玄野時計

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玄野時計

くろの、とけい、と申します! 創作クラスタの女子高生です!絵を描くのと、食べることが好きです!絶賛不登校検討中・・・(?) みなさんの文章たくさん読ませていただきます!

委員長と春風

私は間違ってなんかいない。 「あなたがやったんでしょ!いい加減白状しなさいよ!」 「だから、ちげーつってんだろ!」 目の前の床には割れた花瓶。 言い訳を必死にしてるみたいだけど、朝一番にこの教室に来てたのは、この男子生徒なんだから、こいつが犯人に決まってる。 正しいことをするのは、気持ちがいい。 そんな私の価値観は、とある一人の問題児によって覆された。 「悪い委員長さんだ」 放課後、教室に残って勉強していたら、突然話しかけてきたのは、銀糸の髪に、紅茶色の瞳をした(アルビノというやつだろうか)美しい少女だった。 「何のこと・・・?」 「花瓶だよ〜犯人を決めつけた。確実な証拠があるわけでもないのに、あの男子をみんなの前で晒しあげてたよね?」 「そんなもの!日頃の生活態度が悪いからよ!自業自得でしょ?」 「私、見てたんだよね、花瓶の犯人。おいでー」 彼女が手招きすると、クラスでも大人しい女子生徒が現れ、私に深々と頭を下げた。 「ごめんなさい・・・すぐに名乗り出なくて・・・ただ、黒川さん、大きな声だして、みんなの前で怒ってて、怖くて・・・」 私は驚いて呆気にとられてしまった。 「・・・い、いいわよ。今更」 「だってさ!よかったね!じゃ、私はこれで〜」 言うが速いか、銀髪の少女はふわりと教室を出ていってしまう。 「あ、待って!」 私が、遠のいてゆく豊かな銀髪に向かって叫ぶと、少女は歩みを止めた。 「あなた、それだけ目立つ見た目なら、私も知っているはず。でも学校で見かけたことないわ。同じクラスなの?」 銀髪が夕陽に透けてキラキラと揺れた。 「そうだよ〜でも身体がどっかおかしいみたいでさ。あんまりガッコ来れないんだよね」 その笑顔に寂しい色が一瞬浮かんだのを、私は見逃さなかった。

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