいさんが やさしくおしえてくれる。 葉っぱじゃ! ズボンとパンツをぬぎ 葉っぱをつければいいのじゃ!! お侍くんはやさしいおじいさんのいうとおり パンツをぬぎこかんに葉っぱをくっつけました。 うごきやすくなったお侍くんはだいまんぞく。 お侍くんはあるく。 とにかくあるく。 するとおなかがへってくる。 かばんのなかはからっぽ。 なぁんにもない おなかがすいたよ しょんぼり。 かなしくなって なみだがでてくる ながれおちるなみだ。 パシャ そう。なみだがおちたばしょは こかんにつけた葉っぱだったのでした。 葉っぱだ!! 葉っぱをたべおえたお侍くんのもとにあおいふくをきたやさしいおじさんが声をかけてきました。 やさしいおじさんはあたたかいへやにあんないしてくれて、さらにあたたかいごはんをお侍くんにあたえてくれました。 よのなかにはしんせつなひとがたくさんいるんだな。 お侍くんはかつどんをたべながら おじさんにしつもんをするのでした。 ねぇねぇ こうぜんわいせつざいってなぁに? . : * ・ ☆ ・ ゜ ・ * : . 。 . * . 。 . : * ・ ゜ おわれ
巨神兵オスカル
名もなき花ならば そよ風に吹かれてるだけでいい。 でも、私は気高き花に生まれてしまったんだ。 時が来た まさか、この自分がこの台詞を使うことになるとは思わなかったが、とにかく時が来てしまったのだ。 何十通もメールのやり取りをして、ようやく掴んだチャンス。 やり取りして得た情報は3つ。 1. 相手は女性 2.少女漫画が好き そして最後の3つ目は欲求不満 無論、3番目がかなりポイントが高い。 恋愛少女漫画のようにお花畑で手を繋ぎ アハハ ウフフ して乳繰りあっとけば ハッピーエンドになるんじゃね? という、ほぼ無策で当日を迎えた訳だが 約束の時間より10分も早く到着してしまった。 うーん。どうやって時間潰そうか... カフェで時間潰すまでの時間はないので その辺で立って待つことにした。 どこかいい場所ないかな? 辺りを見まわすと休日のお昼過ぎということもあり、改札前は人でごった返している。 不審者のようにキョロキョロしていると壁と自販機の間に大人一人が入れるスペースを発見。 近くに人がいるのも落ち着かないので、とりあえずこのくぼみの中で待つことにしよう。 それにしても、少女漫画かぁ... 正直、少女漫画は花より男子とかちょっと古いけど動物のお医者さんくらいしか読んだことないんだよなぁ... この情報量の無ささにもっと予習してくれば良かったと今さら後悔。 初めて会った時に無言の状態が続くのはお互い気持ちが良いものでは無い。 だんだんと約束の時間が近づくにつれ だんだんと気持ちの余裕がなくなる 🎼.•*¨*•.¸¸🎶🎼.•*¨*•.¸¸🎶 電話だ! 時間よりちょっと早いけど 向こうも早めに着いたんだな。 恐る恐る電話に出る 「もしもし 私だけど今どこにいる?」 「壁と自販機の間に挟まっt」 話の途中で電話が切れたと同時に辺りが急に暗くなる。 くぼみの中にいた俺の目の前に大きな、それは大きなカラフルの岩戸が現れた。 いや、岩戸じゃなくて待ち合わせていた相手だ。 髪の毛は金髪のくるくるパーマの巨体の女性。 もしかして・・・ オスカルをイメージしてるのか? それにしても少女漫画...って ベルサイユのばらだったとは... 相手の女性を観察してみる。 池田理代子先生が描いた目とは違うけど、つけまつげが扇のようでまばたきすると風を生む。 ふーむ。なるほど。 これは妖怪かまいたちの親戚か何かだな。 そういえば、メールでやり取りしてたとき身長がちょっと高いのがコンプレックスとか書いてあったけど、横幅のことは一切書いてなかったぞ! くぼみを塞いでいるこの壁は ベルリンの壁より絶望を感じる。 すると突然、葛藤が始まる。 定番。天使と悪魔の登場だ。 ん? 葛藤の中に現れたのは天使でもなく悪魔でもなくスーツを身にまとった営業だった。 「くぼみの中で爆弾に蓋をされ 一切身動きが取れないそこのあなた! そんな状態でも入れる保険があるんです! 「えー?!ほんとうに!?」 葛藤の中で楽しく営業と話をしているところに横槍が入る。 「とりあえずゆっくり喋れるカフェへ行きましょう」 いきなり腕を捕まれ連行される俺。 この時、更なる恐怖を体験することになるとは微塵にも思っていなかった。 カフェに入りコーヒーを注文する。 何か当たり障りない会話でもするかと思ったら向こうから喋りかけてくれた。 話の内容はこんぶ茶美味しいよね!から始まり30分経過した頃には梅昆布茶の話。 会話の幅がこんぶ茶から梅昆布茶というかなり攻めた構成で、俺はこの間何回頷いたことやら。 途中、少女漫画の話を振ろうかと思ったけど話を振ったところで知識がないのが露呈し「衛生兵は、扱いにくい・・・」と思われるのが関の山なのでやめた。 カフェに入り1時間が経過した頃、金粉入りの梅昆布茶の話が終わり静寂の時間が訪れる。 これはやばい。 会話を続けなければ襲われる。 なぜそう思ったか。 それは無言で俺を見つめ鼻息荒くしてるからだ。 「ねぇ」 身構える俺。 予想外にお茶の話をしてる時とは異なるトーンで 「私の過去について知っておいて欲しいの」 と切り出してきた。 何やら真剣な話のようなのでこちらも真剣に聞く 「20年前。千葉の山奥に住んでたんだけど... ある日、目を覚ましたらそこは韓国だったの。」 唐突に川端康成の雪国の海外編みたいな話をに聞かされ戸惑ったが、ここからさらに戸惑いが加速する。 一つ目は気付いたら韓国の田舎の四畳半の部屋にいたこと 二つ目が飛行機に乗ったことがないという事実 三つ目が知らない韓国人と結婚させられたこと 韓国から見た北の国みたいな話だ。 四つ目が洗脳されカルト教団へ入会させられたこと 五つ目が壺から発する煙を吸うとどんな病気でも治せる話 六つ目が洗脳が解け子供を連れ知り合いのツテで日本へ逃げてきたこと どこまで事実か分からないけど、移動手段って密航船しかないじゃないか... おいおいおい... 店内の空調は快適で、汗をかく要素はないのだが身体中に汗が湧き出るのを感じる。 どれもこれも有り得そうな話に聞こえ、どう声をかけてあげればいいのか分からず、ただただ、この先我が身に起きる出来事を想像し震えるのが精一杯だった。 一通り話が終わったところで 一旦冷めきったコーヒーを飲む。 「ここからが本題なんだけど...」 突然のその言葉にびっくりしてコップの水をひっくり返しそうになる。 え?本題なんてあったの? 妖怪かまいたちの親戚の巨神兵オスカルは俺をじっと見つめながら何回も瞬きをする。 瞬きの時に生じる風を感じながら 死刑宣告を受ける受刑者のように 絶望で身震いする。 「私の6番目の彼氏になってね!」 巨神兵は左目でウィンク。 今まで受けたことがない衝撃波だ。 それにしても、まったく頭が追いついてこない。 何をどうやったらそこに話が結びつくのか。 この1時間弱、「うん」「そうなんだ」「は?」くらいしか発言してない俺のどこを気に入ってくれたのかが謎すぎる。 あとびっくりしすぎて聞き逃すとこだったけど6番目ってなんなんだよ! 「今、答えは出さなくてもいいよ。 でも、1週間後に返事出してね!」 勝手に話を進め、勝手に話を打ち切り更にはここで現地解散となった。 時計はちょうど15時。 特に運動した訳では無いけどこの疲労感はなんなんだろう。 とりあえず、家に帰ってゆっくり寝るかな。 駅のホームに上がるとタイミングよく電車が到着。 さらにタイミングよく空席を見つけそこに腰をおろす。 さっきの出来事は忘れよう。 そう心に決めてぼんやり外の景色を眺める。 誰かが開けた窓から流れてくる風が心地よい。 ふと目線を下げると目の前の席に ちっちゃい男の子が外の流れる景色を眺めていた。 隣に座っているお母さんが 優しい笑顔で男の子を見守っている。 風が男の子の髪の毛を優しく撫でる いつも聞き慣れている電車の音。 ガタンゴトン あんなことはあったけど 今はやけに心地よいメロディ 雰囲気って大事 自然とみんなが笑顔になったり 自然とみんなが悲しくなったり 今、乗っている電車に関しては 自然とみんなが幸せになる そんな、とても心地よい空間。 お母さん! 可愛い声で、お母さんを呼ぶ男の子。 笑顔で なぁに? と答えるお母さん。 そんなやり取りを見ていたら 急に子供が欲しくなってきた。 「カタカナ読めるようになったんだ!!」 嬉しそうで、どこか得意気な笑顔 お母さんは本当に嬉しそう 見ていた俺も、隣のおばちゃんも つり革に捕まっているおじさんも みんな笑顔 男の子は流れる景色の中から 一際大きい看板に書かれている カタカナを読む テー レー クー ラー ??? 「お母さん!テ レ ク ラ ってなぁに?」 隣のおばちゃんが急にむせはじめ、 つり革に捕まってたおじさんは 持っていた鞄を落とし、 俺は生まれて初めて噛んでたガムを飲み込んだ。 そして、お母さんは目元は笑っているのだが、 アゴ外れてるんちゃう?みたいな顔をしてた。 あんなロストテクノロジーは若い人は知らないだろうけど、未だにデカデカと看板があるってことはまだ営業してるってことか? まさかこんなちっちゃい子がお母さん含め周りの大人が対応出来ない爆弾を落とすとは... 巨神兵オスカルの件もそうだけど、俺には爆弾処理班は向いてないらしい。 それから約束の1週間後。 オスカルから電話がかかってきた。 開口一番 「私の4番目の彼氏になるよね?」 おい!この一週間で2人も逃げてるじゃねーか! そもそもそんなに彼氏作ってどうすんだ? たとえ一番目に繰り上がったとしてもお断りだ! ということで丁重に断ったあと考え直せとかいろいろ言われたけど何とか振り切って逃げることが出来た。 会話の内容はかなりの量を割愛してしまったけど真実が分かったことがある。 なぜ複数人の彼氏を作るのか?という謎だ。 その答えは... 何かあった時に生活の支援をしてくれる人をキープするために複数人と付き合ってるんだそうな。 怖っ! 要するに俺は保険だったってことだ。 それともうひとつ分かったことがある。 あの葛藤の中で営業が言ってた保険ってこれかよ...