あげもち

16 件の小説
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あげもち

見てくれてありがとう! 自分はタメ口で話すのが苦手だから、硬く喋っちゃうけど、気軽にタメで話しかけて欲しいな! 2024/11/07 一周年!

「おはよう」

 なんとなく、疲れた。  なんとなく、しんどい。  理由もなく、なんとなくで溢れる気持ちに泣きたくなる。  なりたくてなったわけじゃない。  こうなりたかったわけがない。  自分がダメなことなんて、自分が一番よくわかってる。  だけど、体が動かないんだ。  進みたくても、足がすくむ。  あの手を掴めない。  やらないといけないのに、思えば思うほど、体は固まっていく。  どうしたらいいの、どうすればよかったの。  なんて、答えが見つからない自問自答を繰り返す。  苦しくても、苦しくても、過去には戻れない。  いつか、現実とは向き合わなゃいけない。  いつまでも、夢の中に閉じこもってはいられない。  わかってる、わかってるんだ。  私のことを教えてくれる先生なんて、どこにもいない。  時間は待ってくれない。いつの間にか、時は過ぎていく。  なら、眩しいかもしれないけど、明日に向き合ってみる。  きっと、元に戻るまで、ものすごく時間がかかる。  でも、待っていてくれる人が一人でもいるのなら。  独りじゃないのだとしたら。 「    」 からはじめてみよう。

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「おはよう」

一夜だけの白い花

 ドラゴンフルーツの花、見たことある?  白くて、大きくて、とっても綺麗。  だけどね、日が沈んでから数時間しかその姿を見せない。  とっても、綺麗なのに。  気を遣っていないと、いつの間にか萎んでいる。  その日を逃せば、白い花は見えない。  悲しいね。綺麗なものは、長持ちしないんだね。  でも、白い花が萎めば、実が実る。  その実は、太陽のおかげで赤く彩る。  月の下、数時間だけ花が咲いて、太陽の下で身を育てる。  それってすごく、いいと思わない?  それは、自然と共に生きている気がして、すごく自然らしいと思うんだ。 「一晩しか咲かないから、燃える心。その美しさから、永遠の星」 「まるでキミじゃん」 「あの日、舞台で一番輝いてたのはキミなのにさ。あんな、事故で……事故で……」 「あの日、一番楽しんで、全力な舞台だったのに……」 「どうして……」 「起きてよ、凛音ちゃん。また、歌を聞かせてよ」 「一晩だけなんて、やだよ……」  咲いて、萎んで、赤く染まるくらいだったら、咲かなくていい。  だから、だから。 「ずっと、一緒にいてよ……」

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一夜だけの白い花

想いを奏でて

 音を奏で続ける。  唯一、私だけの時間で、私だけの世界に浸れるから。  指を動かし続ける。  痛くて、もう動かせないくらいだけれど、音さえ奏でていられれば、心が和らぐから。  楽譜を読み続ける。  そのときはきっと、誰にも何も言われず、静かに音楽と向き合えるから。  ずっとずっと、弾き続ける。  そうすれば、いつか気づいてくれるでしょう?  あなたが好きだと言ってくれたこの音色を朽ちるまで奏で続ける。      だから 「また、好きだと言って」

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想いを奏でて

うそつき

「好きだよ」  なんて、無責任な言葉で、あなたとの関係を維持してる。 「愛してる」  なんて言う勇気もない私は、ずっとあなたを引き止めてしまう。 「ごめんね」  なんて言えるわけもない私は、ずっとずっと、あなたの優しさに甘えている。 「もう少しだけ、一緒にいてほしいの」  ずっと、なんてワガママ、言わないから。 「うそつきで、ごめんね」  今日もまた寂しさを紛らわせるためだけの好意で、私を着飾るの。

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うそつき

何気ない日常

 普段と同じような時間に起きて。  いつもと同じ菓子パンを口に入れる。  制服に着替えて、ネクタイをして。  ちょいちょいっと寝癖を治す。  何気ないふとした時間。  特別なものがあるわけでもない、  ただ平凡な日常を、  僕は幸せに思うよ。 「いってきます」

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何気ない日常

おかしなコトバ

 今日こそ、告白するんだ。  この、お菓子と一緒に、伝えるんだ。  伝わらないコトバだって、わかってる。  でも、ほんの少しだけ、期待してしまう。  赤いリボンでラッピングして。  ちょっぴりビターなカップケーキをつめる。  少しでも、あの人の記憶に残れるように。  普段はしないヘアアレンジまでして。  うん、これで大丈夫。  今日こそ伝えるの。 「あのっ、これ……! ば、バレンタインのお菓子、です!」 「それと、わたしっ、えっと、えっと」 「あなたのことが……!」

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おかしなコトバ

ミサンガのお呪い

 ミサンガには、いろんな意味があるんだって。  その人を守るため、とか。  その人を勇気づけるため、とか。  その人を想っている、とか。  編み手によって、願うことは変わるけど。  本質は変わらない。  どんな願い事でも、結んでしまえば、もう外せない。  どのような意図であれ、それはお呪い。  そう、お呪いなのだ。

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ミサンガのお呪い

クロユリさんの噂話

 ねぇ、知ってる? 校舎裏のクロユリさん。  夕方に校舎裏に行くとね、居るんだって。  怯えないで願い事を言えたら、クロユリさんは、その願いを叶えてくれるらしいの。  私? 私は行ったことないよ。ただ、聞いたことがあるだけ。  あぁ、そうだ。貴方も、行ってみるのはいいけど、恋のお願いだけはしないこと。  クロユリさんは恋のお願いは叶えないし、したら殺されちゃうって話らしいから。  気をつけてね。 「クロユリさん、いらっしゃいますか」 「……わたし、よんだの、だぁれ?」  校舎裏のクロユリさん。   不思議な不思議なクロユリさん。    願いを叶えてくれるクロユリさん。  今日も願うものはやってくる。  願いを叶えるには、禁忌だけは犯さぬように。

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クロユリさんの噂話

あなたのことが、好きです。

 あなたの優しさが、好きです。  あなたの笑い声が、好きです。  あなたの喋り方が、好きです。  あなたのまっすぐな想いが、好きです。  あなたの瞳が、好きです。  あなたの全てが、好きです。  だから、応援します。  叶わない恋でも、あなたに恋してよかった。  本当は、私を好きになって欲しかった。

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あなたのことが、好きです。

紗音とナナと出会い

「自立式人型機械人形・七式。貴方を助けに参りました」 「……へ?」  この日から、私の生活はガラリと変わったのだ。 「貴方が朝咲紗音さん、ですか?」 「わ、私はそんなの知らないです! 出てってください!」  急に全く知らない機械人形とやらが部屋にいて。そんなの全く知らない私は、その存在自体を拒否するけれど。 「本人確認が必要です。貴方は朝咲紗音さんですか?」  目の前にいるものは、人のような形をしているけれど、どこまでも機械そのもので。 「〜〜っ! そう、です。私が、朝咲紗音です……!」  認めたくなかったけど、認めざるを得なかった。機械からの問いにイエスと答えた。すると、 「本人確認が完了しました。本機は再起動を行います。数分お待ちください」  目に灯っていた光が消えたかと思えば、再起動とか言い出す。もう、訳がわからなくてその場に座り込んでしまった。  それから何も出来ずに三分ほど経った頃、再起動が完了したであろう音がして、目に光が灯る。 「自立式人型機械人形・七式はこれから貴方のサポートをします。初期設定を行なってください」  そう言って、目の前の機械はタブレットを差し出してきた。そこに表示されていたのは名前の記入欄で。きっと目の前の機械の名称、呼び名に当たるものだろう。 「うーん、ここは捻らずに、ナナとか?」  七式からナナ。我ながら安直だなぁと思うが考える気にもならなかったのだからしょうがない。  ナナ、と入力し終わると、次は性格を選ぶようにと書かれている画面が浮かぶ。  おっとり、せっかち、真面目、面白い、大人しい、元気、などなど。最低三つは選ばないといけないらしい。  めんどうだなぁ……とも思うが、ここで抵抗してもあまり意味がないだろう。画面をスクロールして、直感で選んでいく。 「ふぅ、出来たぁ……」  謎の達成感を得ながら、画面上に浮かぶ“次へ”のボタンを押す。初めは面倒だったけど、ここまで来たらやってやる、そんな気持ちが浮かんでくる。 「えぇっと、次の質問は、っと……」  画面上に浮かぶのは、“貴方に必要な関係”で。正直、よく意味がわからなかったが、画面をスクロールしていくと、その意味がわかった。 「友達、家族、恋人……他にもいろいろある」  設定のようなものだろう。どうやって、私に接するかの確認。 「友達、かぁ……」  友達という存在にはあまりいい思い出がない。裏切り、利用、いじめ。考え出したらキリがない。  でも、これは機械。そんなもの、ないんじゃないか。そんな考えが浮かんでくる。その思考にハッとして、考えるのをやめようとするが、どうしても淡い期待を抱いてしまう。  もしかしたら、いい関係を築けるかもしれない。 「まぁ、お試しだし……」  まだ迷いのある自分に言い聞かせるようにそう呟き、友達のボタンを押した。  その他にも、私の呼び方や私の好きなもの、苦手なもの、などなど。私についての情報を十個ほど入力したら、画面上に浮かぶ言葉が“次へ”ではなく、“完了”になっていた。  迷いなく完了を押すと、五秒後くらいに 「データの読み取りを完了しました。接続を開始します。タブレットや本機の電源を切らないでください」  と言ったかと思うと、目がチカチカと点滅を始める。それを見ていると、はじめは思っていた面倒という気持ちが無くなっていき、どちらかというとワクワクとした感情が浮かんでくる。  まるで、物語の主人公になったみたい。  そんなことを考えていたら、ナナの目の点滅が終わり、ブォンっと音を立てて、目に青い光を灯す。  その目でゆっくりと私の方を見て。 「自立式人型機械人形・七式。改めて、ナナ。貴方のことを精一杯サポートさせていただきます」  優しく、けど冷静に。私に寄り添ってくれる、世界に一つだけのお友達ができた。

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紗音とナナと出会い