みたらし

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みたらし

東真直さんのファンです。

私のチョコは?

私は、今までで1度もバレンタインデーのチョコをもらったことがない。 本命チョコをもらったことがない。 当然だ。 可愛くないのだから仕方がない。 友チョコをもらったことがない。 理由は知っている。 私の親友が怖いからだ。 だから、一緒にいる私の評判も悪い。 正直に言うと、嫌われている。 でも、別にいい。 私はまだ高校生。 人生これからなんだから! しかし、最近ウキウキしていた。 なぜかって? バレンタインデーが明日に迫っているからだ。 しかも、明日はちょうど月曜日! 今年はもしかしたら、貰えるかもしれない! と・も・チョ・コ ついに今日はバレンタインデー! ウキウキしすぎて、スキップで学校へ来てしまった。 我ながら恥ずかしい。 上履きに履き替えるため下駄箱をのぞくと、 手紙が入っていた。 “チョコを渡したいから放課後教室に残っていてほしい” とのことだった。 幸せな気持ちで一日を過ごした。 時間は過ぎ、気づけば放課後になっていた。 教室で待っていると、1人の女の子が入ってきた。 その子は去年同じクラスで、少し話したことがある子だった。 “あまり仲良くないのになぜ?” と思ったが、どうでもいい。 初の友チョコがもらえるのだから。 時は来た。 その女の子が私の前に来た。 恥ずかしそうにチョコを持って、その手を伸ばす。 “これ、友チョコ。” “うん。” “あの、これ、親友に渡してください!” “え?” “私、あなたの親友のファンなんです!” “親友のファン?” “かっこよくて、芯のある人で。 でもやっぱり、怖くて。 なので、渡してくれますか? チョコ。” “あ、うん。わかった。 渡しとくね。” パリンッ この時、私の中の何かが割れる音がした。 “そっちかよ!!”

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私のチョコは?

蝋燭を持った神

僕は今、病院にいる。 なぜなら、たった1人の家族のおばあちゃんが危篤に陥っているからだ。 母は身体が弱く、僕を産んでしばらくして死んでしまった。 父は男手一つで育ててくれたが、そのせいで死んでしまった。 おじいちゃんは寿命で2年前に死んでいる。 だから、僕にはおばあちゃんしかいないのだ。 (僕をひとりにしないで!) (ずっと一緒にいるって言ったじゃないか!) すると、おばあちゃんがいるベッドの近くから騒がしい音がした。 心臓が止まって大変なことになっていたのだ。 身体中から寒気がした。 人は本当に死んでしまう。 それは身をもって知っている。 だが、何度体験してもとても怖い。 嫌だ嫌だ嫌だ だれか、だれか、、 “もし、神様がいるのなら、おばあちゃんを助けて!” 僕は声に出していた。 目を開けると目の前には蝋燭を持った女が僕を見て立っていた。 “あなたは、だれ?” すると女は “今は違うが、神だ。” “今は違う?” “私は何もできずにただ見守るということに嫌気が差し、今はこの身を傷つけた代わりに助けを求める人の願いを聞いているのだ。” そう言ってたくさんの傷を僕に見せた。 “お前の願いは何だ?” “おばあちゃんの病気を治してほしい。 たった1人の大切な家族なんだ。” 女は頷いた。 そして、自分の腕を傷つけた。 次の瞬間、おばあちゃんに綺麗な光の玉が降った。 それは僕にしか見えてなかったらしい。 おばあちゃんの容態が落ち着いたのを見て、その女は ふっ− と蝋燭とともに消えていった。 その後、おばあちゃんは病気にかかっていなかったかのように元気になった。 この素晴らしい回復にお医者さんも驚いていた。 今は2人で元気に暮らしている。 それから僕は毎日蝋燭に火を灯して ありがとう と言って火を消している。 あの時言えなかった言葉だ。 “もしまた会えたら次は僕が助けてあげたいな。”

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蝋燭を持った神

夢か

気がつくと真っ暗。 今私はベッドの上にいる。 そう、私はこれから寝るのだ。 なぜだか眠れない。 深呼吸をすると眠れると聞いたことがある。 試してみよう。 … だめだ、眠れない。 時間が経てば眠れるかな。 とりあえず、目を閉じて明日何をするか考えよう。 … だめだ、逆に目が覚めてきたぞ。 なんとなく、窓の外を眺める。 なんだか、明るくなってきたような。 もう朝になったのか。 すると次の瞬間、目を開けられないくらい眩しい光が差した。 … 目を開けると、電気のついたリビングのソファーに寝転んでいた。 “なんだ、夢か。” はぁ、今日も頑張りますか。

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夢か

テスト

私は勉強が得意ではない。 定期テストは平均点以下が当たり前。 いい点数なんて一度も取ったことがない。 進学も難しいと言われている。 だから、今回のテストではせめて平均点は取りたい。 そう思った。 とりあえずは、先生にどう勉強したら良いのか聞いてみることにした。 “先生、どうしたら良い点数が取れますか。” すると、 “先生が、ここ大事だよと言った所は必ず出る。そうすれば、平均点はとれるぞ。” そう言われて、言われたところは完璧に覚えた。 これで、今回はいい点数が取れる。 テストの日になった。 いつもより、自信があった。 テスト5分前。 緊張と自信で溢れていた。 チャイムと先生の声でスタート。 裏返しになっている、紙をひっくり返す。 “??” 何度見ても、おかしい。 なぜだ。 言われた通りにしたのに。 “大事って言ったところ、ひとつも出てねーじゃねーかよ!”

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テスト

にんぎょう

私の名前はパール。 名付け親はもちろん、私の大好きなジルがつけてくれた。 私はジルが生まれてからずっと一緒にいる。 どんな時も一緒。 たくさん遊んで、たくさん寝て、たくさんお話しして、毎日楽しい日々を送っていた。 大きくなるにつれて、だんだん私のことをほったらかしにするようになっていた。 けれど、私がジルのことを好きなことには変わりはなかった。 気づけば長い年月がたっていた。 ジルは高校生になっていた。 最近は悲しそうな、辛そうな顔をしている。 私はこんなにも毎日幸せなのに。 ジルを見ているだけで心が安らぐのに。 助けてあげたい。 でも、私にはどうすることもできない。 ある日、私は昔ジルが言っていたことを思い出した。 “お人形さんは、新月の夜にだけ動くことができるの。そして、誰にも見つからないように、窓際に立ってお祈りをすると、お願い事を叶えてくれるんだって。” 今日は新月。 だから、もし、お願い事を叶えてくれるんだったら、今日試してみよう。 私のお願い事はたった一つ。 私とジルの魂を交換すること。 そうすれば、私が代わりに悲しいこと、辛いことを引き受けてあげられる。 ジルはまた幸せになれる。 そんなことを思いながら願う。 プツン。 気がつけばふかふかのベッドに寝転んでいた。 お願い事が叶ったんだ。 神様、ありがとう。 これで、ジルは幸せになれる。 あ、もう学校の時間だ。 じゃあ、行ってくるね。 ジル、いや、パール。

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にんぎょう