秋人

18 件の小説
Profile picture

秋人

はじめましてよろしくお願いします

第十話 神の指先

神は、慈悲深いお方なのか? それとも…… アズサは見上げた そこには 巨大な指 が迫っていた まるで 天の意思 が自分を選び取ろうとしているかのように 「やばい……!!」 アズサは必死に逃げる だが指の動きは速い そして、ついに アズサの体は神の指先に捕らえられた 「うわーっ! つかまったぁ!!」 神は無邪気に笑う 指の上で小さな黒い点が じたばた と動いているのがわかった 「アリさん、どこ行くの? まってよ〜!」 神は 手のひらの上 にアズサをのせた アズサは 絶望した (終わった……!) 彼はこれまで 様々な天変地異 を乗り越えてきた 砂嵐、地割れ、大洪水 だが、これは 次元が違う 「ついに神の手の中に……!!」 もはや 逃げ場はない 一方、下にいる蟻たちは、震え上がっていた 「神は、ついに裁きを下されたのだ……!」 「アズサめ、神に逆らった報いを……!」 誰もが、アズサが 「生贄」 にされると思った しかし予想は裏切られる 神は ただのんびりとアズサを眺めていた 「ちっちゃいなぁー!」 「……?」 蟻たちは 困惑した なぜ すぐに殺されない? なぜ 神はただ見ている? 「……まさか!」 ある蟻が気づいた 「アズサは、神に選ばれたのでは……?」 その言葉が広まると、蟻たちは 新たな信仰を作り始めた アズサはカミ君の 巨大な瞳 と向き合っていた 神は 自分を見ている 「……お前は、一体……」 アズサは 全てを悟った 神とは、ただの「子供」 天変地異も、大洪水も、地割れも すべては 「遊び」 だった アズサは 決意した (なら、利用してやる……!) 彼は、神の 手のひらで動いた 「お?」 神は興味を持ったようだ アズサは 神の手の上で踊るように動いた まるで「神に祈りを捧げるかのように」 「すごーい! アリさんがダンスしてる!」 神は 目を輝かせた 蟻たちの信仰心は、最高潮に達した 「見よ! アズサは神に祝福されている!!」 「彼は 神の使者 となるのだ!!」 誰もがアズサを 神の代弁者 として崇め始めた だがアズサは違った 彼は、神を利用するつもりだったのだ (……そうか、俺が「神の使者」になれば……) (この世界を、俺が作れる!!) 蟻の国の「真の王」となるのは、神ではない 「俺」だ アズサは ニヤリ と笑った

0
0
第十話 神の指先

第九話 大洪水

それは神の「祝福」だったのかそれとも「試練」だったのか 蟻たちは「神が戻る」という預言を信じ、儀式を行った そして翌日本当に神は戻ってきた しかしそれは彼らにとって最悪の天変地異の始まりだった…… カミ君は砂場にやってきた 手には バケツに汲んだ水 「よーし! 今日は川を作るぞー!」 神はシャベルを使い、砂場に深い溝を掘る そして バシャアアアッ!! バケツの水を一気に流し込んだ その瞬間、蟻の国は地獄と化した 「お、おお……!!」 「これは……!!」 蟻たちは、砂場の遠くに佇む「神」の姿を見た 手にした 神聖なる水の器(バケツ) そして、大地を裂く 神の矛(シャベル) 長老が震えながら叫ぶ 「神が、大地に生命の水を与えんとしておられる!!」 蟻たちは歓喜した だがそれは一瞬のことだった 水が、流れてくる 最初はただの小さな流れだった だがすぐに 濁流 となり全てを押し流し始めた 「こ、これは……!?」 「た、大洪水だァァァ!!」 蟻たちは叫びパニックに陥った 砂場の小さな丘が 崩壊する 洞窟だった場所が 水没する 蟻たちは 飲み込まれ、流されていく 「神の怒りだ!!」 「神は我らを見捨てられたのか!?」 信仰は、一瞬で 絶望 へと変わった アズサは必死に考えた (ヤバい、逃げないと……!!) 彼の足元にも水が迫っていた もはや「蟻の国」は安全ではない しかしどこに逃げればいい? その時—— 彼は見た 遠くの砂山の頂上に 一匹の蟻 が立っていた それは 長老だった 長老は濁流に押し流される蟻たちを見下ろし震える声で叫んだ 「これは、試練なのだ……!」 「神は我らに、この大洪水を乗り越える力があるか試しておられる……!」 「生き残れ!!」 「我らが神の民であることを証明するのだ!!」 アズサは呆れた こんな状況でも 神を信じ続けるのか? それとも、もう 信じるしかない のか? アズサは、周囲の蟻たちを見た 彼らの目には 恐怖とそれでも希望を捨てない信仰心 が混在していた アズサは 決断した 「全員、砂山の上に避難しろ!!」 蟻たちは、必死に這い上がる。 濁流に飲まれそうになりながらも、アズサの指示に従い 高台を目指した だが、その時最悪の事態が起こる カミ君が もう一度、水を流したのだ 「おおー! ちゃんと川になってきた!」 バシャアアアッ!! 二度目の水流がすべてを押し流した アズサたちは、水に飲み込まれた 「うわあああああ!!!」 アズサの視界が、ぐるぐると回る 水の中で、彼は必死に 上へ 這い上がった なんとか地面にしがみつき、顔を出す。 「……ハァッ、ハァッ……!!」 あたりを見回すと、ほとんどの蟻が 流されていた。 長老の姿は、もう見えなかった アズサは 立ち尽くした 「……終わった。」 「もう、蟻の国は……」 その時、彼は 上を見た 「……!?」 そこには カミ君の巨大な瞳 があった ついに、神と目が合ったのだ カミ君は 何かを見つけたように目を丸くした 「おっ、蟻がいる!」 カミ君の指が、アズサに向かって伸びてくる アズサは 初めて知った 神の視線にさらされることがどれほど恐ろしいことなのかを

0
0
第九話 大洪水

第八話 神を呼ぶ儀式

神が去った後砂場には不穏な空気が漂っていた 神の不在に怯え蟻たちはざわめいていた 長老が震える声で宣言した 「神を取り戻さねばならぬ……!」 蟻たちは一斉に頷いた しかしどうすれば神は戻ってくるのか 長老は目を閉じゆっくりと口を開く 「神は、より大きな生贄を求めておられる……!」 新たなる生贄 それは、「より強き生命」…… アズサの背筋が凍った 「まさか……俺か!?」 蟻たちは動き始めた。 「儀式」の準備を整えるために 砂を集め、巨大な「供物の山」を築く 枯葉を並べ聖なる「捧げ物の祭壇」を作る そして、「生贄」を捕らえる アズサは逃げようとした だがすでに周囲を蟻たちに囲まれていた 「お前を捧げることで、神は戻られるのだ……!」 神は家に帰っておやつを食べていた。 「今日の砂遊び、楽しかったなぁ」 次はもっと大きな山を作ろう トンネルも掘りたいし水もかけてみよう 「……水?」 カミ君は思いついた 「そうだ! 明日はバケツ持っていこう!」 神はまだ何も知らない 自分の帰りを蟻たちが 「命がけで」 望んでいることを 儀式が始まる 蟻たちは「供物の山」の頂点にアズサを縛り付けた その姿は、まるで 捧げられる生贄そのもの 長老が叫ぶ 「おお、神よ! 我らの願いをお聞きください!」 蟻たちは一斉に頭を下げた 「神よ! 戻りたまえ!!」 沈黙が流れる ……何も起きない 空は、静かなままだった アズサは必死に考えた どうすればこの狂信から逃れられるのか そして、気づいた 「もし、本当に神が戻ってきたら?」 もし「神」が戻ってきたら、蟻たちはどうする? 大歓喜し混乱し儀式どころじゃなくなるんじゃないか? アズサは、最後の賭けに出た 「神が戻られる……!」 「神の声が聞こえた!!」 蟻たちは驚いた 「な、なんだと!?」 「神がすぐに戻られる!! その証拠に……雷鳴が轟く!!」 その瞬間—— ゴロゴロゴロ……!! 空が鳴った 蟻たちは震え上がった 「こ、これは……!!」 「神の……お告げ……!?」 そして ポツッ……ポツッ…… 雨が降り始めた 砂場に雨が降り注ぐ アズサは心の中で叫んだ。 「助かった……!」 雨が降れば蟻たちはすぐに避難する 砂場に留まることはできない 案の定蟻たちは大混乱に陥った 「これは神の怒りか!? それとも祝福か!?」 「とにかく逃げろ!!」 蟻たちは四方八方に散り儀式は崩壊した。 アズサは静かに深呼吸をする。 「……生き延びた。」 こうして蟻の「神を呼ぶ儀式」は終焉を迎えた しかし彼らは知らなかった 翌日 神が 「バケツに水を入れて」 砂場にやってくることを そして蟻の世界に「大洪水」が訪れることを。

1
0
第八話 神を呼ぶ儀式

鉛筆で紙に力強く点を描く それを指で擦ると広がった これをビッグバンと仮定し 擦れ広がった点を宇宙だとすると 我々人間は 鉛を構成する 粒子より以下の 小さな存在だろう そうすると人間の歴史は 顕微鏡でも見えない 一秒より短い歴史かもしれない 火を手に入れ 道具を作り 産業を発達させ 争いに暮れる 小さい!小さい!小さい やってることが小さすぎる! だから大きな夢を持つ。

5
0

第七話 神への捧げ物

アズサは必死に逃げた 砂の上を駆け抜け体を低くしながら 「アズサを捧げよ!!」 背後からは仲間たちの叫び声が響いている 彼らの目は狂気に満ちていた 信仰が恐怖に変わる瞬間 「神」を怒らせてはならない そのためには「罪人」を捧げなければならない 長老が宣言する 「アズサを神の元へ送れば、我らは救われるのだ!」 蟻たちはアズサを追い詰め彼を持ち上げた 何匹もの脚が絡みつき逃げ場はなかった そして彼らはカミノヤマへと向かう そこには、巨大な神の手 があった 銀色の矛(シャベル)が砂に突き立てられている 長老が声を張り上げた 「おお、神よ! どうかお受け取りください!」 アズサは 神の足元へと投げ出された 神はその様子をじっと見つめた 「……?」 蟻たちが集まっている 小さな黒い粒が、わらわらと動いている。 「なにやってるのー?」 神は興味津々で手を伸ばした 蟻たちは歓喜した 「神が……アズサをお召し上がりになる……!」 それは、神との最高の交わりだった。 自らを捧げ神に受け入れられる。 それこそが信仰の極致 アズサは震えながら巨大な指を見上げた 迫る神の手 その時 突然空が揺れた 「なぎくーん!そろそろ帰るよー!」 神(幼い人間)の母親の声だった ここで言う神とは砂遊びをする ただの幼い人間である 名を渚(なぎさ)と言う 5歳 男の子 「はーい!」 神(なぎさ)は砂場を飛び出した 神は去った 蟻たちは呆然と立ち尽くした 「神」が自分たちを見捨てたのだ 長老は震えながら呟いた 「……これは試練だ」 「神は我らの信仰を試しておられるのだ……!」 蟻たちは再び頭を垂れた より強くより深く神を信じるために アズサはその光景を見つめながら思った 「この信仰は、もう止まらない……」

0
0
第七話 神への捧げ物

第六話 神怒りたもう

アズサが砂に埋もれた それを見て蟻たちは騒然とした 「神が、彼を地に還した……?」 それは祝福なのか罰なのか 誰にも分からなかった だがその時神が次の行動を起こした 砂場に大洪水が訪れる ジョウロの水が一気に降り注いだのだ 轟音とともに、砂の大地が崩れていく 蟻たちはパニックになった 「神が……怒りたもうた……!」 「アズサが神を疑ったせいだ!」 長老は震えながら言う 「神は、我らを試しておられるのだ……!」 「もっと神を敬わねばならぬ……!」 蟻たちは神の怒りを鎮めようと、必死に祈る 砂の上で頭を垂れ、触角を震わせながら しかし神はそんなことを知る由もない ただただ水の流れに夢中になっていた その時、砂の中で蠢くものがあった アズサだ 彼はまだ生きていた 流れ込んできた水のおかげで砂がゆるみ 呼吸ができたのだ 「今しかない……!」 アズサは必死に地表へと這い上がる 体は重く視界はぼやける だがここで終わるわけにはいかない ようやく顔を出した時彼は聞いた 「アズサを捧げよ!」 長老が叫んでいた 蟻たちは戸惑ったがやがて一斉に頷く 「神の怒りを鎮めるには 異端者を捧げるしかない……!」 アズサは血の気が引いた 今度は仲間に殺される。 彼は絶望とともにカミノヤマの斜面を駆け上がった その上には巨大な神がいる。

1
0
第六話 神怒りたもう

暖かい布団

幼少期に見た夢はだいたいが悪夢だった 悪夢を見てうなされ 眠れなくなり 翌日幼稚園バスで爆睡する 何故かバスでは悪夢を見なかった 幼稚園バスで眠り幼稚園バスに乗る夢を見る 窓から見える線路には紫色の阪急電車 ガタンゴトンと音が聞こえる 反対側の耳からは友達の騒がしい声 掻き消されそうになる電車の音 それにまじり私を呼ぶ声 ◯◯君!◯◯君!おーい起きて! だんだん意識が声に反応して 目が覚めると 前の座席に顔をぶつけて よだれを流しながら眠っていたことに気づく すぐによだれを啜り慌てて顔をあげると みんな笑ってた あぁ、きっとこれだから悪夢を見ないのか… 友達の笑顔は布団よりも暖かかった。

1
0

第五話 神の巣

砂の壁に囲まれたアズサは必死に状況を整理していた 「ここから出なきゃ……!」 周りは高く積まれた砂の壁 そこに神の巨大な指が降りてくる シャベルで砂を盛りさらに壁を高くする神 それを見て外の蟻たちは歓喜した 「神はアズサに聖なる巣を授けたのだ!」 「神に選ばれた者だけがそこに住まうことを許されるのだ!」 蟻たちはもはや疑うことを知らなかった 長老は語る 「あれは“神の巣”である」 「神の祝福を受けた者のみがそこに導かれる」 だがアズサにはそれが 「ただの穴」 にしか見えなかった 「違う……これは檻だ」 神の作る「巣」はただの遊び そして自分はその「遊び」に付き合わされているだけ アズサは必死に壁を登ろうとする。 だが登れば登るほど砂は崩れ落ちる それを見た蟻たちは叫んだ 「見よ!アズサは巣に帰るのを拒んでいる!」 「これは神への冒涜ではないのか?」 信仰心が高まりすぎた蟻たちはついにアズサを 「異端」として見始める 「彼は神を疑い始めた!」 「そんな者を我らは仲間とは呼べぬ……!」 長老が静かに宣言する。 「彼は神に選ばれたのではない」 「神に“捧げられた”のだ」 アズサの背筋が凍る 自分は神に祝福されたのではない捨てられたのだ その時 神が巣の入口を塞ぐために大量の砂を流し込んだ 砂が降り注ぐ 視界が暗くなる そしてアズサの身体が砂に埋もれていく……。

1
0
第五話 神の巣

第四話 神の選別

水が押し寄せる 蟻たちは必死に逃げるが流される者も多い この災厄を「試練」として受け入れる者もいれば 恐怖に怯える者もいた だがアズサは違った 「これは試練なんかじゃないただの気まぐれだ!」 彼は流されそうになっている老いた蟻を抱え カミノヤマの高台へと駆け上がる 他の蟻たちもそれに続いた その時だった 神が動いた カミノヤマに向かって巨大な指が伸びてくる 「神の選別が始まるぞ!」 長老が叫んだ 蟻たちは震えながら神の意志を待った そして神は選ばれた蟻を掴み上げた 蟻たちは息を呑む それはアズサだった 「選ばれた……?」 アズサは見上げる そこには巨大な神の顔があった だが神の目には「信仰」も「敬意」もない ただ好奇心だけが宿っていた アズサは初めて悟った 神は彼らの世界の神ではない ただの遊び相手を探しているだけだ 蟻たちは歓喜する 「神に選ばれた!」 「アズサは神の元へ召された!」 だがその瞬間 神はアズサを砂の上に放り投げた 無邪気な笑顔で彼の周りをぐるぐるとシャベルで掘り始める アズサの周りに次々と高い砂の壁が築かれていく 「……これは試練でも祝福でもない」 「ただの気まぐれだ」 アズサは閉じ込められた 蟻たちはそれを見てこう囁いた 「神はアズサを特別な場所に導かれたのだ」

1
0
第四話 神の選別

第三話 神の試練

カミノヤマの隣にできた深き穴 そこに神の力(水)が流れ込み蟻たちの住処へと迫っていく 「神の怒りか?それとも試練か?」 蟻たちは混乱する 長老は言った 「これは“浄化”である強き者のみが生き残り 神の祝福を受けるのだ!」 蟻たちは必死に逃げ惑う だがアズサは違った 「違う……これはただの遊びだ」 彼はようやく気づく 神は蟻たちのことを「生き物」としてではなく ただの「砂場の一部」として扱っているのだと その時彼の前に一匹の老いた蟻が倒れていた 水に流されもがいている アズサは決断する 神を信じるか自分の意思で動くか 彼は老いた蟻のもとへ駆け寄った しかしその瞬間神の手が動き さらに大量の水が注がれた……!

0
0
第三話 神の試練