台風
私、雪乃は貧しい村の次女として生まれた、この村では長男以外は死ぬまで、家のため、奴隷のようにこきつかわれる風習が存在する。
耕地面積が少ないこの村では、家長となる長男より下の子供を養う余裕がない。
なんとかして人口を制限をしなければ共倒れになってしまうからだ
家庭内の地位は戸主の妻子以下、戸籍簿には『厄介』と記され、村人と交際もせず、村祭りにも出られない
私は結婚もせず、近所の人と交際することもなく、話しかけても返事もしないが、家族のためによく働いて不平も言わなかった。
怒ることも笑うこともなく、無愛想で趣味もない。そんなふうに育ってしまった。
親たちも、長男以外の子供はこうして育てるのが当然だと考えていたので、別にかわいそうに思うこともなかったと思う
私が村を出ることは非常に悪いことで家の掟にそむくことだ、という考えがあったため、村を出ようと思わなかった。
どうせ村を出ても人付き合いがうまくできず、すぐに戻ってきてしまう。
そんな日々の中、隣町貴族の一人息子の一ノ瀬葵くんか偶然通りかかった私を好きになるのである。
〃一ノ瀬葵視点に切り替わる〃
俺、葵は貴族として領地の視察を行いに来た。
俺は偶然すれ違った、村娘の雪乃に恋をしてしまった。
だがこの村の人間と貴族の犬猿の仲ただでさえ貧しい村にのしかかる税のせいだろう。
時には村と貴族とて家が血で血を洗うような争いが起こる。
しかし、ある夏のこと
俺は村娘の家の雪乃を舞踏会に参加させると公言した。
「バカなことはやめろよ。バレたらどうするんだ。」
友達は心配して止めましたが、俺は言いった。
仮面をつけているから大丈夫だよ。
それに村で一番美しく、おとなしい雪乃と踊りたい。
さて、ここは舞踏会。
葵は、とうとう雪乃と踊れることになりました。
「お名前を教えて下さい。」
仮面をつけた葵が言いました。
「雪乃と申します。」
「まさか…雪乃‥
葵は立ちすくみ、仮面を取りました。
雪乃も仮面をとり、にこやかに笑い一緒に踊りました
そこで雪乃は人生で初めて恋に落ちました。
夜更けになると、雪乃はベランダに出て、庭に潜んでいる葵に向かってささやきました。
葵。あなたが大好きです。
私が村娘でなければすぐにでも結婚したいほど大好きですと言った。
葵は「僕たちの愛に身分は関係ない。明日、神父に結婚式をあげていただこう。」と返した。
しかし翌日、雪乃は誰かによって毒をもられて息をしていませんでした。
真っ暗で、しーんと静まり返った雪乃の体に
ロウソクの灯りされ、横たわった雪乃がぼんやりと映し出されました。
「雪乃。大好きな、愛しい人。」
葵は雪乃の冷たい手や足に触れ、ほおや唇にキスを降らせました。
「応えてくれ、雪乃!」
葵の叫び声が、闇の中に吸い込まれていきます。
「あなたがいる世界に、僕も行こう。
薬を手に入れておいてよかった…」
葵は、街を出ようとしたときに見知らぬ男から買った毒薬を取り出しました。売買が禁じられている、とても高価な薬です。
葵は一気に毒薬を飲み干すと、雪乃の隣に横たわりました。
目覚めた雪乃は、たいへん驚きました。
雪乃は葵を抱きしめました。
まだほのかに温かみがありましたが、見る間に冷たくなっていきます。
同じ毒で、私も死にたかった…
雪乃は必死になって辺りを見ました。
目についたのは、葵が身につけていた短剣でした。
「私達が離れることは、もうありません。
二人は永遠に、共にいるのです。」
雪乃はためらうことなく、自らの胸に葵の短剣を刺し喉仏を掻っ切りました。
雪乃は目を覚ますと、そこはいつもの村でした。
雪乃はゾッとしました。
あれ私夢でも見てたのかな?