アルス
2 件の小説決意
「……未だか?遅い……。」 少し苛立ち乍立て看板の周りをウロウロとしてた。 キィーッ 路肩に停まった黒い車の方から2人のスーツ姿の男が降りてきた。 「さぁ、今日が返済日だぞ、ザック、金の方は準備出来てるんだろうな?」 短足の男が俺の目の前に止まり涼しい顔で言い放った。 そして俺は笑顔でこう言った。 「あっ、はははっ、金?いやー、今日は話だけって思っていて準備は出来て無いなぁ」 ──だから返済日は延期してくれと言おうとした瞬間。 もうひとりの男は俺に話してる人とは真逆のスタイルで俺と余り背が変わらない男が俺の後ろに回り込み俺は両手を後ろ手に持ってかれた。 「……ッ!」 少し驚き抵抗する事も出来無かった。 俺と対面する男は懐からバタフライナイフを取り出し俺の両耳を掴みこう言い放つ 「間抜けなお前に期限を与えてやろう、3日間、この3日間の内に今迄貸した金を用意する事だ、分かったな?」 両耳から手を離し後ろの男も俺の両手を離した。 「……」 黙って両耳を押さえて2人が車に乗り込むのを見る。 俺の名はザック。冴えない発明家だ。 金に困ってしまい、闇金融から借金もしてる男だ。先程の2人がその闇金融の借金取りだ。短足男が言う通り、俺はほんとに間抜けな男だ。 「はぁ…。どうするか」 一先ずアパートに戻るとしよう。 俺の部屋はヘンテコな発明品が溢れ返っていた。だけど、俺にとっては全て優れものだと思ってる。 箱状の中にはピーナツの殻が沢山入ってる。そう、これは俺が発明した ″ピーナツ殻剥き機″だ。 ピーナツを入れると箱の中の金具部分に落ちて圧力で殻を剥いてそのピーナツを箱から取り出し食べる。 そしてチェアにどすんと座り込み、俺の爺さんと俺が映った写真を取り眉を顰め乍凝視していた。 その時電話が鳴った ジリリリリーーン 俺はチェアから立ち上がり写真をチェアの上に乱雑に投げ捨て受話器を取ろうとしたら闇金融からの電話で思わず受話器を落とした。 「おい……!聞いてんのか?!てめぇ!」 闇金融の怒号が電話越しから聞こえる。 だが、俺は受話器を宙に浮かせた状態の儘電話機本体を持ち上げ、ゆっくりと机上に戻して受話器をそっと置いて、決意した。 ──銀行強盗をやるしかないか── (続)
仕事
昼間の街を颯爽と歩く。 軽快なステップを刻む。 俺はトニー、朝から夕方の18時迄ペンキ屋で働いてる。好きで働いてる訳じゃ無い。 俺の親は父母は俺には全く目もくれやしない。 特に母の方は兄貴ばかり褒めて俺には何一つ褒めてくりゃあしない。 親父の方は怒鳴ってばかりで顔を見るのも嫌になる程だ。 そんな毎日が続いたら生活するのも苦だ。 だから俺は働いてあんな辛気臭い家を出る為に……嫌、この街から出る為に働いてる……。だが、俺には唯一の希望がある。 それは 土曜日の夜にディスコで踊る事だ。 これが俺にとっての憩いの場と言うのか、ストレス発散出来る場所と言うのが正しいか。 踊ってる時は家の事、仕事の事等嫌な事は全て吹き飛んで行って忘れられるから心地良い。 だが、その熱狂した土曜が過ぎれば……日曜日…。俺は家に居たく無くてダチと車で出掛ける。 まぁ、そんな時間はあっという間に過ぎちまう訳だが。 そして月曜とまた退屈な1週間がやって来る。 その退屈な月曜がやって来た。 又、俺は1週間働かなきゃいけない。 客を売り場に案内してる所にいきなり店主が俺に声を掛けて来た。 「おい、トニー!お前に伝えたい事が有る。仕事終わりに言うからちょっと待ってろ。」 俺の肩を3回程軽く叩き店主はレジに戻って行った。 朗報とは……?何だ? 俺はニヤケ顔を見せぬ様に1日仕事に勤しんだ。 そして仕事終わり時間に、店主の元へ軽い足取りで向かった。 「それで、仕事中に言っていた朗報とは何だ……?」 シャッターを閉める店主に期待が籠った声を掛けた。不自然にも含み笑いを零してしまう。 「おぉ、トニー来たか!実は給料を上げようと思ってな」 俺は昇給が嬉しくて小さく右手でガッツポーズをし、幾ら程上がるのか店主に聞いた。 「やったね!それで?幾ら程の昇給何だ…?」 俺の期待に応えるかの様な金額を店主が言う。 「30ドルだ」 俺は目を丸くした。 「え?!30ドル……!?願ってもない金額だよ!これからも頑張るからさ、ちょっと前借り……させてくれないか?」 俺は店主に前借りを頼む。 「何故だ?」 店主は怪訝な顔で俺に問い質した。 店主の怪訝な顔が見るのが辛いが前借りの理由を言った。 「実は、次の土曜日にダンスコンテストがあるんだ。それに青いシャツを着て出場しようと思ってな、ねぇ、頼むよ。」 (続く)