曼珠沙華
5 件の小説指〜嫌いなこと
LINEに入ったメッセージ "別れてほしい" は?は?は? 昨日はいつものように 待ち合わせして 渋谷の街を 手繋いで歩いて くだらない話で盛り上がって 爆笑して バイバイした あの時間にも考えてたの? あたしと居ても 楽しくなかった? 頭に❔が離れないのに さよならするのは できないから LINEのメッセージ 消した ❔のまま 歩いた 信号の向こう側に 貴方が居た 知らない人と ❔は実現だった 貴方はあたしを見つけた にっこりして 見てた バカにしないでよ あたしの匂いを好きになったと 言って 髪を撫でた指先に もう違う女の髪を絡ませて あたしの横を過ぎて行った その指先も許せない 貴方が許せない でも 言えないあたし 言わないあたし もう知らない人同士
さくら
桜並木を歩きましょ 貴方の背中を押して 迷子にならないように 小さい頃は 迷子になって ママに見つけてもらってた 光を浴びた桜たちは 貴方の顔も明るくしてくれ やっとトンネルから 出てこれたのね DEEPな心は 私には見えないけど あたしは貴方の光になるよ 私は貴方に笑いかけるよ 桜並木を歩きましょ 貴方の手を繋いで 貴方が迷子にならないように
見えない世界は
私は目が見えません 産まれた時から見えませんでした 小さい頃は覚えてません ただ母のにおいと父のにおいは覚えています 目が見えないから不自由でしょ⁈と、思うでしょうが、不自由ではありません 普通です 健常者⁈ どこが違うのでしょう 私には足があります 歩いてどこへでも行けます 白杖が私の相棒です 相棒は口を出しません 楽な相棒です 私には口があります みんなと同じように話します 私には手もあります 触って確かめて、いろんなものを知ります 知っています 日常生活に支障⁈ ありません 全て出来るから支障ありません 見たいもの? ありません 今のままで十分です だって見たくないものも 見えてしまうなら、見えないままいるのが 楽です 季節は 花 草 空気 全てのにおいで感じとります 隣にいる人がこっそり飴を舐めてても分かります これが 私 これが 当たり前
一夜
今宵 一夜 貴方様にお会いしたいと 願っておりました ただ 一目でいい 貴方様のお顔が 見たかったのです 今宵 一夜 貴方様に愛されたいのです
ピンクとブルーの中で
みたかった肩越しの夕焼けを思い出していた… いつだったろう⁈ いつも一緒だと思っていた彼は、私の前からいなくなった。 手を繋いで歩いた道も、今は、誰とも歩く事なく…向こう側の騒ぐ声と散歩している犬達がみえている。 「なあ、いつか大人になったらまだ一緒なんかな?」 「…ん〜、どうなんかな〜」 「え〜、お前はそう思ってんの⁈悲しい〜」 ピンク色と濃いブルーが混じっていた空の下で、彼はあたしに言ったのに。