宙仰月/Soraaogi

1 件の小説

宙仰月/Soraaogi

初めまして、宙仰月です。 ZEPPTO 宙仰月/Soraaogi

ありふれた幸せ

「あっ、、数学のノート忘れた、、」 そう言って駅の前で引き返した。 まだ電車は残ってるはず、、、! そう思いながら教室のドアを開けた。 ガラッ、、、 「え、、、?」 一瞬、誰かわからなかった。 食事をしていたように連想させる赤く濡れた唇。 そして右腕が大きく膨れ上がっている。 首筋にまで赤く広がっているが、 本人は見られたことに恥ずかしく思っていた。 「広瀬、?」 もう一回名前を呼ぶ。 広瀬 翔空。【ひろせ かぐら】 俺の幼馴染。 小2からずっといる親友だ。 “異形“ ずっと信じていなかった。 作り話だ。 信じていても意味がない そう言われ続けていた が、今目の前に“ソレ“がいる。   ……うっ、 そのまま顔に暖かいものが流れる。 「あぁ、、ごめん、こんな気味悪りぃもん見せて、、」 これは、なんの涙だろうか。 悲しみ? 悔しさ? それとも怖さ? 恐ろしさ、、。? 「あっ、帰ろ、、?」 「な、、?」 「なんか奢るからさ、、」 「忘れ物はどれ、、?」 「、、このノートだよな、、、?」 もう腕は元に戻っている。 口元を拭ってこちらに来る。 俺が鼻をすする声が聞こえる。 涙が溢れて止まらない。 「え、、怖いって思わない、、?          気持ち悪い、とか、、」 え、、? 俺は突然のことで俯いてしまった。 「え、あ、いや、俯かせたいとかじゃなくてな、、その、、」 「あぁ!もう、、」 しびれを切らしたように頭をぐしゃぐしゃにしながらかく。 、、、少しの沈黙の後、広瀬は口を開いた。 「怒れよ。」 「殴っていいし、」 「その方が、その方が、、、」 言葉がつっかえている。広瀬は少し黙った後、続けた。 「楽なんだよ。」 「まだ人間なんだって思ってしまうから、、、、。」 「だから、、、俺に優しくしないで欲しい。」 「我儘だろうなw」 「こんなの、、、、w」 広瀬は笑ったが、うまく笑えず、 苦笑してしまう。 「自分は生きるために人を喰ってるけど、」 「他の人からすると、」 「それは、、」 「“生きてる“ にならないんだ。」 「ありふれた人間の幸せの中で、俺は」 「普通に生きていけない。」 「人を喰らって、人間の形失って、 人間の形に寄せて暮らしてる。」 それって、 ただ俺の願いんだ、、。

1
0