kamino
2 件の小説第1話 猫を探せ①
「ここって万事屋ですよね?」 「そうですね。何かご依頼ですか?」 「ええ、その通りです」 長い顎髭の生やした老人は店に入るなり、そう言いながら、店内のソファーに腰掛けた。 「今回はどういったご依頼で?」 「うちの猫を探して欲しいんです」 「猫ですか。特徴は?」 「黒猫です。でも、目はルビーのような綺麗な赤色をしています。しっぽがフサフサのモップみたいになっています」 「いつ頃、いなくなったんですか?」 「昨日の夕方です。扉の隙間から外に出ていって、いつもだったらすぐに帰ってくるですけど、昨日は帰ってきませんでした。だから、ここをお尋ねしました」 「なるほど、では、お宅のご近所を探してみましょうか」 こうして、老人の家の近くを散策することになった。老人の家はうちの万事屋からそう遠い場所にはなかった。なんなら、老人の家から万事屋までは徒歩5分ほどだった。近所を探して回る。猫の名前は吉助(きちすけ)というらしい。 「おーい、吉助ー、どこいったーっ?」 ちょうど、角を曲がったところで、コートを着た男性とぶつかった。 「あ、すいません。大丈夫ですか?」 「えぇ、大丈夫ですよ。それより、この猫をお返しますね」 そのコート来た人物は黒猫を渡してきた。そして、サーっとその場から去っていった。
第0話 プロローグ
ようこそ、万事屋へ。ここでは皆様方の様々なお悩み事をお聞きし、解決致します。もちろん、小さなお悩み事も、大きなお悩み事も、目には見えない怪事件もすべて、解決させてみせましょう。 申し遅れました、私、この万事屋の店主をしております、居坂 謙成(いさか けんせい)と申します。皆様、どうぞ、よろしく。 え?私が何者かって?そんなことどうでもいいじゃないですか。まぁ、そのうち分かる日が来るかもしれませんね。でも、今はまだ、知らなくていいですよ。 そんな感じで、これより、万事屋、開店となります