れんご
3 件の小説しもしも②〜下田は下ネタしか言わない〜
※描写に関してはヒロインが下ネタを言う程度です。 ※サムネイル画像はフリーイラストをお借りしています。 連投失礼します🙇♂ 今日あといくつか投稿予定です。 【本文】 田中君はいつも助けてくれた。 「これ、お前の?」 「…!あ、ありが」 「それじゃ。」 今はもう居ないお母さんがくれたキーホルダーを拾ってくれたのも… 「…余ってるなら俺と組む?」 「え…」 「良いよ。俺英語苦手だし。教えてくれよ。」 友達が居ない私を救ってくれたのも。 本人は覚えてないみたいだけど… それから私は努力した。もう田中君に助けてもらわなくても頑張れるように。 いつか恩返しが出来るように…そして、 「好きになって、もらえるように。」 いつしか私は田中君を好きになっていた。 今まで助けてもらった恩義以上に、異性として惹かれてしまっていた。 彼はいつも当たり前のように人助けをして、自分が傷付いても平然としていて、誰かに誇る事も無かった。 そんな横顔がたまらなく格好良くて…でも儚げで。私が傍で支えてあげたいと思ったんだ。孤独な彼の癒やしになりたかった。 未熟な私には分からないけど、これが恋ってことなんだと思う。 ある時放課後の教室で、田中君がお友達と話しているのを聴いた。 「田中ってほんとムッツリだよなwwエロいわ〜マジでww」 「やめろよwエロいのはお前だろww」 「ぃよっ!下ネタ大好きマン!!」 「やめろってww」 田中君って下ネタが好きなんだ… …勉強しなきゃ。 メガネからコンタクトに変えて、薄くお化粧もして、旬な話題にもアンテナを張って、SNSを始めて。 下ネタの勉強も欠かさなかった。 男子の会話には絶えず聞き耳を立てて情報収集し、女子にはより生々しいネタを聞くこともあった。 未成年だからえっちな本は買えないけど、いずれ何らかの手段で入手したいと思っている。 これも彼の為だから。 明るくなった私を見ると、段々友達も増えていった。 自分でも頑張ったと思う。 勉強は元々得意な方だったけど、クラスで目立てるようにもっと頑張った。 今は学年でも上から数えた方が早いぐらいの成績だ。 でも… 「あの、田中君…よかったら放課後…」 「ん?えっと…」 下田だよ(泣) 「悪いけど俺アニメート行くから!」 彼には全く振り向いてもらえなかった。 『これはもうなりふり構わず大胆にいくしかないな。』…そう思っていた矢先、 「ねぇちゃん可愛い顔しとるやん。えぇ仕事あるで。」 いつものゲームセンターに行く彼をストーキングしていたら、運悪く怖い人に捕まってしまった。 「こっち来いや、へへ…」 もう駄目かもしれない…よく考えたらストーキングもあまり良い行為では無いし(いつもしてるけど)、神様が私に下した罰なのかもしれない。 そんな時、 「その子嫌がってるんで。やめてもらえますか?」 また助けられてしまった。 きっと私にとっての神様は、田中君だったんだ。 それから衝動的に膝枕をしてしまったり、プロポーズめいたことを言ってしまったり、学校では何だかんだでたくさん構ってもらったり、色々あった。 幸せで満ち足りた日々…田中君は口では嫌と言っているけど、いつかきっと分かってくれるだろうし、分かってくれなければ襲えば良いと思っていた。 私の恋は順風満帆…最早遮る物は何も無い…そう思っていたのに。 「下田、実は俺の友達に会って欲しいんだ。篠崎っていうんだけど。」 「え…?」 「はは。突然で悪いけど、いい奴だからよろしく頼むよ。三人で楽しく遊べればと思ってる。」 楽しそうに話す彼… 私の心の奥底に、昏い炎が灯った。 そっか。これが嫉妬ってヤツか。 「篠崎…!」 私はそれから篠崎…篠崎さんのことを色々と調べた。 彼女は毎日のように田中君の家に入り浸り、一緒にゲームやお話をしているらしい。彼に夕飯を作ってあげたりすることもあるみたいだ。 何が友達だよ。そんなの通い妻じゃん。 そして驚くべきことに、田中君はそんな状況に何一つ疑問を抱いていないようだった。 本気でただの友達だと思っている様子だ。 これは私的には有難いのだけれど、ちょっとフクザツな気持ちもある… 篠崎さんの健気なアピールを華麗にスルーする田中君、その構図は何度も見せられた。 二人は最近帰宅も一緒にすることが多くなったようだから、ストーキング中に嫌でも目にするのだ。 例えば今は… 「ユウ。今日ね、クラスの男子に告られちゃった。」 「ふーん。良かったじゃん。」 「…ぐっ。結構イケメンだから迷っちゃうな〜!ユウはどう思う?」 「付き合っちゃえば?楽しそうじゃん。モテモテで羨ましいぜ。」 「………」 本日何度目の玉砕だろうこれは。敵とは言え同情を禁じ得ない… 「ユウってたまにぶん殴りたくなる時があるよ。」 「冗談キッツwww」 わかる。 …さてと、ストーキングはこれぐらいにして、私は準備を進めないと。 といっても、もうほぼやれることはやったんだけど。 来たる決戦の日には、彼女よりも上手く田中君にアピールしなきゃいけない。 出来るだけオシャレな服を着て、面白い話題を振って…所々彼の好きな下ネタも挟めば言うことは無いはずだ。 そして遊ぶ場所はカラオケ! 所謂モテ曲も頑張って覚えたし、もはや死角は無いはず。 一つだけ懸念があるとすれば… 「ヴォエ〜!!ゲホッゲホッ…!あー駄目だ…」 私、音痴なんだよね…
しもしも①〜下田は下ネタしか言わない〜
※描写に関してはヒロインが下ネタを言う程度です。 ※サムネイル画像はフリーイラストをお借りしています。 連投失礼します🙇♂ 今日あといくつか投稿予定です。 【本文】 俺は田中優太。名前の通りの凡人で、所謂普通の高校生だ。 学校の成績は良くも無く悪くも無く。交友関係は狭いがボッチでもない。 クラスでの立ち位置は紛うこと無き陰キャだが、それなりに学校生活を謳歌していた。ヲタクは楽しいもんだ。 ちなみにウチの高校はかなり名の知れた進学校で、みんなそれなりに頭が良い。いじめとかそういうのも無い。民度が高いと言えば良いのだろうか。 まぁなんか将来設計のちゃんとしてる奴が多い。 大企業のトップに立って物流を担うとか、政治家になって国を立て直すとか… 傍から見れば青臭い理想かもしれないし、大人になって恥ずかしくなったりするそういう類いの戯言なのかもしれない。 でも教室で一丁前に国事を語り合ったりする意識高い系陽キャ共の声を聞いていると、彼らが俺に無い何かを持っているような気がして… 詰まる所、そんな奴らが眩しくて仕方が無かった。 夢も何も無いもんで。 …いや、一つだけある。夢というか何というか… ただ恋愛が、したい。 俺みたいな陰キャが分不相応かもしれない。それでもいい。一生に一度だって良いから。 小説みたいな身を焦がす程の恋が、してみたいんだ。 下らないと笑いたければ笑え、青二才(いしきたかいけい)ども。 非モテすら救えない奴が国を救えるか? 片腹痛いぜ、ワハハ!!! …虚しい。今日もゲーセン寄って帰ろう。 そんな俺の恥ずかしい自己開示はさておき… 「ねぇちゃんちょっと来いや。いい仕事紹介したるわ。」 「い、嫌です…離して下さい。」 ある日の放課後。寄り道をしていた俺は凄くテンプレな現場に居合わせてしまった。女の子がヤーさんらしき人に絡まれてヤバそうな雰囲気だ。 手を掴まれて今にも泣きそうになっている。 そしてあれはウチの制服…というか多分ウチのクラスの女子だな。通報ぐらいはしてやろう…物騒な世の中だ。 「あぁん!?大人しく来いゆうてるやろがい!」 「エセ関西弁の癖に…」 「…組事務所行こうぜ。久々に、切れちまったよ。」 逆鱗に触れちまったらしいな。俺でも言わないよそんなこと。ちょっと辿々しいとは思ったけど。 それにしてもだいぶマズイ状況だ。 脳内で独り言を言っている場合でも無さそうだぞ。 仕方がない… 「あの、その子嫌がってるんで。それぐらいにしてもらえませんか?」 「田中君…?」 まさかいきなり子供に手出したりとかしないよね?ここ人目もあるしさ… 大丈夫、穏便に済ませられるはず。 自分の交渉力を信じろ。 「何だテメェ良いところ邪魔しやがって!ガキだろうと容赦しねぇ!」 「ちょまグボァッ!?」 悪い大人って居るモンだよな。 暴力的な奴は早死にする。いやしろ(暴論) 結果から言って俺はボコボコにされた。騒ぎを聞きつけた警察の人がそのチンピラを取り押さえて何とかなったものの、体中痛くてたまらない。 正直もうちょっと早く来てほしかった。 …こんなことって無いぜ。 良いことしたのにさ。 「あの…助けてくれてありがとう。私怖くて…」 「いいよ別に。」 まぁ気が付いたら美少女の膝の上だったから良しとする。 この子確か下田って言うんだっけ。 なんか目立たない印象だったけど、間近で見るとすげー顔整ってるな。 それに黒髪清楚な雰囲気が俺好みというか、良い… 俺の努力も報われるというものだ。 現金と言うなかれ。前述の通り、俺は非モテなんだ。威張って言うことでは無いがね。 「あの、お礼と言ってはなんだけど。」 「だから気にしなくて良いって。」 なんか良い雰囲気で照れる。もしかしてこのまま付き合えちゃったりするのだろうか(´>∀<`)ゝ …いかんいかん!俺はそんな邪な気持ちで下田を助けたんじゃない! まずは友達からだ。うん、今度一緒にアイス屋さんにでも誘ってみよう。 良いね、アイス屋さん。学生デートの定番だ。アニメとかでもよく見るし。 いかにも青春って感じが 「このままベッド行こ…」 「えっ?」 この子思てたんと違うな。 「田中君、今胸見てなかった?いいけど。」 「見てねぇよ。…授業中だぞ。」 大体お前言うほど無…いや、やめよう。いくら心の中とはいえ言って良いことと悪いことがある。 あれから俺は毎日この女にダル絡みされている。学校に居る間ずっとだ。 ほんと勘弁してほしい。 というか性別逆だったら普通に訴えてるからな。セクハラだぞお前。 こんなのと同じクラスとか終わってるだろ。 「………」 「もしかして資料集忘れた?しょうがないなぁ。パンツ見せてあげる。」 「文脈おかしいぞ、痴女よ。」 しかも隣の席とかさ…ずっと話し掛けてくんだよこいつ。 「アハハ!苦労してるねぇ!」 「笑い事じゃないぜカナ。」 放課後、俺は自分の家に幼馴染の篠崎加奈子を呼んで一緒にゲームをしていた。家が近いこともあり、暇な日はカナとゲームをしながら今日何があったかを話すのが習慣化されていた。 カナとはそれぐらい仲が良い。陰キャの俺と人気者の彼女だが、昔から不思議とウマが合うのだ。 恋愛感情は一切湧かないが。俺的にはほぼほぼ男友達のノリだからな。向こうもそうだと思う。 「ふふ。ごめんごめん!ボク笑い上戸だからさ。それにしてもその下田さん?も物好きだよねぇ。よりにもよってユウを好きになるなんて。」 「それはちょっと失礼じゃないか?w」 「まぁまぁ!…そうだ!彼女、今度ボクに会わせてくれない?仲良く出来ると思うんだ。少し親近感も感じるし。」 「はは。物好きはお前だろwイヤだよただでさえ付き纏われてるのにコッチから話しかけるなんt」 「お願い。」 「…うん。」 何だろう。いつもは快活で優しいカナなのに、この時ばかりは断れなかった。 「いつ会うか、予定決めちゃおっか。」 「うん…」 まばたきしてないし…
ぎじチー!①〜擬人化チートで成り上がれ!〜
※サムネイル画像はフリーイラストをお借りしています。 主人公の名字を田中から坂本に変えました!すみません💦拙作別シリーズの主人公と名前がほぼ同じだったので流石にどうかなと… 【本文】 俺はよく居る普通の高校生、坂本悠真。 でも一つ普通じゃないことがある。 目が覚めたら見知らぬ森の中に居たんだ。 「あれ…俺確かトラックに轢かれて…これはもしや!?」 なぜか説明臭い台詞がひとりでに口から出てしまったが…そう、俺はトラックに轢かれて死んだ筈だ。 まぁ特に猫を助けたとかでも無く、ボーッとしてたら暴走車に轢かれたと…それだけなのだが。 それなのに生きている…ということは、だ。 これ、異世界転移ってやつでは…? 夢じゃないよな…!? つまりもしかすると俺も、ラノベの主人公みたいにハーレム築けたりす 「キシャアアアッ!!」 …現実はそう甘くなかった。いきなり俺の背丈程もある化け物ウサギが襲い掛かって来たんだ。 本能が絶対にアイツには勝てないと告げている。俺なんてあの馬鹿でかい牙で一噛みだろうと。 今からでも夢ってことにならないかな…? うん、もう一眠りしよう。 俺は戦闘を放棄し、敵の目の前で目を瞑るという(ある意味)英断を下した。 その時、脳内に澄んだ声が響き渡り… 【術者の危機により、スキル『擬人化(パーソニフィケーション)』を自動発動します】 俺は意識を手放した。 「おーい!目を覚ますウサ!我がご主人よ!」 「…あれ?」 目を覚ますとまた理解出来ない光景が目の前に広がっていた。 誰だこのウサミミ美少女は。 「あんたがマスターなんじゃろ?よろしく頼むウサ!」 口調とっちらかってないか…? 「君誰?」 「あんたを殺そうとしたデカいうさぎウサ!」 「堂々としているね。」 それがなぜ人型に?なぜもう俺を襲わない?…と口から出る前に目の前のウサギさんは答えてくれた。 「マスターが私を人化させてくれたらしいウサ!頭にそう流れ込んで来たからな!」 「あ、俺もなんかそういうのあったわ。」 人化っていうのは多分人型にするってことだろう。それを俺がやったって言うのか…? 「これ、マスターのじゃないのかウサ?」 「ん?」 デカい辞書みたいなのを手渡された。 中身はなぜかほぼ白紙だったが、最初のページと次のページだけ文字が書かれている。なになに…? [スキル:擬人化(パーソニフィケーション)] 一日一回、任意の魔物及び魔道具を人化させ、永久的に使役することが出来る。自分の力量を遥かに上回る対象には効果を発揮しない。実行時は相応の魔力を消費する。 「なるほどね…完全に理解した。」 「ほんとウサか?」 …まずは信頼関係の構築からだな! ちなみに次のページにはこう書かれていた。 [デスラビット] 森に生息する中位の魔物。身軽で体術に優れる。また人参を主食とするが、人も好んで食す。 「いや最後不穏だな!!」 「もう不思議と食いたいって思わないんだウサ。信用してほしいウサ。」 「いやそれこそ信用出来ないよ。」 今の所この子しか頼れないから信じる他無いけどね…俺は無力だ… まぁつまりこの辞書には、擬人化スキルそのものの説明に加えて、使役に成功した魔物の詳細が記載されていくということだろう。 「あれ…一日一回擬人化出来るなら、数年で軍隊とか作れちゃうのでは?」 「その度に気絶するウサか?」 「うっ…」 この兎、鋭い。 …そうだった。 代償に俺の魔力を消費する訳で。 いちいち魔力切れ(?)で気絶してたら俺の精神が持たない。 ログインボーナスとは違うのだ。 「ちなみに君、いきなり擬人化させられてどう思ってるの?」 ふと気になったことを聞いてみた。 俺だったら結構ビックリするんだけど。 「人化魔法は本来、最上位の魔物にしか与えられない大変栄誉あるナンタラカンタラ…」 あっそういう受け止めなんだ。 「…つまり、もんのすごく感謝してるウサ!出来る限り尽くすつもりウサよ!」 良かったぁ。 とりあえず件の兎っ娘(元デスラビット)に『ラビ』と名付け、近くで飯を狩って来てもらったり、森の探索を進めてもらったり、色々使役させてもらった。 「それにしてもラビとは…安直ウサね。」 「ごめんて。」 そんなこんなで数日が経った。 名前は期待外れだったらしいが、彼女はよく働いてくれている。 ラビが狩って来てくれる小動物の肉の味にも慣れたし、火の扱いだとか俺も色々と学んだ。 人間、やれば出来るもんだな。 命掛かってるし。 そして俺は決心した。 「後もう一人擬人化するわ。」 「ほうウサ?」 「君が留守の間、俺を守ってくれる人材が欲しいんだ。」 「この周辺、私以外の魔物居ないウサよ。」 デスラビ時代の彼女が淘汰したお陰でそうなっているらしいが… 「不安は不安だからな。ラビが持って来てくれた剣があるだろ?あれ擬人化してみるよ。」 ある時ラビが、古びた剣を拾って来てくれた。恐らくここで亡くなった冒険者の所持品だったのでは…とのことだ。 ラビ曰く、古ぼけてはいるが歴とした魔道具らしいので、今回はそれを擬人化しようと思う。 武器擬人化したら強そうだしな。 小学生みたいな発想だが。 「なるほどウサ。今は夜でちょうどこの後は寝るだけウサからな。気絶するまで存分にやるウサよ。見張りは任せるウサ。」 説明くさいウサ。