月兎ゆら
9 件の小説月兎ゆら
Spoonで声劇を作成しています。過去に書いた台本や新しく書いた文章なども投稿していきます。20歳です。 2022-02-20 『可愛い私』 2022-03-17『バレンタイン受験』 動画化しました✨
未練色の恋文
拝啓 大好きだった貴方へ。 こうやって手紙をしたためるのはいつぶりでしょうか。 不慣れなもので読みづらいところもあるとは思いますが 最後までお付き合い頂けると幸いです。 愛を知らない私に愛すること、愛されることを教えてくれた貴方。 辛い時、誰よりも優しく寄り添ってくれた貴方。 離れていても近くにいるような気がして、 どんな困難も乗り越えて将来は貴方と結ばれると思っていました。 私の初めては、ほとんど貴方に捧げました。 運命の赤い糸は貴方と繋がっているんだと 本気で信じていたんです。 それなのに何故、貴方から離れて行ってしまわれたのですか。 あの曲を覚えて一緒に歌おうって約束しましたよね。 結婚しよう。貴方は確かにそう言いました。 あれから1年以上経ちましたね。 他の人の彼女になっても貴方の事がずっと脳裏にありました。 私の1番の幸せは貴方と過ごすことだったのかもしれません。 あの頃の2人にもう戻ることは出来ないけれど、 またいつかどこかで会えたら。 確かに愛していました。 淡い桃色の思い出は何があっても なかったことにはならないのです。 あの時、お揃いで買ったネックレスはまだ捨てれていませんが… 貴方の写真フォルダに笑顔の私はもう居ませんように。 でも、たまに一瞬だけでいいから私の事を思い出して欲しいです。 絶対に渡すことのないラブレターを今、ここに記します。 敬具
バレンタイン受験
「試験開始だ!」 今日はバレンタイン。 そして、“彼女”受験だ。 遡ること1か月前。 急に僕のモテ期がやってきたようで、 告白してくる女が増えてきた。 冬休み明けでイメチェンをしたのが原因だろうか。 メガネからコンタクトに変え、 髪も校則を破らない程度に整えてみた。 モテ期が来て嬉しい反面 女共は、ビジュアルしか見てないのかと感じるようになった。 そんなに話したこともない他クラスの女からも告られたからだ。 僕は彼女よりも勉強に命をかけていたため全員を断った。 かわいい女がいなかったという理由もあったが… だが、バレンタイン当日 学校一の美女とも呼ばれる「アヤカ」さんからチョコをもらい告白された。 僕は悩みに悩んだ。 そんな人と付き合いたいという欲に負けた。 普通に付き合うのはもったいない。 そう思い、今まで告白された女を招集してバレンタイン受験を開催しようとしたのだ。 出来レースでアヤカさんを彼女にする。それが僕の作戦だった。 放課後、大々的に校内放送をし、観客を集めた。 「これで…アヤカさんを手に入れて…みんなに自慢してやる!」 そう企んでいた僕だった。 予定通り、女どもが教室にやってきた。 もちろんアヤカさんも! 「皆の衆、よくぞ来てくれた!今から僕の彼女試験。 通称バレンタイン受験を始める! 試験開始だ!」 −パチンッ 「お前、調子のんなよ?」 「影で告られたの自慢してんの知ってんだからな?」 「顔がいいだけでなにイキってんの?」 口々に女子たちが言う。 「え?みんなどうしたんだい?」 「アヤカはね、嘘コクしてこいって言われたからチョコあげただけ。勘違いしないでね?本当は好きなんかじゃないから。」 「お前、なんで女子たちに告られてるか知ってる?」 「「みーんな、嘘の告白だよ」」
みさきちゃんとラビ
僕の名前はラビ。 みさきちゃんの5歳の誕生日にこの家にやってきた。 うさぎのぬいぐるみだからラビットのラビなんだって。 この名前、気に入っているんだあ。 みさきちゃんは僕を“とっても”大切にしてくれて いつも遊んでくれた。 おままごとでカレーをつくって食べさせてくれたり、 毎日抱きしめて寝てくれた。 でも、最近は全然遊んでくれない。 どうやらみさきちゃんは 「しょうがっこう」というものにいっていて べんきょうが忙しくなっているようだった。 それで、僕とあそべないらしい。 僕は遊んでくれると信じてずっとずーーと暗い暗い箱の中にいた。 −−七年後… 「んーとこの辺になかったかな…」 −−がちゃ 「あっ!あったあ!」 「ラビ久しぶり!」 みさきちゃんだ!久しぶり見たその顔は少し大人びていた、 触ってくれた!抱いてくれた!嬉しい! …え?なんではさみもっているの? それでぼくをどうするつもり? −ぐさっっ −どばっつ 僕のからだからは赤い血ではなく、まっしろな綿がでてきた。 なんで… 「これで、ひとりかくれんぼできるね!」 とびっきりの笑顔を浮かべて僕の瞳をみつめた。 痛い…痛い…痛いよ… やめて…… 僕のお腹に…何入れるの?お米と爪? 赤い糸で縫うの? ぐるぐる巻きにしないで… 苦しいっ……よっ… 「最初の鬼はみさきだから!」 「最初の鬼はみさきだから!」 「最初の鬼はみさきだから!」 −−びちゃああ −−ごぼぼぼぼぼ 「ラビ…ミィツケタァ……!」 −−−−ブスッ 「次はラビが鬼だよ?」
可愛い私
私は可愛い。 「鏡を見てから言え」 そんな言葉があるけど、世界一私には削ぐわない。 私が他の子に可愛くないやブスと吐いても そのセリフは返ってこない、っていうか絶対に言えないだろうね。 だって私はその子より何倍も可愛いから。 まぁ、張り合う時間がもったいないし 可愛いなんて分かりきっていることだから言ったことはない。 今後も、言うことなんて無いでしょう。 鏡を見ることが毎朝の日課だ。 やっぱり今日も私の顔は可愛い。 世界一だと言っても過言ではないと思う。 「鏡よ。鏡。世界で1番可愛いのはだぁれ。」 ふざけて鏡に話しかけてみた。 “それはあなたです” 喋るはずのない鏡が何で… 私は恐ろしくなり、 咄嗟に逃げようとしたその時−−− ニ ガ サ ナ イ そう、血の文字で書かれた。 ふと自分の顔を触ってみると手が 血だらけになっている。 まさかと思い目の前の鏡を覗き込む。 私は混乱した。 自分の顔が台無しになっていたのだ。 美しい瞳からは血の涙が流れ 掻きむしったせいでサラサラの髪がボサボサになり 鼻血が止まらなかった。 ホ ラ ア ナ タ ハ コ ン ナ ミ ジ メ ナ カ オ ニ ナ ッ テ モ セ カ イ イ チ ウ ツ ク シ イ ワ そうね。鏡さん。 私は、やっぱり可愛いわ。
雪恋“せれん”
ねぇ、ここ覚えてる? 初デートで来た場所。 『彼女が出来たら、一緒に 海を見るのが夢だったんだ』 私の目を見て笑う君。 辛い日々が続いても、 くだらないことを言い合う。 それだけでよかった。充分幸せだった。 大学1年生のホワイトクリスマス。 同サークルの先輩に初めて告白をされた。 体は寒いはずなのに、心は熱い。 繋いだ手から彼の体温を感じる。 恋ってこんなにも暖かいものなんだと その時、初めて知った。 初カレで少し浮かれ気味の私と経験豊富の彼。 釣り合うかどうか不安だった。 でも、優しくリードしてくれて そんな気持ちなんかすぐに吹き飛んだ。 しばらくして、彼の家によく行くようになった。 所謂、半同棲ってやつ。 子供のような存在も出来た。 ふと寄ったペットショップで 一目惚れしたハリネズミくんとも生活を共にした。 くりくりした目がどこか彼に似ていて 愛着が沸いた。 −−−そんな幸せは束の間 大学の帰り、彼の隣に年上らしき女性が 歩いているのを目撃してしまった。 興味本位で着いていくと、 路上裏でキスを交わしていた。 浮気…? 勇気をだして、彼と女性の元へ。 『どういうことですか?』 ははっ、 恋って呆気ない… 雪のように儚く、溶けた恋心。 「はぁ…」と吐いた息は虚空に舞っていく。 さようなら。もう会うことはないけれど。 その年から、私の嫌いな季節は冬になった。
私が好きな君はもういない。
顔も本当の名前も知らない画面越しにいる男から 突然、好意を向けられた。 私たちは、まだ知り合って2週間程度。 今、思うと、随分と惚れやすく、突っ走る奴だ。 恋愛というものに疎かった私は、浮かれに浮かれた。 告白された、その瞬間に、彼に恋をした。 愛される。この温かさとドキドキに恋をしていたのかもしれない。 でも、これが付き合っているのか分からなかった。 だって、ただ好意を向けられた。 それだけだったから。 気になって彼に聞いてみる。 すると、「当たり前だ」と一言。 そうか、私たちは、付き合っているのか。 告白された日。 それが恋人記念日になった。 君が良く弾いてくれたピアノ。 私は、その鮮やかな音色を聞きながら ぼっーと過ごすのが大好きだった。 「いつか。一緒に弾きたいね。」 そう言った日もあったっけ。 君が好きだった歌。 私と歌った曲。 君の歌声が世界で1番好きだった。 その歌をもう一度、 聞かせてくれることは もうない。 君から貰ったウクレレを手に 今日も私は、歩き出す。
ばんごはん
−晩御飯、なににする? 仕事終わりに必ず送られてくるメッセージ。 基本食べられればなんでもいい主義の僕。 だが「なんでもいい」なんて送れば妻はきっと困る。 −栗の炊き込みご飯にさつまいもの天ぷらが食べたい気分だな。 入力し送信ボタンをそっと押す。 退社をして毎回同じ電車に乗り、決まった席に座る。 妻からの質問に答える。 プレイリストの曲を聴くためにイヤホンをつける。 いつも通りの日常。この生活にも慣れたもんだ。 結婚してもう五年。僕もアラサーと呼ばれる歳になってしまった。 早いものだ。子どもはいないが毎日楽しい。 こんな幸せな日々が 過ごせているのは、 紛れもなく世界一愛する人のおかげだ。 ころころ変わる表情と 真剣な眼差しのギャップに心惹かれ、 人生初めての告白。 おどおどしている僕に彼女は優しく笑って 「よろしくおねがいします。」と返事をしてくれた。 そんなことを思い出しながら、家路につく。 あっという間にマイホーム。 ドアを開けると「おかえり」ということばとともに 香ばしい匂いがふわりと漂う。 あぁ、今日もいい日だ。 「ただいま」
私の方が…
初カレと別れて3ヶ月。 新しい彼氏が出来た。 その人は、尊敬できる部活の先輩。 生徒会長も務めている頭の良い人で、 真面目だけどユーモアがある。 一緒に居ると笑顔が耐えないの。 でも、思い出すのは浮気をした元彼の事だ。 いい加減忘れたいのに、ずっと脳裏に こびり付いたまま。 自分だけ、幸せになるなんて許せない。 そんな風に思ってた時もあったけど 今は、きっと「私の方が幸せ。」 そう、自分に言い聞かせることにした。
画面越しの君へ
最初は声好きだな そんな軽い気持ちだった 配信に通うにつれて 君に惹かれていく自分が居た 君の好きな食べ物や趣味だったり 性格なんかも分かってきて もっともっと知りたいと思った そんな時 「今度、よかったら電話しない?」 って TwitterのDMが飛んできた 僕は、1人で浮かれはしゃいだ そんな時、気づいたんだ 君に心を奪われてるって 君に恋しちゃったんだって 彼女を守りたい 彼氏になりたい そう思っている自分が居た