プロローグ
俺の名前は丸回丸々(まるまわまるまる)です
これでもきちんと本名なんです
みんなはこの名前のせいで俺と仲良くしてくれませんでした…
親は良い成績もとれない俺に失望していました…
生まれて11年、まともに良いことがありませんでした。
そこで、明日壊される予定の裏の森の神社へ、厄祓いをしに行きました
「こんにちは、こんな時間に来てくれたんですね、もうすぐ暗くなってしまいますよ?あなたは…見た感じ、小学4年生かしら?」
「もうすぐ12歳になる6年です」
「あっごめんなさい……」
不思議な雰囲気のお姉さんがいた
なんか、奇抜な格好でコスプレみたいな…
「えっと、お姉さん……お名前は?」
「あっ…私はこういうものです」
差し出したのは……名刺。
名刺には〖珀蘭幸霊自〗と書いている
読めねぇ……!!!
「それで、どうしたの?こんなところに何か用?」
俺は厄祓いをお願いしてみた
「厄祓い…?」
「………え?」
奇抜なお姉さんは厄祓いが分からないご様子
「厄祓いって何ですか……?」
「そのまんまで、厄を祓うんですよ」
「…私、その厄祓いはできないんです」
じゃあ何故こんな奇抜な格好でここにいるんだよ!?
せっかく来たので何かしていくことにした
「厄祓いっていうのは、また今度習得しておきますねっ……!で、ですが、こう見えてもお姉さんとってもすごい人なのよ!」
すごい人…
「なら俺の頭を良くしてください」
「おっ…おおっ!?そ、そっか……来年には中学生だし、やっぱり賢くなりたいんだね」
頭が良ければ友達できるかも
「でもごめんね、人の体を魔法でいじるのは法律で禁止されているの……」
…魔法?
「えっ…?お姉さん……魔法使えるんですか?」
「当たり前よっ!私ほどのエリートになると魔法なんてどうってことないわ!でも最近は半数以上の人が魔法を使えるらしいの」
「まじで!!!?」
俺は魔法が使える人間に選ばれなかったということなのか!!?
というかこの世界線に魔法なんてもんが存在したのか?
「あっ、今、魔法なんてほんとにあるの?って思ったでしょ?」
お姉さんは俺の考えていたことを言い当てた
「心は読んでないからね…っ?実は、この世界には沢山の異世界があるの」
「異世界!!!?」
「うん!ここは、いちばん人の多い、地球のある世界」
お姉さんがそれっぽく笑った
「私はいちばん人の少ない、夢の世界に住んでいるの」
夢?
「夢って寝てるときにみるあれ?」
「え?何それ?」
なんだか話が通っていない
「えっと、寝てるときになんか……見るだろ?それが夢じゃないの?」
「……寝ているときに、何かを見れるの?」
お姉さんは夢を見たことがないのか?
「そっか…もう夢を見る人はいなくなっちゃったと思った」
お姉さんは安心したように笑った
「夢を見る人がいなくなるってどういうこと?みんな見てるよ?」
「ううん、私のいる夢の世界を中心に小さい夢の世界を沢山つくる、小さい夢の世界は夢の数だけある…ただ、小さい夢の世界はもう作られなくなっていたの」
、、、よくわからねえ
それに厄祓いに来ただけなのに話が大きくなってる気が……
「ん、でも詳しく話す時間はないかもね、もう周りは真っ暗よ」
「おおおおおいおいまじかよ!!?」
門限過ぎちゃった♡
「せっかく来てくれたんだし、これあげる。この神社は明日には壊されているの、私はこの神社の力でこの世界に来ていたから、ここでお別れね」
俺はお姉さんから小袋を受け取った
なんだか少しの時間しか話していないのに、別れとなると寂しくなってしまう
「あ、ありがとう…ございます」
「ふふっ、もしかしたら、夢で会えるかもしれないね。」
お姉さんは最後にそういって、消えてしまった……!!?
(まじで異世界人だったわけ…?)
俺の手には名刺と小袋があった
「まるまる!!もう門限が過ぎているじゃない!」
お母さんに怒られながらも自分の部屋に入る
さっそく小袋の中身を開けてみた
中に入っていたのはピンク色のタブレットと、説明書…
やけに丁寧なことで…
〖これはデスワールドに繋がる薬です、食べたら貴方は理想の人生に生まれ変わることができます〗
「これ…もしかしたら凄いものかもしれない…」