チド
118 件の小説懐古
天地は 朱に 染まって 登る 黒雲の 中に キラキラと 鱗は 眩く 光を 弾く 空の 器の ドラゴンは 捩る 身の内 無数の 虫が ゾロリと わいて 這い出でて 甘く 響いた 雷に 心をよせて 懐かしむ お前が死んだのはあの日だったな 俺が死んだのはあの夜だったよ ハハッ カカッ
ネオン
森の 神々 民の 息づき 愛を 求めて 冷たく 観察 暗く 彩る 言葉に 恋して 歓楽の 宴に 欲求を 満たす 渇望の 苦しみ 坩堝に 溶けて 邪神の 像の 頭部 抱える 戒めは 秘仏に 自我を 宿し 妖異の 這い出る 図像を 描く 命の 際に 干す 冷や酒は 友の 微笑み 揺らぐ ネオンに
欲
沈鬱な 虚無を 内包す 絵には ヒトの 自我を 凍らせる 恋が 対照を 成した 白虎と 青龍 炎の 乱舞は 神を 迎える 推移す 液体 溶かした 毒は 炎の 青さに 泡立ち 薫る 涅槃の 願いは 憎悪と復讐 超越した先 光に溶けて 駆逐された 王の椅子は 孤独な 絢爛 誘う 無常 冥府を恐れ 自我を失う 予感に呻きを 抑えられぬ夜 熱狂の坩堝 液に塗れて 欲は混ざって 夜は燃え尽く
灰
欲望のままに 言葉を羅列し 感情のままに 美姫と奈落堕つ 緻密な破壊は 調和の未来へ 流れる過去へは 瑠璃玻璃散りばむ 多様な点が あればあるほど 気持ちはいいわ 具体は苦手ね 解読困難 言語崩壊 理性減退 哄笑殷々 邪悪な悦び 溢れる身には トグロを巻いた ミズチの芸術 神秘の追求 絶望の日々 美童の視線に 逃れる術なく 灰の景色は 未来の予感 嘆き悲しむ ソラは変わらず
炎
炎の性は 特殊な意識の 流れるままに 地熱吸い上げ 理合いを手にす 苦難の日々は 経典とともに 合理の外へ 普遍を求める 無秩序旋律 響く乱雑 脳の構築 心の静寂 絵筆をクルクル 諦めキラキラ 菩薩は悶々 悟りよカムカム 黒衣の魔人と 歌姫の恋 メロディの闇は ワインを濃くする 悪夢を観ながら 妖女と語らい 黒き炎に 脳を焼かれる 言葉の底へ 潜り潜って 光は絶えて 望みは果てて
ライン
夏が薫って 海に向かえば 彼の温度に 会える気がして 陽が落ちるまで テトラポッドの 上で染まった 空を見ていた 刻は止まらず 滔々流れる 少年の目は 濁りをまとう 涙を流し 生きる意味など 無いなと知って 一人抱える 孤独のウツツ 虫の音に 心気をこらし 月の冴え冴え 蒼い晩には 弦の調べは 鼓と絡んで 肉の柔さに アルコールは沁む 澄む意識には 青いラインを 引きたいとこよね 月から下ろす? 踊ればスルスル 舞えばサラサラ 線に沿うのよ 星が綺麗ね
星
沁みた音から 染める真紅に 夕焼け小焼けは 焦がす白骨 砕かれた律 女神の亀裂 民の祈りに 雨の赦しを 胸の黒々 ユルユル呼吸し 脈打つ血道に 満たす星の気
雨
こんがらがった 二弦と一弦 絡み合わせて キリキリいわせた あの夏の事など ビールをグビリと 臓腑に吸わせて 悦に浸った 虚ろな目の玉 綺麗ねとても 悲しむ間も 記憶は流れる 雲はたっぷり 情けを含んで 雨など降られて 治癒した傷には キスをふらせて 甘味の奥へと リズムは沁みるわ
3.4.5
先の見えない空間を 切って中身を取り出して 喰って味など確かめて 涙スルリと流す間に 返す返すも病む夢は 崩れトケユキ地を濡らす。
ストレッチ
身体運動への思いが強くて、車に乗っては歩く事が出来ぬではないかと車を売却しました。筋肉の収縮弛緩ほどスリリングな事はそれほど無く、心の収縮弛緩と並んで生きる上で快楽を得る最上の現象なのではないかと感じます。メダカの背骨のユルユル波打つ動きに幻惑されて入り乱れエサをパクリパクリ咀嚼する美しさにトキメク心は抑えきれません。我もこの宇宙で、メダカの水中の自由自在を体現し、死するまでグネグネ動き回る心と身体で、舞踊り、ユルユル緩々、重力無視の言葉を散らし、スルスルするりと思いの狭間で黒に溶けゆく、夢の長さを存分に味わい尽くしてくれようと、そんな事など考えているのでございます。