ただの人さん。

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ただの人さん。

最近戻りました!細々と頑張らせて頂きます。

僕のリナリア。

…あ。 ふと足を止める。 通学路には、お花屋さんがある。 ちょっと小さめで、結構鮮やか。 ほとんどの生徒は見向きもしないけど、 私はこの四季を詰めた箱庭が大好きだ。 それに、 私がここを好きな理由は、それだけじゃない。 「いつも一番だね、おはよう」 柔らかくて暖かい、日向みたいなこの人がいるから。 「今日も朝から学校?頑張ってるね」 会えただけで嬉しい。 その笑顔が眩しい。 声も良い。 思わずニコニコしてしまう…が、 今日は一つ用事があってきたのだ。 私は店内に入ってすぐにあった、赤のバラを手に取る。 「赤いバラを五本……と。今日はどうしたの?」 私は彼に“なんとなくで”と嘘をついた。 いつも私はここの花が好きで、いろんな花を家で飾ってる。 そのときの花は、 気分で選んだり、自分で好きなのを見つけたり……… 彼に、選んでもらったり。 私は丁寧にラッピングされた小さめの花束を抱えて、彼の前に立つ。 不思議そうな顔をした顔も良い…ではなく、 すぅ…と一呼吸の間を置き、彼に手渡す。 「これ…………もしかして、僕に?」 “いつもありがとうございます”と、手汗が滲みながらも伝える。 バレてないと良いけど、なんて心配とは裏腹に。 「君にもらえるだなんて……」 「……ありがとう、すごく、すごく嬉しいよ」 嬉しそうにはにかんだ顔を見て、心の中でガッツポーズ。 (渡せてよかった…) そう安心してた時、 「僕からも、送らせてくれないかな」 彼はそういって、奥の方へと小走りに向かう。 しばらくもしないまま、 これまた綺麗にラッピングされた一輪の花をもってきた。 これは…と聞こうと顔を上げた時、目が合う。 それはいつもと違う、ただ優しい目じゃなくて、 甘くて、真剣で、楽しそうで、まっすぐで……… 見たことない瞳だった。 「…僕の方こそ、ありがとうね」 ふわりと花が咲いたかのように笑う彼に、 思わずぼっと音を立てて赤面した。 それに気付いた彼は少し驚くと、やがて愛おしそうに微笑み、 驚きと戸惑いであわあわしてる私の手を取って、 口づけを一つこぼした。 どきんっと胸打つ。 胸が鳴り過ぎて爆発しそうなくらいドキドキする。 パニックどころじゃない私は、 されるがままに彼に渡された一輪の花をぼーっと見つめる。 …そういえば。 ふと顔を上げると、また幸せそうな目と目が合う。 「学校で調べてみて。 それが僕の答え。僕の君への気持ち」 ほら、遅刻しちゃうんじゃない?と聞かれ腕時計を見ると、 いつもは余裕があるはずの時間が、少しまずい状況になっていた。 「ここで待ってるから、行っておいで」 なんだか含みもあるようなその言葉に、私はお礼を告げて店を出た。 間に合わないかもという焦りと、 ちょっとだけ期待をしているこの花の意味を調べたいが故に、 私は花を守りながら全力で走った。 「早く気づいて、僕のリナリア。」

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真面目

真面目に生きることは悪いことなのだろうか。 誰にも平等に接し、 文句も言わず、 正しいことを見極め、 正々堂々と立ち向かう。 それなのに、人々が選ぶのは笑顔だらけの自由の道。 真面目はいつのまにか、人の厄介として見られる。 当たり前のことで周りと壁ができる。 正しいことで恨まれる。 一つの手助けで十を背負わされる。 私たち「真面目」は、まるで便利屋みたいだ。 真面目は悪くない。 真面目でいるということは、 自分らしさということ。 ヘラヘラと何も考えていない人も、 お姫様のようにいたいあの子も、 「自分」の人も、 どれもが自分だ。 なら、世間から「真面目」と呼ばれる人も、 きっとそれが個性だ。

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怒ってた。

「なんで急に怒ったんだよ」 急じゃないよ。 「どうしたの?怒るなんて珍しい」 いつもだよ。 「大丈夫?」 大丈夫だよ。 急に怒ったんじゃない、 いつも怒ってないわけじゃない、 大丈夫なわけない。 怒ったんじゃなくて、 我慢するのが限界になったんだ。 ずっとずっと、 我慢してたんだ

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初めまして、冒険者さん。

…水面の近くに腰をかけて、 物音がしたからと後ろを振り返ってどれくらい経っただろうか。 人魚の街から離れたところに住む理由はただ一つ。 昔から、ワタシはあの人たちに好かれていない。 みんなと違う、特別なこの尾ひれのせいで。 だから、みんなとは違う、みんなから離れたここで、 生涯を終えると決めた そう、 誰の記憶にも、残らないように…… 「君は……」 目があった瞬間、バシャンと大きな音を立てて潜り込む。 後ろから慌てたような、ワタシを呼ぶような声が聞こえたけど気にせず深いところで座り込む。 (どっどどどっどどどうして人間がここにっ!!??) (ていうか待って、 そもそもこんなところを見つけられる人はいないはず…!!) 《ならどうしてぇ…!?》 「…ーい。おーい! この声、多分届いてるよねー?」 《ひっ…!…聞こえてない、聞こえてない、聞こえてない…》 「?なんて言ってるかわからないけど、 喋ってるってことは聞こえてるよねー?」 《喋って…っもしかして、声に出てた!?》 声に出てないと思っていたことは全部出てたようで、 聞こえてないふりをしてるつもりが、 彼に“聞こえている”と返事をしているようなものだった。 どうしよう…!と思考を巡らせている間にも、 彼は話しかけてくる。 「怖がらせたのならごめーん! その、珍しい色の尾ひれだなって思って、気づいたら追っかけちゃってー!」 「危害を加えるつもりはないし、長居するつもりもないからー! だから、顔だけでも見せてくれないかなー!」 (いーやいやいやいやむりむりむり!!) (危害を加えなくっても、まずとして無理! ここ数年、レレナさん以外と喋ったことなんてないし!! ていうか怖いし!!) 「……あー、ごめん。やっぱり怖いよね…」 「勝手についてきて、しかも顔見せろだなんて…怖がらせちゃうよな」 ピタッと動きを止める。 …どうやら彼は、一切出てこないワタシに色々察してくれたらしい。 なんとなく立ち上がったような気がして、彼の謝る声が聞こえる。 (もうここにはこない、って……いいことじゃない、の?) そうだ、安心していいのだ。 もう怯えてここまで奥深くにいる必要も、勇気を振り絞って追い払う必要もない。 ここまで彼は言ってくれたのだから、 ちゃんとここには、二度とこないだろう。 (……それで、いいんじゃないの?) なんとなく自分の心が落ち着かない。 緊張しているような、なにか引っかかっているような、そんなむず痒さを感じる。 ワタシはこれでいいんじゃないのか? これでお別れでいいんじゃないのか? 普通通りの生活に戻れる。 怯えながら過ごす必要もない。 ……でも。 ……それでも! 「それじゃあ、邪魔しちゃってごめんー! 俺のことは気にしないでなー…」 「…………えっ??」 …緊張して、声が震えそうだし、 今すぐにでも潜りたい。 …けど、何より彼の、 まっすぐで誠実さ溢れる青色の瞳に、ワタシも答えたいから。 『…っわ、わた、ワタシ、』 『フルールって、言うの…!』 「…フルール?」 『!!そっ!そう…! あなた、あなたならっ、また来て、も、いいから…』 『そっそそ、それじゃあっっ!!』 「あっ待ってくれ!!」 ザブーーン……… “「フルール?」” どうしてだろう、彼に名前を呼ばれた瞬間、 とても胸がドキドキした。 それに、ちゃんと顔を見たけど… (……眩しかったな…) 彼に、ちゃんと届けられただろうか。 また、来てくれたりするのだろうか。 そんな期待を馳せながら、 今日は頑張りすぎたという名目で、ご褒美にちょっといいお菓子を2、3個口に放り込んだ。 そのお菓子は、いつもよりちょっと、甘かったかもしれない。 …そしてこの時のワタシは考えもしなかった。 あの人が抱えていた思いを、 ワタシが変わるきっかけになることも、 物語が動き出したことも……

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好き。

「月が綺麗ですね」 …だなんて、この世界にはもったいないくらい綺麗な言葉。 一体誰が考えたのだろうか。 星と同じくらいの輝きを放つ貴方は、 いったいどこからきたのだろうか。 流星のような一瞬の儚さは、 まだこの世界に残っているのだろうか。 心が月と同じなら、 月は心であるのだろうか。 星々が砕け散れば、 それは一つの「全て」が消えてしまったのだろう。 月の輝きが失われたのなら、 「好き」とは、もう言えなくなるのだろうか。 そんなことも知らずに、 私たちは今日も眠る。

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母となる。

…「母性」とはどんなものかしら? 私は、どんな子にも愛情と子供のような愛らしさを感じるわ。 子供はもちろん、 大人やおじいちゃんおばあちゃんにも。 生きているだけで偉いというのに、 みんなは「生きるために必要なこと」や「仕事」、 あとは「勉強」というのも頑張っているもの。 私はそれを人間らしい美しさだと感じるわ。 …素晴らしいって意味よ。 人はもっと愛を受け取り合うべきだわ。 こんなにも可愛らしくて、 健気に生きてる人々を、 私はとっても愛らしく感じるから。 …もしかして、 これこそが「母性」というやつなのかしら? それとも… ただの「愛」かしら?

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