はならび
3 件の小説名前のわからない狐
とある村に、⬛︎⬛︎という、いたずらばかり狐がおった。 中でも、⬛︎⬛︎は兵十という人間を気に入り、よくちょっかいをかけた。 とある日の川。そこには兵十と⬛︎⬛︎がいた。 「おい兵十。どうしたんだよそんなしょぼくれて。」 「お前には関係ない。」 「そうか。」 ⬛︎⬛︎は、兵十がいなくなった隙を見て、兵十が捕まえた魚籠の中の魚を逃した。 一匹、二匹、三匹…と逃していった。そして⬛︎⬛︎が、最後に残ったうなぎを逃がそうとした、その時。 「っ‼︎なにしてんだこの馬鹿ぎつね‼︎それはお前のためのもんじゃねぇ!」 ⬛︎⬛︎は、兵十に驚き、そのままうなぎを首に巻きつけたまま逃げた。 「っぷはー…うなぎに殺されるかと思ったよ…。しっかし…兵十、すごく怒ってたな。今までの中で一番声を荒げてたな。」 ⬛︎⬛︎は、ついこの間三本に増えた自分の尻尾を大事そうに抱いた。 次の日、⬛︎⬛︎は昨日のように川に行き、兵十を待った。 しかし兵十は来なかった。 そのまた次の日も待った。 そのまた次も 次も 次も 次も 次も 次も 次も 次も 丘の上で、棺桶が運ばれていった。棺桶には兵十が泣きながら縋り付いていた。 ⬛︎⬛︎は後悔した。 兵十の母親は体が弱かった。 母親はきっと、兵十にうなぎが食べたいと言っていたのだろう。 あんなことしなければ良かった。 自分と同じ一人ぼっちになった兵十を哀れに思った⬛︎⬛︎は、大好きだったいたずらをやめた。 ⬛︎⬛︎は、兵十の家に魚を投げ入れた。 しかし、その魚は魚屋から盗んだものであったため、盗みの犯人に兵十が疑われ、⬛︎⬛︎がきた次の日には、兵十の顔はパンパンに腫れ上がり、痛々しかった。 ⬛︎⬛︎は魚を贈るのをやめ、キノコや栗といった、山で取れるものを投げ入れ続けた。 わかっている。これはただの罪滅ぼし。しかし何にもならない。兵十に合わせる顔がない。⬛︎⬛︎は人間らしいことを考えながら今日も栗とキノコを置いた。 兵十は顔色を取り戻し、村の人に自慢できるくらいには回復した。 「最近な、玄関に栗とキノコが置いてあるんだ。きっと神様が俺を助けてくださってんだ。あぁ、ありがてぇ。」 ⬛︎⬛︎はむすっとしながらそれを聞き、山に行った。 栗とキノコを今日も置く。⬛︎⬛︎はいつもより多く持ってきた。 満足し、兵十の家からで 銃声だと気付くのに時間を要した。 銃弾は⬛︎⬛︎の体を貫き、⬛︎⬛︎は煙の匂いしかわからなかった。 兵十が何か言っている。 「⬛︎⬛︎、お前だったのかい。栗とキノコをくれたのは。」 ああ、その言葉を聞きたくない。『くれたのは』は間違いだ。元はというと俺が悪いんだ。 その言葉が呪いになって耳から離れない。 後から兵十が何を言ったのか、はたまた何も言わなかったのか。 それは⬛︎⬛︎にはわからなかった。 end
溺れた狸
僕には物語の結末は変えられない。 とある村に、畑を耕している老夫婦がいた。 その老夫婦の畑で何度も盗みを働く狸がおった。 その狸は捕まり、お婆さんに狸汁にされそうになる。 そして狸は言った。 「もう悪さはしない、だから見逃してくれ。」と。 お婆さんは狸汁にはしなかった。 しかし狸はお婆さんを殺し、お婆さんで汁を作った。 狸はお婆さんに化け、お爺さんに飲ませた。 飲ませた後、狸はお爺さんを嘲笑った。 ここまでで一旦区切ろう。 なぜ狸がこのようなことをしたか。 考えたことはあるだろうか。 山の中。薄暗く聞こえてくるのは風の音だけ。 「うぅ、寒い。腹も減った…。」 狸は巣の中で身震いをした。 寒さをしのげるものは己の尻尾のみ。 しかし腹が減っても何もない。 「…怖いが行くしかないか、村に。」 狸はビクビクしながらあかりの灯る方へ歩く。 狸を向かい入れたのは、巨大な目玉だった。 目玉が、目玉がこちらを見ている。 狸は汗が止まらなかった。 泣きそうだった。 村に入ると目玉、目玉。沢山の目玉が出迎えた。 空は赤黒く、不安にならないはずがなかった。 見られている。しかもとんでもない量の目玉。 「此処に長居すれば頭がどうにかなりそうだ…。」 狸は野菜を盗んですぐに帰った。 朝目が覚めるとお腹がなった。 昨夜はおかしくなりそうですぐに帰ってきたのだ。 朝の分など考えてもいなかった。 「また、行かなきゃならないのか。」 狸は怯えていた。また、あのような目に遭うのかと。 今は冬。山には食べ物は一切ない。 食べ物を食べるには村に行くしかなかった。 体をできるだけ縮めて村へ入る。 昨夜よりも、何倍、何十倍の目玉に見られながら畑へ向かった。 野菜をとって早く帰ろうとした。 ゴンッ 目が覚めた時は台所の上だった。 どうやら頭を殴られたようだった。 怪物が鍋を煮ている。 どうやら狸は食べられるようだった。 怪物は目が沢山ついており、口が耳まで裂けていた。 狸は恐怖で泣き出しそうだった。 「もう、もう悪さはしない。み、見逃してくれ…。」 狸は必死で懇願した。 体に巻きつかれた縄がチクチクと狸の体を攻撃する。 今にも泣き出しそうな狸の顔を見た怪物は狸の縄を解いた。 ドッ 杵で、杵で怪物を…僕はっ………。 怪物を倒した後、怪物で汁を作った。 肉。山でも滅多に撮れない貴重な肉。 先ほどの怪物に化けてもう1匹の怪物と共に汁を啜った。 美味しかった。 汁を飲み終わった後、怪物に汁の真実を伝え、逃げた。 必死になって、泣きそうだった。 いつのまにか口元には笑みが溢れていた。 やった、今日も生き残った。しかも怪物の巣にあったよくわからない薬も手に入れた。 なぜか、この薬を飲めば楽になれると感じた。 お爺さんはオイオイと声をあげて泣いた。 そこで近所の山に住むうさぎに相談をした。 「仇を取りたいが私にはできそうにない。」と。 うさぎはお婆さんの仇を取るため、狸成敗に出かけた。 うさぎはまず、狸を柴刈りに誘った。 うさぎは狸の柴に火をつけた。 結果、狸は火傷を負った。 翌日、うさぎは狸によく効く薬だと言って、唐辛子入りの味噌を渡した。 狸はこれを塗って散々苦しむことになった。 狸の火傷が治ると、狸の食い意地を利用して漁に誘った。 欲張りな狸は泥の船の方が沢山のせられると思った。 うさぎは木の船を選び、漁に出た。 うさぎは船端を歌いながら叩き、魚が沢山獲れる歌だと言った。 狸は真似をして船端を叩いたが船が沈み、狸は助けを求めた。 うさぎは「お婆さんの仇だ!思い知れ!」と言い、見事仇をうったのでした。 狸は薬を飲んだ。 今まで見てきた景色が全て違ったようだった。 空は赤くないし目玉もない。 初めて世界を美しいと感じた。 そんなことが続いたある日、薬の量は残り一粒となった。 そんな時、うさぎが現れた。 うさぎは「金儲けのために柴刈りをしないか?」と提案した。 金があれば薬も買えるだろうと狸は承諾した。 最後の薬を飲んだ。 「さぁ、もう今日は帰ろう。」 「わかった。 カチ、カチ ところでさっきから聞こえるこのカチカチはなんだ?」 「ああ、それはカチカチ鳥が鳴いているんだ。なんせ、ここはかちかち山だからね。」 「そうなのか、一度見てみたいな。」 狸は鳥を見たことがありませんでした。 見ていたとしてもそれは幻覚の中。 赤黒い肉塊のようなものに見えていたのです。 冷え切ったはずの体がなぜか背中だけが暖かい。 いや、熱い。 熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い。 翌日、うさぎがうちに来た。 よく効く薬だと言って何かを持ってきた。 塗ったはいいが、この後は苦しむだけだった。 火傷が治ると、うさぎは漁に行こうと誘った。 魚。とても貴重だ。しかしもう薬の効果は切れている。 何もかもが恐ろしい。 でも、うさぎといるとなぜか大丈夫に感じた。 海についたが、海水は赤く、魚は赤い肉塊にしか見えなかった。 これが普通なのだと狸は自分を洗脳した。 立派な船と木の船。 狸にはそう見えた。 漁が始まり、うさぎが歌い始めた。 魚が沢山獲れる歌だと言った。 それが普通なのか? 僕はウサギの真似をした。 船端をドンドンと叩いていると、船が崩れ始めた。 僕は海にで溺れた。 溺死だった。 もちろんもがき苦しみ、叫んだがダメだった。 そして僕は、薬にも溺れていたのかもしれない。 薬、薬がないと。 まともになれないから。 end
最後の雨
登場人物ー※この作品の登場人物はチャットGDPによって作られました ミオ 無表情で淡々としているが、嘘をつくと必ず瞬きを忘れる。 人の秘密を知るのが好きだが、自分の過去だけは語らない。 ユイ 怪我人を見ると放って置けない優しい性格。 ただし、助けた相手がどうなったかには一切興味がない。 セツ 静かな老人。街の出来事をすべて把握している。 実は「見ている」のではなく「聞こえている」だけ。 クロウ いつも黒い傘を持ち歩いている青年。 雨の日以外も差している。 「約束」を異常に重視し、破った人間を決して許さない。 ナギ 人懐っこくてよく笑うが、鏡に映る自分を見るのを極端に嫌う。 海の近い街。 そこのは確かに⬛︎⬛︎がいた。誰が⬛︎⬛︎なのかと疑う毎日。 「見つけられたら国から賞金がもらえる。だからみんな死に物狂いで探しているんだ。」 そうユイは言った。 私はびっくりした。だってその⬛︎⬛︎は私だったから。 家の匂いが鼻をつく。 きっとあのおばあちゃんは全てを知っている。 私が、私が⬛︎⬛︎だってこと。 捕まれば最後。何をされるかわからない。 ああ、お母さんの言う通りここに来なければよかった。 「ねぇ、どうしたの?セツさんの方を見てさ。あ、もしかしてセツさんが⬛︎⬛︎だと思ってる?」 ユイは呑気そうに言っている。 しかし私は呑気になんてしてられない…。 セツさんは何も言わなかった。 「ミオ、さっきからどうしたのよ、ぼうっとして。」 どうしよう、やっぱり家に戻ろうかな、でも今帰ったら…。私の中で考えが釣り糸のように絡まって、もう切らなければならないくらいグチャグチャだ。 「あ、はは。ごめん。ちょっと考え事。」 そのとき、セツは口を開いた。 「クロウが捕まった…ナギちゃんにね。」 プツン。 その一言で私は何か、切っちゃいけないものが切れた気がした。 ユイは言った。 「え、?セツさん、どういうこと?え?え?」 「簡単なことさ、クロウはな、⬛︎⬛︎だったんだ。」 セツは淡々と言うだけだ。 私は動揺する。 クロウも、クロウも…。 ナギは賞金取りだ。賞金のためにならなんでもする。 そしてナギの妹。それがユイだ。 クロウは…⬛︎⬛︎だった…。 ⬛︎⬛︎…人⬛︎だったんだ。 ポツリと水滴が落ちた。 「あ…」 雨だ。 もう終わりだ。私たち、⬛︎⬛︎は水に濡れると元の姿に戻る。 「あ、ああ…」 「え?ミオ、ミオ⁉︎その…あし!」 今思えばあの水滴は涙だったのかもしれない。 最後にお母さんの顔を見たかった。 家に…海に帰りたかった。 end