ハシビロコウ
43 件の小説も っ た い な い お ば さ ん
30代超えた婚活 春の芽吹きもない寒い氷河世界 頼れるマンモスはすでに凍りつき 気が利くネズミは穴に籠もる 毛皮は同業者が持ってっちゃうし 束の間の日差しも私を避ける 雨にも抗えず雪にも勝てず 正直、こんな自分になりたくなかった それでも心だけは温めてきた デートのお誘いも練習したし、 埋もれた老けにも足跡つけてやってきた も っ た い な い お ば さ ん 残りものには福がある。 華はないけど、 自分がまいた種。 発芽すれば摘んでもらえる。 も っ た い な い お ば さ ん お残しは許しまへんで。 バツイチだろうが構わない。 マルっ切り抱き寄せば、 この寒さ二人で丸まれる。 年も心も変わらない婚活生活 闇雲の月探し回っても 轢き殺したいタヌキばかり 履歴の足しにもならない質問で 不合格レッテル貼りやがって いい人は近づいただけで煙たがる 為政者じゃないんだから 約束(マニフェスト)ぐらい守れるわ ブラック企業は見に来れば分かる 分かってて助けを乞うほど まだ私は落ちぶれてないはず も っ た い な い お ば さ ん 年と経験以外何もないおばさん。 悪く言えばいくらでも言えるでしょ。 君が手をとってくれたら、 もっと掴めるようになる。 も っ た い な い お ば さ ん 物は言いよう。 誰か嘘だと言って。 夢も希望もいらないから、 隣にいてくれる男がほしい。
2話 コウモリ
「このままだと不法侵入になっちゃうよ。」 中性的な顔立ちが俺を見上げている。 青く綺麗な目は心をも見透かしかねない。 110の番号が打たれたスマートフォンを持つ手は少し震えているのに、 肩はゆっくりと上下し呼吸している。 気絶していたのは分かっている。 俺は夕方、 貸しビルのエレベーターに乗って、 屋上で自殺しようとしていた。 エレベーターが着くと屋上はなく、 死んだはずの彼女と天国があった。 エレベーターは下へ落ちていき、 彼女は『宇宙のどこか』で待っていると言って消えた。 「犯罪者は物語を組み立てるのが上手だね。」 「事実だ。」 「ここで寝ていたのははっきりカメラに映ってるんだ。いずれ“ヤツら”が来る。」 「ヤツら?」 「どこから来たの?」 ホテルの一室で俺たちは対峙している。 汚れたオープンウィンドウの外は明るい。 ネオンが生命のように輝いている。 空が黒い。 太陽も雲もなくただ黒い。 マントを被せられているかのような。 下を見るとパトカーが何台も止まっていて、 ホテルに何人も入っていく。 「,,,ここはどこだ,,,?」 「ここは12階。今、5階からエレベーターが故障してるからそう簡単には来れないでしょ。」 その言葉に絶句する。 これが12階? 空はまるでブラックホールのように底が知れない。 それに吸い込まれるほどたくさんのビルが天高く登り目眩がする。 「ねぇ。」 「何?」 「一緒に逃げない?あなたなら」 ドアが勢いよく叩かれる音で声が遮られる。 「おどれぇぇ!!!騙しよったいなっ!!中でなしよりる!?開けんかいなが!!」 野太い男の罵声がドアノブを突き抜けて鼓膜をねじる。 「警察がこんな怒鳴ってるの初めて聞いたよ。」 「警察じゃなくてマフィア。開けたらあなたは撃たれるだろうね。」 「マフィアがどうしてこんなところに?」 美青年は舌打ち、俺に囁く。 「ボクもオワレル身なんだよ。」 「男か!?!?男身籠っとぉじゃかっ!?こないなことして許しゃおりゅう思ったがいいがか!?!?」 訛が酷い。 何を言っているのか全く聞こえない。 頭が痛くなってきた。 「,,,今ならいける,,,」 青年は背中から薄赤黒い羽を伸ばす。 着ていたスーツのネクタイを外すと、 そこから毛が生えていた。 「ほぉーとは、おみゃいなんすぁパトに身わたしゅうっておごみぼんやったがったがにさえ!!!」 段々と呂律がおかしくなって言ってる気がする。 ドアがメキメキと音をたてる。 窓もバキバキと音をたてる。 コウモリに化けた青年が、 分厚いオープンウィンドウを枠から引っ剥がしていた。 「何するつもりだ!?」 「決まってるでしょ。飛ぶんだよ。」 「飛ぶ!?」 「事情はあとで話す。手を貸して。」 窓の縁に立った翼が助走のようにはためき始める。 ドアはガタガタと揺れている。 「今この手を取らないとどうなるかな。」 「命乞いすることになるよ。」 手を取った瞬間、視界が揺らいだ。 体が宙を舞った。 空はどこまでも同じ色で、 本当に浮いてるみたいだ。 いや、吸い込まれてるのか。 このまま宇宙のどこかに吐き出されるかもしれない。 そんな不気味な空だった。 1話 エレベーター 3話
モチモチベ
気持ちというのは餅である。 こねればこねるほど粘り強くなり、 焼けば膨れ上がりパリパリになる。 何はともあれ餅なのだ。 モチベーションはこねればなおる。 柔軟な考えと柔らかい心があれば、 なんとでもなる。 モチベーションこそ諦めるな。 何度も叩け。何度もこねろ。 モチモチのモチベーションを作るんだ。 心はモチよう。 モチつ持たれつの不安定な関係からおさらばして、 やる気、根気に張り付け。 ただやり過ぎは体を壊す。 喉に詰まらせないように気を付けることだ。
情気機関
汽笛が上がる。 今日もそこに線路がある。 暗闇の中頭の炭を燃やして走る。 どこに向かうかも分からず。 いつもただ脱線が怖くて下を向く。 灯台なんてなく下暗し。 上げる煙で視界は曇り、 心はきっと晴れ模様になるなんて腫れ物のような気持ちで。 トンネルを何度もくぐる。 明日に繋がることすら祈る毎秒。 それでも滑車は止まらない。 炎は止めどない。 燃料は心。 怒り 悲しみ 憂い 喜び 興奮 そんな情気。 常時耐えない蒸せるほど情熱。 奥の奥にある意思、決意。 それをコントロールするためにも、 線路を見失ってはいけない。 乗れよ。 汽笛を上げる。 常軌を逸するほどの情気。 今日も上機嫌。
Chopper
優しいだけじゃ人は救えない。 そう初めて知ったのはいつだったか。 私は知れただけ良かった。 知らない馬鹿よりマシだった。 第一に、 優しい人は優しいだけで人を救わない。 優しくしているだけだと、 レスキューじゃなくサンキューになってしまう。 ただただ感謝するやつは、 猟師に捕まってジビエ料理にされる。 だから捕まらないように恩を仇で化かす。 ありがとうの気持ちは繰り返していくうちに、 無駄な脂肪がついて代謝が下がっていく。 代謝が下がれば気持ちも下がる。 「おん」や「かんしゃ」なんて言葉は、 同じ人に3回使えば腐る。 三仇。 優しさを優しさで返すなんて、 夢のまた夢。 青々と茂った草木を踏みつぶして生きてきたあたし達。 土の香りも忘れて毎日ゲロを繰り返しながら生死を歩いてる。 私が水をあげないと。 皆のゲロを抑えないと。 そんなことすら思うこの王国(せかい)。 あなたの深い傷が売薬でしか隠せないのなら、 喜んで私は丸いカプセルにこの身を投げる。 優しいだけじゃ人は救えない。 優しいだけじゃ人は救わない。 だから薬をあげなくては。 私が特効薬になるんだ。 非道な世界から外されていく非行な涙を拾うために。 私が薬になってあげるんだ。 人の命は短い。 Chopperで薄くスライスされて紙くずと一緒に捨てられるのは、 もう許せない。 私がChopperになれば、 あの人が受ける痛みも粉々にできるのに。 どうか、どうか。 どうかあの人に薬を。 苦痛にメスを。 私に刃物を。 クズの命を懺悔のもとに掬う鋭利なChopperを。 治せない病、 受けなきゃいけない苦痛 なんてないのだから。
快感観
世の中嬉しいことだらけになればいい。 嬉しいこと“だけ”になればもっといい。 嬉しいことだけを追求すれば、 悲しいことや辛いことなんか無くなる。 ,,,そう思わない? なんで皆幸せを望まないのかなって。 人の不幸が蜜の味なのは良いけど、 それって美味しいの? それって楽しいの。 甘党じゃない私には分からないや。 楽しいことだけ欲しがればいいんだ。 快いことだけ 快楽だけになれば不幸なんて無くなる。 それなのに人は不幸を探す。 快楽から目を背けようとする。 何が嫌なのか 何がダメなのか どんな夢でも目覚めてしまう。 価値観が違うのか? 一人一人の快楽の価値観が。 ずっと眠っていれば、 夢見ていれば 私達バクは幸せだったのに。 「いました、こいつです。」 「手こずらせやがって。悪魔め。」 ,,,, 「悪魔,,,?悪魔なんかじゃない。私は天使。あなた達に悦びと幸せを運ぶ天使なのに。」 「隊長,,,」 「構うな、やれ。」 世の中嬉しいことだけになれば良い。 そう願うだけなのに、 周りはそれを壊していく。 幸せに価値観なんてない。 それは皆に平等だから。 不平等は不幸だ。 嬉しいことだけ目を向ければいい。 自分の思う快楽だけを望めば、 その通りになる。 幸せになるのは簡単だ。 誰にでもできる。 それなのに、 皆不幸に引き寄せられていく。 死に場所を探す生き霊みたいに。 楽しいだけじゃダメなの? 「お目覚めですか。」 「はい,,,えっと,,,」 「バクはたった今死にました。もう大丈夫ですよ。」 「そうですか,,,いい『夢』でした。」 「あんなものに騙されてはいけません。化け物の鳴き声を真に受けるのは危険です。」 「しかし、時には耳を傾けるべきです。ですよね隊長。」 「シッ。お前は黙っていろ。」 「,,,僕は不幸なのでしょうか。」 「いいですか,,,アレは言うなれば詐欺です。一度手を染めれば戻ってこれない。それが快楽。見せかけの照明に集まるのは虫と同じです。正しく対処しなければ、永遠にベットから出られませんよ。」 「,,,またあの子が出たら、お願いします。」 「ええもちろん。,,,さ、行くぞ。」 「あ、待ってください隊長。」 ______ 隊長、「幸せ」って何でしょうね。 さぁな、俺には分からん。 僕はなれるでしょうか、幸せに。 俺が思うに、 幸せってやつはなるものでも、 元からあるものを探し当て掴むものでもない。 幸せは、つくるものだ。 その人の価値観からつくるものだ。 価値観は人によって違うだろ? だから人に教えてもらう幸せを鵜呑みにするのは違う。 あれは詐欺だ。まやかしだ。 他人は自分になれないし、 自分は他人にはなれない。 だからあの人のあの「楽しい」が、 自分の「楽しい」になるとは限らない。 楽しい気持ちは人それぞれだ。 楽しいと嬉しいも違うしな。 楽しいことだけを見てたら、 その気持ちが腐る。 「楽しい」に利用されちまう。 自分自身を見失う。 お前はそれが幸せだとおもうか? 多様性ってやつですね。 てめぇ俺の話ちゃんと聞いてなかったろ。 自分もそうだけど先輩も見失うなよ。 捉え方も人それぞれですよ。 バクを前ににそんな甘いことは言ってらんねぇ。 あいつは詐欺師。 悪党に多様性なんかねぇだろ。 あいつらの個性は、暴行と略奪だけだ。 さ、仕事はまだ終わってねぇ。 次のお宅へ向かうぞ。 人々の安泰と安全な価値観、 快感観を守るために。
デタミネーション・クイバー
路上に死体が転がっている。 路上に「したい」が転がっている。 したい、「殺したい」が転がっている。 私達は譲り合うことができない。 自分が全てだから。 路上には自分しかいないと思っている。 転がる死体はいずれ道路の舗装で消える。 顔も見ることはない。 「したい」の先には何があると思う? 「死体」の先には何があると思う? 何かを得るには犠牲がいる、 そんな怖いことは言えないけれど、 お前の「したい」は誰かの「したくない」。 善意は悪意。 優しさは殺意。 お前の「死にたい」は誰かの「生きたい」。 お前の「生きたい」は誰かの「死にたい」。 それを忘れるな。 それを忘れるからまた、 死体が増える。 気付けば殺めてしまう。 それを見て見ぬふりをする。 それが私は許せない。 そうして舗装された道を、 お前は裸足で練り歩く。 汚い足跡はさながら命の冒涜だ。 何の覚悟も気持ちも持たず、 手ぶらで思うままに走る。 まるで野犬だ、 イノシシだ。 一人の人間に打たれること、 致し方ない。 私が猟銃を構えても、 あなたは鳴きも嘆きもせずに、 ただただ死体を増やすだろう。 ただただしたいを増やすだろう。 それはいつか止められる。 ここはジャングルじゃない。 あなたが通ってきた道は、 誰かの死体、誰かの思いでできている。 体が震えるのは野獣を前にした恐怖でも、 あなた達のような怒りでも、 悲しみでもない。 覚悟の震えそのものだ。
爆風スランプ
じっと考える。 何も思いつかない。 窓を開ける。 外を見る。 ない。 外へ出る。 少し歩く。 ない。 空を見る。 道を見る。 ない。 キャンキャン吠える犬の声を、 電車が通る踏切の音を、聞く。 ない。 ないないないない蔑ろ。 ないないないないナイトバグ。 ないないないないいないないバァ。 灯台下暗し。 絶対何かはあるはずだ。 ないことなんてないはずだ。 真っ暗闇にお願いする姿はさながら夜の虫。 手で顔を隠してしばらく待って離しても授かる恩智は何もない。 バカが。そうじゃない。 他人の気持ちになって考える。 読者を拝めるよう思い馳せる。 ありったけの愚痴をかき集めて、 ひとつなぎの大秘宝を探す。 自分が物語の一部だと思う。 本はもう始まっていると、 誰かが見ているぞと。 頭を本脳いっぱいにして語りかける。 凄まじい衝動に酔っておかしくなりながら、 その先に道がないことを自覚してやっと気付く。 ス ラ ン プ。 私の中のアイデアと芸術心が爆発して、 全部灰になった。 宝箱は空っぽだった。 グランドラインは亡きものとなり、 彼方まで広がる真っ白な死海に沈んだ。 冒険は死んだ。 焦燥感に舵を取られて、 意味のない番号を検索して遠いところに電話を駆ける。 宝の在処を教えてもらい、私も終わる。 「この電話番号は現在使われておりません。」 さぁ狂ったように踊り、 たいところだがそのまま月の向こうまで行っちゃえば戻ってこれないので耐える。 自分の無力感と長い対談をする。 脅しをかけてでも成果を出せという、 書きたい上層部の圧でぺしゃんこになってでも外交を続ける。 自問自答、無限苦言ヤバい 挫傷暗礁に乗り上げている 前頭葉から新たな傷みを 共有したがる情報バイパス 酔いがまた廻ってきた。 真っ白な海は今や大地となって、 魚は干上がり海藻は枯れ、 壊れたオーシャンビューは神々しいまである。 諦めて白旗の準備をしていると、 どこからともなく風が吹いてきた。 突風に相応しい強さが、 私の心の曇り空をどかす。 降っていた雨は乾き凍って綺麗な雪の結晶になった。 シンシン心身に降りしきる氷と共に、 シャンシャン音がする。 空を見上げるとサンタさんが鹿と一緒に飛んでいる。 飛行機より少し遅いくらいのスピードで空を舞うサンタさんを追いかける。 サンタさんは私を見やると担いでいた袋を開けて、 大量のプレゼントを落した。 ペンと紙だった。 ペンと紙が私の頭に降ってくる。 私にはそれが金箔のように輝いて見えた。 サンタさんが去ると空は晴れ、 風が強さを増す。 私は必死に何枚もの紙に物語を書く。 今までの苦しみを優しい紙質に書き入れる。 思いの詰まった紙はやがて風に飛ばされて、 綿毛のように発っていく。 次第に風は荒れていく。 台風でも来ているんじゃないかというくらい。 それすら書く。 瞬間、体が浮き、 抑えていた白紙が中に舞う。 竜巻だ。 ぐるぐると飛ばされる中で私は叫ぶ。 くしゃくしゃになっても良い 白紙のままでも良い 地の果てまで飛んでいけ ただがむしゃらに 風にはたかれながら アイデア達はバラ撒かれたお札のように照り、 どこまでもぶっ飛んでいく。 爆風が私を包む。 至る所から見えなかった気持ちが沸いてくる。 スランプ、スランプ、飛んでいけ。 風は止めどない。 物語は終わらない。 スランプ、スランプ、飛んでいけぇぇ! 目が覚めるといつもの朝。 物語が始まるが、何も思いつかない。 もう迷いたくない。 考えるな、感じろ。 邪念なんて吹き飛んでしまえ。 爆風、スランプ。
逆探知
恋愛はトリックの一種。 「愛してる」はレトリックの一歩。 その裏側にある物は何? バックヤードにいるアレは誰? 「付き合おう」から始まる長電話。 長く赤く細い糸電話。 クモのように忙しく張る巣。 何人と繋がってるの。 逆探知。 Trace the call you。 まだ未だ未だまだだ、切らないで。 近くにくるまで近くにいて。 事実を探してるから動かないで。 愛を探知するまで長電話。 確実犯までじっくり事情聴取。 しっかり聞いてるからね。 回線侵されないように接地(アース)。 感電はしたくない。 逆探知。 Trace the call you。 君の謝罪で終わる長電話。 5回コールまで待つよ再電通。 短絡(ショート)で済めば怖くない。 電気、気持ち、通る糸電話。 駄目ダメだめな、愛の巣。 一回切っただけでダルンダルン。 編み感も股もユルユルで、 はみ出る出会いしまってあげる。 恋愛はトリックの一種。 「愛してる」はレトリックの一歩。 バックヤードは楽屋だけで十分。 まかり通るのは舞台まで一途。 「付き合おう」で始まるマジック。 騙された君で作る理想のロジック。 仕掛けは全部撤収して。 これから本番、長電話。 逆探知。 Trace on you。
刹那、切ない。
一人の夜、ふと切ない。 空を見ても星一つ見えない。 俺の周りを巡る悶々とした思いを乗せたまま、 地球は廻る。 輝きもせず衝突もせず静かに埋まる気持ち。 掘り起こしたくても、スコップがない。 いっそ俺が輝いてやろうか。 暗闇ならよく見えるだろう。 俺も廻れば目が回る。 犬も歩けば棒に当たる。 途中でどれだけ酔おうと吐こうと、 メリーゴーランドは止まらない。 このままでいたいけど、 このままじゃいたたまれない。 踏み台を踏むにも、 そこまで登っていけない。 成長できない、 低身長な心。 口に含むほど暗みが増す夜に立ち眩み。 「一人の俺」の背中も押せない一人の俺。 精一杯光ろうと誰一人反射してくれない。 こんな感じでも朝は来る。 夜明けになるにつれ自分の痴態に目を覚ます。 また吐いちまったよ。 朝日に照らされる寒い風に、 刹那、刹那、切ない。