神廻命(しんかい みこと)
3 件の小説追憶の巫(ついおくのかむなぎ) 1
ゲームシナリオ 1 【夢見る青年】 …また、夢。何も聞こえない、見えない、 ただ暗闇だけが在る夢。 「顔色悪いぞ。なんか見たか?」 ルイが起こしてくれた。 「いや、何も…。いや………分からない」 何も見えないのは事実だが、 そこには闇が存在していたから、 僕は闇を見たと言える。けど、分からない。 「……飯、できてるぞ!」 余計な追求をしてくれないのは、 ルイの良いところだ。 …まただ。前よりも深い闇。 加えて、溺れたような焦りを感じる。 ー助けて。誰か。誰か…!!!!ー 「…おはよう。良かった」 ルイが言葉少なめに安堵を口にする。 どれほど眠っていたのだろうと、 窓を見れば、朝日が輝いている。 「…どれくらい寝てた?」 そう聞くと、 「朝飯が冷め始めるくらいだな」 ちょっと分かりにくい。 ルイの名前が出なかった。 なぜ、助けを求める宛がなかったのだろう。 夢だから?簡単すぎる。でも、 今はそれでいいのかもしれない。 「…本当に行くのかい?」 お母さんが不安げに聞いてくる。 「大丈夫だよ、ルイだっているし。あと、 えぇ…と……」 言いかけて、忘れた名前を思い出す。 急に現れては旅を始める僕達を手伝うと 言ってくれた、確か。 「深蔭梛夜ね!」 彼女は明るく言う。 「あぁ、はい。すみません」 謝ることないと肩を少し強めに叩かれた。 「梛夜さんもいるし、大丈夫だ…と思う」 やはり自信は言葉に乗ってくれない。 声もどこか頼りない。 「そこは言い切ってくれないと、 お母さんも笑顔で見送るのは難しいな?」 そう言いながらも、お母さんは笑顔を浮かべながら、荷物を持たせてくれた。 「なんてね、行ってらっしゃいな。危険なこともあるかもしれないから、準備はしっかりね」 お母さんは梛夜さんを見る。 「長く旅をしてきたと聞きました。 それに、私にはなんだか分かる気がします。お強い人だと。どうか、まだまだ幼いこの子達を、よろしくお願いしますね」 そう言って、深く頭を下げた。 「こちらこそ、ふらっと現れた私を信用してくださり感謝申し上げます。深蔭梛夜、命に替えてでも、アスペン様、ルイ様をお守りします」 梛夜さんも大袈裟なほど、 しっかりと頭を下げる。 「嫌だよ、そんな。あんたもちゃんと帰っておいでよ?なぁんもないとこだけど、いつだって待ってるからさ!」 僕達も同じ気持ちだ。 「そうさ、俺らのせいで死なれちまったら、誰に顔向けしていいか分からねぇ。でも、頼りにはさせてもらう」 ルイの言葉に梛夜さんは力強く、自身の胸を叩いて見せた。 それから少しだけお母さんや町の人と 別れを惜しんでから出立しようとした。 けれど、家を出たところで梛夜さんが 僕達に呼びかけた。 「お母様、危険なことがあるかもしれない。そう言っていたね?」 先程までとは違う、真剣な面持ち。 「言ってたけど、分かってるよ。 これでも鍛えてるつもりだし」 うん、と梛夜さんは頷いて続ける。 「君達の顔に似合わない筋肉には 私もうっとりしてる。 けど、戦い方までは知らないでしょ?」 戦い方。その言葉に引っかかりを覚えたのか、ルイが遮る。 「戦い方だぁ?何と戦うって言うんだ?暴れ牛か?族か?」 声は飄々としていたけど、顔は真剣だった。 「両方。さらには、より手強い相手と出くわす可能性だってある」 食いついてくれたルイに、梛夜さんはにんまり口角をあげた。長くなりそうだ。 「えと、要するに?」 【チュートリアル】 1・チビちゃんとどこまでも 「戦い方こそ、旅の中で教えていく。 まずは、更なる旅の仲間を見つけましょう」 そう言って、梛夜さんは改めて町を見渡す。 「蒼龍水神に鹿翠穀神………炎蛇尊まで… うん。やっぱり素晴らしいところね!!」 聞きなれない言葉を口にしたかと思うと、 僕達の町を褒めてくれた。 「…旅の仲間って、 あいつらを連れていくと?」 ルイが、町に住み着いてる霊獣を 撫でて見せる。 「そう!私は知ってる、この子達はとても心強いパートナーになれること!でも、連れてくのはチビちゃんね!」 そう言って、梛夜さんの足元で構ってくれと頭突きを繰り返す幼獣を抱き上げた。 「…可愛いのは確かだな」 ルイが呆れたように言う。 「確かに、癒されるね」 すると、梛夜さんは幼獣の足を掴み、 ぷくっと頬を膨らませ 「失敬な!僕だって君達といれば立派な霊獣になれるのれす!!」 そう言っては、ルイと僕の頬に幼獣をくっつける。くっつけられた幼獣は構ってもらえたのが嬉しいのかルイと僕の頬を舐めてくれた。 「もちろん、この子がまだちょっと頼りないのは事実。だからこそ、私がしっかりサポートするから、だから…信じてあげて」 不意に梛夜さんの顔が曇った。 と思ったら、またいつもの調子で 「って、まだこの子を連れてくと決まったわけじゃなかったね、ごめんごめん!じゃ、霊獣を仲間にする方法を教えるから、パートナーにしたいチビちゃんを1人、見つけてね!」 2・実戦!覚悟、チビちゃん! 「はい!……とは言っても、家族にしたい子はたくさんいるし…戦うってなるなら、互いを補えるような子が良いのかな…?」 何となく聞いた事に、梛夜さんは答える。 「その着眼点、素敵ね!せっかく初めての旅を一緒にするパートナーだから、自由に、時間をかけて決めて欲しいところだけど、良かったら探すの手伝おうか?」 お節介かもと付け足して、梛夜さんは提案してくれる。ありがたい。 「ぜひ、お願いします!」 *町の探索と目当てのチビちゃんを探す* そうして、梛夜さんの手伝いもあって、 ルイと僕は一緒に旅をしたい 幼獣を見つけた。 しかし、町に住み着いてると言えど、 世話をしているわけじゃない霊獣の子供 となると、当然親は黙っていない。 警戒を顕に戦う姿勢をとる霊獣を前に、 梛夜さんは武器をどこからともなく取り出した。と言うより、出現させた。 *梛夜を操作。幼獣の親とBattle!* 3・実践!いつまでも一緒に! 霊獣が弱ったところで、今度は鈴を出現させる梛夜さん。艶やかな所作で、踊り始める。 しばらく踊っているのを見守っていると、 梛夜さんと霊獣の胸が淡く光った。 「……説明省くようだけど、これが霊獣を仲間にするってこと。で、えぇ……」 梛夜さんがしていた武器の出現と、 鈴の出現。僕達は幼い頃から遊んでいたことで、梛夜さんはなんの説明を省こうとしてるのか不思議だった。 「あんたがしていたことなら、できるぜ?」 ほら、と言わんばかりにルイは 鈴を出現させる。 「あらま」 梛夜さんは呆気にとられたように、 ぽかんとしていた。 「じゃあ、親との戦闘は私に任せて、お気に召したチビちゃんを、その鈴で安心させてあげてね」 *主人公操作。 霊獣との誓約(リズムゲーム)* 【冒険の始まり】 結局、僕は家族にしたい子を選んだ。 そのうえで、ルイは偏りを無くせる子を 仲間に迎え、僕達は冒険を始めた。 【リフォレスタウン】 ★利用可能施設★ 飯屋・InTheリフォレス 素材店・レリィオーシェイド 楽器店・レリィ・ノージュ 【ファレイタウン】 ★利用可能施設★ 飯屋・ジェリップ's 呉服屋・ノーツィディア 楽器店・ファレイ・ノージュ ◆証明戦闘◆ 風車塔 「おや、ここは初めてな感じ?」 梛夜さんが僕の顔を見て聞いてくる。 「いえ、来たことあります。ですが、この蒼い花は初めて見ます!」 蒼い花は咲かせるのが難しいと聞く。 職業柄なのか、その事に驚き、関心する。 「確かにな、俺も何度か来たことはあるが初めてだ」 僕らがそう言うと、何故か梛夜さんが誇らしげに答える。 「この花を咲かせることができたあずさちゃん、この町の新しい守護者。花には熱心だけど、なかなか言葉が届かなくてねぇ…。そこが愛おしいんだけど」 昔、立ち寄った時に会ったことのある女の子。確か、あずさと言っていた気がする。 あれから何年も経っているけど、まさかあの子がこの偉業を成したとは、驚きだった。 「ファレイタウンを抜けるには、あずさちゃんに証明戦闘をしてもらって、護符を貰う必要がある。でも」 でも…? 「観光したくなる町だよね。ジェリップと風車小屋、水が織り成す景色。ほんっと何度来ても素敵な場所!」 それは凄く分かる。 ジェリップと言う花のかぐわしい香りに、 水の流れる音、この町ならではの楽器。 どれをとってもわくわくが止まらない。 何をどう、お父さんに伝えようか。 「私は先にあずさちゃんがいる風車塔にいるから、ゆっくり観光してきなよ!」 梛夜さんが気を利かしてくれる。 「ありがとうございます!」 何から見ようか…! *自由行動* 「あの…え…えぇとぉ……」 さっきから何度も声をかけてるのに、 まるで返答がない。あずささんは 水やりに夢中でこちらに気付かない。 僕は男だから、不必要に触れるのも いかがなものか…。 困っていると梛夜さんも声をかけてくれた。 「お~い、あずさちゃ~ん、あずささん?!」 ピクっとあずささんの肩が動いた。 気がする。 「あぁ~、梛夜様ではないですかぁ~。 お久しぶりですぅ~」 ほんわかしすぎた言い方に、梛夜さんも ふにゃっと微笑む。 「あのねぇあずさちゃん。この子達の証明戦闘をお願いしたくてぇ~おけ?」 パチンと手を叩くあずささん。 「あら、私ったらまた気が付かなかったの…?ごめんなさいねぇ~今すぐ準備しますからぁ」 そう言って案内されたのは風車塔の 屋上だった。風が心地よい。 「それでは…えぇ…と…。梛夜さん、かけ声、お願いできますかぁ…?」 梛夜さんがうんと頷く。 「雰囲気に飲まれちゃだめだからね!」 軽く助言を言った後、梛夜さんのかけ声で 証明戦闘が開始された。 【いざ、証明戦闘!】 クリア条件:霊獣一体の撃破 梛夜さんのように武器を出しての戦闘に なるかと思ったが、あずささんは鈴を鳴らすだけで武器を構えない。 それだけ簡単に思えたが、 戦っている霊獣がある程度傷つけば すぐさま回復が入るためなかなか とどめをさせない。加えて、鈴の音が鳴る 度に、霊獣の攻撃威力が 増している気がする。 それでも何とか霊獣一体を倒したところで、 あずささんがパチンと手を叩く。 「うん、凄いですね。おみそれしましたぁ! えと、何さん…?」 そう言えば、名乗ってなかった。 「あぁ、えと、アスペンです」 名前を言うと、あずささんの声が高くなる。 「アスペンさん!そうなのですね…あの時の…。お見事です。見事、証明戦闘をお収めになりました。こちら、通行手形にもなる…あら?」 どうしたのだろう… 「すみません…滅多に証明戦闘される方がいらっしゃらないもので…護符が見当たりませんわ…」 僕とルイ以上に梛夜さんがガックリ項垂れた。 「さすが…それでこそあずさちゃん……!!!」 仕方なく、僕と梛夜さんは 護符の材料となる宝石を扱う リフォレスタウンまで往復することに。 その間、今度はルイが証明戦闘を行う。 「手間を取らせてしまって…本当に申し訳ありません…。改めて、こちらお二人のための、護符です。大切になさってくださいませ」 エメラルドをあしらった、護符。 クローバーの形をしており、身につけやすい 大きさをしている。その分、無くしやすい。 「はい!これは、初めて証明戦闘を終えたお二人に、梛夜ちゃんが特別に プレゼントしよう!」 そう言って、梛夜さんは細かな装飾が施された木箱を渡してくれた。 「それはね、護符を保管するのにピッタリなの。お礼なんて気にせず、受け取って!」 木箱を開けてみると、クローバーの形をしたくぼみがあり、あずささんに貰った 護符がピッタリはまった。 無事に証明戦闘も終わり、護符を片手に 僕達はファレイタウンの関所まで やってきた。しかし、そこには 誰もいなかった。その代わり、 赤い液状のものが地面に落ちていた。 「これ…は…?」 赤い液状のものは、 関所の奥へと続いている。 「…こんな事ファレイには似合わない」 梛夜さんの顔が引き締まったように感じる。 「…良い?これから対峙するのは、霊獣だけに限らない。何があっても、 私から離れないで」 【緊急事態】 ルーンレイドチャペルを死守せよ! 関所の奥に広がるレリィフォーレスト。 その至る所に血液が付着している。 しかし、どこにも人影はなく、 霊獣すら見当たらない。 「梛夜」 不意に梛夜さんの名前が呼ばれた。 そこには蒼い髪が美しい、高身長の 男性がいた。 「時雨様…」 男性は、僕達にルーンレイドチャペルへ 急ぐよう促し姿を消した。 聞きたいことはあれど、今は言われた通り、 ルーンレイドチャペルへ向かった方が 良い気がした。 ルーンレイドチャペルの中は、 酷いなんてものじゃなかった。 神父や巫女、チャペルでお祈りをしていた であろう人達、みな血の海に浮かんでいた。 「なんてこと……」 梛夜さんは関所に立っていたであろう、 ファレイには似合わない鎧を纏った死体に 触れ小さく声を漏らした。 「…浄化しましょう」 梛夜さんが言う。 「何をすれば良い?」 ルイが答える。 「鈴。それだけで良い。そっと、鳴らして」 【花燃ゆる花鳥風月】 *浄化しよう* リズムゲーム・不可視の鎮魂歌 一通り鈴を鳴らし終えると、 チャペル一帯に広がっていた血液が、 光を放ちながら消え、 殺されたであろう人達の亡骸だけが 残された。梛夜さんが言う。 「ありがとう。後は、弔いましょう」 全ての亡骸を外へ運び終える頃、 黑華一派と名乗る集団が弔うのを 手伝ってくれた。 「梛夜様…此度は何事ですか…?」 長い黒髪の女性が梛夜さんに聞く。 「…全貌は分からない。当人に事後報告を求めるのは、酷なこと。頼める?」 梛夜さんの頼みに長い黒髪の女性は短く答える。 「はっ…」 「この森には、あと3つのチャペルがあるの。 見て行きましょう」 僕達は小さく頷いた。 ふと、梛夜さんが足を止め、 僕達を手で制止する。そこには、 衣服で顔を隠した男が1人、僕達を 待ち構えるよう立っていた。 「おやおやぁ?これはこれは巫様ァ… しかも、梛夜様ではございませんかぁ…」 梛夜さんの顔が曇る。男は続ける。 「いやぁ大変なことが起きやしたねぇ… 梛夜様がまさか、あんなことをなされるとはァ…いやぁ頭が上がらね…」 男が言い終えるのを待たず、梛夜さんは 槍を構え、矛先を男の首元にあてがった。 「言え、何をした。目的はなんだ」 途端に男は腰に差した剣に手を添えるが、 梛夜さんに阻まれる。 「無駄なことを…」 キーンと音を立て、男の剣は宙を舞う。 力無く男は崩れ落ち、弱々しく話し始める。 「…目的なんざありゃしねぇよぉ…ただぁ…殺さなきゃならねぇ連中なんだよ…」 梛夜さんが睨みを利かせる。 「続けろ」 梛夜さんは槍の矛先で男の首を上げさせる。 男の瞳には確かな光があった。 「……羨ましい連中だぜぇ…あんたをたぶらかし…甘い汁を搾らせて…良いなぁ……なぁ、梛夜ちゃぁん…」 梛夜さんは男に股をまさぐられながらも、 事の真相を知るべく男の言葉を待ち続けた。 「………へへ…体は正直なものだねぇ… ほらほら…反応ちてるよぉ……?」 今度は尻をまさぐり、胸を鷲掴む。 それでも梛夜さんは抵抗せずにいる。 これ以上男が何をもたらすか期待できない。 すかさずルイが男の脈を切る。 「すまない…これ以上の情報は期待できなかったからな…」 (ルイ、手馴れてる…?) 梛夜さんが衣服を整え言う。 「いや、正しい判断だよ。助かった」 ふぅ、と短く梛夜さんは息を整えた。 僕達は3つのチャペルを目指し、 再び歩き出す。 【酷花予備軍】 梛夜さんが歩きながら言う。 忌み嫌われるかつての黑蓮の一族を 模倣し、髪を染め瞳を黒くすれば、 深蔭梛夜から甘い夢を 見させて貰えると、勘違いも甚だしい 思想を持つ輩がいること。 ルーンレイドチャペル含む、 4つのチャペルでは、梛夜さんが その甘い施しをしていると信じ込む 「酷花予備軍」と呼ぶにふさわしい 人間がいること。 すると、梛夜さんはルイの頭を撫で、 「私は好きよ、その髪色。染めたのでは手に入らない、美しい黒髪だわ」 ルイのことだから、軽くあしらうかと思ったが、目を見開き涙を流していた。 「ルイ…?」 僕が呼びかけると、 「何を言うかと思えば…やめてくれよな。そういうのに弱いんだからさ」 3つのチャペル、それぞれを酷花予備軍が 占拠していたところ、そのほとんどを 梛夜さんとルイの力で、僕達は 取り返す事に成功した。 悪霊になってはまずいからと、 梛夜さんは酷花予備軍のことも丁重に 弔った。なぜ、そこまでできるのだろう…。 【シティ・アルシア】 ★利用可能施設★ 客船・アルシェリア 飯屋・シティ・アルシア 貿易船・アルシア号 ◆証明戦闘◆ 船小屋 レリィフォーレストを抜けて しばらく歩くと、 シティ・アルシアが見えてきた。 僕達の服から返り血が見当たらないのは、 梛夜さんの浄化が上手くいった証だろう。 あずささんも、アルシアの人達も、 梛夜さんの顔を見ただけで 彼女を歓迎していた。 その事を少しばかり不思議に思いながら、 僕達はしばらくアルシアに留まることに。 *自由行動* 「先の戦では、全てのチャペルを救って頂いたこと、そして血で汚れてしまったルーンレイドチャペルを浄化してくださったこと、心より感謝致します」 証明戦闘が行われる船小屋に着くと、 まだ若い女の子が丁寧に出迎えてくれた。 レリィフォーレストで起こったことは アルシアにも既に広まっており、 話を聞いたアルシアが向かわせた兵士もまた 殺害されてしまった。 「身につけられている衣服が汚れていないこと、浄化をしてくださったと すぐに分かりました。 本当に、梛夜様には頭が上がりません…」 そう言って深々とお礼する女の子に梛夜さんが少したじろぐ。 「やめてちょうだい。私だけがしたことじゃないし、初めての有事なのに活躍してくれた2人にも、ぜひお礼をもらいたいな!」 女の子は慌てて頭を上げ、僕達を見つめる。 「そうでしたか…!お礼が遅れましてすみません。本当にありがとうございました。そして、大変、お疲れ様でした」 改めて、深々とお辞儀する女の子に 僕はどう返して良いか分からなかった。 「こちらこそありがとうな」 ルイに習って僕もお礼を返す。 「うん、ありがとう」 女の子は顔を上げにっこり微笑む。 「えと、証明戦闘でしたね。分かりました、 準備致しますので少し待っていてください」 【いざ、証明戦闘!】 クリア条件:全ての霊獣を撃破 シティ・アルシアの次期、守護者候補の スズランさん。スズランさんは梛夜さんの かけ声と同時に弓を出現させた。 「本当は剣の方が私に合ってるけど、練習も兼ねて弓で行くよ!遠慮はせずに、戦ってくださいね!」 頻繁に矢が飛んでくることはなかったが、 練習とは思えないほど正確かつ強力な 一矢が忘れた頃にやってくる。 やっと意識を分散できた頃にはポンポン 飛んでくる。そうすると変な方向に飛んでいく矢も出てきたが、 でもそのほとんどに被弾してしまう。 だからとスズランさんにターゲットを 変えようにも霊獣がそれを防いでくる。 あずささんとはまた違う難しさがあった。 それでも何とか2体の霊獣を撃破したところで、スズランさんが戦闘を止めた。 「…ふぅ。ありがとうございました!あなたの勝利です!ああぁああああぁ!!!悔しい! 良いところまでいってたんだけどなぁ……」 途端に本気で悔しがる様子に僕は呆気にとられる。 「……でも、守護者たるものここは喜ばないと。えと、本当におめでとう!はい、これ!この先、この護符が必要になるから大切に持っててね!それと…」 ルイの証明戦闘も無事に終わり 勝ったお祝いとして、 僕達は無料で船に乗せてもらえることに。 貰った護符は木箱に保管し、 僕達はもう少しだけアルシアを見てから 次の場所へ向かうことにした。 しかし、早速、船に乗ろうと思ったら、 整備中のため、少し歩いた先にある ライド場に行くことを船乗りさんに 勧められる。 梛夜さんもせっかくの機会だからと、 船乗りさんの提案にうきうきだった。 そんなこんなで、僕達はライド場を 目指し、シティ・アルシアを後にした。
追憶の巫(ついおくのかむなぎ) 1
ゲームシナリオ 1 【夢見る青年】 …また、夢。何も聞こえない、見えない、 ただ暗闇だけが在る夢。 「顔色悪いぞ。なんか見たか?」 ルイが起こしてくれた。 「いや、何も…。いや………分からない」 何も見えないのは事実だが、 そこには闇が存在していたから、 僕は闇を見たと言える。けど、分からない。 「……飯、できてるぞ!」 余計な追求をしてくれないのは、 ルイの良いところだ。 …まただ。前よりも深い闇。 加えて、溺れたような焦りを感じる。 ー助けて。誰か。誰か…!!!!ー 「…おはよう。良かった」 ルイが言葉少なめに安堵を口にする。 どれほど眠っていたのだろうと、 窓を見れば、朝日が輝いている。 「…どれくらい寝てた?」 そう聞くと、 「朝飯が冷め始めるくらいだな」 ちょっと分かりにくい。 ルイの名前が出なかった。 なぜ、助けを求める宛がなかったのだろう。 夢だから?簡単すぎる。でも、 今はそれでいいのかもしれない。 「…本当に行くのかい?」 お母さんが不安げに聞いてくる。 「大丈夫だよ、ルイだっているし。あと、 えぇ…と……」 言いかけて、忘れた名前を思い出す。 急に現れては旅を始める僕達を手伝うと 言ってくれた、確か。 「深蔭梛夜ね!」 彼女は明るく言う。 「あぁ、はい。すみません」 謝ることないと肩を少し強めに叩かれた。 「梛夜さんもいるし、大丈夫だ…と思う」 やはり自信は言葉に乗ってくれない。 声もどこか頼りない。 「そこは言い切ってくれないと、 お母さんも笑顔で見送るのは難しいな?」 そう言いながらも、お母さんは笑顔を浮かべながら、荷物を持たせてくれた。 「なんてね、行ってらっしゃいな。危険なこともあるかもしれないから、準備はしっかりね」 お母さんは梛夜さんを見る。 「長く旅をしてきたと聞きました。 それに、私にはなんだか分かる気がします。お強い人だと。どうか、まだまだ幼いこの子達を、よろしくお願いしますね」 そう言って、深く頭を下げた。 「こちらこそ、ふらっと現れた私を信用してくださり感謝申し上げます。深蔭梛夜、命に替えてでも、アスペン様、ルイ様をお守りします」 梛夜さんも大袈裟なほど、 しっかりと頭を下げる。 「嫌だよ、そんな。あんたもちゃんと帰っておいでよ?なぁんもないとこだけど、いつだって待ってるからさ!」 僕達も同じ気持ちだ。 「そうさ、俺らのせいで死なれちまったら、誰に顔向けしていいか分からねぇ。でも、頼りにはさせてもらう」 ルイの言葉に梛夜さんは力強く、自身の胸を叩いて見せた。 それから少しだけお母さんや町の人と 別れを惜しんでから出立しようとした。 けれど、家を出たところで梛夜さんが 僕達に呼びかけた。 「お母様、危険なことがあるかもしれない。そう言っていたね?」 先程までとは違う、真剣な面持ち。 「言ってたけど、分かってるよ。 これでも鍛えてるつもりだし」 うん、と梛夜さんは頷いて続ける。 「君達の顔に似合わない筋肉には 私もうっとりしてる。 けど、戦い方までは知らないでしょ?」 戦い方。その言葉に引っかかりを覚えたのか、ルイが遮る。 「戦い方だぁ?何と戦うって言うんだ?暴れ牛か?族か?」 声は飄々としていたけど、顔は真剣だった。 「両方。さらには、より手強い相手と出くわす可能性だってある」 食いついてくれたルイに、梛夜さんはにんまり口角をあげた。長くなりそうだ。 「えと、要するに?」 【チュートリアル】 1・チビちゃんとどこまでも 「戦い方こそ、旅の中で教えていく。 まずは、更なる旅の仲間を見つけましょう」 そう言って、梛夜さんは改めて町を見渡す。 「蒼龍水神に鹿翠穀神………炎蛇尊まで… うん。やっぱり素晴らしいところね!!」 聞きなれない言葉を口にしたかと思うと、 僕達の町を褒めてくれた。 「…旅の仲間って、 あいつらを連れていくと?」 ルイが、町に住み着いてる霊獣を 撫でて見せる。 「そう!私は知ってる、この子達はとても心強いパートナーになれること!でも、連れてくのはチビちゃんね!」 そう言って、梛夜さんの足元で構ってくれと頭突きを繰り返す幼獣を抱き上げた。 「…可愛いのは確かだな」 ルイが呆れたように言う。 「確かに、癒されるね」 すると、梛夜さんは幼獣の足を掴み、 ぷくっと頬を膨らませ 「失敬な!僕だって君達といれば立派な霊獣になれるのれす!!」 そう言っては、ルイと僕の頬に幼獣をくっつける。くっつけられた幼獣は構ってもらえたのが嬉しいのかルイと僕の頬を舐めてくれた。 「もちろん、この子がまだちょっと頼りないのは事実。だからこそ、私がしっかりサポートするから、だから…信じてあげて」 不意に梛夜さんの顔が曇った。 と思ったら、またいつもの調子で 「って、まだこの子を連れてくと決まったわけじゃなかったね、ごめんごめん!じゃ、霊獣を仲間にする方法を教えるから、パートナーにしたいチビちゃんを1人、見つけてね!」 2・実戦!覚悟、チビちゃん! 「はい!……とは言っても、家族にしたい子はたくさんいるし…戦うってなるなら、互いを補えるような子が良いのかな…?」 何となく聞いた事に、梛夜さんは答える。 「その着眼点、素敵ね!せっかく初めての旅を一緒にするパートナーだから、自由に、時間をかけて決めて欲しいところだけど、良かったら探すの手伝おうか?」 お節介かもと付け足して、梛夜さんは提案してくれる。ありがたい。 「ぜひ、お願いします!」 *町の探索と目当てのチビちゃんを探す* そうして、梛夜さんの手伝いもあって、 ルイと僕は一緒に旅をしたい 幼獣を見つけた。 しかし、町に住み着いてると言えど、 世話をしているわけじゃない霊獣の子供 となると、当然親は黙っていない。 警戒を顕に戦う姿勢をとる霊獣を前に、 梛夜さんは武器をどこからともなく取り出した。と言うより、出現させた。 *梛夜を操作。幼獣の親とBattle!* 3・実践!いつまでも一緒に! 霊獣が弱ったところで、今度は鈴を出現させる梛夜さん。艶やかな所作で、踊り始める。 しばらく踊っているのを見守っていると、 梛夜さんと霊獣の胸が淡く光った。 「……説明省くようだけど、これが霊獣を仲間にするってこと。で、えぇ……」 梛夜さんがしていた武器の出現と、 鈴の出現。僕達は幼い頃から遊んでいたことで、梛夜さんはなんの説明を省こうとしてるのか不思議だった。 「あんたがしていたことなら、できるぜ?」 ほら、と言わんばかりにルイは 鈴を出現させる。 「あらま」 梛夜さんは呆気にとられたように、 ぽかんとしていた。 「じゃあ、親との戦闘は私に任せて、お気に召したチビちゃんを、その鈴で安心させてあげてね」 *主人公操作。 霊獣との誓約(リズムゲーム)* 【冒険の始まり】 結局、僕は家族にしたい子を選んだ。 そのうえで、ルイは偏りを無くせる子を 仲間に迎え、僕達は冒険を始めた。 【リフォレスタウン】 ★利用可能施設★ 飯屋・InTheリフォレス 素材店・レリィオーシェイド 楽器店・レリィ・ノージュ 【ファレイタウン】 ★利用可能施設★ 飯屋・ジェリップ's 呉服屋・ノーツィディア 楽器店・ファレイ・ノージュ ◆証明戦闘◆ 風車塔 「おや、ここは初めてな感じ?」 梛夜さんが僕の顔を見て聞いてくる。 「いえ、来たことあります。ですが、この蒼い花は初めて見ます!」 蒼い花は咲かせるのが難しいと聞く。 職業柄なのか、その事に驚き、関心する。 「確かにな、俺も何度か来たことはあるが初めてだ」 僕らがそう言うと、何故か梛夜さんが誇らしげに答える。 「この花を咲かせることができたあずさちゃん、この町の新しい守護者。花には熱心だけど、なかなか言葉が届かなくてねぇ…。そこが愛おしいんだけど」 昔、立ち寄った時に会ったことのある女の子。確か、あずさと言っていた気がする。 あれから何年も経っているけど、まさかあの子がこの偉業を成したとは、驚きだった。 「ファレイタウンを抜けるには、あずさちゃんに証明戦闘をしてもらって、護符を貰う必要がある。でも」 でも…? 「観光したくなる町だよね。ジェリップと風車小屋、水が織り成す景色。ほんっと何度来ても素敵な場所!」 それは凄く分かる。 ジェリップと言う花のかぐわしい香りに、 水の流れる音、この町ならではの楽器。 どれをとってもわくわくが止まらない。 何をどう、お父さんに伝えようか。 「私は先にあずさちゃんがいる風車塔にいるから、ゆっくり観光してきなよ!」 梛夜さんが気を利かしてくれる。 「ありがとうございます!」 何から見ようか…! *自由行動* 「あの…え…えぇとぉ……」 さっきから何度も声をかけてるのに、 まるで返答がない。あずささんは 水やりに夢中でこちらに気付かない。 僕は男だから、不必要に触れるのも いかがなものか…。 困っていると梛夜さんも声をかけてくれた。 「お~い、あずさちゃ~ん、あずささん?!」 ピクっとあずささんの肩が動いた。 気がする。 「あぁ~、梛夜様ではないですかぁ~。 お久しぶりですぅ~」 ほんわかしすぎた言い方に、梛夜さんも ふにゃっと微笑む。 「あのねぇあずさちゃん。この子達の証明戦闘をお願いしたくてぇ~おけ?」 パチンと手を叩くあずささん。 「あら、私ったらまた気が付かなかったの…?ごめんなさいねぇ~今すぐ準備しますからぁ」 そう言って案内されたのは風車塔の 屋上だった。風が心地よい。 「それでは…えぇ…と…。梛夜さん、かけ声、お願いできますかぁ…?」 梛夜さんがうんと頷く。 「雰囲気に飲まれちゃだめだからね!」 軽く助言を言った後、梛夜さんのかけ声で 証明戦闘が開始された。 【いざ、証明戦闘!】 クリア条件:霊獣一体の撃破 梛夜さんのように武器を出しての戦闘に なるかと思ったが、あずささんは鈴を鳴らすだけで武器を構えない。 それだけ簡単に思えたが、 戦っている霊獣がある程度傷つけば すぐさま回復が入るためなかなか とどめをさせない。加えて、鈴の音が鳴る 度に、霊獣の攻撃威力が 増している気がする。 それでも何とか霊獣一体を倒したところで、 あずささんがパチンと手を叩く。 「うん、凄いですね。おみそれしましたぁ! えと、何さん…?」 そう言えば、名乗ってなかった。 「あぁ、えと、アスペンです」 名前を言うと、あずささんの声が高くなる。 「アスペンさん!そうなのですね…あの時の…。お見事です。見事、証明戦闘をお収めになりました。こちら、通行手形にもなる…あら?」 どうしたのだろう… 「すみません…滅多に証明戦闘される方がいらっしゃらないもので…護符が見当たりませんわ…」 僕とルイ以上に梛夜さんがガックリ項垂れた。 「さすが…それでこそあずさちゃん……!!!」 仕方なく、僕と梛夜さんは 護符の材料となる宝石を扱う リフォレスタウンまで往復することに。 その間、今度はルイが証明戦闘を行う。 「手間を取らせてしまって…本当に申し訳ありません…。改めて、こちらお二人のための、護符です。大切になさってくださいませ」 エメラルドをあしらった、護符。 クローバーの形をしており、身につけやすい 大きさをしている。その分、無くしやすい。 「はい!これは、初めて証明戦闘を終えたお二人に、梛夜ちゃんが特別に プレゼントしよう!」 そう言って、梛夜さんは細かな装飾が施された木箱を渡してくれた。 「それはね、護符を保管するのにピッタリなの。お礼なんて気にせず、受け取って!」 木箱を開けてみると、クローバーの形をしたくぼみがあり、あずささんに貰った 護符がピッタリはまった。 無事に証明戦闘も終わり、護符を片手に 僕達はファレイタウンの関所まで やってきた。しかし、そこには 誰もいなかった。その代わり、 赤い液状のものが地面に落ちていた。 「これ…は…?」 赤い液状のものは、 関所の奥へと続いている。 「…こんな事ファレイには似合わない」 梛夜さんの顔が引き締まったように感じる。 「…良い?これから対峙するのは、霊獣だけに限らない。何があっても、 私から離れないで」 【緊急事態】 ルーンレイドチャペルを死守せよ! 関所の奥に広がるレリィフォーレスト。 その至る所に血液が付着している。 しかし、どこにも人影はなく、 霊獣すら見当たらない。 「梛夜」 不意に梛夜さんの名前が呼ばれた。 そこには蒼い髪が美しい、高身長の 男性がいた。 「時雨様…」 男性は、僕達にルーンレイドチャペルへ 急ぐよう促し姿を消した。 聞きたいことはあれど、今は言われた通り、 ルーンレイドチャペルへ向かった方が 良い気がした。 ルーンレイドチャペルの中は、 酷いなんてものじゃなかった。 神父や巫女、チャペルでお祈りをしていた であろう人達、みな血の海に浮かんでいた。 「なんてこと……」 梛夜さんは関所に立っていたであろう、 ファレイには似合わない鎧を纏った死体に 触れ小さく声を漏らした。 「…浄化しましょう」 梛夜さんが言う。 「何をすれば良い?」 ルイが答える。 「鈴。それだけで良い。そっと、鳴らして」 【花燃ゆる花鳥風月】 *浄化しよう* リズムゲーム・不可視の鎮魂歌 一通り鈴を鳴らし終えると、 チャペル一帯に広がっていた血液が、 光を放ちながら消え、 殺されたであろう人達の亡骸だけが 残された。梛夜さんが言う。 「ありがとう。後は、弔いましょう」 全ての亡骸を外へ運び終える頃、 黑華一派と名乗る集団が弔うのを 手伝ってくれた。 「梛夜様…此度は何事ですか…?」 長い黒髪の女性が梛夜さんに聞く。 「…全貌は分からない。当人に事後報告を求めるのは、酷なこと。頼める?」 梛夜さんの頼みに長い黒髪の女性は短く答える。 「はっ…」 「この森には、あと3つのチャペルがあるの。 見て行きましょう」 僕達は小さく頷いた。 ふと、梛夜さんが足を止め、 僕達を手で制止する。そこには、 衣服で顔を隠した男が1人、僕達を 待ち構えるよう立っていた。 「おやおやぁ?これはこれは巫様ァ… しかも、梛夜様ではございませんかぁ…」 梛夜さんの顔が曇る。男は続ける。 「いやぁ大変なことが起きやしたねぇ… 梛夜様がまさか、あんなことをなされるとはァ…いやぁ頭が上がらね…」 男が言い終えるのを待たず、梛夜さんは 槍を構え、矛先を男の首元にあてがった。 「言え、何をした。目的はなんだ」 途端に男は腰に差した剣に手を添えるが、 梛夜さんに阻まれる。 「無駄なことを…」 キーンと音を立て、男の剣は宙を舞う。 力無く男は崩れ落ち、弱々しく話し始める。 「…目的なんざありゃしねぇよぉ…ただぁ…殺さなきゃならねぇ連中なんだよ…」 梛夜さんが睨みを利かせる。 「続けろ」 梛夜さんは槍の矛先で男の首を上げさせる。 男の瞳には確かな光があった。 「……羨ましい連中だぜぇ…あんたをたぶらかし…甘い汁を搾らせて…良いなぁ……なぁ、梛夜ちゃぁん…」 梛夜さんは男に股をまさぐられながらも、 事の真相を知るべく男の言葉を待ち続けた。 「………へへ…体は正直なものだねぇ… ほらほら…反応ちてるよぉ……?」 今度は尻をまさぐり、胸を鷲掴む。 それでも梛夜さんは抵抗せずにいる。 これ以上男が何をもたらすか期待できない。 すかさずルイが男の脈を切る。 「すまない…これ以上の情報は期待できなかったからな…」 (ルイ、手馴れてる…?) 梛夜さんが衣服を整え言う。 「いや、正しい判断だよ。助かった」 ふぅ、と短く梛夜さんは息を整えた。 僕達は3つのチャペルを目指し、 再び歩き出す。 【酷花予備軍】 梛夜さんが歩きながら言う。 忌み嫌われるかつての黑蓮の一族を 模倣し、髪を染め瞳を黒くすれば、 深蔭梛夜から甘い夢を 見させて貰えると、勘違いも甚だしい 思想を持つ輩がいること。 ルーンレイドチャペル含む、 4つのチャペルでは、梛夜さんが その甘い施しをしていると信じ込む 「酷花予備軍」と呼ぶにふさわしい 人間がいること。 すると、梛夜さんはルイの頭を撫で、 「私は好きよ、その髪色。染めたのでは手に入らない、美しい黒髪だわ」 ルイのことだから、軽くあしらうかと思ったが、目を見開き涙を流していた。 「ルイ…?」 僕が呼びかけると、 「何を言うかと思えば…やめてくれよな。そういうのに弱いんだからさ」 3つのチャペル、それぞれを酷花予備軍が 占拠していたところ、そのほとんどを 梛夜さんとルイの力で、僕達は 取り返す事に成功した。 悪霊になってはまずいからと、 梛夜さんは酷花予備軍のことも丁重に 弔った。なぜ、そこまでできるのだろう…。 【シティ・アルシア】 ★利用可能施設★ 客船・アルシェリア 飯屋・シティ・アルシア 貿易船・アルシア号 ◆証明戦闘◆ 船小屋 レリィフォーレストを抜けて しばらく歩くと、 シティ・アルシアが見えてきた。 僕達の服から返り血が見当たらないのは、 梛夜さんの浄化が上手くいった証だろう。 あずささんも、アルシアの人達も、 梛夜さんの顔を見ただけで 彼女を歓迎していた。 その事を少しばかり不思議に思いながら、 僕達はしばらくアルシアに留まることに。 *自由行動* 「先の戦では、全てのチャペルを救って頂いたこと、そして血で汚れてしまったルーンレイドチャペルを浄化してくださったこと、心より感謝致します」 証明戦闘が行われる船小屋に着くと、 まだ若い女の子が丁寧に出迎えてくれた。 レリィフォーレストで起こったことは アルシアにも既に広まっており、 話を聞いたアルシアが向かわせた兵士もまた 殺害されてしまった。 「身につけられている衣服が汚れていないこと、浄化をしてくださったと すぐに分かりました。 本当に、梛夜様には頭が上がりません…」 そう言って深々とお礼する女の子に梛夜さんが少したじろぐ。 「やめてちょうだい。私だけがしたことじゃないし、初めての有事なのに活躍してくれた2人にも、ぜひお礼をもらいたいな!」 女の子は慌てて頭を上げ、僕達を見つめる。 「そうでしたか…!お礼が遅れましてすみません。本当にありがとうございました。そして、大変、お疲れ様でした」 改めて、深々とお辞儀する女の子に 僕はどう返して良いか分からなかった。 「こちらこそありがとうな」 ルイに習って僕もお礼を返す。 「うん、ありがとう」 女の子は顔を上げにっこり微笑む。 「えと、証明戦闘でしたね。分かりました、 準備致しますので少し待っていてください」 【いざ、証明戦闘!】 クリア条件:全ての霊獣を撃破 シティ・アルシアの次期、守護者候補の スズランさん。スズランさんは梛夜さんの かけ声と同時に弓を出現させた。 「本当は剣の方が私に合ってるけど、練習も兼ねて弓で行くよ!遠慮はせずに、戦ってくださいね!」 頻繁に矢が飛んでくることはなかったが、 練習とは思えないほど正確かつ強力な 一矢が忘れた頃にやってくる。 やっと意識を分散できた頃にはポンポン 飛んでくる。そうすると変な方向に飛んでいく矢も出てきたが、 でもそのほとんどに被弾してしまう。 だからとスズランさんにターゲットを 変えようにも霊獣がそれを防いでくる。 あずささんとはまた違う難しさがあった。 それでも何とか2体の霊獣を撃破したところで、スズランさんが戦闘を止めた。 「…ふぅ。ありがとうございました!あなたの勝利です!ああぁああああぁ!!!悔しい! 良いところまでいってたんだけどなぁ……」 途端に本気で悔しがる様子に僕は呆気にとられる。 「……でも、守護者たるものここは喜ばないと。えと、本当におめでとう!はい、これ!この先、この護符が必要になるから大切に持っててね!それと…」 ルイの証明戦闘も無事に終わり 勝ったお祝いとして、 僕達は無料で船に乗せてもらえることに。 貰った護符は木箱に保管し、 僕達はもう少しだけアルシアを見てから 次の場所へ向かうことにした。 しかし、早速、船に乗ろうと思ったら、 整備中のため、少し歩いた先にある ライド場に行くことを船乗りさんに 勧められる。 梛夜さんもせっかくの機会だからと、 船乗りさんの提案にうきうきだった。 そんなこんなで、僕達はライド場を 目指し、シティ・アルシアを後にした。
追憶の巫(ついおくのかむなぎ) 1
ゲームシナリオ 1 【夢見る青年】 …また、夢。何も聞こえない、見えない、 ただ暗闇だけが在る夢。 「顔色悪いぞ。なんか見たか?」 ルイが起こしてくれた。 「いや、何も…。いや………分からない」 何も見えないのは事実だが、 そこには闇が存在していたから、 僕は闇を見たと言える。けど、分からない。 「……飯、できてるぞ!」 余計な追求をしてくれないのは、 ルイの良いところだ。 …まただ。前よりも深い闇。 加えて、溺れたような焦りを感じる。 ー助けて。誰か。誰か…!!!!ー 「…おはよう。良かった」 ルイが言葉少なめに安堵を口にする。 どれほど眠っていたのだろうと、 窓を見れば、朝日が輝いている。 「…どれくらい寝てた?」 そう聞くと、 「朝飯が冷め始めるくらいだな」 ちょっと分かりにくい。 ルイの名前が出なかった。 なぜ、助けを求める宛がなかったのだろう。 夢だから?簡単すぎる。でも、 今はそれでいいのかもしれない。 「…本当に行くのかい?」 お母さんが不安げに聞いてくる。 「大丈夫だよ、ルイだっているし。あと、 えぇ…と……」 言いかけて、忘れた名前を思い出す。 急に現れては旅を始める僕達を手伝うと 言ってくれた、確か。 「深蔭梛夜ね!」 彼女は明るく言う。 「あぁ、はい。すみません」 謝ることないと肩を少し強めに叩かれた。 「梛夜さんもいるし、大丈夫だ…と思う」 やはり自信は言葉に乗ってくれない。 声もどこか頼りない。 「そこは言い切ってくれないと、 お母さんも笑顔で見送るのは難しいな?」 そう言いながらも、お母さんは笑顔を浮かべながら、荷物を持たせてくれた。 「なんてね、行ってらっしゃいな。危険なこともあるかもしれないから、準備はしっかりね」 お母さんは梛夜さんを見る。 「長く旅をしてきたと聞きました。 それに、私にはなんだか分かる気がします。お強い人だと。どうか、まだまだ幼いこの子達を、よろしくお願いしますね」 そう言って、深く頭を下げた。 「こちらこそ、ふらっと現れた私を信用してくださり感謝申し上げます。深蔭梛夜、命に替えてでも、アスペン様、ルイ様をお守りします」 梛夜さんも大袈裟なほど、 しっかりと頭を下げる。 「嫌だよ、そんな。あんたもちゃんと帰っておいでよ?なぁんもないとこだけど、いつだって待ってるからさ!」 僕達も同じ気持ちだ。 「そうさ、俺らのせいで死なれちまったら、誰に顔向けしていいか分からねぇ。でも、頼りにはさせてもらう」 ルイの言葉に梛夜さんは力強く、自身の胸を叩いて見せた。 それから少しだけお母さんや町の人と 別れを惜しんでから出立しようとした。 けれど、家を出たところで梛夜さんが 僕達に呼びかけた。 「お母様、危険なことがあるかもしれない。そう言っていたね?」 先程までとは違う、真剣な面持ち。 「言ってたけど、分かってるよ。 これでも鍛えてるつもりだし」 うん、と梛夜さんは頷いて続ける。 「君達の顔に似合わない筋肉には 私もうっとりしてる。 けど、戦い方までは知らないでしょ?」 戦い方。その言葉に引っかかりを覚えたのか、ルイが遮る。 「戦い方だぁ?何と戦うって言うんだ?暴れ牛か?族か?」 声は飄々としていたけど、顔は真剣だった。 「両方。さらには、より手強い相手と出くわす可能性だってある」 食いついてくれたルイに、梛夜さんはにんまり口角をあげた。長くなりそうだ。 「えと、要するに?」 【チュートリアル】 1・チビちゃんとどこまでも 「戦い方こそ、旅の中で教えていく。 まずは、更なる旅の仲間を見つけましょう」 そう言って、梛夜さんは改めて町を見渡す。 「蒼龍水神に鹿翠穀神………炎蛇尊まで… うん。やっぱり素晴らしいところね!!」 聞きなれない言葉を口にしたかと思うと、 僕達の町を褒めてくれた。 「…旅の仲間って、 あいつらを連れていくと?」 ルイが、町に住み着いてる霊獣を 撫でて見せる。 「そう!私は知ってる、この子達はとても心強いパートナーになれること!でも、連れてくのはチビちゃんね!」 そう言って、梛夜さんの足元で構ってくれと頭突きを繰り返す幼獣を抱き上げた。 「…可愛いのは確かだな」 ルイが呆れたように言う。 「確かに、癒されるね」 すると、梛夜さんは幼獣の足を掴み、 ぷくっと頬を膨らませ 「失敬な!僕だって君達といれば立派な霊獣になれるのれす!!」 そう言っては、ルイと僕の頬に幼獣をくっつける。くっつけられた幼獣は構ってもらえたのが嬉しいのかルイと僕の頬を舐めてくれた。 「もちろん、この子がまだちょっと頼りないのは事実。だからこそ、私がしっかりサポートするから、だから…信じてあげて」 不意に梛夜さんの顔が曇った。 と思ったら、またいつもの調子で 「って、まだこの子を連れてくと決まったわけじゃなかったね、ごめんごめん!じゃ、霊獣を仲間にする方法を教えるから、パートナーにしたいチビちゃんを1人、見つけてね!」 2・実戦!覚悟、チビちゃん! 「はい!……とは言っても、家族にしたい子はたくさんいるし…戦うってなるなら、互いを補えるような子が良いのかな…?」 何となく聞いた事に、梛夜さんは答える。 「その着眼点、素敵ね!せっかく初めての旅を一緒にするパートナーだから、自由に、時間をかけて決めて欲しいところだけど、良かったら探すの手伝おうか?」 お節介かもと付け足して、梛夜さんは提案してくれる。ありがたい。 「ぜひ、お願いします!」 *町の探索と目当てのチビちゃんを探す* そうして、梛夜さんの手伝いもあって、 ルイと僕は一緒に旅をしたい 幼獣を見つけた。 しかし、町に住み着いてると言えど、 世話をしているわけじゃない霊獣の子供 となると、当然親は黙っていない。 警戒を顕に戦う姿勢をとる霊獣を前に、 梛夜さんは武器をどこからともなく取り出した。と言うより、出現させた。 *梛夜を操作。幼獣の親とBattle!* 3・実践!いつまでも一緒に! 霊獣が弱ったところで、今度は鈴を出現させる梛夜さん。艶やかな所作で、踊り始める。 しばらく踊っているのを見守っていると、 梛夜さんと霊獣の胸が淡く光った。 「……説明省くようだけど、これが霊獣を仲間にするってこと。で、えぇ……」 梛夜さんがしていた武器の出現と、 鈴の出現。僕達は幼い頃から遊んでいたことで、梛夜さんはなんの説明を省こうとしてるのか不思議だった。 「あんたがしていたことなら、できるぜ?」 ほら、と言わんばかりにルイは 鈴を出現させる。 「あらま」 梛夜さんは呆気にとられたように、 ぽかんとしていた。 「じゃあ、親との戦闘は私に任せて、お気に召したチビちゃんを、その鈴で安心させてあげてね」 *主人公操作。 霊獣との誓約(リズムゲーム)* 【冒険の始まり】 結局、僕は家族にしたい子を選んだ。 そのうえで、ルイは偏りを無くせる子を 仲間に迎え、僕達は冒険を始めた。 【リフォレスタウン】 ★利用可能施設★ 飯屋・InTheリフォレス 素材店・レリィオーシェイド 楽器店・レリィ・ノージュ 【ファレイタウン】 ★利用可能施設★ 飯屋・ジェリップ's 呉服屋・ノーツィディア 楽器店・ファレイ・ノージュ ◆証明戦闘◆ 風車塔 「おや、ここは初めてな感じ?」 梛夜さんが僕の顔を見て聞いてくる。 「いえ、来たことあります。ですが、この蒼い花は初めて見ます!」 蒼い花は咲かせるのが難しいと聞く。 職業柄なのか、その事に驚き、関心する。 「確かにな、俺も何度か来たことはあるが初めてだ」 僕らがそう言うと、何故か梛夜さんが誇らしげに答える。 「この花を咲かせることができたあずさちゃん、この町の新しい守護者。花には熱心だけど、なかなか言葉が届かなくてねぇ…。そこが愛おしいんだけど」 昔、立ち寄った時に会ったことのある女の子。確か、あずさと言っていた気がする。 あれから何年も経っているけど、まさかあの子がこの偉業を成したとは、驚きだった。 「ファレイタウンを抜けるには、あずさちゃんに証明戦闘をしてもらって、護符を貰う必要がある。でも」 でも…? 「観光したくなる町だよね。ジェリップと風車小屋、水が織り成す景色。ほんっと何度来ても素敵な場所!」 それは凄く分かる。 ジェリップと言う花のかぐわしい香りに、 水の流れる音、この町ならではの楽器。 どれをとってもわくわくが止まらない。 何をどう、お父さんに伝えようか。 「私は先にあずさちゃんがいる風車塔にいるから、ゆっくり観光してきなよ!」 梛夜さんが気を利かしてくれる。 「ありがとうございます!」 何から見ようか…! *自由行動* 「あの…え…えぇとぉ……」 さっきから何度も声をかけてるのに、 まるで返答がない。あずささんは 水やりに夢中でこちらに気付かない。 僕は男だから、不必要に触れるのも いかがなものか…。 困っていると梛夜さんも声をかけてくれた。 「お~い、あずさちゃ~ん、あずささん?!」 ピクっとあずささんの肩が動いた。 気がする。 「あぁ~、梛夜様ではないですかぁ~。 お久しぶりですぅ~」 ほんわかしすぎた言い方に、梛夜さんも ふにゃっと微笑む。 「あのねぇあずさちゃん。この子達の証明戦闘をお願いしたくてぇ~おけ?」 パチンと手を叩くあずささん。 「あら、私ったらまた気が付かなかったの…?ごめんなさいねぇ~今すぐ準備しますからぁ」 そう言って案内されたのは風車塔の 屋上だった。風が心地よい。 「それでは…えぇ…と…。梛夜さん、かけ声、お願いできますかぁ…?」 梛夜さんがうんと頷く。 「雰囲気に飲まれちゃだめだからね!」 軽く助言を言った後、梛夜さんのかけ声で 証明戦闘が開始された。 【いざ、証明戦闘!】 クリア条件:霊獣一体の撃破 梛夜さんのように武器を出しての戦闘に なるかと思ったが、あずささんは鈴を鳴らすだけで武器を構えない。 それだけ簡単に思えたが、 戦っている霊獣がある程度傷つけば すぐさま回復が入るためなかなか とどめをさせない。加えて、鈴の音が鳴る 度に、霊獣の攻撃威力が 増している気がする。 それでも何とか霊獣一体を倒したところで、 あずささんがパチンと手を叩く。 「うん、凄いですね。おみそれしましたぁ! えと、何さん…?」 そう言えば、名乗ってなかった。 「あぁ、えと、アスペンです」 名前を言うと、あずささんの声が高くなる。 「アスペンさん!そうなのですね…あの時の…。お見事です。見事、証明戦闘をお収めになりました。こちら、通行手形にもなる…あら?」 どうしたのだろう… 「すみません…滅多に証明戦闘される方がいらっしゃらないもので…護符が見当たりませんわ…」 僕とルイ以上に梛夜さんがガックリ項垂れた。 「さすが…それでこそあずさちゃん……!!!」 仕方なく、僕と梛夜さんは 護符の材料となる宝石を扱う リフォレスタウンまで往復することに。 その間、今度はルイが証明戦闘を行う。 「手間を取らせてしまって…本当に申し訳ありません…。改めて、こちらお二人のための、護符です。大切になさってくださいませ」 エメラルドをあしらった、護符。 クローバーの形をしており、身につけやすい 大きさをしている。その分、無くしやすい。 「はい!これは、初めて証明戦闘を終えたお二人に、梛夜ちゃんが特別に プレゼントしよう!」 そう言って、梛夜さんは細かな装飾が施された木箱を渡してくれた。 「それはね、護符を保管するのにピッタリなの。お礼なんて気にせず、受け取って!」 木箱を開けてみると、クローバーの形をしたくぼみがあり、あずささんに貰った 護符がピッタリはまった。 無事に証明戦闘も終わり、護符を片手に 僕達はファレイタウンの関所まで やってきた。しかし、そこには 誰もいなかった。その代わり、 赤い液状のものが地面に落ちていた。 「これ…は…?」 赤い液状のものは、 関所の奥へと続いている。 「…こんな事ファレイには似合わない」 梛夜さんの顔が引き締まったように感じる。 「…良い?これから対峙するのは、霊獣だけに限らない。何があっても、 私から離れないで」 【緊急事態】 ルーンレイドチャペルを死守せよ! 関所の奥に広がるレリィフォーレスト。 その至る所に血液が付着している。 しかし、どこにも人影はなく、 霊獣すら見当たらない。 「梛夜」 不意に梛夜さんの名前が呼ばれた。 そこには蒼い髪が美しい、高身長の 男性がいた。 「時雨様…」 男性は、僕達にルーンレイドチャペルへ 急ぐよう促し姿を消した。 聞きたいことはあれど、今は言われた通り、 ルーンレイドチャペルへ向かった方が 良い気がした。 ルーンレイドチャペルの中は、 酷いなんてものじゃなかった。 神父や巫女、チャペルでお祈りをしていた であろう人達、みな血の海に浮かんでいた。 「なんてこと……」 梛夜さんは関所に立っていたであろう、 ファレイには似合わない鎧を纏った死体に 触れ小さく声を漏らした。 「…浄化しましょう」 梛夜さんが言う。 「何をすれば良い?」 ルイが答える。 「鈴。それだけで良い。そっと、鳴らして」 【花燃ゆる花鳥風月】 *浄化しよう* リズムゲーム・不可視の鎮魂歌 一通り鈴を鳴らし終えると、 チャペル一帯に広がっていた血液が、 光を放ちながら消え、 殺されたであろう人達の亡骸だけが 残された。梛夜さんが言う。 「ありがとう。後は、弔いましょう」 全ての亡骸を外へ運び終える頃、 黑華一派と名乗る集団が弔うのを 手伝ってくれた。 「梛夜様…此度は何事ですか…?」 長い黒髪の女性が梛夜さんに聞く。 「…全貌は分からない。当人に事後報告を求めるのは、酷なこと。頼める?」 梛夜さんの頼みに長い黒髪の女性は短く答える。 「はっ…」 「この森には、あと3つのチャペルがあるの。 見て行きましょう」 僕達は小さく頷いた。 ふと、梛夜さんが足を止め、 僕達を手で制止する。そこには、 衣服で顔を隠した男が1人、僕達を 待ち構えるよう立っていた。 「おやおやぁ?これはこれは巫様ァ… しかも、梛夜様ではございませんかぁ…」 梛夜さんの顔が曇る。男は続ける。 「いやぁ大変なことが起きやしたねぇ… 梛夜様がまさか、あんなことをなされるとはァ…いやぁ頭が上がらね…」 男が言い終えるのを待たず、梛夜さんは 槍を構え、矛先を男の首元にあてがった。 「言え、何をした。目的はなんだ」 途端に男は腰に差した剣に手を添えるが、 梛夜さんに阻まれる。 「無駄なことを…」 キーンと音を立て、男の剣は宙を舞う。 力無く男は崩れ落ち、弱々しく話し始める。 「…目的なんざありゃしねぇよぉ…ただぁ…殺さなきゃならねぇ連中なんだよ…」 梛夜さんが睨みを利かせる。 「続けろ」 梛夜さんは槍の矛先で男の首を上げさせる。 男の瞳には確かな光があった。 「……羨ましい連中だぜぇ…あんたをたぶらかし…甘い汁を搾らせて…良いなぁ……なぁ、梛夜ちゃぁん…」 梛夜さんは男に股をまさぐられながらも、 事の真相を知るべく男の言葉を待ち続けた。 「………へへ…体は正直なものだねぇ… ほらほら…反応ちてるよぉ……?」 今度は尻をまさぐり、胸を鷲掴む。 それでも梛夜さんは抵抗せずにいる。 これ以上男が何をもたらすか期待できない。 すかさずルイが男の脈を切る。 「すまない…これ以上の情報は期待できなかったからな…」 (ルイ、手馴れてる…?) 梛夜さんが衣服を整え言う。 「いや、正しい判断だよ。助かった」 ふぅ、と短く梛夜さんは息を整えた。 僕達は3つのチャペルを目指し、 再び歩き出す。 【酷花予備軍】 梛夜さんが歩きながら言う。 忌み嫌われるかつての黑蓮の一族を 模倣し、髪を染め瞳を黒くすれば、 深蔭梛夜から甘い夢を 見させて貰えると、勘違いも甚だしい 思想を持つ輩がいること。 ルーンレイドチャペル含む、 4つのチャペルでは、梛夜さんが その甘い施しをしていると信じ込む 「酷花予備軍」と呼ぶにふさわしい 人間がいること。 すると、梛夜さんはルイの頭を撫で、 「私は好きよ、その髪色。染めたのでは手に入らない、美しい黒髪だわ」 ルイのことだから、軽くあしらうかと思ったが、目を見開き涙を流していた。 「ルイ…?」 僕が呼びかけると、 「何を言うかと思えば…やめてくれよな。そういうのに弱いんだからさ」 3つのチャペル、それぞれを酷花予備軍が 占拠していたところ、そのほとんどを 梛夜さんとルイの力で、僕達は 取り返す事に成功した。 悪霊になってはまずいからと、 梛夜さんは酷花予備軍のことも丁重に 弔った。なぜ、そこまでできるのだろう…。 【シティ・アルシア】 ★利用可能施設★ 客船・アルシェリア 飯屋・シティ・アルシア 貿易船・アルシア号 ◆証明戦闘◆ 船小屋 レリィフォーレストを抜けて しばらく歩くと、 シティ・アルシアが見えてきた。 僕達の服から返り血が見当たらないのは、 梛夜さんの浄化が上手くいった証だろう。 あずささんも、アルシアの人達も、 梛夜さんの顔を見ただけで 彼女を歓迎していた。 その事を少しばかり不思議に思いながら、 僕達はしばらくアルシアに留まることに。 *自由行動* 「先の戦では、全てのチャペルを救って頂いたこと、そして血で汚れてしまったルーンレイドチャペルを浄化してくださったこと、心より感謝致します」 証明戦闘が行われる船小屋に着くと、 まだ若い女の子が丁寧に出迎えてくれた。 レリィフォーレストで起こったことは アルシアにも既に広まっており、 話を聞いたアルシアが向かわせた兵士もまた 殺害されてしまった。 「身につけられている衣服が汚れていないこと、浄化をしてくださったと すぐに分かりました。 本当に、梛夜様には頭が上がりません…」 そう言って深々とお礼する女の子に梛夜さんが少したじろぐ。 「やめてちょうだい。私だけがしたことじゃないし、初めての有事なのに活躍してくれた2人にも、ぜひお礼をもらいたいな!」 女の子は慌てて頭を上げ、僕達を見つめる。 「そうでしたか…!お礼が遅れましてすみません。本当にありがとうございました。そして、大変、お疲れ様でした」 改めて、深々とお辞儀する女の子に 僕はどう返して良いか分からなかった。 「こちらこそありがとうな」 ルイに習って僕もお礼を返す。 「うん、ありがとう」 女の子は顔を上げにっこり微笑む。 「えと、証明戦闘でしたね。分かりました、 準備致しますので少し待っていてください」 【いざ、証明戦闘!】 クリア条件:全ての霊獣を撃破 シティ・アルシアの次期、守護者候補の スズランさん。スズランさんは梛夜さんの かけ声と同時に弓を出現させた。 「本当は剣の方が私に合ってるけど、練習も兼ねて弓で行くよ!遠慮はせずに、戦ってくださいね!」 頻繁に矢が飛んでくることはなかったが、 練習とは思えないほど正確かつ強力な 一矢が忘れた頃にやってくる。 やっと意識を分散できた頃にはポンポン 飛んでくる。そうすると変な方向に飛んでいく矢も出てきたが、 でもそのほとんどに被弾してしまう。 だからとスズランさんにターゲットを 変えようにも霊獣がそれを防いでくる。 あずささんとはまた違う難しさがあった。 それでも何とか2体の霊獣を撃破したところで、スズランさんが戦闘を止めた。 「…ふぅ。ありがとうございました!あなたの勝利です!ああぁああああぁ!!!悔しい! 良いところまでいってたんだけどなぁ……」 途端に本気で悔しがる様子に僕は呆気にとられる。 「……でも、守護者たるものここは喜ばないと。えと、本当におめでとう!はい、これ!この先、この護符が必要になるから大切に持っててね!それと…」 ルイの証明戦闘も無事に終わり 勝ったお祝いとして、 僕達は無料で船に乗せてもらえることに。 貰った護符は木箱に保管し、 僕達はもう少しだけアルシアを見てから 次の場所へ向かうことにした。 しかし、早速、船に乗ろうと思ったら、 整備中のため、少し歩いた先にある ライド場に行くことを船乗りさんに 勧められる。 梛夜さんもせっかくの機会だからと、 船乗りさんの提案にうきうきだった。 そんなこんなで、僕達はライド場を 目指し、シティ・アルシアを後にした。