えっと…、うん👍
3 件の小説転生した
はっと、目が覚めた。 最初に視界に入ったのは――大天使だった。 しかも、二人。 ……いや、待て。 さすがにおかしいだろ、と思うだろう? でも本当に、そこにいたんだ。 子供の姿をした、大天使が二人。 ――いや、違う。 天使の「絵」だ。 天井画だった。 「……天使?」 状況を理解する前に、体が跳ね起きる。 ふかふかのベッドから背中が離れる感覚。 妙にリアルで、嫌な予感が胸をよぎった。 「……ん?」 視界に入った自分の手。 小さくて、白くて、明らかに幼い。 「いやいやいや……そんな、まさか……」 周囲を見渡す。 知らない部屋。 ネット小説でよく見る、貴族の子供部屋そのものだった。 高級そうな家具。だが、どれも背が低く、小さな子供向けに作られている。 さっきの大天使×2は、やはり壮大な天井画だった。 嫌な汗が止まらない。 部屋の奥に、縦長の鏡を見つけた。 そろそろと近づく。歩くだけで、ベッドから足が床に届かなかったり、置物が目線より高かったり―― もはや言い逃れできない証拠が、次々と揃っていく。 そして、鏡を覗いた。 夜明け色の、艶やかな長髪。背中まで流れるグラデーション。 きらきらと煌めく、大きな黄金の瞳。 そこに映っていたのは、青ざめた顔をした小さな男の子。 年の頃は、七歳前後だろうか。 この世のものとは思えないほど美しく、 同時に、どこか毒々しい色彩を持つ少年。 その面影に、俺は見覚えがあった。 ――かつて、ゲーム画面越しに何度も見た顔。 作中屈指の悪役《クズ》 ルシェン・トワイライト。 「……って、なんで俺がルシェンになってんだよおおお!!?」 これは、 あるゲームに登場する「作中屈指の悪役」と呼ばれたキャラクターに転生してしまった俺の物語だ。
「作中屈指の悪役」と呼ばれたキャラクターに転生してしまった俺の物語-1.強引な天使
記憶を辿るなら、ほんの少し前の出来事だ。 俺は……死んだ はずだった。 本当に一瞬の出来事だったせいで、細部までは思い出せない。 ただ、耳の奥に残っているのは、ごうごうと鳴り響く高空の音。 機体が大きく揺れ、緊急アナウンスが流れていた。 長かったようで、短かった。 あれは確かに、死に至るまでの時間だった。 気がつくと、俺は何もない白い空間に立っていた。 ああ、なるほど。 俺、死んだのか。 直前の状況があまりにも絶望的だったせいで、その理解は驚くほどあっさりしていた。 飛行機事故…それが、俺の人生の最期。 あっけないことだった。 それにしても、何もない白い空間とは、ずいぶんベタな死後世界だな。 そんなことをぼんやり考えていた、その時だった。 「この度はご愁傷様でした」 頭上から声が降ってきた。 自分とは似ても似つかない、澄みきった声。 柄にもなく、天使みたいだな、と思った。 「さて、これからの話をしましょうか。時間がないので、手短にいきます」 ――訂正。 こいつは、絶対に天使様なんかじゃない。 「あなたには、これから転生していただきます。これは決定事項です」 俺が口を挟む暇もなく、声は続く。 「転生先の依代は、現在魂が抜けてしまっている状態でして。応急処置が必要なのです。ちょうど形の似た魂があなたでしたので、このようにお声がけしました」 「ちょ、ちょっと待てよ!」 さすがについていけず、俺は待ったをかける。 「時間がないと申し上げましたよね。待ちません」 即答だった。 「私は天命管理人、オリアスと申します。あなたの転生先となる人間の運命を管理している者です。本来その人間がしてはならない行動を取ったため、緊急事態となり、現場に来ています」 情報量が多すぎる。 だが、オリアスと名乗った存在は止まらない。 「それでは転生していただきます。異例の事態にも関わらず、ご協力感謝致します」 「いや、協力するなんて一言も言って――」 言い終わる前に、視界がひっくり返った。 「うわああああぁぁぁ!?」 〈一言〉 魔法少女契約(違う)
「作中屈指の悪役」と呼ばれたキャラクターに転生してしまった俺の物語-プロローグ
『悪役とは何か』 その問いに、人々は何と答えるだろうか。 悪い役と書いて『悪役』。 それは物語を動かすために用意された、陰の立役者――俺はそう思う。 主人公をより輝かせるために、自ら嫌われ役に徹し、読者にも登場人物にも憎まれる存在。そして最後には、お約束のざまぁやら、報いだの因果応報だのといった名目で、不幸に散っていく。そのシナリオを遂行させるために、『悪役』と名のつく者たちは、作者の手によって徹底的に憎まれるよう造形される。 …なんとも、気の毒な話ではないか。 彼らは生まれた瞬間から、幸せになる資格を与えられていない。 そういう役割として、そういう存在として、最初から作られているのだから。 物語に緊張感と彩りを与える存在であるはずなのに、誰一人として「幸せになってほしい」と願ってはくれない。 悪役である限り、どれほど魅力的な人物であろうと、どれほど悲しい過去を背負っていようと、誰も彼らを救おうとはしない。 悪役という立場そのものが呪いとなり、彼らを物語の終盤で消え去る運命へと縛りつける。 ……と、なんだか小難しく語ってしまったが。 まあ、つまりだ。 俺に用意されている結末は、バッドエンド確定ってことらしい。 「そんなのって……あんまりじゃないかああ!!」 俺は思わず、声を荒げていた。 〈一言〉 週3で頑張りたいお気持つ