シミ
時刻は午前7時。
空気がキリキリと凍て付いて、肺がひんやりと冷え上がる。
私は教室で机に張り付いていた。ただ目を瞑って冬の音を聞く。
机の端からダランと垂れ下がった手を彼女が掴んだ。
ジワン
心の中に何か暖かいシミが出来た。
心臓が少しその熱に驚いた。
私は心の中が少しくすぐったくなってたまらない。だけど、それを彼女に悟られるのが嫌で何もないふりをした。
「何よ?」
「いや?ただ手が寒かったから...。」
「そっか。」
またジワリとシミが増える。
心が温まる。心臓が少し驚く。
だが心地良い。
その温度が心地良い。
いつまででも感じていたい。
そう思った。
君は私と同じ様に暖まって居るだろうか。
きっと、私だけが暖まって居るんだろう。